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消費増税反発 小沢系政務三役・党役職者 17人辞表

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消費増税反発、小沢系17人辞表
2012年3月31日 02時00分
 野田佳彦首相は30日夜、消費税増税関連法案の国会提出を受けて官邸で記者会見し「今国会中に全力で成立を期す。政治生命を懸ける」と表明した。民主党の小沢一郎元代表グループの政務三役、党役職者計17人が増税に反対して辞表を提出。自民、公明両党も早期の衆院解散・総選挙に向け攻勢を強め、「消費税政局」は民主党分裂、解散の可能性をはらみながら本番へ突入した。

                       

 小沢氏らは法案採決で造反も辞さない構え。国民新党の連立離脱問題をめぐる混乱で政権基盤は揺らいでおり、首相は一段と厳しい立場に追い込まれた。辞表を提出した政務三役は牧義夫厚生労働副大臣、森裕子文部科学副大臣ら4人。党役職は鈴木克昌幹事長代理ら13人。
 このほかにも、小沢グループ出身の政務三役や党役職者の中には政権揺さぶりのため、さらに辞任を模索する動きがある。
 これに対し民主党の輿石東幹事長は記者団に「調整したり、お願いしたりしたい」と述べ、慰留に努める考え。
 首相は近く自民党の谷垣禎一総裁に党首会談を呼び掛け、与野党協議を求める。会見では「政策のスクラムを組むことは十分に可能だ」と訴えた。自公両党は与野党協議拒否の姿勢を崩しておらず、審議を通じて法案の不備を追及する方針。
 会見で首相は、消費税増税について「社会保障を充実させて安定させるために不可欠だ」と意義を強調。「国会審議、与野党協議を通じ、先送りできない課題に最終的な成案を得ないといけない」とも語った。
 成立しなかった場合に解散か、内閣総辞職を選択するのかとの質問には「私の胸三寸だ」と答えた。
 政府、民主党は審議難航も見越して6月21日までの通常国会会期の大幅延長も検討する。参院で野党多数の「ねじれ国会」で道のりは険しく、成立への協力と引き換えに首相が早期の解散を確約する「話し合い解散」や民主、自民両党による大連立構想の再燃も否定できず一気に緊迫することも予想される。
(共同)
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三宅雪子‏@miyake_yukiko35
 小沢元代表は本当にいつも「進退は政治家が自分で判断するもの」と言う。それでもあの数だから、仮に指示をすればおそらく全員になるんだろう。私の顔を見て「なんか(よくわかっていない)辞めたんだって?」。「広報副委員長です」というかんじ。
 2012年3月31日 - 7:55Keitai Webから· 詳細 
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小沢一郎氏「国会で議論の見通しない」消費増税で首相批判 CS放送/小沢G、政務三役十数人の辞任論も 2012-03-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
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小沢“決死隊”21人リスト/小沢一郎氏裁判 禁錮3年求刑/具体的証明ない…元代表側が不快感2012-03-10 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 これが小沢“決死隊”21人リストだ!野田と激突で玉砕?開花?
zakzak 2012.03.09
 陸山会事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の論告求刑公判が9日午前、東京地裁(大善文男裁判長)で開廷。判決を4月下旬に控え、小沢氏は、野田佳彦首相(54)が執着する消費税増税に反対し、造反・離党含みの政局を仕掛けている。首相周辺は「小沢氏に付いていくのは数人」とタカをくくるが、小沢親衛隊の面々は「最後まで一致団結」と心中覚悟の神経戦を続けている。
 「今、消費税を上げたら大変なことになる。消費税反対をもっと訴えろ。まだ足りない。本気で訴えたら(増税を)止められるぞ」
 小沢氏は8日夜、自らに近い中堅・若手議員約10人と都内で会食し、こう語りかけた。ほぼ連夜、こうした会合を繰り返し、野田執行部への批判とグループの結束を呼びかけている。
 小沢親衛隊のコアメンバー21人は別表の通り。その徹底抗戦シナリオは後述するとして、小沢氏の足かせになっている陸山会裁判は、論告求刑と弁護側による最終弁論を経て、4月下旬に判決が言い渡される。
 政治資金規正法違反罪の法定刑は、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金で、「有罪判決なら小沢氏の政治力は失墜する」が共通認識だが、東京地裁が、小沢氏の元秘書、石川知裕衆院議員の検事調書を不採用と決定したため「無罪説」も流れている。
 一方、永田町の「小沢切り」は加速している。
 今月初めに発覚した、野田首相と自民党の谷垣禎一総裁による極秘会談では、消費税増税法案を民主、自民両党で可決させて衆院解散・総選挙をする「話し合い解散」が話題に上ったとされる。
 政治評論家の浅川博忠氏は「話し合い解散なら、野田首相は小沢氏を説得することを捨て、谷垣氏は小沢氏と組んで内閣不信任案を通すことを捨てたことになる。両者による『小沢切り』だ」と分析する。
 前後して、民主党執行部は衆院当選1回議員らを対象に個別面談を行い、1人300万円の「活動費」を支給することを伝えた。活動状況を見極めて額に差をつけるという。小沢氏に近い若手議員は「消費税増税に反対させないための露骨な引き締めだ」と不満を漏らした。
 野田首相に近い議員は「世論調査をすると7、8割が『小沢氏は議員辞職すべき』と答える。秘書3人が有罪判決を受けた意味は大きい。腹をくくって小沢一派を切れば、増税しても『よくやった』と支持率が上がるのでは。そもそも、党員資格を停止で、カネもポストも配分できない小沢氏に付いていく議員は、それほど多くない」とまで言い切った。
 これに対し、小沢氏は、親しい鳩山由紀夫元首相を“使者”にして、野田首相との直接会談を探りつつ、増税法案の閣議決定に合わせて、自らに近い政務三役の集団辞任を示唆。グループ議員らに12日以降は都内にいるよう「禁足令」を発するなど造反をほのめかせている。同時に、若手議員には衆院選の準備をするように指示した。
 この狙いについて、小沢氏に近い議員は「両にらみの構えだ。『党内で復権する』のが最優先で、『離党して大阪市の橋下徹市長と連携して衆院選を戦う』のは次善の策だ」といい、続けた。
 「解散となれば民主党は壊滅する。野田−小沢会談が実現し、消費税増税に景気条件を付けたり、小沢氏にポストを与えるなど、首相側が譲歩すればそれでいい。党内で、早期の衆院選に納得できるのは、選挙に強い一部の閣僚と、『増税できるなら死んでもいい』という滅びの美学に酔っている20人程度。『解散阻止』を旗印にして、野田首相を党代表からリコールしたり、秋の代表選で引きずり降ろす手もある。小沢氏は『日本改造計画』に続く政策本の準備をしている。これを掲げて離党もあり得る」
 後段に進むにつれ、グループ内でも賛同者は減るが、最後まで小沢氏に付き従うとみられているのが前述した21人だ。

                 

 ベテラン勢では、山田正彦元農水相は「反TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」の急先鋒として知られ、山岡賢次前国家公安委員長は「閣僚時代のマイナスイメージが強く、選挙があれば生き残りは厳しい」(首相周辺)とされる。
 中堅では、すでに離党した松木謙公衆院議員(新党大地・真民主)とともに「小沢側近四天王」といわれた樋高剛、岡島一正両衆院議員と、佐藤公治参院議員の3人が名前を連ね、小沢氏の政策ブレーンである中塚一宏衆院議員もいる。
 若手では、転倒・転落事故にあった三宅雪子衆院議員や、岡本英子衆院議員、谷亮子参院議員ら小沢ガールズが健在だ。
 くしくも、21人といえばAKB48の選抜メンバーと同数だが、「他に50人ほどいる」(ベテラン秘書)との見方も。小沢親衛隊は玉砕へと進むのか、AKBのように大ブレークできるのか。
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官僚に踊らされる野田政権/政権維持のために財界の顔色をうかがう/消費増税 弱者切り捨て 根底に

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 消費増税 課題置き去り
中日新聞《 特 報 》2012/3/31 Sat.
 「身を切る覚悟」と大見えを切ったのは誰だったか。野田政権は30日に消費税増税法案を閣議決定し国会に提出する。だけど、ちょっと待ってほしい。議員歳費は削減していないし、低所得者対策もまだ。有効な歳出削減策はまったく示せていない。これでは国民を欺く「まやかし」といわれても仕方ない。(佐藤圭、小倉貞俊)
■負担増にも政府無策
 「財務省は、自公政権時代から国会議員をだましてきた」。そう語るのは、消費税増税法案について激論になった民主党の「社会保障と税の一体改革に関する合同会議」で、増税反対の論陣を張った川内博史衆院議員だ。
 会議では、議論の途中で打ち切りになり、前原誠司政調会長ら執行部側に押し切られた形になったが、川内氏は「(経済成長率を努力目標として盛り込んだ)景気条項ばかりでなく、多岐にわたる問題点が浮き彫りになった」と話す。
 合同会議であらわになったのは、官僚に踊らされる野田政権の哀れな姿だった。
 法案は消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる内容。当初は、将来、10%超に引き上げることをにじませる「再増税条項」が付けられていた。2月に閣議決定された大綱では、再増税条項は「今後の改革の検討」とぼかした表現だった。ところが、合同会議に示された法案では「さらなる税制の改革に係る措置」と明記されていたのだ。
 川内氏らが「検討と措置では大きな違いだ。誰の判断か」と迫ると、財務省側は、自公政権時代に成立した改正所得税法の付則104条「11年度までに必要な措置を講ずる」を持ち出した。財務省の担当者は「改正所得税法でも、大綱では『検討』だったが、条文では『措置』にした。今回も事務的にやった」と悪びれずに説明した。
 所得の少ない人ほど消費税の負担感が増す「逆進性」についても、野田政権は今のところ無策だ。財務省がほとんど何も考えていなかったから、ともいわれている。
 大綱では、17年ごろをめどに、納税額が少なく控除しきれない低所得者に給付金を支給する「給付付き税額控除」を導入するとした。それまでの間は、暫定的に現金を支給する「簡素な給付措置」で対応する方針が盛り込まれた。
 しかし、財務省は規模や財源などを固めていなかった。この点を追及され、最大で年額4千億円を給付措置に充てる案を示したものの、制度の詳しい内容を詰められると、十分に答えられず、取り下げざるを得なくなった。
 川内氏は国会審議について「反対のための反対ではない。政権与党として責任を果たす。党内議論では景気条項などで折り合えなかったが、まだまだ条文を修正するチャンスはある」とする。
 政治評論家の森田実氏は「とにかく消費税増税ありき、という野田政権の姿勢は問題だ」と批判する。森田氏は「過去の増税は、景気が上向くことを前提に実施されてきた。今回はいわば『不況下で増税しても構わない』というわけで、国民の理解を得られない」と話す。
 増税強行の背景にあるのは、財務省の強い意向だ。「消費税は景気に左右される法人税などと異なり、安定的な財源だ。財務省はずっと、税収に占める消費税の割合を増やしたかった。与野党のトップが元財務相で増税に前向きな今こそが好機、というわけだ」
■識者「身を切る覚悟 どこへ」「弱者切り捨て 根底に」
 評論家の樋口恵子氏は「増税の前にやるべきことがある。野田佳彦首相が増税への理解を得るためにアピールした『身を切る覚悟』はどうなったのか」と憤る。
 国会議員の定数削減は、与野党の協議が難航。最高裁で違憲状態とされた衆院の「一票の格差」は是正されないままになっている。仮に衆院比例で80削減、小選挙区0増5減が実現すれば、56億円の経費が浮くとされる。
 月々の歳費と年2回の期末手当を合わせた2106万円の議員歳費は、世界でもトップクラス。これに職務手当の「文書通信交通滞在費」が月額100万円支給される。民主党は年間300万円を削減する案を提示しているが、2年間の期限付きだ。
 総額320億円の政党交付金が、共産党を除く各党に配られている。
 「人口が減少していく中で、国会議員の定数も徐々に減らしていくことは必然の流れ。浮く金額は微々たるものでも、政治家が率先して取り組むべき象徴的な課題のはず」と指摘。「自分の身を切るより、国民の身を切る方が楽だという野田政権の感性がよく分かった」と樋口氏は皮肉る。
■「弱者切り捨て 根底に」
 消費税そのものを「致命的な欠陥のある危険な制度」と批判するのは、ジャーナリストの斎藤貴男氏だ。
 斎藤氏は、大企業が税込みの小売価格を抑えようと、下請け業者に圧力を加えることを懸念する。「不況下で消費増税に踏み切ると、納税義務者である事業者にしわ寄せがいく。中小零細企業は増税分を値引きしたり、価格に転嫁できずに自腹を切って安売りしたりせざるを得ない」と指摘。つまり「商売の力関係で弱い方が負担する仕組みだ」という。
 消費税増税で、ぎりぎりの段階で耐えている中小零細企業の倒産を誘発し、失業者や自殺者の増加につながる可能性を訴える。「その結果、大資本が仕切る社会が到来する。自営業者やこれから商売をやろうという人の存在を否定することになる」
 では、どうすればよいのか。斎藤氏が提言するのは、不公平税制の是正だ。「金持ち優遇のため下げ続けられてきた所得税の累進税率を、20年前の最高税率50%の水準に戻せば、所得税収は倍近くになる」
 斎藤氏は「法人税も上げる余地があるはずだ。聖域のように扱うのはおかしい」と指摘し、こう警告する。「政権維持のために財界の顔色をうかがう野田内閣の政策の根底にあるのは、『国益イコール大企業の利益』という思想だ。弱者切り捨ての消費税増税法案は、社会の在り方そのものを変えかねない」 *強調(太字・着色)、リンクは来栖
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国税局、消費税増税反対の最右翼「中日・東京新聞」を徹底調査/ 輿石東幹事長、メディアに「電波止めるぞ」 2012-03-13 | 政治 
 国税が東京新聞を徹底調査する「理由」
現代ビジネス「永田町ディープスロート」2012年03月13日(火)
 通常国会で消費税増税についての論戦が本格化するなか、永田町と目と鼻の先にある日比谷公園前のビルでは、まったく別の緊張感高まる事態が起きていた。
「昨年夏から半年近くもの長きにわたって、中日新聞グループに名古屋国税局と東京国税局を中心とした大規模な税務調査が入っています。そうした中で東京新聞(中日新聞東京本社)が税務調査に入っている国税官から資料分析のために一部屋要求されたため、一部の社員の間では、東京での?本格調査?が行われるのではと緊張が走ったようです」(同社関係者)
 複数の同社関係者によると、今回の国税当局の徹底調査ぶりは異常で、同社記者らが取材相手との「打ち合わせ」や「取材懇談」に使った飲食費を経費処理した領収書を大量に漁り、社員同士で飲み食いしていた事例がないかなどをしらみつぶしに調べているという。
「実際に取材相手と飲食したのかどうか飲食店まで確認が及び、名古屋ではすでに社員同士で飲み食いしていた事例が見つかったようだ。一方で『これでは取材源の秘匿が危機にさらされる』と一部では問題視されてもいる」(同前)
 ここ数年、大手紙のほか、民放各局、出版社などが相次いで国税の税務調査を受けていることから、「たんに順番が回ってきただけ」と意に介さない向きもあるが、
「中日新聞グループは、野田政権がおし進める消費税増税に対して反対の論陣をはる最右翼。今回の徹底調査の裏には、国税=財務省側の『牽制球』『嫌がらせ』の意図が透けて見える」
 との見方も出ている。
 事実、中日・東京新聞は「野田改造内閣が発足 増税前にやるべきこと」(1月14日)、「出先機関改革 実現なくして増税なし」(1月30日)などの見出しで社説を展開、「予算が足りず、消費税率を引き上げると言われても、死力を尽くした後でなければ、納得がいかない」などと強く主張し、新規の読者も増やしてきた。それが今回の国税側の?徹底攻撃?で、筆を曲げることにならないといいのだが。
『週刊現代』2012年3月17日号より
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消費増税案に3つのシナリオ、成立は「話し合い解散」の狭い道か
ロイター 3月30日(金)13時14分配信
 3月30日、消費増税法案が30日閣議決定された。野田首相は「政治生命をかけて今国会中に成立させる」と退路を断って臨むが、法案成立への展望は全くみえてこない。 
 ねじれ国会の下では野党の協力なしの成立は望めず、逆に、法案への反対を明言している小沢一郎民主党元代表グループから52人以上が反対に回れば衆院でも否決される。法案の成立は野党の同意が得られる「話し合い解散」など限られたケースに絞られる。「野田首相、小沢民主党元代表、谷垣禎一自民党総裁の『チキンゲーム』で、視界ゼロ」(政治アナリスト・伊藤惇夫氏)との声があがっている。
<委員会付託が最初の正念場、特別委員会設置ならメンバー構成に注視>
 法案成立までには大きく分けて、1)法案を付託する委員会の決定、2)衆院での採決時、3)参院での採決時──など、3つの節目が考えられる。
 消費税導入を決めた竹下政権では、消費税法案は特別委員会で審議された。今回も社会保障制度と消費税を含む抜本税制改革が一体として議題になるため、早くから「特別委員会」を設置し付託するとみられていた。ただ、民主党の最低保障年金制度に関する法案が2013年の国会に提出される方針が示されたことで、逆に税法の審議が進まない可能性を危惧する声もあがっている。特別委員会が設置されることになれば、委員会の構成メンバー人選が成立を目指す民主党執行部にとって最初の正念場になる。
 審議入りの日程も定まらない。民主党の輿石東幹事長は29日の会見で「定数削減法案、郵政法案、国家公務員給与削減関連4法案などを優先すべきだ。先に国会に出ているものを先行するのがモノ(ごと)の順序だ」と述べ、すでに国会に提出されている重要法案の処理が先行するとの認識を示した。法案の審議入りが遅れれば、6月21日までの会期中に消費増税法案に十分な審議時間を確保できず、大幅な会期延長の問題につながる可能性が出てくる。
<審議入り後の3つのシナリオ>
 審議入り後は、1)法案が採決されないまま継続審議となるケース、2)法案採決で、小沢グループの造反で否決されるケース、3)法案の成立を引き換えに野田首相が解散に打って出るケース──が考えられる。
 シナリオ1:上智大学の中野晃一助教授は「法案を提出して採決をしない」ケースが落としどころになるとみる。法案が否決されれば、野田首相は「退陣するか、解散の道しかなくなる。政治的な自殺行為だ」とみるためだ。
 しかし、これは今国会での成立を公言している野田首相としては取れない戦略との指摘もある。内閣不信任案や首相問責決議案提出のきっかけになりかねない。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「継続審議には首相が乗らない。法案が提出されれば、少なくとも衆院での採決は行う。5月末から6月にかけて衆院採決にもっていく」とみる。
 シナリオ2:衆院の過半数は、欠員が1名あることから、240議席。民主党は291議席で、他党からの賛成がなければ、民主党から52人以上が反対すれば法案は否決される。政権の命運をかける法案が否決されれば、退陣か衆院解散の道しかないとみられる。
 小沢元代表は15日のロイターのインタビューで「衆院で法案(の提出・採決)を強行してくれば賛成できない」と反対を明言。消費増税をめぐっての話し合い解散や、今通常国会での衆院解散・総選挙を否定。自身が離党する理由は全くないとし「国民との約束を忘れた人たちの方が党を出なければならない」と野田首相をけん制した。インタビューから浮かび上がるのは「解散回避」(野党筋)で党内覇権争いの構図だという。
 党内最大グループの小沢派は100人を超えるとみられるが、伊藤氏は「造反は52人に達しない」と見通す。伊藤氏は「法案が成立しなければ、野田政権が倒れる可能性は極めて高い。野田首相にとっての最悪のシナリオは、法案は提出したが野党が乗ってこず、党内の造反で否決されるケース。解散に打って出られない状況が最悪だ」とし、他方で「小沢氏の狙いは野田内閣を総辞職に追い込むこと。野田首相は逆に、(法案が通らないことが明確になれば)造反する議員を除名して、解散に打って出る」と予想する。
 党内の増税反対派は、前原誠司政調会長が28日未明に事前審査を一方的に打ち切ったことに反発を強めている。政調役員会でも3人が反対を表明した。党内分裂の回避を大命題とする輿石幹事長は29日の会見で、法案の採決には「当然、党議拘束はかかる」と造反行動を早くもけん制したが、消費増税をめぐる溝は深い。
 シナリオ3:衆参で多数派が異なるねじれ国会で法案を成立させるには野党の一部の同意を得るしかない。伊藤氏は「話し合いという言い方が妥当かはわからないが、自民と民主の妥協の余地は残っている」とみる。
 ただ、現時点では、自民党は消費増税法案に厳しい見方をしている。「党内基盤が確立していないので社会保障関係費を膨張させ合意点を見出す。このような社会保障膨張法案には付き合えない。できることなら話し合って民意を問う道を迫ったほうが良いが、難しい環境なら、追い込んでしまうしかない」(自民幹部)という。谷垣禎一総裁も29日の定例会見で「総理が不退転の決意で臨むというのなら、反対派と決別し、解散権を行使して、消費税を公約に掲げて堂々と国民に信を問うべきだ」と対決姿勢をあらわにしている。
<消費増税法案の行方「視界ゼロ」>
 市場もまだシナリオを描ききれていない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ債券ストラテジストの石井純氏は「衆参ねじれ状態が続く今国会では、可決成立は不可能。廃案だけは回避し、継続審議となる。つまり、5月に衆院で造反議員を押さえ込んで可決しても、参院では通過させることはできない。衆院解散・総選挙の実施を約束して参院通過の協力を取り付ける『話し合い解散』も成立しない。来夏の衆参同日選でねじれが解消し、正常化した14年の通常国会で可決成立にこぎつける」と見通すが、市場がどのような結末を織り込んでいるのかははっきりしないとした。
 消費増税の閣議決定をめぐっては連立与党を組む国民新党の亀井静香代表が増税反対を唱え、連立離脱を表明。国民新党は連立を離脱しないとしているが、亀井氏の動きが政界再編に発展するか、波乱要因となりそうだ。
 法案が成立しなければ、退陣か解散の選択肢しかない野田首相。衆院解散になれば、力の源泉の「数」を失うとみられる小沢元代表。「衆院解散・総選挙」を勝ち取らなければ、9月総裁選での芽が摘まれる谷垣自民党総裁。3者の「チキンゲーム」のなかで、消費税政局がひたひたと近づいている。4月26日に政治資金規正法違反事件で小沢氏に対する東京地裁判決が下された後、5月以降に訪れる衆院採決が最初のヤマ場となりそうだ。(ロイターニュース 吉川裕子:編集 石田仁志)
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「霞が関の大魔王」勝栄二郎危険極まりなし/内閣に「大増税」へと舵を切らせている  2011-10-05 | 政治 
 あっという間に、どじょう鍋にされたノダ 「霞が関の大魔王」勝栄二郎危険極まりなし 高橋洋一×長谷川幸洋
 現代ビジネス2011年10月05日(水)週刊現代
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事業仕分けで凍結が決まった公務員宿舎建設 野田首相「現地視察し、私が判断したい」2011-09-30 | 政治
財務省の天皇 勝栄二郎事務次官と香川俊介官房長には逆らえない/野田政権は直勝内閣/メディア工作部隊2011-10-02 | 政治
  財務官僚たちの影響下にあるのは民主党政権だけではない。彼らは政・官・司・財・報に幅広く支配の手を伸ばしている
「増税」「宿舎建設」官僚のやりたい放題を許していいのか/勝栄二郎は小沢一郎を抑えつけ、好き放題やった2011-09-29 | 政治 
小沢一郎を落ち目と見切った登石裁判長/財務省首領 勝栄二郎が、内閣に「大増税」へと舵を切らせている2011-09-30 | 政治/検察/メディア/小沢一郎

大阪地検証拠改ざん隠蔽事件 元特捜部長らに有罪判決

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元特捜部長有罪 検察改革を緩めぬよう
中日新聞 社説 2012年3月31日
 大阪地検の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件で、元特捜部長らに有罪判決が出た。不正をもみ消した大汚点であり、「組織の病弊」とまで裁判官に指摘された。動きだした検察改革をさらに進めてほしい。
  検察官は法と証拠に忠実に向き合わねばならない。証拠品であるフロッピーディスクのデータを改ざんした大阪地検の元検事は、その基本を踏み外した。有罪判決を受けた元特捜部長らも改ざんを知りつつ、隠蔽を図った。幹部も基本を逸脱したのだ。
  判決が「検察組織の信頼を損ねた責任は重い」となじったのは、当然である。とくに元特捜部長は「ミステークでいく」と部下に述べ、上層部にも不祥事を正確に伝えなかった。組織防衛のためであったとしても、前代未聞の犯罪のもみ消しは許されない。
  そもそも厚生労働省の元局長を犯罪者にでっち上げた郵便不正事件は、空中楼閣の出来事だった。事件の構図を勝手に見立てて、強引に供述調書が作成された。証拠品までも改ざんし、その事実を封印するのは、法治国家ではあり得ない。暗黒時代を思わせる。
  大阪地裁は「犯行は組織の病弊が生み出したともいえる」とまで述べた。たしかに特捜検察の問題点は、大阪に限らない。
  小沢一郎民主党元代表が強制起訴された裁判では、有罪立証の柱だった元秘書の供述調書が証拠採用されなかった。「違法な取り調べがあり信用できない」と裁判官が判断したためだ。
  そればかりか、元秘書を取り調べた際の捜査報告書に、架空のやりとりが記載されていたことも判明した。法と証拠に忠実であるべき姿勢とは明らかに乖離(かいり)する。
  最高検察庁が陣頭指揮を執って、すでに検察改革は進められている。独自捜査への偏重が無理な捜査につながったとして、特捜部の体制を縮小したり、外部の有識者を参与に入れた監察部門が新設された。職員が上司を評価する取り組みも試験的に実施した。
  取り調べの録音・録画の試行も始められ、特捜事件のほぼすべてで実施、そのうち約四割が全面可視化である。現場からは「自白が得られにくい」などの不満があるというが、適正捜査を志す以上、後退はあり得まい。
  「検察の理念」と題する職務指針もつくられ、「独善に陥ることなく、謙虚な姿勢を保つべきである」と記された。この精神が徹底され、改善を積み重ねる努力こそ、信頼回復の近道だろう。
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小沢氏裁判 公判(弊ブログindex)/最終弁論・最終陳述(第16回公判)〜小沢氏全発言(初公判) 2012-03-26 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
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小沢【有罪】に向けた裏取引 検察と裁判所は表裏一体/肉を切らせて骨を断つ/「検証する」-笠間検事総長 2012-03-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 小沢「有罪」裏取引 <背後に潜む一大謀略>
  2012年3月6日(火)10時0分配信 日刊ゲンダイ
 検察の組織的犯罪が決定的となった。小沢元代表を強制起訴に導いた「虚偽報告書」が、東京地検の手で1年間も放置されていた。とうに不正を把握していながら、小沢弁護団が公判で指摘するまで、シラを切り通すつもりだった腐った隠蔽体質。フザケたことに検察サイドは、今回のデタラメすら「小沢有罪」に向けた裏取引に利用しようと企んでいる。
<突然、発覚した「虚偽」報告書隠蔽の実態>
 東京地検が捜査報告書の虚偽記載に気づいたのは、昨年1月上旬。きっかけは、石川知裕衆院議員(38)ら小沢の元秘書3人の弁護側が、例の石川録音テープの中身を証拠開示したこと。10年5月に元特捜部の田代政弘検事(45=現・新潟地検)による再聴取のやりとりがバッチリ記録されており、田代検事が作成した報告書と比べれば、内容が食い違うことは一発で分かる。
 問題は、東京地検が不正を把握した時期だ。大阪地検特捜部の証拠改ざん事件を受け、最高検が再発防止策を発表した直後だった。改ざん事件を機に設立された「検察の在り方検討会議」のメンバーで、元検事の郷原信郎弁護士は「我々が検察再生の議論を重ねる中、東京地検は組織防衛のために偽造報告書を隠蔽したとしか思えません」と、こう憤慨する。
「田代検事個人の不正なら、東京地検も即座に処罰できた。ところが、いまだに田代検事を処罰せず、組織に抱えたままです。この事実こそ、今回の不正が組織ぐるみだったことを物語っています。田代検事の上司など複数の幹部が不正に加担した“組織犯罪”だから、発覚を恐れた。当時、明るみに出れば、東京地検は特捜部解体まで追い込まれたでしょう。隠蔽は、そのためです」
 市民団体から「虚偽有印公文書作成容疑」での刑事告発を受け、東京地検はアリバイ的に田代検事の聴取を重ねてきた。しかし、組織的隠蔽の露呈により、田代逮捕で一件落着を図る可能性が高まっている。上司だった特捜部の吉田正喜副部長や佐久間達哉部長(いずれも当時)らも無傷では済まないだろう。
 常識で考えれば、これで小沢はまた一歩、「無罪」に近づいたようにみえる。だが、検察組織は非常識。小沢周辺も警戒を強めているという。
「この国の検察と裁判所は表裏一体です。検事の一斉処分となれば“これだけ詰め腹を切らせた以上、もう恥をかかせるな”と暗黙の了解で、裁判所への無言の圧力になる。虚偽報告書の隠蔽発覚は、読売新聞が2日付1面でスクープしたもの。記事は複数の検察幹部によるリーク情報を基に書かれていました。『小沢無罪』説が強まる中、検察がわざわざ身内の不祥事をさらけ出すのは異例だし、不気味です」(民主党関係者)
 肉を切らせて骨を断つような「小沢有罪」に向けた裏取引――前出の郷原氏は「ここで徹底的にウミを出さないと、検察組織は再生できない」と言ったが、検察は懲りていない。注目の判決は来月26日前後とされる。検察の重圧に屈せず、東京地裁は常識的な判断を下せるのか。大善文男裁判長の胆力が問われる。
(日刊ゲンダイ2012年3月3日掲載) *強調(太字・着色)は来栖
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公債特例法案・行政改革・一票の格差と選挙制度・小沢裁判・・・複雑に絡まりあいながら政界再編に向かう

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再編の幕開け
田中良紹の「国会探検」

           

 野田内閣が消費増税法案を国会に提出した事で与党は分裂模様である。それを見て嘆息する国民も多いと思うが、私はいよいよ政界再編の幕が上がったと思っている。
 話は2005年に遡る。郵政選挙に勝利して巨大与党となった自民党は、自公体制を磐石にして長期政権を敷くため、小沢一郎氏が主導して実現させた小選挙区制を中選挙区制に戻そうと考えた。
 絶頂期にあった小泉総理は中選挙区制の復活を公明党に約束する一方で、盟友である山崎拓氏に靖国問題で対極の立場を表明させ、民主党議員を巻き込んだ議員連盟を作らせた。それは1993年に小沢一郎氏らが自民党から飛び出し、細川政権を作って以来の政治体制を終らせ、自民党が主導して新たな政治体制を作る動きに私には見えた。
 「2005年体制」と当時の学者はしきりに言った。それによると、「55年体制」は冷戦構造の中で自民党長期政権を生み出したが、それを壊した小沢一郎氏ら自民党脱党組は日本政治に混乱をもたらした。ところが05年総選挙によって自民党は再び巨大化し、小沢氏らの野党勢力を一掃した。そこで自民党を基盤に二つの政党を作り、それが政権交代する新たな政治体制が出来ると言うのである。それが実現すれば小泉氏は「日本政治中興の祖」になる筈であった。
 ところが構想は2年後に破綻する。小泉後継の安倍政権が07年の参議院選挙で小沢一郎氏率いる民主党に敗れたからである。勝利した小沢氏はしかし民主党が自民党に代わって政権を担える政党とは思っていなかった。小沢氏が考えたのは自民党と民主党をいったん合体させ、その上で二つに分ける政界再編である。それが福田総理との間で話し合われた「大連立」であった。
 「大連立」にはもう一つ目的があった。政党を二つに分ける前に、国家の基盤となる安全保障政策を同じにする事である。それが出来れば二大政党による政権交代はよりスムーズになる。だから小沢氏は福田総理に民主党の安保政策を飲むように迫り、福田総理も真剣にそれに応えようとした。歴史に「イフ」はないのだが、あの時「大連立」が実現していれば日本は確実に変わっていた筈である。
 ともかく「大連立」は安保政策の転換と政界再編を実現しようとした。しかし民主党内の反発で不発に終わり、09年の総選挙で民主党は政権交代を目指す事になる。その選挙直前に「西松建設事件」が起きた。それがなければ小沢総理が誕生していた。
 現役の政治家の中で政府の中心にいて消費増税に取り組んだ経験を持つのは小沢一郎氏ただ一人である。消費税増税の難しさを最も良く知っている。増税の意義をいくら説明しても、国民は消費税が本当に国民生活のために使われるのかを疑っている。自分にどれだけ利益になるかが分からない。
 そこで09年の民主党マニフェストは国民に直接利益を与える所から始まった。その財源は行政の無駄を省く事で捻出する。行政の無駄を省くためには官僚との壮絶な戦いが必要だが、それを最低4年間はやり抜く。その上でいよいよ足りなくなればマニフェストでうたった政策をやめるか、消費税の値上げを認めてもらうかを選挙で国民に問う。民主党マニフェストを私はそのように読んだ。
 一方で、野党に転じた自民党はひたすら民主党マニフェストを「バラマキ」と攻撃した。そして民主党が財政均衡を守らない政党である事を印象付けるため、10%の消費増税を参議院選挙のマニフェストに入れた。政策に責任を負わない野党だからこそ作れた選挙マニフェストである。ところが民主党の菅総理がそれに抱きついた。財務省の圧力があったのか、アメリカの圧力があったのかは知らないが、09年の民主党マニフェストとは違う事を言い始めた。
 その頃私は「政界再編が準備されつつある」というブログを書いた。メディアは菅総理の「脱小沢」ぶりを強調し、民主党の党内対立を面白がっていたが、私には民主党が党内に二つの潮流を作り、民主党が主導する形で再編を始めようとしているように見えた。そしてその見方はその後も変わっていない。
 そこで野田政権の消費増税である。野田総理は「不退転の決意」を強調するが、実現させる方策を全く講じない。そのくせ「今国会で成立させる」と事を急ぎ、しかもそれに「政治生命を賭ける」と言い切る。本当に社会保障のために消費増税をやると言うのならそんな言い方をする必要は全くない。無理矢理成立させようとすればするほど、逆効果となり成立は難しくなる。野田総理は一生懸命に成立を難しくしているのである。
 野田総理の発言を私なりに解釈すると、長く総理をやらないという事である。法案が通らなければ総辞職か解散しかないが、解散に打って出れば選挙で負けるのは必定で、どっちにしても総理を辞める事になる。辞めずに済むのは自民党が野田政権に協力して法案が成立した場合だが、成立する前に選挙をすれば元の木阿弥になる恐れがある。選挙は増税が成立した後になり、そうなれば協力した自民党も選挙で勝つ見込みがなくなる。
 なぜなら「消費税より行政の無駄を省け」と主張する地方首長の勢力が選挙に出ようとしていて、国民の人気は圧倒的にそちらに向かう。選挙になればその勢力と組む消費税反対派が選挙に勝利する可能性が高い。困っているのは実は自民党だと私は思う。自民党の中も次第に一枚岩ではなくなる。国民は民主党や国民新党の分裂模様に目を奪われているが、彼らはそれをあらかじめ計画してやっている可能性があるのである。
 誰も指摘しないのが不思議なのだが、実は消費税より重要な法案がある。特例公債法案である。これが成立しないと予算は成立しても執行が出来なくなる。「ねじれ」だから常識的には成立しない。去年はそれを成立させるために菅総理が退陣と引き換えにした。今回も野田総理が自らの首を差し出すのか、それとも自民党と手を組んで切り抜けられるのか。それもこの政局に絡んでくる。
 そして4月末の小沢裁判の判決次第で消費税政局の舞台はまた変わる。このように消費税政局は、公債特例法案、行政改革、一票の格差と選挙制度、小沢裁判などと複雑に絡まりあいながら最終的には政界再編に向かって進んでいくのである。
田中良紹 2012年3月31日 03:21
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3月大乱再び/消費税の難しさを誰よりもよく知り、最も前向きに取り組んできた政治家は小沢一郎氏である 2012-03-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 3月大乱再び
 田中良紹の「国会探検」
  去年の3月11日、東日本大震災の直前に私は「3月大乱」というコラムを書いていた。無論、地震を予見していた訳ではない。前年の参議院選挙で大敗した菅政権が3月には行き詰る事が目に見えていたからである。
 衆議院で過半数を持っていても参議院選挙に敗れた総理が政権を継続する事はありえない。橋本龍太郎氏も宇野宗佑氏も参議院選挙に敗れて自ら退陣を表明した。ところが安倍晋三氏はその常道を破って総理を続けようとし、自民党内から足を引っ張られて無様な退陣劇を演じた。
 菅総理の場合は、「ころころと総理が代わっていいのか」という民主主義とは無縁の情緒的な理由で代表選挙に勝ち、党内から足を引っ張られる事はなくなったが、参議院の過半数を失ったのだから予算を成立させる事が難しい。野党がその気になれば総辞職に追い込まれる事は必至だった。
 それを打開するには、民主党内を結束させ、「ねじれ」を解消する工作に入るのが普通である。具体的には、代表選挙で戦った小沢元代表との関係を修復し、公明党と連立を組めば「ねじれ」は消えて政権は安定する。ところが菅総理はそれとは逆の方向に歩み出した。
 自らを「クリーン」と強調する事で小沢氏との対立軸を作り、民主党を分裂状態に持ち込む一方、消費増税とTPP参加を表明する事で官僚権力とアメリカを後ろ盾に野党第一党の自民党と手を組む姿勢を示したのである。これを国民が見れば自民党と手を組む菅政権には不満が募り、自民党からすれば国民の支持を失いつつある菅政権と手を組むのは得策でなく、公明党は自民党と手を組む民主党はお断りという事になる。
 そうした状況の中で3月に入ると、菅政権のシナリオを揺るがす事態が次々起きた。まず売り物の「クリーン」がブーメランのように菅政権を襲う。前原外務大臣が在日韓国人からの献金問題で閣僚を辞任すると、菅総理にも同様の献金疑惑が持ち上がり、野党から辞任要求が突きつけられた。去年の3月11日、菅総理は絶体絶命のピンチの中にいたのである。
 もう一つ絶体絶命のピンチに立っていたのはアメリカだった。アメリカ国務省のケビン・メア日本部長の発言が日米関係を根底から揺るがしていた。日本では「沖縄はゆすりの名人」という部分だけが強調され、沖縄を侮辱した発言としか受け止められていないが、メア氏は戦後の日米関係についてアメリカの本音を語っている。
 それは「日本国憲法を変える事はアメリカの利益にならない。憲法9条を変えられたらアメリカは日本の土地をアメリカの利益のために利用できなくなる。また日本がアメリカに支払っている高い金も受け取れなくなる。アメリカは日本に関して良い取引をしている」という部分である。
 つまり日本を自立させない事で、アメリカは日本の土地をアメリカの利益のために利用し、さらに日本から金を引き出すことが出来ると言っているのである。この発言に驚いたアメリカ政府は直ちにメア氏を更迭し、日本にキャンベル国務次官補を派遣して謝罪させ、ルース駐日大使も沖縄に飛んで仲井真知事に謝罪した。これほどアメリカが迅速に動いたのは、メア発言がアメリカの本音であり、日本国民が注目する前に押さえ込みたかったからである。
 キャンベル氏来日の2日後に東日本大震災が起きた。アメリカにとって米軍の存在を日本国民に見せ付ける最大のチャンスが訪れた。アメリカの国益をかけた大々的な「トモダチ作戦」が展開され、人員2万人、艦船20隻、航空機160機が投入された。こうして日米同盟の本質はアメリカが日本から経済的利益を吸い上げる事だというメア発言は忘れ去られた。
 「政治とカネ」で倒れ掛かった菅政権は震災によって生き延びたが、所詮は危機に対応できる政権でなかった。国民の目線だけを意識した場当たり対応で逆に国民の支持を失い、夏の終わりに野田政権に交代した。この野田政権がなかなか曲者である。当初は財務省の傀儡という役回りで現れ、しかし細川護熙氏の後押しを受けて代表選挙を戦い、挙党一致を掲げて輿石幹事長に頭を下げ、震災復興と原発事故の収束に全力投球すれば国民の支持率は高止まりすると思うのに、突然、消費増税一直線の強固な姿勢を打ち出して支持率を下げた。
 自らを「捨て石」と言ったようだが、長期政権を狙う姿勢が一向に見えない。そのせいか支持率が下がっても気にする風情なく、国民の人気取りに走る気配もない。そのくせ自民党の谷垣総裁と「極秘会談」をやってすぐにそれをリークする芸当も見せる。メディアに「話し合い解散」と書かせて「解散」をやりにくくし、消費増税は本気なのかと疑いたくなるほどシナリオが見えない。「短期つなぎ政権」を自覚しているからなのか。それとも予想を超えるシナリオを準備しているからなのか。
 政界の中で消費税に最も前向きに取り組んできた政治家は小沢一郎氏である。おそらくその難しさを誰よりも良く知っている。小沢氏は消費税に反対なのではなく、やり方が違うと言っているのだろうが、野田政権と小沢氏の対立の構図にみな目を奪われている。と言うか目を奪うように対立している。その中で今年の3月大乱が起こる。去年の3月より数段に複雑である。
 消費税法案の国会提出を3月と国際公約した野田政権は間もなく鼎の軽重を問われる。そして民主党内の対立に目を奪われている間に、自民党と公明党との関係にきしみが生まれ、自民党内にも様々な対立の芽が生まれている。一方で地方からは消費税を越えた政治課題が叫ばれ、また消費増税を理由に官僚機構への切り込みも行われる。それらがどのように決着するか。今年の大乱は予想が難しい。
投稿者:田中良紹 日時:2012年3月11日02:25  *リンクは来栖
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1年8カ月ぶり死刑執行/安田好弘『死刑弁護人』ドキュメンタリー映画 公開決定/オウム真理教事件ドラマ

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 1年8カ月ぶり執行 死刑議論 深まらず
中日新聞 《 核 心 》2012/3/30 Fri.
 小川敏夫法相が29日、1年8カ月ぶりに3人の死刑執行に踏み切った。法相は執行にあたり「国民の支持」を強調したが、法務省内に設けられた死刑制度に関する勉強会が、国民的な議論を深めたとは決していえない。裁判員裁判で誰にとっても極刑の選択が人ごとでなくなった今こそ、適切な情報公開を実現し、活発な議論の場を設けることが必要だ。(東京社会部 横井武昭)
■容認大勢
 「世論調査や国民の声を反映する目的で導入された裁判員裁判でも死刑が支持されている」
 死刑執行命令書にサインし、執行後に法務省で会見に臨んだ小川法相は繰り返し、「国民の支持」を強調した。
 背景にあるのは、内閣府が2009年に実施した世論調査の結果だ。調査では、死刑制度の存続について「やむを得ない」とした回答が85・6%と過去最高を記録。「廃止すべきだ」と答えた5・7%を大きく上回り、容認派が大勢を占めた。
 一方、国際社会では廃止の流れが強い。今月27日に国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が公表した調査結果では、死刑を維持している国が57カ国なのに対し、10年以上死刑を執行していないケースを含めた廃止国は141カ国に上る。
■両論併記
 死刑制度の存廃の声が渦巻く中、2010年7月に民主党政権下で初めて死刑を執行した千葉景子法相(当時)は「国民的な議論を呼び掛けたい」と、省内に「死刑の在り方についての勉強会」を設置した。
 メンバーが省内の人間に限られ、法相が次々と代わる状況では議論が深まらないという批判もあった。このため、平岡秀夫前法相は、国会に死刑問題の調査会を設けるなどして、議論の場を広げようとしていた。
 しかし、小川法相は今月、約1年半続いた勉強会を「議論は尽くされた」として突然打ち切った。結局、勉強会の報告書は制度に対する賛否の意見を両論併記したにとどまった。
 死刑をめぐっては、2月の光市母子殺害事件の最高裁判決で、4人の裁判官のうち1人が反対意見を述べた。全員一致でない最高裁の死刑判断は57年ぶり。日本弁護士連合会は、裁判員裁判での死刑は全員一致を提言。プロでも揺れる極刑の判断に臨む市民の負担は重い。
■制度改善
 議論が深まらない中、市民が極刑判断を迫られる機会は確実に増えている。最高検によると、裁判員裁判では、17件の死刑求刑のうち13件(28日現在)で死刑判決が出ている。
 小川法相が死刑執行の支えとしている「国民」も、実は現状に危機感を募らせている。裁判員制度が5月で丸3年を迎えるのを前に、裁判員経験者有志のグループが制度改善を目的に全国の地裁に提出している提言書には「死刑について情報公開の徹底を」という項目が盛り込まれた。
 グループの中心で、東京地裁で裁判員を務めた不動産業田口真義さん(36)は「死刑は国民にとって未知の部分が多すぎる。死刑囚の処遇や刑の実態など情報が乏しく究極の判断を下すには時期尚早」と訴える。29日の会見で小川法相は3人を死刑対象とした理由について具体的な説明を避けた。執行される死刑囚の選定基準や理由は不透明なままだ。
 田口さんは言う。「国民一人一人が究極の刑罰に正面から向き合い、是非も含めた多様な国民的議論を深めるためにも、徹底した情報公開が必要だ」
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日弁連「死刑判決は全員一致で」/裁判員法=「国民の常識を裁判に反映させる」とは書いていない 2012-01-23 | 被害者参加/裁判員裁判 
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楽天WOMAN 03/30 22:01 
麻原彰晃、林眞須美… 死刑事件を請け負う “悪魔の弁護人”追ったドキュメンタリー映画が公開決定 山本太郎がナレーション 

            

 「オウム真理教事件」の麻原彰晃「和歌山毒カレー事件」の林眞須美など、多くの死刑事件を請け負ってきた弁護士・安田好弘を追ったドキュメンタリー映画『死刑弁護人』。昨年10月に東海テレビで放送された内容を劇場版として再編集し、6月の公開が決まった。ナレーションは、俳優の山本太郎が担当している。
 “悪魔の弁護人”と形容されることのある弁護士・安田好弘。彼が注目されるのは、いずれも世間を震撼させた大事件と関係することにある。死刑が確定している麻原彰晃や、林眞須美の弁護を引き受け、「人殺しを弁護する人でなし」などのバッシングにも屈せず、「裁判は、犯罪を抑止するために、材料を洗い出す場でもあるはずだ」などの自身の信念に基づき、戦いを続けている。
 そんな安田の姿を収めることで、マスコミや検察、司法のあり方に目を向ける機会となるのが本作、『死刑弁護人』だ。戸塚ヨットスクールをドキュメントした『平成ジレンマ』を手掛けた齊藤潤一が再びメガホンを取り、東海テレビ製作最新作として世の中に問題を提起する。社会活動に力を入れている俳優・山本太郎が、説得力のあるナレーションをスクリーンに響かせる。(編集部・小松芙未)
映画『死刑弁護人』は6月下旬よりポレポレ東中野ほか全国順次公開 ・東海テレビ「死刑弁護人」オフィシャルサイト
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「オウム真理教」の事件が実録ドラマに NHK記者役に萩原聖人 世界初の化学テロを徹底検証
シネマトゥデイ2012年3月24日 15時19分
事件発生から取材を続ける記者を演じた萩原聖人と上司役の豊原功補(上)、教団の道場内の場面も(下)

            

-NHK提供
 [シネマトゥデイ映画ニュース] 実録ドラマとドキュメンタリーによって、人々に生々しい記憶を残す未解決事件を徹底検証するNHKスペシャル「未解決事件」が、「グリコ・森永事件」に続き、元幹部の出頭で再び注目を浴びた「オウム真理教」を取り上げる。
 日本中に大きな衝撃を与えながら、今も多くの謎を残す「未解決事件」を、ドラマとドキュメンタリーを組み合わせて検証していく同番組。第1弾で取り上げた「グリコ・森永事件」では、証言ドキュメントとルポに加え、主演の上川隆也はじめ、大杉漣、池内博之ら実力派俳優たちが出演する実録ドラマも話題となった。
  そんな同番組が次に扱うのは、1995年の「地下鉄サリン事件」で日本中に衝撃を与えた「オウム真理教」。事件の遺族からNHKに取り上げの要望が寄せられたもので、教祖だった麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚ら13人の死刑が確定した後も、多くの謎と課題が残されたままの事件を検証する。
  番組では、NHKが独自入手した、700本を超す教団内部テープと元幹部たちの証言をもとに、教団が次第に暴走に向かう過程を初ドラマ化。松本死刑囚が、道場で信者たちを前にする場面も登場する。事件発生時から取材を続けてきたNHK記者を萩原聖人、その上司を豊原功補、さらに教団の古参幹部を冨樫真、その夫で元信者を羽場裕一が演じる。
  教団の道場内の様子が確認できる場面写真を確認するだけでも、その再現の度合いに驚くばかり。そのほか、元幹部との手紙のやりとりや警察関係者への取材によるドキュメンタリーでは、世界初の化学テロとして国外でも話題となった事件が起きた原因を紐解いてゆく。(編集部・入倉功一)
 NHKスペシャル「未解決事件 File.02 オウム真理教」はNHK総合にて、第1部は5月26日19:30、第2部は同日21:00、第3部は5月27日21:00より放送
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「死刑弁護人」安田好弘弁護士の人間像に迫る/東海テレビ 2011/10/10/00:45〜 2011-10-08 | 死刑/重刑/生命犯 問題 

小沢一郎氏裁判 虚偽報告書作成の田代政弘検事が異動

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<小沢元代表公判>捜査報告書問題 担当検事が異動
毎日新聞 4月1日(日)5時0分配信
  民主党元代表、小沢一郎被告(69)の政治資金規正法違反事件に絡み、元秘書で衆院議員の石川知裕被告(38)を取り調べた田代政弘検事(45)について、法務省は1日付で、新潟地検から法務総合研究所教官に異動させる人事を発表した。同研究所は同省の調査研究・研修機関で、捜査現場から離れることになる。
 田代検事は東京地検特捜部に所属していた10年5月、保釈後の石川議員を再聴取した際に捜査報告書を作成したが、再聴取時にはなかったやり取りを記していたことが判明し、小沢元代表の裁判で問題視されている。【伊藤一郎】
最終更新:4月1日(日)5時0分
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田代政弘検事に対する虚偽有印公文書作成・同行使罪での告発状を受理〈陸山会事件〉 2012-01-25 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 「虚偽報告書作成」検事告発状を受理 陸山会事件
産経ニュース2012.1.24 22:33
 資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、民主党元代表、小沢一郎被告(69)の元秘書を再聴取した際に虚偽の捜査報告書を作成したとして、田代政弘検事(44)に対する虚偽有印公文書作成・同行使罪での告発状が提出され、東京地検が受理していたことが24日、分かった。地検は今後、田代検事の聴取などの捜査を進める。
 告発状は東京都内の市民団体が提出。告発状などによると、田代検事は元秘書の石川知裕衆院議員(38)=1審有罪、控訴中=の再聴取を担当。昨年12月の小沢氏の公判で、再聴取した際に作成した捜査報告書に、実際にはない受け答えが記載されていることを認め、「記憶が混同した」と説明していた。市民団体側は「記憶の混同はあり得ない」としている。
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市民団体、田代政弘検事に対する虚偽有印公文書作成容疑などの告発状を最高検に提出2012-01-12 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 石川議員取り調べの検事告発=「報告書にうそ記載」−市民団体
 小沢一郎民主党元代表の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、元秘書の石川知裕衆院議員の取り調べを担当した田代政弘検事(44)が、捜査報告書に事実と異なる記載をしていたとして、東京都内の市民団体が12日、田代検事に対する虚偽有印公文書作成容疑などの告発状を最高検に提出した。
 告発状によると田代検事は、小沢元代表を「起訴相当」とした検察審査会の議決を受けて石川議員を再聴取。聴取後に作成した捜査報告書に、「『選挙民を裏切ることになる』と(検事に)言われたんですよね。これは結構効いたんですよ」などと石川議員が話して調書作成に応じたという、実際には行われていないやりとりを記載したとされる。(時事通信2012/01/12-19:02)
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小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事2011-12-15| 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
 弁護人「平成22年5月17日の取り調べで、あなたは捜査報告書を書いていますね」
 証人「書きました」
 弁護人「何日に書きましたか」
 証人「5月17日に書き始めまして、何日かかけて完成させたと思います」
 弁護人「何ページの報告書ですか」
 証人「5、6ページだったでしょうか」
 弁護人「あなたが書いたものでしょう」
 証人「5、6ページか、もう少し多い10ページだったか。いずれにしましてもそれくらいだったと思います」
 弁護人「それを何日もかけたのですか」
 証人「別の仕事もしながら、合間、合間に作成しましたので…」
 弁護人「中身は覚えていますか」
 証人「だいたいは把握しています」
 弁護人「1ページ目にあなたの署名と押印があるが、間違いありませんか」
 証人「はい」
 弁護人「東京地検特捜部長あてになっているが」
 証人「そうです」
 《続いて、男性弁護士は捜査報告書の中身を示す。石川議員は11万人の有権者の投票を受けて当選したが、大半は「小沢一郎の秘書」というのではなく、個人を信頼して投票したはずだと、○○検事に言われたことを契機に、調書のサインに応じた−とする内容が具体的なやり取りとともに記載されている。だが、実際の録音にはこうしたやり取りは残っていない》
 弁護人「やり取りがないのに、どうして(捜査報告書には)記されているのですか」
 証人「やり取りがあったと認識して書いた」
 弁護人「実際のやり取りと異なるのが、記載されたことですか」
 証人「この日の取り調べを一言一句記載したのではなく、思いだし、思いだし記載した。拘留中に話したことや、保釈後に話したことの記憶が混同していたと思う」
 弁護人「もう一度聞きますが、5月17日から数日で書いたのですね」
 証人「はい」
 弁護人「5月17日には、どこまで書いたのですか」
 証人「それは記憶にはありません」
 弁護人「虚偽の捜査報告書を書いたのではありませんか」
 証人「そうではありません」
 《続いて、弁護人は○○検事が石川議員に「(虚偽記載を認める供述を覆し)逆の供述をすれば、火に油を注ぐことになる」などと話したことを追及していく》
 弁護人「(任意聴取の際には)こう伝えたことがありましたね」
 証人「はい」
 弁護人「繰り返し述べましたね」
 証人「それは、石川さんが従前通りの主張だといいながら、実際に調書のサインの段階になると、『4億円を隠すつもりはなかった』などと覆す。その中で何度かやり取りがあった」
 弁護人「何のために捜査報告書を作っていたのですか」
 証人「調べが終われば、作るように、と指示されていました」
 弁護人「指示はだれからか」
 証人「主任検事です」
 弁護人「あなたは、何日かかけて作るうちに、記憶が混同して、やり取りのない内容を記したということでしたね」
 証人「かいつまんで言えばそうです」
 弁護人「これが検察審査会の小沢さんの起訴議決にも影響を与えた可能性があったと分かっていましたか」
 証人「協議の内容については、分かりません」
 弁護人「可能性の話ですよ」
 証人「可能性の話ならば…」
 《男性弁護士は、検察審査会の議決の理由に、捜査報告書の内容を挙げている点を紹介し、追及していく》
 弁護人「理由に捜査報告書の内容が挙がっていることは認識していましたか」
 証人「議決自体は見ていないが、報道レベルでは知っていました」
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「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と書いた人に訊きたい

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「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と書いた人に訊きたい
Diamond online 2012年3月29日 森 達也 リアル共同幻想論 [テレビディレクター、映画監督、作家]
「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と書いた人に訊きたい
■勝間和代の対談番組に出演したときのこと
 この原稿を書く数日前、勝間和代がホスト役を務める対談番組「デキビジ」に出演した。テーマは死刑制度。事前に打ち合わせはまったくなかったけれど、勝間は自分が死刑廃止論者であることを、とても率直な言い回しで僕に語った。言葉を選んだり言い淀んだりする気配はまったくない。風当たりは厳しいですよと僕は言った。
 でも勝間はひるまない。僕の余計なアドバイスを聞き流しながら、なぜこの国は死刑を廃止できないのでしょうと何度も訊ねてきたけれど、うまく答えることはできなかった。だって僕もその質問の答えを、誰かに訊きたいといつも思っているのだから。
 この番組はBSジャパンでオンエアされる前に、ニコニコ動画でもライブで配信された。その後のネットやツイッターには、勝間と森に対して、とても激しい批判が次々に書きこまれた。いや批判ではない。ほとんど罵倒だ。少しだけ引用する。
「この人らに聞きたい。被害者遺族のことは考えているのか?と」
「身内殺されてもこんなこと言ってられるのかね こういう人達は」
「自分の身内殺されて同じせりふ吐けるなら尊敬するよw」
「被害者遺族はガン無視ですか?」
「親・兄弟・友人・恋人…。そういった人が殺されても同じことが言えますか?「言える」のなら人間性を疑います」
「まずは自分の身内が殺されたことを考えてみ!」
「言うなら『私の子どもが殺されたとしても』って前置きしなよ」
「あの世に行って、被害者の前で頭を垂れろ」
「この二人はゴミだね。被害者遺族の身になれw」
「もし家族がだれかに殺されたら(事故ではなくね)、その犯人には死刑になってもらわなきゃ気がすまない」
「人の命は、たとえ犯罪者でも、その犯罪者に蹂躙され、ゴミクズのように葬り去られた被害者よりも重いですか?」
「犯人が死刑になると被害者遺族がスッキリする」
「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」
「この二人はカスだ。死刑制度がある理由は一にも二にも被害者遺族のためだ」
「被害者遺族の前で言ってこい! もともと死刑は復讐権の代替手段ってことを理解してないんだな」
■死刑制度は被害者遺族のためと言い切る人たちに聞きたい
 まだまだある。ほとんどがこのトーンだ。つまりはこれが、日本の死刑制度存置を支持する9割近い人たちの本音ということになるのだろうか。ならばまずは、「死刑制度がある理由は被害者遺族のため」と言い切る人たちに訊きたい。
 もしも遺族がまったくいない天涯孤独な人が殺されたとき、その犯人が受ける罰は、軽くなってよいのだろうか。
 死刑制度は被害者遺族のためにあるとするならば、そういうことになる。だって重罰を望む遺族がいないのだから。ならば親戚や知人が多くいる政治家の命は、友人も親戚もいないホームレスより尊いということになる。生涯を孤独に過ごして家族を持たなかった人の命は、血縁や友人が多くいる艶福家や社交家の命より軽く扱われてよいということになる。親に捨てられて身寄りがない子どもの命は、普通の子どもよりも価値がないということになる。
 つまり命の価値が、被害者の立場や状況によって変わる。ならばその瞬間に、近代司法の大原則である罪刑法定主義が崩壊する。だからこそ刑事司法は意識的に、被害者遺族の心情とは一定の距離を置いてきた(意味なく被害者の写真を法廷に持ち込むことを禁じていたわけではない)。
 でも不特定多数の殺傷を狙ったオウム真理教による地下鉄サリン事件以降、自分や自分の家族も被害者になったかもしれないとの危機意識が刺激されたことで被害者遺族への注目や関心が急激に高まり、共有化された被害者感情は罪と罰のバランスを変容させながら厳罰化を加速させ、民意から強いバイアスをかけられた司法は、原理原則よりも世相を気にし始めた。
 なぜなら世相が望む刑罰より軽い判決を下したら、今度は自分がバッシングされるのだ。裁判所内の出世にも響くかもしれない。こうして厳罰化はさらに加速する。つまりポピュリズムだ。
■あなたは本当に被害者遺族の思いを想像できるのか?
 次に「被害者遺族の身になれw」と書いた人に訊きたい。ならばあなたは、本当に被害者遺族の思いを想像できているのかと。
 自分の愛する人が消えた世界について、確かに想像はできる。でもその想像が、被害者遺族の今の思いを本当にリアルに再現しているとは僕には思えない。あなたはその思いを自分は本当に共有していると、胸を張れるのだろうか。ならばそれこそ不遜だと思う。
 被害者遺族の思いを想像することは大切だ。でももっと大切なことは、自分の想像など遺族の思いには絶対に及ばないと気づくことだ。犯人への恨みや憎悪だけではない。多くの遺族は、なぜ愛する人を守れなかったのかと自分をも責める。あのときに声さえかけていればと悔やみ続ける。
 その辛さは想像を絶する。地獄の思いだろう。その思いをリアルに想像することなど、僕にはできない。とてもじゃないけれど、「遺族の身になれ」などと軽々しく口にはできない。
 その前提を置きながら「自分の身内が殺されてから言え」とか「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と書く人に言うけれど、もしも僕の身内が誰かに殺されたら、僕はその犯人を激しく憎むだろうし、死刑にして欲しいと思うかもしれない。当たり前だ。だってそのときの僕は当事者になっているのだから、スタンダードが変わって当然だ。
 でも今は当事者ではない。
 当事者には当事者の感覚があるし、非当事者には非当事者の感覚や役割がある。もしもあなたの友人が、「身内をアメリカ兵に殺されたイラク人の気持ちを想うとアメリカが憎くて仕方がないので報復してやる」と言ったなら、あなたはきっと呆気にとられながら、「だけど現実におまえはイラク人でもないし家族をアメリカ兵に殺されてもいないじゃないか」と止めるはずだ。非当事者である日本人にできることは、イラク国民の応報感情にすっぽりと同調することではなく、復興支援とかアメリカへの提言とか、他に幾らでもあるはずだと説得するはずだ。
 あるいはあなたの友人が、「自分が牛であることを考えたらあまりに辛くて可哀想だから牛肉を食べない」と宣言したとしたら、あなたはどう思うだろうか。喩えが少し極端であるかもしれない。でも本質は変わらないはずだ。あなたは牛ではない。ならば論理や感覚は牛とは違う。これも当たり前だ。もしも自分が牛だとしたらと考えて、そのように行動する必要も意味もない。
 もちろん牛の立場や心情を想像することは無意味ではない。同様に被害者遺族の気持ちを想うことは大切だ。実際にこの国の被害者遺族は、これまであまりにも冷遇視されてきた。オウム事件以降は急激に変わったけれど、救済や補償はもっと整備されるべきだ。遺族もそうでない人たちも、これではあまりに不合理で不正義で冷淡すぎると声をあげるべきだ。
■気持ちを想うことと憎悪を共有することは同じではない
 でもあなたは被害者遺族ではない。気持ちを想うことと、恨みや憎悪を共有することは同じではない。想うことと一体化することは違うし、そもそも一体化などできない。被害者遺族の抱く深い悲しみや寂寥(ルビ=せきりょう)、守ってやれなかったと自分を責める罪の意識や底知れない虚無、これを非当事者がリアルに共有することなどできない。
 一体化したかのような錯覚に陥っているだけだ。それも表層的な恨みや憎悪などの応報感情を。だから軽い。ぺらぺらと油紙のように燃えやすい。例えば以下の書き込みのように。
「どーしても死刑を廃止したいならそれでもいいだろう。しかし死刑相当の罪を犯した者は、四肢を切断し、耳をそぎ落とし、目をくり貫く。その位の事をするならば、死刑廃止に賛成してやるよww」
 もう一度書く、僕は今、被害者遺族ではない。もしも遺族(当事者)になったなら、今とは違うことを考えるかもしれない。でも今は非当事者だ。だから今思えることを思う。今の自分の感覚に従う。今の自分がやるべきことを考える。
 そのうえで、光市母子殺害事件について、ひとつだけ思うことを書く。生後11ヵ月の夕夏ちゃんの頭を、元少年が床に叩きつけたとの事実をめぐる認定だ。
 死刑が確定したその夜や翌日のメディアのほとんどは事件を説明する際に、この経緯を既成事実のように伝えていた。
 確かに無期を宣告した一審・二審では、「幼児を頭上から思いきり床に叩きつけた」などと事実認定がなされている。生後11ヵ月の幼児の頭を思いきり床に叩きつけるなどまともな人間のやることじゃないと誰かが思う。もしも殺意がないのならこれほどに残虐なことができるはずがないと誰かも思う。
 こうして元少年は生きるに値しない鬼畜であり、更生などありえないとの世相が喚起される。
 でも当時作成された夕夏ちゃんの遺体鑑定書には、実のところ「頭部に損傷無し」と記述されている。生後11ヵ月の幼児が仰向けに頭部を叩きつけられていたのなら当然生じるはずの頭蓋骨骨折や硬膜上下腔血腫、クモ膜下出血などの痕跡はなく、脳の割面浮腫や出血、損傷もまったくないことが認められた。つまり「頭上から思い切り叩きつけた」は、検察が作り上げた虚偽の事実なのだ。
■殺意や計画性はこうして作られる
 差し戻し審弁護団からこの事実を突きつけられた広島高裁は(一審・二審の弁護団は事実認定をまったく争わなかった)、最終的には判決文に「被害児を後頭部から仰向けに思い切り叩きつけたとする旨の供述部分は信用できない」と、検察官調書を否定する記述を載せた。
 ただしその後には、「被告人が、身を屈めたり、上記犯行再現のように床に膝をついて中腰の格好になった状態で、同児を床に叩きつけたと推認するのが合理的である」と続いている。つまり押入れ上段から引きずり出した夕夏ちゃんを、床に膝をついて中腰の格好で叩きつけたならば、勢いがないから大きな損傷がないこともありえるという理屈らしい。
 根拠は元少年のかつての供述と、頭部の3つの皮下出血だ(幼児は皮下出血を起こしやすい。もちろん致命傷ではない)。明らかに苦肉の策だ。床に膝をついて中腰になりながら頭を床に叩きつける意味も理由もわからない。
 でも少なくとも、「床に思いきり叩きつけた」との事実認定は変わっている。ところがメディアは相変わらず、「床に思いきり叩きつけて」を、臆面もなく使っている。
 こうして殺意や計画性が作られる。そしてこの裁判において殺意と計画性の有無は、死刑と無期とを分ける最重要なポイントだった。
 判決翌日、多くの識者やジャーナリストが、凶悪化と増加の一途をたどるこの国の少年事件に厳格な姿勢を示した判決などと述べた。これもまったく事実無根だ。少年事件は一般の殺人事件と並び、毎年のように戦後最少を更新している。この国の現在の治安状況は、ほぼ世界最高水準で良好だ。そしてその最大の理由は、諸外国に比べて青少年事件が圧倒的に少ないからだ。
 先日、元法務官僚で現在は犯罪学などを専門にする浜井浩一龍谷大学教授に会ったとき、犯罪学会に行くたびに諸外国の法学者や犯罪学者から「なぜ日本の青少年はこれほどに犯罪を起こさないのか」と必ず訊ねられると苦笑していた。でもそんな事実を知る人はほとんどいない。
 こうして虚偽の事実がメディアによって消費され、人々の意識が変わり、制度が変わり、法が変わる。それによって損害を受けるのは、「被害者遺族の身になれw」とか「自分の子供が殺されても同じことが言えるのか」などとネットに書きこんでいるあなたかもしれない。
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〈来栖の独白2012/3/29Thu.〉
>「身内殺されてもこんなこと言ってられるのかね こういう人達は」
 しばしば耳にするphraseなので、少しだけ拙い気持ちを記しておきたい。
 迷いなく、素直な気持ちとして、言う。身内が殺されても、私は加害者の死刑を望まない。
 11年前に刑死した勝田清孝は獄中からの手記に、「真実死を忌み嫌うのです」と深い遠慮のなかから書いた。8人もの人命を奪っておきながら(死を招いておきながら)「死を忌み嫌う」など、如何にも常人ではない、奇異に映るとわかっていたから、遠慮がちに書いた。〈当時のマスコミ関係には「殺人を愉しんでいた」との意味合いの記述もあったように記憶する〉
 「深い遠慮」の理由は、今一つある。単純に「死を忌み嫌う」と自分の気持を表白しても、それが死刑囚の口から出た場合には「死刑廃止」を指さしている、と受け取られるのではという怖れである。生前の私への手紙に、「死刑制度には反対です。もし私が娑婆で普通に生活している人間であったなら率先『死刑反対』の運動もしていたかもしれません。が、大罪を犯し囚われている身としては、そのようなことは言えません」と書いてよこしたことがあった。
 勝田の手記から、以下に引用しておきたい。

 取り調べ期間中は「もう僕はどうなってもいいんです・・・」とずっと死をもって罪の贖いを考えていました。これだけの重罪にそれが当然だと覚悟を決めていたのです。が、一方では、自分の手で一件ずつ罪を立証するごとに、命の尊厳をひしひしと感じていたのです。
 今も自分の死を持って贖いますと謝罪しなくてはいけないのですが、月に一度教誨師の絵解きを交えた法話を拝聴させて頂く現在、自分のなすべき義務にはっきりと使命感を持つことが出来、また、啓発されることも多々あって、万死に値する罪を重ねた私には決して許される言葉ではないのですが、生を許していただけるものなら、今の私は是非生きていたいのです。命乞いする資格はもとより、神仏の加護にすがる値打ちもない私なのですが、真実死を忌み嫌うのです。
 分厚いコンクリートの壁に閉ざされた独房で、罪の意識から日々冥罰に怯える私は、いっそ死んでしまいたいと思うことも正直に言って何度もあるのです。しかし、生きる苦しさに耐えながら、虚心坦懐に被害者の冥福をひたすら祈り続け、許される限りは生きたいのです。
 でも、憂愁に閉ざされたままでおられる遺族の方々の心情に思いを馳せると本当に申し訳なく、非道に人を苛む行為を繰り返した私には、日々三度の食事を与えて頂くことすら勿体ない気がしているのです。
 被害者やその家族・遺族の方々には何とお詫びすればいいのか、言葉もありません。
 本当に申し訳ないことを致しました。心から深謝申し上げます。
 お許しください。 
 
 大切なのは「詫びる心」ではないだろうか。「心」が肉体をまとっているのが、人間存在というものではないか。
 一昨年7月28日千葉法相のサインにより処刑された尾形英紀死刑囚は生前、死刑廃止団体フォーラム90のアンケートに答えて次のように言っている。

 死を受け入れるかわりに反省の心をすて、被害者・遺族や自分の家族の事を考えるのをやめました。
 なんて奴だと思うでしょうが、死刑判決で死をもって償えと言うのは、俺にとって反省する必要ないから死ねということです。人は将来があるからこそ、自分の行いを反省し、くり返さないようにするのではないですか。将来のない死刑囚は反省など無意味です。

 「死を受け入れるかわりに反省の心をすて」とは、浅く小賢しい問答にすぎぬ。居直り、不貞腐れの様なものも感じた。詫びる心がなくての「死刑」など、空虚である。自分が何をしたのか、そのことによって人(被害者・遺族)にどれほどの苦痛、哀しみ、絶望、損失を与えたのか。思いめぐらすことは、自分が死刑になる、ならないとは、無縁である。判決文の文言がどうだったのか、メディアがどのように報道したのか。それも、無縁である。 伝聞によれば、尾形死刑囚は動揺が激しくて相当暴れたらしく最期は担ぎ上げられて刑場に運ばれていった、とか。真偽のほどは判らない。もしその通りであるなら人間の最期としては、相応しくない。屠所に曳かれ、獣のように屠殺された。
 人は「こころ」だ。心の存在だ。その存在を願うのは、自分の肉親であるか他人であるかによらない。血肉を超えて、「こころ」という存在がだいじなのだ。なんぴとに対してであれ、その生を願うのは、肉体の中に「心」があるからだ。「こころ」は変わりうるものだ(可塑性、可能性があり、それを「無常」という)。生きることを願う気持ちは、私は弱くはないつもりだ。肉親を殺害されても、だ。私は強い意思を持って「肉親が殺害されても」と言う。情況や立場によらない。人間はいとおしいし、誰であれかけがえのない存在だ。
 イエスは「右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」と勧める。これは、弱い心ではできない。確信に支えられた積極的な姿である。

 (マタイによる福音書5、38〜) “目には目を、歯には歯を、と命じられている。しかし、わたしは云っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。あなたを訴えて下着を取ろうとする者には、上着をも取らせなさい。(略)求める者には与えなさい。あなたがたも聞いているとおり、「隣人を愛し、敵を憎め」と命じられている。しかし、わたしは云っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか。(略)あなたがたの天の父が完全であるように、あなたがたも完全な者となりなさい。” 
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尾形英紀氏「将来のない死刑囚には反省など無意味」/安部龍太郎著『等伯』魂を売りわたすのと同じことだ 2012-02-08 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
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尾形英紀さん(東京拘置所)
熊谷男女4人拉致殺傷事件(2003.8.18)
1977年7月20日生まれ
2007年4月26日 さいたま地裁(飯田喜信)にて死刑判決
2007年7月18日 控訴取下げにより死刑確定
 死刑囚の気持ちや考えを聞いてもらえる機会を与えてくれてありがとうございます。
 事件を起こしてから現在に至るまで、考える事や納得のいかない事が数多くありすぎて、それをすべて書いていたのでは、何十枚も書くことになってしまうので簡単に書きます。
 まず、事件についてですが、見張り程度しかしていない共犯が2人います。
 すべて俺のやった事ですが、4人を殺そうとして2人を殺害、2人は殺人未遂の事件です。
 事件当時の俺は、かなりの酒を飲んでいたためと、あまりにも興奮していたので、ほとんど記憶がありません。ただ、あまりにも強烈な印象がある部分だけが、はっきりと記憶に残っています。
 しかし、それでは警察も検事も都合が悪いので、事件当日の行動の大まかな所は、共犯の記憶などを総合して作り、もっとも大事な部分は刑事と検事が作りあげたストーリーが裁判で認められてしまいました。それは最初から殺害の話し合いをしてから殺しに行ったというのですが、全くのウソなのです。
 裁判では、不利になるのは分かっていましたが、殺意を持った事を認め、いつの時点で殺意を持ったかも証言しました。
 実際には暴行している時に被害者が死にそうになった時にはじめて「それなら殺してしまえ」と思ったのです(その時の精神状態では、そのようにしか考えられなかったのです)。それ以前は殺意はもちろん、死ぬ可能性すら考えもしませんでした。
 しかし、検事と刑事の調書にははじめから殺意を持って行動したとなっていました。何でその様な調書になったのかと言うと共犯も証言していますが、共犯2人が事実と違うのは分かっていたけど無理やりにサイン・指印をされ、俺の調書は最後のページのサインがある所以外を差し換えられました。警察と検事はあたり前の様に不正をしているのが現状で、不正をかくすためには裁判の証人尋問で平気でウソをついています。しかも裁判も全くの茶番で検事の言う事をすべて認定してしまいました。
 殺意についての証人尋問で刑事と検事の言っている事がくい違い、苦しまぎれに少しだけ、俺の言っている事が正しいと刑事が証言したにも関わらず、俺の言っている真実は都合が悪いからはじめから聞く気がありませんでした。完全に結果ありきの裁判です。
 一審で2度にわたり精神鑑定を受けました。一度目は裁判所が認定した先生でした。その先生はよく調べてくれ、調書よりも俺の証言の方が信用できると証言してくれました。それは俺の言っている方が精神医学上もふくめ自然であり、しかも俺の証言は自分にとって不利になる事まですべてを言っているからです。その結果、部分的ではあるが(1人目殺害)、責任能力がいちじるしく低下していたと判断されました。
 その為に検事が納得せずに2度目の鑑定となったのです。2度目の先生は検事の推薦した人であり、検事の犬になり下がった人でした。当時の俺の考えなどは1度も聞く事もなく、ただ事件の経過を聞いただけで、すべて検事や刑事の調書を参考に鑑定書を作ったのです。
 はじめからやる気のない鑑定士を採用し、驚くことに裁判では、一度目に真面目にやった先生の鑑定を棄却し、やる気のない検事の犬の鑑定を採用したのです。
 俺は責任を逃れたいのではなく、今の日本の裁判や刑事や検事のやっている事が許せないのです。一般の人は信じないと思うけど、今の刑事は事件のでっちあげも日常的にやっているし、まして調書の改ざんなんてあたり前にやっているのです。だけど無実を訴えても今の裁判では無罪になる事はないし、たとえ無罪を勝ち取っても年月がかかりすぎるから、懲役に行った方が早く出れるので皆、我慢しているのです。俺の殺人などは事実は変わりませんが、事件の内容はかなりでっち上げなのです。だから俺は100%無罪の死刑囚は何人もいると思っています。
 検事の主張ばかり聞く裁判は不公平ですが、一般の人から見れば刑事や検事の言ってる事は無条件で信じられるのだから、来年から始まる裁判員制度では冤罪も今まで以上に多くなると思います。
 事件に関して長くなってしまいましたが、死刑囚が考える死刑制度について、一般市民の考えているものとは違う所もあるかと思うので書かせてもらいます。
 収容者と話す事はありませんが、他の死刑囚を見ると本当に殺人をやった人なのかと疑えるほど普通の人です。俺はぐれ始めてから、ヤクザやその他のアウトローを社会や少年院、刑務所で数多く見てきましたが、それらの人達と比べてもかなり気の弱くおとなしい印象です。きっと心から反省しているので、そう見えるのかもしれませんが、俺はそれだけでなく、本当に普通の人達なのだと思います。
 どの様な事件を起こしたのか知りませんが、色々な理由により精神状態が乱れ、普段ならまともに判断できる事が出来なかっただけなのだと思います。だから、誰にでも死刑囚になる可能性はあると思います。
 自分の気持ちは後で書きますが、本当に心から反省している死刑囚を執行する事で本当に罪を償う事になるのでしょうか? 罪を背負って生きていく事が、本当の意味での償いになるのではないかと思います。日本人の美徳として死者に対して悪く言ったり思ったりしない所がありますが、何か問題を起こしたり、犯罪を犯した後に自殺をする人達に対して、一般の人の中には責任を感じての自殺、アウトローの人の中にはケジメをつけたという考えをする人がいます。本当に自分自身でケジメをつけたと思える人もいるので、すべてを否定はしませんが、俺には、つらい事から逃げただけにしか思えない事のほうが多いと思います。被害者や遺族の感情は自分で犯人を殺したいと思うのが普通だと思います。今は連絡を取っていませんが、両親・姉・元妻との間に二人の娘がいます。俺だって家族が殺されたら犯人を許すことはないし、殺したいと思うのがあたり前です。
 しかし、それでは、やられたらやり返すという俺が生きてきた世界と同じです。死刑という名の殺人を国家権力がやっているにもかかわらず、国民にどんな理由があろうと殺人を禁ずるのはどういうわけだ。世界では色々な所で国家による虐殺があったようだが、それと日本の死刑とどこが違うのか?日本の法律にのっとり死刑があるように、虐殺のあった国にもその国の法律(権力者)にのって死刑にしただけだろう。
 色々と考えながら書いているので、ちょっと興奮してしまいました。
 死刑囚を助ける活動をしている先生に対して言う事ではないし、やつあたりの様な事を書いてしまったので、書きなおそうとなやみましたが、俺の考えでもあるので、失礼は承知のうえ、このまま続けさせて頂きます。話を戻します。
 俺の考えでは死刑執行しても、遺族は、ほんの少し気がすむか、すまないかの程度で何も変わりませんし、償いにもなりません。
 俺個人の価値観からすれば、死んだほうが楽になれるのだから償いどころか責任逃れでしかありません。死を覚悟している人からすれば、死刑は責任でも償いでも罰ですらなく、つらい生活から逃してくれているだけです。だから俺は一審で弁護人が控訴したのを自分で取り下げたのです。
 死を受け入れるかわりに反省の心をすて、被害者・遺族や自分の家族の事を考えるのをやめました。
 なんて奴だと思うでしょうが、死刑判決で死をもって償えと言うのは、俺にとって反省する必要ないから死ねということです。人は将来があるからこそ、自分の行いを反省し、くり返さないようにするのではないですか。将来のない死刑囚は反省など無意味です。
 もちろん他の死刑囚は日々反省していることと思います。俺は、ただでさえ東拘には人権など全くないし、24時間カメラで監視され独居にいて、執行されるのを待っている中で、事件や遺族・自分の家族の事を考えていたのでは気がおかしくなるし、ストレスだらけで、そんな余裕すら1秒もありません。  
 俺のように反省する気がない死刑囚もいる中で、ほとんどの死刑囚は日々反省し、被害者の事も真剣に考えていると思います。そういう人達を抵抗できないように縛りつけて殺すのは、死刑囚がやった殺人と同等か、それ以上に残酷な行為ではないのですか?
 俺が執行されたくないのではありませんが、その様な事などを考えれば、死刑制度は廃止するべきです。
 言いたい事が色々と多く長くなってしまいましたが、切りがないので、この辺で失礼します。今の気持ちを伝える機会を頂き、ありがとうございました。
 追伸
 最近、執行が多くなりましたが、執行について意見があります。
 執行時に求刑・判決を出した検事・裁判官それに法務大臣らが自ら刑を執行するべきです。それが奴らの責任だと思います。
 それと執行時・その後に死刑囚の希望があった場合、絶対に経をあげてはいけないようにして下さい。俺は宗教が嫌いだし、経は死者に対してではなく、生きている人達の気やすめでしかありません。俺の執行時・執行後は絶対に宗教関係の事はやらないようにお願いします。
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死刑制度存置の背景にある「ポピュリズム」森達也が語る"日本人の同調性" 2012-02-18 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
 死刑存置の背景にはポピュリズムがある!? 映画監督・森達也が語る"日本人の同調性"
ニコニコニュース(オリジナル):2012年2月16日(木)23時17分配信
 経済評論家の勝間和代氏が司会を務めるBSジャパン「勝間和代#デキビジ」の収録が、2012年2月10日にあり、ドキュメンタリー映画監督・作家の森達也氏との対談が行われた。
 森氏は2008年に著書『死刑』(朝日出版社)を出版しており、死刑制度について「(存置していく)明確な理由がないのであれば、死刑制度はなくしたほうがいい」との立場をとる。番組では、勝間氏も「私はけっこう強い廃止派なんですよ」と述べ、その理由として、犯罪の原因が必ずしも犯人のみにあるわけではない点と、犯人が死刑になっても何も解決しない点を挙げた。
■死刑制度存置の背景にある「ポピュリズム」
 森氏は、1998年にオウム真理教を題材にしたドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年には、続編の『A2』を撮影し、元オウムの死刑囚たちと面会などをする中で、死刑制度に関心を寄せたという。番組の収録で、森氏は「まずは"死刑制度はあるべきではない"という発想ではなくて、ある理由は何かと考えたが、一個ずつ消していったら何も残らない」と語り、死刑制度は廃止した方が良いという立場を改めて示した。
 一方の勝間氏も、「私はけっこう強い(死刑制度)廃止派なんですよ。もともと犯罪の原因は、必ずしもその人だけではないですから。さらに加えて、その人が死刑になっても何も解決しない。この2点なんですよ」と語り、死刑廃止を主張する理由を説明した。
 これを受けて森氏はさらに、日本で死刑制度が存置されている背景に「ポピュリズム」があると解説。ある争点について、民衆が多数派に同調しやすく、それに加えて政治・司法・メディアもその論調に従ってしまう傾向が強いと指摘した。森氏によると、日本では、2010年2月に内閣府が発表した世論調査で、死刑制度容認派が85%以上を占めているが、海外の死刑廃止国の多くでは、同様に存置派が過半数を占める状態でも、政治が「ポピュリズムを押し切って」廃止した経緯があるという。
■同調性を打破するために「"ヤギ度"を上げる必要がある」
 また森氏は、日本人の高い"同調性"に風穴を開けるために「日本人が"ヤギ度"を上げる必要がある」と持論を展開。羊を遊牧する際に群の中に少数のヤギを放す遊牧民の知恵を紹介した。この知恵とは、同調性が高い気質を持つ羊だけを放牧すると、足元の草を食べ切っても、群全体が移動しない限り同じ牧草地に留まってしまうが、動き回る習性があるヤギを羊の群れに放すと、羊もつられて新しい牧草地を点々とすることが可能になるというもの。
 同調性が強いという意味で「日本人は"ヒツジ度"が強い」と指摘する森氏。「全員がヤギになったら、それはそれで収拾がつかなくなってしまう。じゃあヤギを放せばいいかと言うと、ヤギによっては、どこに連れて行かれるか分からないでしょ」と条件を付け加えつつ、
「もうちょっと皆が"ヤギ度"を上げる必要があると思う。おかしいと思ったら『それはちょっと変じゃないかな』とか。みんなが右を向いているときに、あえて左をチラッと見てみるとか」
と語り、このような意識を持つことが、社会のあり方を変える可能性があると述べた。
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殺された被害者の人権はどうなる?/被害者の夫は、「死刑でないのはおかしい」と裁判所や社会に訴え続けた2012-02-02 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 “殺された被害者の人権はどうなる?”このフレーズには決定的な錯誤がある
森達也 リアル共同幻想論
Diamond online 2012年2月2日 森達也[テレビディレクター、映画監督、作家]

未来の世代へ 原子力恩恵世代が核のゴミに責任を

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未来の世代へ 原子力恩恵世代が核のゴミに責任を
中日新聞2012/03/27Wed.《論壇時評》金子 勝
 この国は「失われた20年」に陥ってきた。不良債権処理も福祉も若年層の雇用も財政赤字も、目先の利益ばかりを追いかけて根本的な解決を避けてきた。その結果、経済も社会も行き詰まり、ツケはみな未来の世代に先送りされている。
 3・11から1年がたったにもかかわらず、問題の構図は変わっていない。福島第1原発を廃炉にする見通しも立たず、事故調査の最終結果も出ないまま、国民の信頼を完全に失った原子力安全・保安院と原子力安全委員会によるストレステストの承認に基づき原発再稼働が行われようとしているからだ。
■安心な将来とは
 小出裕章「恥ずかしい国、日本 核のゴミを処理できない人類に原子力という選択肢はない」(『朝日ジャーナル』=週刊朝日臨時増刊「わたしたちと原発」)は「原子力の恩恵を受けてきた私たちの世代は、核のゴミに対して責任を負っている。(中略)だとするなら、核のゴミをこれ以上出さないよう、すべての原子力をやめることが、私たちの世代にできる最低限のことだと思う」と述べた上で、こう結ぶ。「私たちが生み出した放射性廃棄物を無毒化する研究は、まず私たちの責任において進めなければならないが、私たちの世代ではおそらく到達できないだろう。そうなると、私たちの世代がつくりだした負の遺産の清算を、未来に託さなくてはならない。本当につらい」
 岡野眞治・高辻俊宏・木村真三「政府発表 放射能汚染マップを点検する」(『文芸春秋』4月号)は、原発事故直後から原発周辺地域に入って独自に放射能汚染を調査してきた研究者たちの声である。その中で高辻は「ICRP(国際放射線防護委員会)が採用している100msv以下でも癌死亡率は被爆量に比例するという『LNT仮説』に従っても、「年間20msvまでの被爆を許容すると(中略)癌死亡率が1%増える」ことになるとする。一概に較べられれないとしても、副作用が問題になっている「ポリオの予防接種に使われている生ワクチン」では「子どもがポリオを発症する確率は100万分の1といわれており、これは%にすると、0・0001%」だと述べ「生ワクチンを危険だと思うならば、年間20msvという基準には耐えられないのではないでしょうか」と問う。
 これに対して木村は「原発事故の前に国が定めていた年間被爆量限度の1msv以下を基準とすべきだ」と断ったうえで、福島県の浜通り、中通りで「この基準を守ろうとすれば、逆に自分たちが生まれ育った土地に住み続け、共同体を保とうとしている方々の決意を踏みにじること」になるという。そして「原発事故以後、私たちに問われているのは、将来のある子供たちも含めて自分たちが安心して暮らしていくために本当に必要なことは何か、ということ」だと指摘する。
■自分が試される
 福島県の高校教師である中村晋は「福島から問う『教育と命』」(『世界』4月号)の中で、福島第1原発事故まもなくの時期に出た、自分の教室(定時制高校)の4年生男子生徒の発言を紹介する。
 彼は「3号機が不調のようだね」と言った中村に対し「いっそのこと原発なんて全部爆発しちまばいいんだ!」と怒る。「だってさあ、先生、福島市ってこんなに放射能が高いのに避難区域にならないっていうのおかしいべした(だろう)。これって、福島とか郡山を避難区域にしたら、新幹線を止めなくちゃなんねえ、高速を止めなくちゃなんねえって、要するに経済が回らなくなるから避難させねえってことだべ。つまり、俺たちは経済活動の犠牲になって見殺しにされてるってことだべした(だろう)」
 中村は「そのとき彼は殺気立っていた。本気でそう思っている、そう感じられた。今思えば教師としてこのときほど自分自身が試されたときはなかったように思う」と書いている。
 私たちの世代に子どもたちの未来を奪う権利はない。洗浄や草むしりのような手抜きの除染でなく、なぜ子どもと妊婦を優先して、汚染された屋根や部材を交換し、周囲の道路を剥がす本格除染を行わないのか。ようやくコメの全量検査が実施される。ならばなぜ自動化されたバイオマス発電を使って森林除染を行わないのか。なぜ原発をできるかぎり早期に廃止するとともに、再生可能エネルギーに転換すると言えないのか。みなコストがかかり、東京電力を潰してしまうからなのか。確かに私たちは電力を必要としている。だが東京電力でなければいけない理由はないし、原子力である必要もない。(かねこ・まさる=慶応大学教授、財政学)
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大飯原発再稼働 手続き先行 / 再稼働の是非を政治家に委ねたのでは拙速感は否めない 2012-03-16 | 地震/原発
「もんじゅ」運営 原子力機構 関連団体に「会費」/天下り先や自民党大島理森副総裁ら国会議員団体にも 2012-03-26 | 地震/原発 
あれから一年、早くも復活する原発「安全神話」 / 再稼動が他党や経済界との取引材料に 2012-03-16 | 地震/原発 
「重荷を分かち合う。怒りと責任追及に加え、2年目はそのことを読者の皆さんと考えたい」特報部 田原 牧 | 地震/原発
「ツイッター」で原発現場の情報を発信してきた地元作業員「自分の健康や将来をあきらめながら働いている」 2012-03-16 | 地震/原発 


話し合い解散 困難 「違憲状態」響くか / 「政党じゃない」維新の会のウイークポイントとは

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話し合い解散 困難 「違憲状態」響くか 維新の会 台風の目
中日新聞《核心》2012/04/01
 次回の衆院選は、全体像を見通すのが難しい。まず、解散がどのような形で行われるのか分からない。時期は憲法問題も絡み、複雑だ。そして、既成政党以外の第三極がどこまで伸びるのか。これらの三つの「未知数」を紐解きながら、衆院選の構図を占う。(政治部・清水俊介、安藤美由紀、上野実輝彦)
■決意
 今、与野党の最大の政策課題は、消費税増税法案。野田佳彦首相は、同法案成立に向け、掛け値なしで「不退転の決意」で臨んでいる。
 同法案が不成立になったり、内閣不信任決議案が可決したりすれば、首相は「国民に、聞いてみたい」と衆院解散に打って出る可能性は十分ある。
 今回は、もうひとつの解散パターンがある。従来の激突型解散と異なる「話し合い解散」だ。与野党の主要政党で解散の時期を約束し、その前に主要な政策課題を実現するという手法。今回は、消費税増税法案を成立させるのと引き換えに衆院を解散させるというシナリオが語られている。
 ただ、政治生命を左右する解散について合意するには与野党の党首間に一定の信頼関係が必要だ。野田首相と自民党の谷垣禎一総裁は二月二十五日、極秘に会談したことが明らかになっているが、解散日程について話し合うような関係にはほど遠い。また、話し合いで解散すれば、既存政党による談合と批判を受けるため、民主、自民の両党内でも反対論が出るだろう。そもそも話し合い解散は、一九五八年に一度実現したが、その後は行われていない。永田町のシナリオ通り話が進む可能性は高くない。
■区切り
 二〇〇九年衆院選での一票の格差が最高裁から「違憲状態」とダメ出しされて、一年が経った。
 違憲状態を解消しなければならないというのは与野党の最大公約数だ。最も手っ取り早く有力な案は福井、山梨、徳島、高知、佐賀各県を一議席ずつ減らす〇増五減。ただ、この方針を決めても、それから具体的な選挙区の区割りを衆院議員選挙区画定審議会で行わなければならない。
 区割りが完了して法整備が終わっても、有権者に新しい選挙区が浸透するために一定の周知期間が必要だ。周知期間は、与野党でも「最低三ヶ月」「できれば一年」とさまざまな見方がある。最短の経路を辿っても、違憲状態を脱するまでに半年以上かかる。
 野田首相は、違憲状態のままで解散の可能性をちらつかせているが・・・。
■第三極
 小選挙区制を中心とする選挙制度が導入されて以来、五回衆院選が行われてきた。その間、二大政党への議席の集約が進んできた。
 中選挙区制時代、第三党以下の政党は、定数のおよそ20〜30%程度を占め、議席数も百以上を維持していた。 だが、直近の三回では第三党以下の議席の割合は15%を下回り、前回は一割程度になってしまった。
 ただ、次回の選挙は、流れが変わるとの見方が強い。民主、自民の二大政党への失望感が広がり、新しい政治勢力を求める意見が国民の中で広がっているからだ。
 注目されているのが橋下徹大阪市長が代表を務める「大阪維新の会」。二月の共同通信社の世論調査では、61%が維新の会の国政進出に「期待する」と答えている。
 維新の会は衆院選で三百人の擁立を目指しているとされる。目標通り候補者を擁立すれば衆院選の台風の目となる。
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「政党じゃない」維新の会のウイークポイントとは
PRESIDENT online NEWS FILE 2012年3月30日(金)
 「もし今夏、野田佳彦首相が消費税増税関連法案を争点に衆院の解散・総選挙に踏み切った場合、鳩山由紀夫元首相は落選し、菅直人前首相も危ないと見られている」(全国紙選挙担当デスク)
 大政党が急速に国民の支持を失い、次の総選挙では大物議員が続々落選しそうな雲行きだが、そんな中、ただ一つ勢いに乗っているのが橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」。
 橋下市長は、大阪市職員に組合、政治活動への参加を強制的に答えさせるなど、その“強面ぶり”が一部で反発を買っているものの、橋下氏の突破力に多くの国民が漠然とした期待を寄せている現状は変わらない。
 だが維新の会は、今のところ地域政党にすぎず、政党としての要件を満たしていないというウイークポイントを抱えている。所属国会議員5人以上、もしくは1人以上かつ直近の国政選挙の得票率2%以上のいずれかの要件を満たせば政党と認められ、政党助成金を受けられるのだが、地域政党の場合は政党助成金が受けられず、小選挙区と比例区の重複候補が立てられないといった制約を受ける。
 そこで維新内部で議論に上っているのが、他党の国会議員の引き抜きや既成の小政党との合併話だ。
 すでに橋下氏が塾長の「維新政治塾」に民主党の国会議員が一人応募し、党内で物議を醸したが、水面下ではほかにも維新への転身を模索している議員がいるとみられる。果たして一本釣りで5人を確保できるかどうか。5人集められないときは小政党との合併という選択肢も。
 「実際、維新内部では以前から、政策が近い渡辺喜美代表の『みんなの党』との合併について話し合われている。双方ともにブレーンがほぼ同じ。渡辺代表は維新が掲げる大阪都構想実現のために地方自治法の改正案も作って連携をアピールしている。みんなの議員は関東中心で大阪など関西が足場の維新と選挙区が重ならない。維新の“全国展開ら”には、みんなと組むのが最もやりやすい」(前出選挙担当デスク)
 ただし維新関係者によると「みんなの幹部の中に“うちは中央政党だから”と先輩風を吹かす人がいて維新内部の反発を買ったことがある」ほか、「みんなと組むと、維新も既成政党とみなされる恐れがある」との慎重論もあるとか。渡辺代表は橋下氏のハートをつかめるか。
 PRESIDENT 2012年4月16日号
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公債特例法案・行政改革・一票の格差と選挙制度・小沢裁判・・・複雑に絡まりあいながら政界再編に向かう 2012-03-31 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 再編の幕開け
 田中良紹の「国会探検」
  野田内閣が消費増税法案を国会に提出した事で与党は分裂模様である。それを見て嘆息する国民も多いと思うが、私はいよいよ政界再編の幕が上がったと思っている。
 話は2005年に遡る。郵政選挙に勝利して巨大与党となった自民党は、自公体制を磐石にして長期政権を敷くため、小沢一郎氏が主導して実現させた小選挙区制を中選挙区制に戻そうと考えた。
 絶頂期にあった小泉総理は中選挙区制の復活を公明党に約束する一方で、盟友である山崎拓氏に靖国問題で対極の立場を表明させ、民主党議員を巻き込んだ議員連盟を作らせた。それは1993年に小沢一郎氏らが自民党から飛び出し、細川政権を作って以来の政治体制を終らせ、自民党が主導して新たな政治体制を作る動きに私には見えた。
 「2005年体制」と当時の学者はしきりに言った。それによると、「55年体制」は冷戦構造の中で自民党長期政権を生み出したが、それを壊した小沢一郎氏ら自民党脱党組は日本政治に混乱をもたらした。ところが05年総選挙によって自民党は再び巨大化し、小沢氏らの野党勢力を一掃した。そこで自民党を基盤に二つの政党を作り、それが政権交代する新たな政治体制が出来ると言うのである。それが実現すれば小泉氏は「日本政治中興の祖」になる筈であった。
 ところが構想は2年後に破綻する。小泉後継の安倍政権が07年の参議院選挙で小沢一郎氏率いる民主党に敗れたからである。勝利した小沢氏はしかし民主党が自民党に代わって政権を担える政党とは思っていなかった。小沢氏が考えたのは自民党と民主党をいったん合体させ、その上で二つに分ける政界再編である。それが福田総理との間で話し合われた「大連立」であった。
 「大連立」にはもう一つ目的があった。政党を二つに分ける前に、国家の基盤となる安全保障政策を同じにする事である。それが出来れば二大政党による政権交代はよりスムーズになる。だから小沢氏は福田総理に民主党の安保政策を飲むように迫り、福田総理も真剣にそれに応えようとした。歴史に「イフ」はないのだが、あの時「大連立」が実現していれば日本は確実に変わっていた筈である。
 ともかく「大連立」は安保政策の転換と政界再編を実現しようとした。しかし民主党内の反発で不発に終わり、09年の総選挙で民主党は政権交代を目指す事になる。その選挙直前に「西松建設事件」が起きた。それがなければ小沢総理が誕生していた。
 現役の政治家の中で政府の中心にいて消費増税に取り組んだ経験を持つのは小沢一郎氏ただ一人である。消費税増税の難しさを最も良く知っている。増税の意義をいくら説明しても、国民は消費税が本当に国民生活のために使われるのかを疑っている。自分にどれだけ利益になるかが分からない。
 そこで09年の民主党マニフェストは国民に直接利益を与える所から始まった。その財源は行政の無駄を省く事で捻出する。行政の無駄を省くためには官僚との壮絶な戦いが必要だが、それを最低4年間はやり抜く。その上でいよいよ足りなくなればマニフェストでうたった政策をやめるか、消費税の値上げを認めてもらうかを選挙で国民に問う。民主党マニフェストを私はそのように読んだ。
 一方で、野党に転じた自民党はひたすら民主党マニフェストを「バラマキ」と攻撃した。そして民主党が財政均衡を守らない政党である事を印象付けるため、10%の消費増税を参議院選挙のマニフェストに入れた。政策に責任を負わない野党だからこそ作れた選挙マニフェストである。ところが民主党の菅総理がそれに抱きついた。財務省の圧力があったのか、アメリカの圧力があったのかは知らないが、09年の民主党マニフェストとは違う事を言い始めた。
 その頃私は「政界再編が準備されつつある」というブログを書いた。メディアは菅総理の「脱小沢」ぶりを強調し、民主党の党内対立を面白がっていたが、私には民主党が党内に二つの潮流を作り、民主党が主導する形で再編を始めようとしているように見えた。そしてその見方はその後も変わっていない。
 そこで野田政権の消費増税である。野田総理は「不退転の決意」を強調するが、実現させる方策を全く講じない。そのくせ「今国会で成立させる」と事を急ぎ、しかもそれに「政治生命を賭ける」と言い切る。本当に社会保障のために消費増税をやると言うのならそんな言い方をする必要は全くない。無理矢理成立させようとすればするほど、逆効果となり成立は難しくなる。野田総理は一生懸命に成立を難しくしているのである。
 野田総理の発言を私なりに解釈すると、長く総理をやらないという事である。法案が通らなければ総辞職か解散しかないが、解散に打って出れば選挙で負けるのは必定で、どっちにしても総理を辞める事になる。辞めずに済むのは自民党が野田政権に協力して法案が成立した場合だが、成立する前に選挙をすれば元の木阿弥になる恐れがある。選挙は増税が成立した後になり、そうなれば協力した自民党も選挙で勝つ見込みがなくなる。
 なぜなら「消費税より行政の無駄を省け」と主張する地方首長の勢力が選挙に出ようとしていて、国民の人気は圧倒的にそちらに向かう。選挙になればその勢力と組む消費税反対派が選挙に勝利する可能性が高い。困っているのは実は自民党だと私は思う。自民党の中も次第に一枚岩ではなくなる。国民は民主党や国民新党の分裂模様に目を奪われているが、彼らはそれをあらかじめ計画してやっている可能性があるのである。
 誰も指摘しないのが不思議なのだが、実は消費税より重要な法案がある。特例公債法案である。これが成立しないと予算は成立しても執行が出来なくなる。「ねじれ」だから常識的には成立しない。去年はそれを成立させるために菅総理が退陣と引き換えにした。今回も野田総理が自らの首を差し出すのか、それとも自民党と手を組んで切り抜けられるのか。それもこの政局に絡んでくる。
 そして4月末の小沢裁判の判決次第で消費税政局の舞台はまた変わる。このように消費税政局は、公債特例法案、行政改革、一票の格差と選挙制度、小沢裁判などと複雑に絡まりあいながら最終的には政界再編に向かって進んでいくのである。
田中良紹 2012年3月31日 03:21
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なぜ消費税引き上げか/そもそも社会保障の財源に充てるために消費税を引き上げるのが適切なのか

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なぜ消費税引き上げか 週のはじめに考える
中日新聞 社説 2012年4月1日
 野田佳彦内閣が消費税引き上げ法案を閣議決定しました。これから国会審議が始まります。そこで、あらためて増税問題を根本に戻って考えてみたい。
  閣議決定にこぎつくまでに民主党内では連日、深夜未明まで激しい議論の応酬が続きました。最後まで争点になったのは、景気が好転しなければ増税を凍結するかどうかをめぐる景気条項です。
  結論を言えば、条文は玉虫色になりました。増税を目指す政府側は「経済成長に努力すれば増税できる」と条文を解釈し、反対派は「実質2%、名目3%成長が達成できなければ増税できない」と受け止めています。
 増税実現に高ハードル
 条文は玉虫色とはいえ、政府が成長率を数字で示すのに強く抵抗していたのを考えれば、法案がこのまま成立したとしても、実際に増税するには高いハードルが課せられたとみていいでしょう。
  その前に法案が成立するかどうか不透明です。民主党内の増税反対ないし慎重派は小沢一郎元代表を中心とするグループだけでなく、小沢鋭仁元環境相や馬淵澄夫元国土交通相など経済成長を重視する議員たちにも広がりました。
  国民新党は亀井静香代表が反対する一方、自見庄三郎金融相が閣議で法案に賛成し事実上の分裂状態に陥っています。
  自民党はもともと増税賛成の立場ですが、最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止を唱える民主党の議論に反対し、まず衆院解散・総選挙を訴えています。野田首相が「政治生命をかける」と力説しても、法案成立は相当難しいと言わざるをえません。
  増税は社会保障との一体改革がうたい文句でした。ところが、月額七万円の最低保障年金創設だけでなく、年金一元化も具体的な制度設計を示さず、社会保障部分は置き去りにされたままです。
 「所得再配分」の財源は
 民間に比べて有利な公務員の共済年金にある「職域加算」と呼ばれる上乗せ給付の廃止も先送りです。国会議員の定数是正も進みません。これで「身を切る改革」といえるのでしょうか。
  増税に伴う制度設計もずさんさが目立ちます。医療と介護、保育などの自己負担合計額に上限を設ける総合合算制度、共通番号制が始まるまでの低所得者に対する簡素な給付措置、住宅課税や消費税との二重課税が指摘されている自動車取得税・重量税の扱いなど、ざっと法案をみただけでも「検討中」ばかりです。
  「まず増税ありき」の姿勢で結論に到達するのを急いできたから、弱い立場の低所得者や中小零細事業者への目配りも完全に後回しになってしまいました。
  本来なら、もっと根本にさかのぼって議論を深めねばならない問題があります。それは、そもそも社会保障の財源に充てるために消費税を引き上げるのが適切なのか、という論点です。
  消費税を社会保障財源に充てる考え方は、自民党政権時代から財務省が推し進めてきました。社会保障費が政府予算の三割を占め、年に約一兆円増加する現状をみれば、増税分を社会保障に回すのはもっともらしく見えます。
  しかし、社会保障が「政府の所得再配分」機能そのものである点を踏まえれば、その財源も所得再配分にふさわしい税目によって賄われたほうが望ましい。それは所得税や法人税です。
  高所得者により重い負担を求める累進構造を備えた所得税や利益を出した法人に課す法人税を財源に、政府が弱者への安全網を整える。それこそが所得再配分、すなわち社会保障の原理原則であるからです。
  あるいは保険料の引き上げによって財源を賄う考え方もある。個人の納付記録が残る保険料を主財源にすれば、給付と負担の関係が透明になる利点があります。
  これに対して、消費税は地方の基幹財源にしたほうが適切です。消費はどこでも生じるので、都会と比べた地方の偏りが少ない。行政サービスの対価として課税するので納得感も得られやすい。
  たとえば住民が手厚い行政サービスを望むなら、自治体は高い消費税を課せばいいのです。もちろん逆もあります。受益と負担の関係が明確になり、結果として地域の自立意識も高まるでしょう。
 ちゃぶ台返しの論争を
 もしかしたら「私の住む街は消費税が高いから、行政サービスの質がいいんだ」と高い税金に誇りを抱く住民意識すら生まれるかもしれません。「高い税は絶対ダメ」ではなく、納得感がない増税だからダメなのです。
  野田首相はよく「ちゃぶ台返しはダメだ」と言いますが、国会は政府ではありません。国会議員は政府がこしらえた議論の土俵を壊すところから論戦を始めねば。
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官僚に踊らされる野田政権/政権維持のために財界の顔色をうかがう/消費増税 弱者切り捨て 根底に 2012-03-31 | 政治(経済/社会保障/TPP) 
  消費増税 課題置き去り
中日新聞《 特 報 》2012/3/31 Sat.
 「身を切る覚悟」と大見えを切ったのは誰だったか。野田政権は30日に消費税増税法案を閣議決定し国会に提出する。だけど、ちょっと待ってほしい。議員歳費は削減していないし、低所得者対策もまだ。有効な歳出削減策はまったく示せていない。これでは国民を欺く「まやかし」といわれても仕方ない。(佐藤圭、小倉貞俊)
■負担増にも政府無策
 「財務省は、自公政権時代から国会議員をだましてきた」。そう語るのは、消費税増税法案について激論になった民主党の「社会保障と税の一体改革に関する合同会議」で、増税反対の論陣を張った川内博史衆院議員だ。
 会議では、議論の途中で打ち切りになり、前原誠司政調会長ら執行部側に押し切られた形になったが、川内氏は「(経済成長率を努力目標として盛り込んだ)景気条項ばかりでなく、多岐にわたる問題点が浮き彫りになった」と話す。
 合同会議であらわになったのは、官僚に踊らされる野田政権の哀れな姿だった。
 法案は消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる内容。当初は、将来、10%超に引き上げることをにじませる「再増税条項」が付けられていた。2月に閣議決定された大綱では、再増税条項は「今後の改革の検討」とぼかした表現だった。ところが、合同会議に示された法案では「さらなる税制の改革に係る措置」と明記されていたのだ。
 川内氏らが「検討と措置では大きな違いだ。誰の判断か」と迫ると、財務省側は、自公政権時代に成立した改正所得税法の付則104条「11年度までに必要な措置を講ずる」を持ち出した。財務省の担当者は「改正所得税法でも、大綱では『検討』だったが、条文では『措置』にした。今回も事務的にやった」と悪びれずに説明した。
 所得の少ない人ほど消費税の負担感が増す「逆進性」についても、野田政権は今のところ無策だ。財務省がほとんど何も考えていなかったから、ともいわれている。
 大綱では、17年ごろをめどに、納税額が少なく控除しきれない低所得者に給付金を支給する「給付付き税額控除」を導入するとした。それまでの間は、暫定的に現金を支給する「簡素な給付措置」で対応する方針が盛り込まれた。
 しかし、財務省は規模や財源などを固めていなかった。この点を追及され、最大で年額4千億円を給付措置に充てる案を示したものの、制度の詳しい内容を詰められると、十分に答えられず、取り下げざるを得なくなった。
 川内氏は国会審議について「反対のための反対ではない。政権与党として責任を果たす。党内議論では景気条項などで折り合えなかったが、まだまだ条文を修正するチャンスはある」とする。
 政治評論家の森田実氏は「とにかく消費税増税ありき、という野田政権の姿勢は問題だ」と批判する。森田氏は「過去の増税は、景気が上向くことを前提に実施されてきた。今回はいわば『不況下で増税しても構わない』というわけで、国民の理解を得られない」と話す。
 増税強行の背景にあるのは、財務省の強い意向だ。「消費税は景気に左右される法人税などと異なり、安定的な財源だ。財務省はずっと、税収に占める消費税の割合を増やしたかった。与野党のトップが元財務相で増税に前向きな今こそが好機、というわけだ」
■識者「身を切る覚悟 どこへ」「弱者切り捨て 根底に」
 評論家の樋口恵子氏は「増税の前にやるべきことがある。野田佳彦首相が増税への理解を得るためにアピールした『身を切る覚悟』はどうなったのか」と憤る。
 国会議員の定数削減は、与野党の協議が難航。最高裁で違憲状態とされた衆院の「一票の格差」は是正されないままになっている。仮に衆院比例で80削減、小選挙区0増5減が実現すれば、56億円の経費が浮くとされる。
 月々の歳費と年2回の期末手当を合わせた2106万円の議員歳費は、世界でもトップクラス。これに職務手当の「文書通信交通滞在費」が月額100万円支給される。民主党は年間300万円を削減する案を提示しているが、2年間の期限付きだ。
 総額320億円の政党交付金が、共産党を除く各党に配られている。
 「人口が減少していく中で、国会議員の定数も徐々に減らしていくことは必然の流れ。浮く金額は微々たるものでも、政治家が率先して取り組むべき象徴的な課題のはず」と指摘。「自分の身を切るより、国民の身を切る方が楽だという野田政権の感性がよく分かった」と樋口氏は皮肉る。
■「弱者切り捨て 根底に」
 消費税そのものを「致命的な欠陥のある危険な制度」と批判するのは、ジャーナリストの斎藤貴男氏だ。
 斎藤氏は、大企業が税込みの小売価格を抑えようと、下請け業者に圧力を加えることを懸念する。「不況下で消費増税に踏み切ると、納税義務者である事業者にしわ寄せがいく。中小零細企業は増税分を値引きしたり、価格に転嫁できずに自腹を切って安売りしたりせざるを得ない」と指摘。つまり「商売の力関係で弱い方が負担する仕組みだ」という。
 消費税増税で、ぎりぎりの段階で耐えている中小零細企業の倒産を誘発し、失業者や自殺者の増加につながる可能性を訴える。「その結果、大資本が仕切る社会が到来する。自営業者やこれから商売をやろうという人の存在を否定することになる」
 では、どうすればよいのか。斎藤氏が提言するのは、不公平税制の是正だ。「金持ち優遇のため下げ続けられてきた所得税の累進税率を、20年前の最高税率50%の水準に戻せば、所得税収は倍近くになる」
 斎藤氏は「法人税も上げる余地があるはずだ。聖域のように扱うのはおかしい」と指摘し、こう警告する。「政権維持のために財界の顔色をうかがう野田内閣の政策の根底にあるのは、『国益イコール大企業の利益』という思想だ。弱者切り捨ての消費税増税法案は、社会の在り方そのものを変えかねない」
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「小沢を切れば、消費税法案に賛成も」自民党 石原幹事長/木内孝胤議員が離党届・・・小沢氏の慰留振り切り

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「小沢切りで消費税法案に賛成も」石原幹事長
 自民党の石原幹事長は1日、奈良市内で講演し、消費税引き上げ関連法案について、野田首相が法案に反対する民主党の小沢一郎元代表らと決別し、衆院解散・総選挙の時期を明確にすれば、賛成することもあり得るとの考えを表明した。石原氏は、民主党の輿石幹事長が首相の約束に基づき党内をまとめることも法案に賛成する条件に挙げた。
 これに対し、岡田副総理は同日のNHK番組で、「衆院段階で、野党の意見も入れて合意形成することが非常に重要だ」と述べ、法案の修正については衆院での採決前に積極的に応じる考えを示した。
 石原氏は1日の講演で、「首相が『小沢元代表を切る。(衆院)解散を大体いつやるから協力してください』と言い、輿石幹事長が『党内をまとめる』と約束すれば、自民党が消費税法案に賛成して成立する芽が出てくるのではないか」と述べ、法案に賛成する三つの条件を示した。今国会中の衆院解散を求めるのかどうかについては言及しなかった。ただ同法案の成立前に衆院小選挙区の「1票の格差」是正を処理すべきだと主張した。
(2012年4月1日22時13分  読売新聞)
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小沢氏の慰留振り切り…木内孝胤議員が離党届
 民主党の木内孝胤衆院議員(東京9区)は2日午前、政府が消費税率引き上げ関連法案を国会に提出したことに抗議し、党執行部に離党届を提出した。木内氏は衆院当選1回で、小沢一郎元代表のグループに所属する。法案の国会提出に伴い、小沢グループの政務三役や党の役職者が辞表を提出する動きが表面化しているが、離党届の提出は木内氏が初めて。
  木内氏は国会内の民主党幹事長室に離党届を提出後、記者団に「仲間の議員が一生懸命やっている中で辞めるのは申し訳ない思いだが、これで正々(堂々)と反対できる。今後は無所属で活動する」と述べた。小沢元代表には事前に相談し、「ちょっと待ってもいいのではないか」と慰留されたという。
 (2012年4月2日11時44分 読売新聞)
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「小沢さんが復活して、民主党でも、あるいは新党でも、彼の手で総選挙を仕切られると自民党は敗北する」 2012-03-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 「日本一新運動」の原点―102 日本一新の会・代表 平野 貞夫
小沢問題・消費税増税・原発問題などの背後にあるもの
 〈前段 略〉
 日本人の約3分に1に当たる人々に、命を削る思いをさせる消費税増税を、「任期中はやりません」と政権公約して政権交代した民主党の野田首相は、「命を懸けて」今国会で成立させると宣言した。議会民主政治を冒涜し、嘘と捏造の消費税増税である。国際的にみても、生活必需品ごと10%の消費税を、長期不況とデフレが続く最悪の経済状態で、しかも、大震災の被災者が救済されないままで実施しようとしている。民主党内での反対論も強くなっているとはいえ、議論を聞いていると、まだ本質論を突いていない。
 これらの手口は「小沢陸山会問題」の捜査・裁判とそっくりである。それは消費税増税には財務官僚が、小沢陸山会問題には司法官僚が推進・突破役を担っているということも同じである。さらに、増税で政府広報費を得ようとする巨大メディアが、その背景で大きな影響力を行使している。これも共通していることだ。
■原発・放射能問題―国民の生命・健康が第一!
 福島原発事故で存立に苦しむ東京電力の電気料金値上げは、社会問題、政治問題になっている。東京電力の無能さと経産省の無責任さに原因があるが、その根本は稼働・停止中の「原子力発電」をどうするかだ。原発推進論・反原発論等々いろいろある。押さえるべきは、放射能発生を宿命とする原発は、大震災・大津波が多発する日本では、可能な限り早急に廃止すべきである。環境や健康に害の少ないエネルギーの開発により、経済の活性化を図らなければならない。
 最大の問題は、あの未曽有の原発災害、しかも人災ともいわれる問題について、東電及び野田内閣・関係閣僚、さらに原子力村の御用学者と、それにつらなる財界守旧派が、反省も展望も持たずに事態を放置していることだ。狙いは従前の原発既得権を維持するためである。そのために、国民の生命や、健康に係る重要な情報を隠蔽している可能性すらある。なんと、十分な検証もないまま関西電力の大飯原発再稼働を、政治判断で決定しようとしている。大事なことが狂っているとしか言えない。
 原発事故・東電問題は、電力関係官僚が中心になって、民主党政権で小沢氏を排除した政治家どもが、はやくも「シロアリ」となって東電利権を漁っているらしい。大震災・原発事故発生時から始まった菅政権の情報隠匿は、国際社会から厳しく批判された。これらの問題も「小沢問題」と構造的に酷似している。原子力に関係してきた官僚・御用学者・財界が既得権を死守しようとすることに、巨大メディアが情報コントロールで荷担し、私利私欲の政治家どもが絡むという構造だ。この輩にとって、小沢一郎の政界での存在が邪魔になるわけだ。
■今も存在する「小沢排除」の悲劇
 先月、谷垣自民党総裁に近く、小沢ファンでもある国会議員に、気乗りはしなかったが求められて会食した。その時の話だが、「自民党がもっとも恐れているのは小沢さんが復活して、民主党でも、あるいは新党でも、彼の手で総選挙を仕切られると自民党は敗北する」とのこと。選挙に対する小沢氏への恐怖心で、自民党は凝固しているのだ。
 谷垣総裁が3月24日(土)の日本テレビ「ウェークアップ!プラス」で、「小沢一郎という政治家は「政党を潰したりつくったりする悪い奴だ」という趣旨の発言をした。また、先の党首討論で野田首相に「小沢を切れば消費税増税に協力する」とも発言し、『「小沢切り」覚悟求める 谷垣氏』(26日・毎日新聞)などの見出しが続いている。半世紀の間、数多くの国会議員を裏表から観察してきたが、此の期に及んでさえ、財務省にマインドコントロールされるようでは「谷垣は政治家として終わりだ」と率直に感じた。
 政治家にとって政党は活動の道具であり、国家と国民のために必要ならば潰すことも、あるいはつくることもある。何時まで機能不全の自民党に拘るのか。ましてや、「小沢を切れ」とは、人格破壊発言であり、政界からの「排除」行為である。
 小沢氏の立場は「政治捜査」から「政治裁判」となるかのどうかの判決を待つ身だ。野党第一党の党首が「悪い奴」とばかり、人気番組で発言すればどんな影響が出るか、こんなこともわからなければ弁護士も失格だ。意図的であるならば『外ゲバ』だ。東大法学部同級生で、「内ゲバ」の仙谷由人民主党衆議院議員と同根・同質といえる。
 議会民主政治とは、思想信条が異なっても排除することは絶対に許されない。英国には、「殺したいほど憎い奴でも、議会での活動権は生命を懸けて護ってやる」という格言がある。
 わが国の国会議員で、この精神を知っている人間は何人いるだろうか。日本では弁護士政治家が政権や政党の指導者や実力者になると、ロクなことがないようだ。東大法学部では議会民主政治の政治の理念や精神を教えていないようだ。否、なまじ知っていると司法試験に合格しないのだろう。これが戦後のわが国のエリート教育だ。
 「小沢陸山会問題」「消費税増税問題」「原発・放射能問題」の背景にあるのは、巨大メディアと官僚が共謀し、国会を巻き込んで、マネーゲーム資本主義で、私利私欲を求める新しいファシズムであるといえる。
 「自立と共生社会」をめざし、「議会民主政治」を定着させ、「国民の生活が第一」の政治を行うために、「貧困者の命を削る」消費税増税に反対する政治家・小沢一郎を、ここに至っても排除しようとする悲しい国に未来はない。
追記
 ☆本号は無限拡散希望につき、転載許諾を必要としませんので、お取り扱いをよろしくお願い申し上げます。2012年03月27日

野田首相と谷垣総裁 薄気味悪い本当の関係/大連立の可能性は十分/勝った方が首相、負けた方が副総理

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野田首相と谷垣総裁 薄気味悪い“本当の関係”
日刊ゲンダイ 2012年4月2日 掲載
財務省のオルグでお互い“信頼”
 消費税引き上げの成否を握るのは、自民党が乗るかどうかだ。谷垣総裁は1日のNHKの番組で、「法案は生煮え。問題点が多すぎる」と指摘、今のところ対決姿勢を崩していない。
  しかし、その一方で、「野田さんと谷垣さんは蜜月といえるほど仲がいい」「特に谷垣さんは野田さんにホレている」なんて、政界関係者の声がある。
  両者の本当の“関係”はどうなのか。
  野田は1957年生まれの54歳。早大〜松下政経塾から千葉県議を経て政界へ。父親は自衛官で、ビンボーを“売り”にした代表選の演説で、総理の座を射止めた。
  一方、谷垣(67)は東大〜弁護士を経て、国会議員に。父親・専一氏も国会議員で文相を務めた、政界サラブレッドである。年はひと回り以上違うし、生い立ちや毛並みも随分違う。ところが――。
 「両者は本当は仲がいい。谷垣氏は小泉政権で3年も財務相を務め、2006年の総裁選では消費税10%を掲げた。完全に財務省にオルグされているひとりです。しかも、野田首相とは『党内基盤が弱い』『性格が地味』といった共通項がある。だから、シンパシーを感じるのです。谷垣氏と何度も個別に話をしていますが、首相の悪口を言っているのを聞いたことがない。それどころか、『首相は党内をまとめられるのか』と心配するほど。だから、“頼りない”と突き上げを食らうのです」(自民党中堅議員)
  そういえば、谷垣は野田を評して「思いつきをポンポン打ち上げる方ではない。ああいうキャラクターには、頑張っていただく必要がある」と言って、党内から怒られたことがある。
  一方、野田も「谷垣総裁が財務相だった頃、国会で相当かみ合った議論ができた」と褒めている。薄気味悪いほどの関係だ。
  しかも、両者を接近させようと画策するヤカラもいる。消費税増税に執念を燃やす財務省だ。財務省の大臣官房審議官(主税局担当)を務める星野次彦は、谷垣が財務相時代の秘書官。勝栄二郎事務次官と共に、2月25日の「野田・谷垣極秘会談」をセットしたともいわれている。今後も勝と星野が中心となって、野田と谷垣をくっつける算段なのである。
 「両者を見ていると、大連立の可能性は十分です。自民は解散を条件に法案に賛成。消費増税成立後に選挙をして、勝ったほうから首相、負けたほうから副総理を選び、連立政権を誕生させる。こうしたウルトラCが水面下では練られていると聞いています」(政治評論家・浅川博忠氏)
  2人の関係は、財務省の壮大な“仕掛け”なのか。
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「小沢を切れば、消費税法案に賛成も」自民党 石原幹事長/小沢氏の慰留振り切り…木内孝胤議員が離党届 2012-04-02 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 「小沢切りで消費税法案に賛成も」石原幹事長
 自民党の石原幹事長は1日、奈良市内で講演し、消費税引き上げ関連法案について、野田首相が法案に反対する民主党の小沢一郎元代表らと決別し、衆院解散・総選挙の時期を明確にすれば、賛成することもあり得るとの考えを表明した。石原氏は、民主党の輿石幹事長が首相の約束に基づき党内をまとめることも法案に賛成する条件に挙げた。
 これに対し、岡田副総理は同日のNHK番組で、「衆院段階で、野党の意見も入れて合意形成することが非常に重要だ」と述べ、法案の修正については衆院での採決前に積極的に応じる考えを示した。
 石原氏は1日の講演で、「首相が『小沢元代表を切る。(衆院)解散を大体いつやるから協力してください』と言い、輿石幹事長が『党内をまとめる』と約束すれば、自民党が消費税法案に賛成して成立する芽が出てくるのではないか」と述べ、法案に賛成する三つの条件を示した。今国会中の衆院解散を求めるのかどうかについては言及しなかった。ただ同法案の成立前に衆院小選挙区の「1票の格差」是正を処理すべきだと主張した。
(2012年4月1日22時13分 読売新聞)
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公債特例法案・行政改革・一票の格差と選挙制度・小沢裁判・・・複雑に絡まりあいながら政界再編に向かう 2012-03-31 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 田中良紹の「国会探検」
  野田内閣が消費増税法案を国会に提出した事で与党は分裂模様である。それを見て嘆息する国民も多いと思うが、私はいよいよ政界再編の幕が上がったと思っている。
 話は2005年に遡る。郵政選挙に勝利して巨大与党となった自民党は、自公体制を磐石にして長期政権を敷くため、小沢一郎氏が主導して実現させた小選挙区制を中選挙区制に戻そうと考えた。
 絶頂期にあった小泉総理は中選挙区制の復活を公明党に約束する一方で、盟友である山崎拓氏に靖国問題で対極の立場を表明させ、民主党議員を巻き込んだ議員連盟を作らせた。それは1993年に小沢一郎氏らが自民党から飛び出し、細川政権を作って以来の政治体制を終らせ、自民党が主導して新たな政治体制を作る動きに私には見えた。
 「2005年体制」と当時の学者はしきりに言った。それによると、「55年体制」は冷戦構造の中で自民党長期政権を生み出したが、それを壊した小沢一郎氏ら自民党脱党組は日本政治に混乱をもたらした。ところが05年総選挙によって自民党は再び巨大化し、小沢氏らの野党勢力を一掃した。そこで自民党を基盤に二つの政党を作り、それが政権交代する新たな政治体制が出来ると言うのである。それが実現すれば小泉氏は「日本政治中興の祖」になる筈であった。
 ところが構想は2年後に破綻する。小泉後継の安倍政権が07年の参議院選挙で小沢一郎氏率いる民主党に敗れたからである。勝利した小沢氏はしかし民主党が自民党に代わって政権を担える政党とは思っていなかった。小沢氏が考えたのは自民党と民主党をいったん合体させ、その上で二つに分ける政界再編である。それが福田総理との間で話し合われた「大連立」であった。
 「大連立」にはもう一つ目的があった。政党を二つに分ける前に、国家の基盤となる安全保障政策を同じにする事である。それが出来れば二大政党による政権交代はよりスムーズになる。だから小沢氏は福田総理に民主党の安保政策を飲むように迫り、福田総理も真剣にそれに応えようとした。歴史に「イフ」はないのだが、あの時「大連立」が実現していれば日本は確実に変わっていた筈である。
 ともかく「大連立」は安保政策の転換と政界再編を実現しようとした。しかし民主党内の反発で不発に終わり、09年の総選挙で民主党は政権交代を目指す事になる。その選挙直前に「西松建設事件」が起きた。それがなければ小沢総理が誕生していた。
 現役の政治家の中で政府の中心にいて消費増税に取り組んだ経験を持つのは小沢一郎氏ただ一人である。消費税増税の難しさを最も良く知っている。増税の意義をいくら説明しても、国民は消費税が本当に国民生活のために使われるのかを疑っている。自分にどれだけ利益になるかが分からない。
 そこで09年の民主党マニフェストは国民に直接利益を与える所から始まった。その財源は行政の無駄を省く事で捻出する。行政の無駄を省くためには官僚との壮絶な戦いが必要だが、それを最低4年間はやり抜く。その上でいよいよ足りなくなればマニフェストでうたった政策をやめるか、消費税の値上げを認めてもらうかを選挙で国民に問う。民主党マニフェストを私はそのように読んだ。
 一方で、野党に転じた自民党はひたすら民主党マニフェストを「バラマキ」と攻撃した。そして民主党が財政均衡を守らない政党である事を印象付けるため、10%の消費増税を参議院選挙のマニフェストに入れた。政策に責任を負わない野党だからこそ作れた選挙マニフェストである。ところが民主党の菅総理がそれに抱きついた。財務省の圧力があったのか、アメリカの圧力があったのかは知らないが、09年の民主党マニフェストとは違う事を言い始めた。
 その頃私は「政界再編が準備されつつある」というブログを書いた。メディアは菅総理の「脱小沢」ぶりを強調し、民主党の党内対立を面白がっていたが、私には民主党が党内に二つの潮流を作り、民主党が主導する形で再編を始めようとしているように見えた。そしてその見方はその後も変わっていない。
 そこで野田政権の消費増税である。野田総理は「不退転の決意」を強調するが、実現させる方策を全く講じない。そのくせ「今国会で成立させる」と事を急ぎ、しかもそれに「政治生命を賭ける」と言い切る。本当に社会保障のために消費増税をやると言うのならそんな言い方をする必要は全くない。無理矢理成立させようとすればするほど、逆効果となり成立は難しくなる。野田総理は一生懸命に成立を難しくしているのである。
 野田総理の発言を私なりに解釈すると、長く総理をやらないという事である。法案が通らなければ総辞職か解散しかないが、解散に打って出れば選挙で負けるのは必定で、どっちにしても総理を辞める事になる。辞めずに済むのは自民党が野田政権に協力して法案が成立した場合だが、成立する前に選挙をすれば元の木阿弥になる恐れがある。選挙は増税が成立した後になり、そうなれば協力した自民党も選挙で勝つ見込みがなくなる。
 なぜなら「消費税より行政の無駄を省け」と主張する地方首長の勢力が選挙に出ようとしていて、国民の人気は圧倒的にそちらに向かう。選挙になればその勢力と組む消費税反対派が選挙に勝利する可能性が高い。困っているのは実は自民党だと私は思う。自民党の中も次第に一枚岩ではなくなる。国民は民主党や国民新党の分裂模様に目を奪われているが、彼らはそれをあらかじめ計画してやっている可能性があるのである。
 誰も指摘しないのが不思議なのだが、実は消費税より重要な法案がある。特例公債法案である。これが成立しないと予算は成立しても執行が出来なくなる。「ねじれ」だから常識的には成立しない。去年はそれを成立させるために菅総理が退陣と引き換えにした。今回も野田総理が自らの首を差し出すのか、それとも自民党と手を組んで切り抜けられるのか。それもこの政局に絡んでくる。
 そして4月末の小沢裁判の判決次第で消費税政局の舞台はまた変わる。このように消費税政局は、公債特例法案、行政改革、一票の格差と選挙制度、小沢裁判などと複雑に絡まりあいながら最終的には政界再編に向かって進んでいくのである。
田中良紹 2012年3月31日 03:21
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“小沢氏系”議員29人が辞表提出/ 野田政権に忠誠を尽くす輿石東が小沢一郎に刃を向けるとき

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“小沢氏系”議員29人が辞表提出
NHK NEWS WEB 4月2日 19時19分
 民主党の小沢元代表に近い鈴木幹事長代理は記者団に対して、消費税率引き上げ法案に抗議して、みずからも含めて合わせて29人が党の役職の辞表を提出したことを明らかにしました。
これに対して輿石幹事長は、記者会見で慰留に努める考えを示しました。
 消費税率引き上げ法案を巡っては、閣議決定当日の先月30日、小沢氏に近い牧厚生労働副大臣ら政務三役の4人が辞表を提出するなど、政府や党の役職の辞表を提出する動きが出ているほか、木内孝胤衆議院議員が2日、離党届を提出しました。
 こうしたなかで、鈴木幹事長代理は2日、記者団に対し、「預かっていた辞表を役員会のあと輿石幹事長宛てに提出した。先に政策調査会に提出されているものもあるので、全部で合わせて29人になる。理由は一身上の都合だ」と述べました。
 一方、これに先立って、輿石幹事長や前原政策調査会長らは党の役職の辞表が提出されたことへの対応を協議し、辞表は受理せず慰留することを確認しました。
 これに関連し輿石幹事長は、記者会見で、「私は、鈴木氏らの辞表を受け取っていない。鈴木氏からは『消費税率の引き上げに反対する署名活動をしたので、責任を感じている』という話はあったが、私からは『過去のことであり、それはそれとして役職を続けてもらいたい』と伝えた」と述べ、慰留する考えを示しました。
 また、輿石氏は、木内氏が離党届を提出したことについて、「対応はまだしていない。ぜひ党に残ってもらいたい」と述べました。
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野田政権に忠誠を尽くす輿石東が小沢一郎に刃を向けるとき
現代ビジネス 2012年04月02日(月)田崎史郎
 国会の2階にある民主党幹事長室の隣の部屋に、幹事長代理・鈴木克昌、筆頭副幹事長・松井孝治、樋高剛ら3人いる総括副幹事長の机5つが置かれている。元代表・小沢一郎が幹事長時代、副幹事長のたまり場になっていた部屋だ。
 輿石東は就任後、大幅な模様替えを行い、幹事長代行・樽床伸二を自分と同じ幹事長室に入れ、鈴木らには他の副幹事長16人とまったく異なる待遇を与えた。
 その輿石の配慮を裏切るかのように、小沢側近の鈴木と樋高が消費増税法案の閣議決定に反発して辞表を提出した。
 政府が提出する消費増税法案の党内論議がスタートした3月14日、小沢側近は「閣議決定の時に、何人か動くかもしれない」と語っていた。この時は数人止まりで意思表示に重点が置かれ、主戦場はあくまで「消費増税法案の衆院本会議採決時」という話だった。
 しかし、30日に消費増税法案が閣議決定されると、政府側では総務副大臣・黄川田徹、文部科学副大臣・森ゆうこ、厚生労働副大臣・牧義夫、総務政務官・主浜了、党側では鈴木、樋高のほか、政調副会長の階猛、中村哲治、松崎哲久、横山北斗らが相次いで辞表を提出。政調会長補佐クラスを加えると、役職辞任者は20人以上に上るとみられている。
 なぜ、これほど役職辞任者が膨れあがったのか。小沢側近は「小沢さん自身は一切、指示をしていない。個々の議員の判断」と説明するが、彼らの行動が小沢の意思と無縁であるはずがない。
■深まる溝
 党幹部はその理由を2つ挙げる。ひとつは輿石に対する不信だ。輿石と小沢は2月16日、元首相・鳩山由紀夫を交えて会っている。一見良好に見えたが、輿石は消費増税法案の扱いでは、3月中に決定するという野田にカジを切った。
 輿石は「総理は消費増税にのめり込んでいる」と語り、野田への疑念を呈していた時期もあった。しかし、日教組出身の輿石は基本的に「組織の人」。トップへの忠誠心は強い。だが、その分、消費増税反対を貫く小沢とは離れた。
 もうひとつの理由は、資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われた小沢に対する、今月26日の東京地裁判決だ。判決がクロかシロか―。首相官邸も民主党内も強い関心を寄せるが、「いくら調べても分からない。有罪、無罪は五分五分だ」(官邸関係者)と言われている。
 小沢は無罪を確信している。だが、確証があるわけではなく、確信しようとすればするほど不安も膨らむ。このため、「最悪の事態を想定して、内部を固めておきたかったのだろう。今、役職辞任をさせておけば、有罪判決が出たからといって、もう戻れない」(党幹部)というわけだ。
■小沢の目論見
 これに対して、輿石は手を打ってきた。自ら小沢と接触する一方、鈴木や樋高を通じて、小沢の心境に探りを入れてきた。
 それが言動となって現れたのが3月19日の「沖縄発言」である。輿石は那覇市内で記者会見し、小沢の判決に関し「裁判が終わり、無罪になれば、党員資格停止は解除される。当然のことだ」と述べ、無罪判決が出た場合、元代表の処分をただちに解除する考えを表明した。
 強制起訴された小沢に対して、民主党が昨年2月に決定した処分は「判決確定まで党員資格停止」。無罪判決であっても、検察官役の指定弁護士が控訴すれば、判決は確定しない。輿石は同21日、党内手続きについて「役員会で議論して、常任幹事会に諮って決定していく」と説明したが、処分解除は小沢が軟化すると期待してのことだ。
 だが、小沢にとって、無罪なら処分が解除されるのは織り込み済みのことだ。小沢はすでに消費増税法案反対から倒閣路線に走り、つまり野田のクビを取ってその後の代表選での主導権回復か、政界再編をにらんでいる。
 だから、野田政権を守ることを基本とする輿石とは明らかに利害が相反する。輿石と小沢のミゾは今後さらに深まり、消費増税法案の衆院本会議採決の局面では対決せざるを得なくなるのではないか。(敬称略)
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「小沢を切れば、消費税法案に賛成も」自民党 石原幹事長/小沢氏の慰留振り切り…木内孝胤議員が離党届 2012-04-02 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
小沢一郎氏裁判 虚偽報告書作成の田代政弘検事が異動 2012-04-01 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
大阪地検証拠改ざん隠蔽事件 元特捜部長らに有罪判決 2012-03-31 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
消費増税反発 小沢系政務三役・党役職者 17人辞表 2012-03-31 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 

国土保全は安全保障の基本/外国資本による日本の土地取得の実態

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国土保全は安全保障の基本 濱口和久「本気の安保論」
2012年3月29日 16:18
日本政策研究センター研究員 濱口和久
<マスコミ報道で明るみに>
  平成19年(2007)に、長崎県対馬市にある海上自衛隊施設の隣接地が韓国資本に買収されていたことが新聞紙上で報道された頃から、外国資本による日本の土地取得の実態が少しずつ明らかになってきた。
 防衛省によると、沖縄県・米空軍嘉手納基地内の軍用地の1部が、すでに外資による投機目的で売買されている可能性があるという。沖縄の米軍用地は3分の1が民有地で、地権者は約3万9,000人いるが、このうち外国人の地権者は231人(平成21年度末)が確認されているという。
 北海道では、倶知安町の陸上自衛隊駐屯地から3キロメートル圏内の林地のうち、外資所有の林地が3件109ヘクタールあることが明らかになった。合わせて道内の自衛隊施設や警察署の3キロ以内に、所有者が把握できない林地が54件、合計で579ヘクタールあることが明らかとなっている(『産経新聞』平成24年1月27日付)。
 とくに米軍用地や自衛隊施設の隣接地のほとんどが、中国資本に所有されていると言われており、日本の安全保障上も深刻な問題である。その他にも外国資本を含む外国人、とくに中国資本による日本国内の森林、リゾート地、商業地などの買い占めが行なわれている。
<日本の水資源が危ない>
  外資が平成18年(2006)から平成22年(2010)に取得した日本の森林は、国土交通省と林野庁の確認分で1道4県の計約620ヘクタールにのぼる。森林は地下に水を蓄える貴重な水源を持っている。また地下水をくみ上げる権利は土地の所有者にある。
  中国では水不足が深刻な社会問題となっており、森林の多くが、水資源を狙った中国資本による買収という見方が強い。
 このような状態に危機感を持った北海道議会は今年3月23日、外国資本などから水資源を守るため、土地取引の事前届け出を義務付ける「水資源保全条例」を可決した。同月26日には埼玉県議会でも、首都圏に水道水を供給する荒川などの水源地を将来的な買収から未然に防ぐ目的で、「水源地域保全条例」が可決された。
<世界の国々は外資による土地取得を規制>
  中国では土地の所有権は原則として国家に帰属しているため、外国人が不動産を取得することはできない。韓国には外国人土地法があり、安全保障上の重要な施設の近くなどは、土地所有を許可制としている。
  ミャンマー、フィリピン、インドネシア、タイなどの東南アジア諸国も外国人の土地所有は原則禁止されている。
 米国は外国投資国家安全保障法によって、土地の所有を含め安全保障に関わる国家にとって重要な土地に関しては外資規制の対象としている。また、米国は自国の安全保障を脅かすと判断された場合には、大統領に土地取得を無効にできる権限が与えられている。ロシアは国境隣接地や港湾用地の外国人による所有を禁止している。
 外国人による土地取得を法律で規制していない国々でも、国家が厳格な使用制限を設けているケースがほとんどである。
  日本では外資を含めた外国人の土地購入に関しては、大正14年(1925)制定の外国人土地法があり、安全保障上重要な土地の取得制限を定めているが、戦後、規制対象を指定した政令が廃止され、この法律自体が形骸化している。
<中国への優遇は危険>
  平成23年(2011)12月には、新潟市中心部(新潟県庁から徒歩数分)の民有地約1万5,000平方メートルの民有地が、中国領事館建設用地として中国政府と売買契約された。この広さは東京ドームのグランド部分よりも広い面積である。
  中国国内では、外国政府による土地取得が認められていないために、日本大使館・総領事館7施設はすべて賃貸となっている。これに対し、日本国内の中国大使館・総領事館7施設は、名古屋、新潟両市を除いてすべて中国政府が土地を所有している。
  日本国内の米国大使館や英国大使館は賃貸契約なのに、なぜ、日本政府は中国政府にだけ土地取得を許すのか、甚だ疑問である。
 外国政府、それも中国のように明らかに対日戦略(政治・軍事的意図)上から土地取得を行なうような国に、広大な土地を売却することは、日本の国土を奪われたのと同然である。このままの状態を放置すれば、気付いた時には日本の国土の主要な地域(場所)が、外国人(とくに中国人)の所有になり兼ねない。
<日本政府は国土保全のための法整備を急げ>
  日本も諸外国並みに外国人に対しては、借地権の限定や、土地の取得数、面積、場所の制限を早急に設ける必要がある。
  とくに日本の安全保障を脅かすと判断された場合、売却ができないようにする。すでに売却された土地でも、日本政府が安全保障上の問題があると判断した場合には、強制的に再度買い取ることができる法律を早急に制定するべきである。(了)
<プロフィール>
 濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
  昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、現在、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。 公式HPはコチラ
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次に狙うのは「日本の森」? 中国マネーが日本の不動産に向かうワケ 2010-12-30|| 政治〈領土/防衛/安全保障〉   
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ニッポンを買い漁っていた成金たちの大混乱2011-04-23 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
日本の土地をそう簡単に売り渡していいのか 名古屋城近くに1万? 中国巨大領事館建設か2011-01-24| 政治〈領土/防衛/安全保障〉

再審準備死刑囚を死刑リストに 執行命令直前に撤回/宮崎知子死刑囚に「再審の理由はない」富山地検

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再審準備囚を死刑リストに 04年法務省、命令直前に撤回
中国新聞 '12/4/3
  野沢太三元法相在任中の2004年、死刑囚の1人が再審請求の準備中だったにもかかわらず、執行候補者のリストに入れられ、執行命令直前になって法務省が請求を確認、候補者から除外されていたことが2日、同省関係者の話で分かった。
  法相に提示された死刑執行候補の撤回は極めて異例。野沢氏が精査に数週間かけたため拙速な執行を回避できたが、即決していた場合、執行されていた可能性が高い。関係者によると、この死刑囚の刑はその後、執行されていないという。
  関係者によると「再審請求や恩赦出願などを行っておらず、およびその予定もない」ことが候補を選ぶ上で重要な条件となっている。この時は再審請求を準備していることを把握していなかったようだ。
  法務省は04年8月ごろ、大阪教育大付属池田小学校で01年6月に起きた児童殺傷事件の宅間守元死刑囚ら3人の資料を執行命令書とともに野沢氏に提出。これを野沢氏が精査している間に、1人の再審請求が確認された。法務省は、野沢氏に報告する一方、この死刑囚を候補から外し、資料などを取り下げた。
  宅間元死刑囚ら2人について野沢氏は9月上旬に執行を命令し、14日に執行した。野沢氏は一連の経緯に関し、共同通信の取材に対して「ノーコメント」としている。
  死刑と再審請求をめぐっては、1999年12月、当時の臼井日出男法相が「棄却が予想される」として請求中の死刑囚を執行した。
  しかし、臼井氏のケース以外は、再審開始決定が出る可能性がないとはいえないことから、再審請求などの準備を進めている死刑囚は外している。法務省関係者は「即決していれば、手続き上の大問題となっていた」としている。
  死刑執行候補とするには再審請求などの有無のほか(1)確定時期がより古い(2)肉体的、精神的に健康である―ことが条件とされている。
  刑事訴訟法では、判決確定後、6カ月以内に執行することが定められているが、条件に沿って運用されているため執行は数年後以降が多い。
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宮崎死刑囚に地検が意見書
KNB WEB 2012年03月30日18:03現在
 昭和55年に起きた富山長野連続誘拐殺人事件で死刑が確定している宮崎知子死刑囚が去年、富山地方裁判所に出した2回目の再審請求に対し、富山地方検察庁が今月、「再審の理由はない」とする意見書を出していたことが分かりました。
 宮崎死刑囚の弁護人によりますと、去年8月に富山地裁に行なった宮崎死刑囚側からの再審請求に対し、富山地検は今月7日、「再審の理由はない」とする意見書を富山地裁に提出しました。
 弁護人は29日本人と面会して話し合い、夏ごろまでに意見書への反論を提出するということです。
 この事件は昭和55年、旧八尾町の当時18歳の女子高校生と長野市の当時20歳の女性会社員が相次いで誘拐されたうえ殺害されたもので、平成10年、宮崎死刑囚の判決が確定しました。
 名古屋拘置所に収監されている宮崎死刑囚の様子について弁護人は、「拘置期間が長く、体調は良くない」と話しています。
[北日本放送]
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関連:富山長野連続誘拐殺人事件 宮崎知子死刑囚 2回目の再審請求/「延命の企図も」弁護人 2011-11-26 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
 宮崎知子死刑囚が2回目の再審請求
KNB NEWS
2011年11月25日18:15
 昭和55年に富山と長野で起きた連続誘拐殺人事件で、死刑が確定している宮崎知子死刑囚が、今年8月、富山地方裁判所に2回目の再審請求をしていたことが分かりました。
 名古屋拘置所に収監中の宮崎知子死刑囚(65)の弁護人によりますと、「警察の一連の捜査には、容疑者への誘導があった」などとしていて、確定判決には事実と異なる部分があり再度審議するよう、今年8月、富山地方裁判所に請求しました。
 2回目の再審請求です。
 この事件は、昭和55年、旧八尾町の高校生、長岡陽子さん(当時18歳)と、長野市の当時20歳の女性会社員が相次いで誘拐され殺害されたものです。
 昭和63年に富山地裁は、宮崎知子被告に死刑、知人の男性には無罪の1審判決を言い渡し、平成10年、最高裁で判決が確定しました。
 宮崎死刑囚は、平成15年に富山地裁に再審請求して19年に棄却され、これを不服だとして即時抗告していましたが、今年7月、最高裁が棄却したことから2度目の再審請求をしたものです。
 弁護人はKNBの取材に対し、「死刑執行を遅らせて延命する意図もある」とコメントしました。
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宮崎死刑囚が再び再審請求 長野・富山連続誘拐殺人
日本経済新聞2011/11/26 10:35
 長野、富山両県で1980年、女性2人が誘拐、殺害された「富山・長野連続誘拐殺人事件」で、身代金目的誘拐や殺人などの罪に問われ、死刑が確定した宮崎知子死刑囚(65)が富山地裁に2度目の再審請求をしていたことが26日、分かった。
 同地裁によると受理は8月15日付。
 宮崎死刑囚は98年に最高裁が上告を棄却、死刑が確定した。2003年に富山地裁に再審請求したが、07年に棄却。これを不服とした即時抗告が08年、名古屋高裁金沢支部に棄却され、その後、最高裁に特別抗告したが今年7月に棄却された。
 事件は、富山県の高校3年の女子生徒(当時18)と長野市の女性会社員(同20)が相次いで行方不明になり、他殺体で見つかった。会社員宅には身代金を要求する電話があり、富山市で贈答品販売会社を経営していた宮崎死刑囚と知人男性が逮捕された。宮崎死刑囚の単独犯行として男性は無罪が確定した。〔共同〕
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〈来栖の独白 2011/11/26〉
 再審は、事件の真実を明らかにするためのものだ。それが往々にして死刑囚の延命のために利用される。純粋に真実を訴えている人びと(冤罪)にとっては、やりきれない仕業だろう。
 東海テレビ『死刑囚弁護人』のなかで安田好弘弁護士も、故木村修治死刑囚のことに関連して、「延命ということでは一段弱い『恩赦出願』をした。再審請求すべきだったと後悔している」と言っていた。木村さんが死刑執行されたときにも、そう語った。
 今回、「延命の手段としての再審請求」と、あっけらかんと言う弁護人。正義と真実に対する冒涜ではないか。私が「再審請求」という言葉に古くから眉唾、胡散臭いものを感じてしまうのは、正に宮崎氏のようなケースがあるからだ。
 死刑囚の出す再審請求については、いま一つ問題があると思われる。A死刑囚が再審請求中ということでガードがかかり、身代わりのように他のB死刑囚が選ばれる(執行が回ってくる)のでは、ということだ。無残な世界だ。
 附けたりを2つ。宮崎死刑囚との名前を聞けば、反射的に北野宏氏を思い出さずにはいられない。北野氏も、宮崎死刑囚に翻弄された一人だが、冤罪と認定されてよかった。知子死刑囚には、藤波姓となった時期があった。
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野田は原発再稼動を決めている

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野田は原発再稼動を決めている
日刊ゲンダイ 2012年4月3日 掲載
枝野の反対は芝居
  野田首相が急ぐのは、増税法案だけじゃない。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働させる動きが急なのである。2日の国会で枝野経産相が「私は再稼働に反対」と表明したが、今夜、3閣僚で協議。順調にいけば、4月中旬にストレステスト(耐性評価)合格第1号として稼働するというのだ。
 「野田と枝野は、役割分担をしているだけ。産業界が再稼働をせっついてるんだから、野田が断れるわけがない。一方の枝野は東電を国有化して、後見人の仙谷に“料理”させたい思惑があるから、再稼働推進の姿勢は見せにくい。ちょっと慎重派を装っていますが、官邸が再稼働を決めれば、折れますよ」(官邸事情通)
  野田が再稼働に前のめりなのは、増税法案を後押しする勢力が再稼働推進派であることが一番だが、もう一つの理由があるという。
 「野田首相を焦らせているのは原油高。それにつられて物価がどんどん上がりかねない。そうなると、支持率はさらに下がるし、これからの国会で増税審議もやりづらい。原発再稼働で、原油高と電気料金値上げをなんとか食い止めたいのです」(全国紙政治部記者)
  アメリカのオバマ大統領が、ガソリン価格の上昇で支持率を急落させたのを見て、さらに焦り始めたらしい。自分を米大統領と比較するあたり、サルマネを通り越して、完全に自信過剰症に侵されている。
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あれから一年、早くも復活する原発「安全神話」 / 再稼動が他党や経済界との取引材料に 2012-03-16 | 地震/原発 
 PRESIDENT Online 2012年3月15日(木) 藤野光太郎
 「3.11福島原発事故」から1年。相変わらず原子炉内部では頻繁に異常が発生し、現場作業も遅々として進んでいない。事故収束にはほど遠い情況だ。
 国内各地の空間線量測定値は事故後、一様に上がっており、陸海空に拡散する放射性物質は今も汚染地域・海域を広げつつある。また、汚染された「食」は、政府が画策した“底上げ規制値”以下という手掛かりだけを頼りに全国で流通している。もはや、汚染地域は福島とその周辺だけではない。日本全国が“事故現場”となってしまったのだ。
 福島県の定時降下物測定値を昨年3月まで遡ると、事故直後に降り注いだ大量の放射性核種は昨秋までにいったん落ち着いていたにも関わらず、今年1月には400ベクレル超、2月も350ベクレルという高い数値が検出されている。いずれも放射性セシウム134と同137が中心だ。日常生活でセシウム被曝が恒常化してしまったということである。
 と同時に、原子炉内部の異常が続いている。2月には2号機圧力容器温度計の値が急上昇。東電は「計器の故障」と説明したが、その後もたびたび異常な温度上昇が続く。3月に入っても圧力容器底部で温度計の1つが異常な数値を示した。これに対して東電は、驚くべきことに「計器故障の可能性があるため監視対象から外した」と発表した。
 危険を監視するために設置した計器が異常温度を報知すれば、まずは状態を確認する。異常な環境だからこそ計器が故障し続けているかもしれず、実は温度が異常で計器は正常である可能性も高いからだ。これを不明にしたまま納得できる説明もせず「監視対象から外す」との発表に、多くの国民が不審を抱いた。
 つまり、事故後1年が経過した今もなお、国民は政府や東電に対して、情報隠蔽やデータ改竄を続けているのではないかとの疑惑を払拭できずにいるということだ。事故責任を問われるべき東電幹部や関係官僚は誰一人として断罪されず、被害者の生活をズタズタにしておきながら補償を渋る東電と金融機関は国庫で救済され、財源には国民の新たな税金が充てられる。危険は広がる一方だ。事態は好転せず、問題は何も解決していない。
■再稼動が他党や経済界との取引材料に
 それどころか、すでに崩壊したはずの「神話」が今、政府と電力会社、原発関連企業、そして、御用学者や御用メディアを通じて再び甦りつつある。「安全は、技術革新と基本設計、制度改革で取り戻せる」「化石燃料の高騰を考えれば、原発のコストはそれほど高くはない」「温暖化防止を考えれば、エネルギーミックスとして原発がやはり必須だ」「原発を止めたら経済が成り立たない」――。
 事故から「1年が過ぎた」のではなく、事故が「2年目に入った」のだ。喉元を過ぎてもいないのに、熱さを忘れたフリをするのか。
 しかし、事故が勃発したら取り返しがつかないのが原発である。日本のような地震列島で完璧な安全対策は不可能だ。復旧や補償に要する途方もない財政出動は、原発に経済合理性がないことを明示している。CO2による地球温暖化説にも根強い異論がある。そもそも、世界のCO2排出量の大半を占める米中両国が温暖化防止にはそっぽを向いており、日本の努力は無駄だと分かっているからこそ、民主党政権も削減ルールから離脱しようとしているのだ。原発を放棄すれば経済が破綻するから再稼働が必要という理屈は、国民に「悲惨な事故のことなど早く忘れてしまえ」と言うに等しい。
 ところが、最近になって急にこうした理屈を背景にした物言いが、政権中枢から出始めている。
 国内54基中、稼働中の原発数基が4月末までに定期検査で停止すれば、日本の原発は瞬間的に「全停止」となる。その後の「再稼働」について、政権の顔ともいえる面々が「やる方向」であることをちらちらと洩らし始めたのだ。
 2月24日、事故直後の官房長官として福島県民をミスリードした枝野幸男経産相が、BS番組で「今の電力需給状況では稼働させていただく必要がある」と述べ、再稼働がなければ電気料金は「5%とか10%とか15%とかいうレベルで上がる」と発言。3月に入って早々、今度は細野豪志環境省兼原発事故担当相も「安全性が確保できたものについて再稼働は必要だと思う」と発言(4日付、産経新聞)。その前日には、野田佳彦首相が「再稼働を政治判断した時には、政府が地元自治体を説得する」との意向を海外メディアに明言した。
 「今、水面下で政界再編の駆け引きが進行中です。再稼働は他党や経済界との取引材料です」(野党議員秘書)。
 事実であれば、とんでもない話だ。
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「死刑囚にも情報開示を」尾田信夫死刑囚 刑場写真閲読不許可で提訴/確定死刑囚の処遇の実際と問題点

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「死刑囚にも情報開示を」 刑場写真閲読不許可で国を提訴 福岡地裁
西日本新聞 2012年4月3日12:25
 死刑執行の刑場の写真が掲載された印刷物を差し入れたところ福岡拘置所が閲読を不許可としたのは違法だとして、同拘置所に収監中の尾田信夫死刑囚(65)と、再審請求弁護人の上田国広弁護士=福岡県弁護士会=が3日、国に660万円の国家賠償を求めて福岡地裁に提訴した。
 訴状によると、上田弁護士は2010年10月、尾田死刑囚に、死刑廃止を求める団体の機関紙を再審請求資料として郵送。機関紙には、同年8月に報道機関に東京拘置所の刑場が公開された際に撮影された写真が掲載されていた。福岡拘置所は「写真を消した上で交付する」と伝え、死刑囚が同意しなかったところ、閲読不許可とされたという。
 提訴後に記者会見した上田弁護士は「閲読不許可となったことで、弁護人と死刑囚が情報交換する接見交通権が侵害された。死刑囚にこそ、死刑に関する情報が知らされるべきだ」と強調。原告弁護団の徳永響(とよむ)弁護士は「訴訟を通し、情報公開の不十分さなど死刑を取り巻く状況も明らかにしていきたい」と話した。
 福岡拘置所は「適切に対処したい」とコメントしている。
 尾田死刑囚は、1966年に起きた強盗殺人放火事件で71年に死刑が確定。3月に福岡高裁が第6次の再審請求を棄却し、弁護側は近く最高裁に特別抗告する方針。
=2012/04/03 西日本新聞=
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確定死刑囚の処遇の実際と問題点---新法制定5年後の見直しに向けて
明治大学名誉教授・弁護士 菊田幸一 『年報 死刑廃止2010』インパクト出版会
 新法制定5年後(2011年)の見直しに向けて関係者からの情報が数多く寄せられている。筆者も、これまでに一般受刑者につき焦点を当てた詳細な報告をしているが、未決拘禁者をはじめ確定死刑囚の扱いについては特段の報告をしていない。本稿において確定死刑囚の扱いについて、新法制定とその後の実際について検討し、法見直しのための情報を提供する。
1 確定死刑囚の法的地位 (p132〜)
 確定死刑囚の法的地位に関しては、旧監獄法において、その第9条が「死刑の言渡しを受けたる者」は刑事被告人に適用する規定を準用する、としていた。監獄法の制定に参加した小河滋次郎は」、その著『監獄法講義』(95頁)において「死刑確定者は、その性質においても、未決被告人と同一の処遇をすべきであるとするのが文理に忠実である」、と述べている。事実、死刑確定者は、監獄法制定いらい、長年にわたり未決勾留者と同類の扱いを受けてきた。
 1963年に矯正局長通達「死刑確定者の接見及び信書の発受について」(以下「63年通達」)が出されたが、その後も死刑確定者は、未決勾留者なみの扱いを基本的には受けていた。
 ところが1970年代後半になって第1に、全共闘の闘士たちによる監獄改良運動、第2に、死刑確定者の再審無罪が相次ぎ、死刑制度に対する批判や疑問が多く出された、等の要因から63年通達が厳格に扱われるようになった。
 63年通達の骨子は、〔1〕本人の身柄の確保を阻害しまたは社会一般に不安の念を抱かせるおそれがある場合、〔2〕その他の施設の管理運営上支障を生ずる場合には、おおむね接見・信書の許可を与えないこと、としている。旧監獄法のもとにおいては、前述のように、監獄法第9条が別段の規定がなければ未決勾留者と同一の扱いをするものとし、死刑確定者について別段の規定がなかったので、「許可を与えない」ことが法理上有り得ないものとして批判されてきた。
 ところで、63年通達は、単に死刑囚の面会、通信の項目について、その制限を「身柄の確保」および「心情の安定」と結びつけて規定したものであるが、死刑囚の法的地位は、これらの課題だけで位置づけられるものではない。しかし旧監獄法において、確定死刑囚につき同法第9条以外に特段の規定があったわけではない。そこで新法制定の機にこれまでの、いわば法的不備の諸点を一挙に処理しようとしたかに思われる。
 しかし、法制定作業の過程は必ずしも納得できるものではなく、中身についても充分な論議を尽したものとは言えない。その根拠については後述するが、そもそも新法においても基本とされているのは、従前どおりの「身柄確保」と「心情の安定」であり、とりわけ抽象的用語である「心情の安定」が確定死刑囚処遇の基本原理となっている。その基本原理が抽象的であり原理にふさわしいか否かを含めて問題がありすぎる。そもそも「心情の安定」という情緒的用語が確定死刑囚の処遇の根拠とされていること自体が納得できるものではない。
 少なくとも旧監獄法下において「死刑囚の法的地位」は、「一種の受刑者ではあるが、行刑上の矯正の対象としてではなく、単に刑の執行を待つ者として在監中いわば高い法律的地位を認め、比較的自由な処遇を与える」(小野・朝倉『監獄法』86頁)という考えが一般的であった。
 ところが前述の63年通達において「罪の自覚と精神の安静裡に死刑の執行を受けることとなるように配慮すべきであるので処遇に当たり、心情の安定を害するおそれとなる交通も制限される」とし、ここではじめて「心情の安定」たる用語が登場した。そして、この原理がその後の実務において確定死刑囚の処遇の制約の根拠とされてきた。
 これまでの、わが国の確定死刑囚の処遇が国際人権(自由権)規約第7条「非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いの禁止」や第10条の「人間の固有の尊厳の尊重」に反するとする同委員会の勧告を再三にわたり受けてきたことは周知のところである。その根拠にあるものは、「心情の安定」からする死刑囚の扱いにある。
 非人道的扱いの根拠とされる、法によらざる単なる通達での「心情の安定」を新法において「死刑確定者の処遇の原則」(第32条)に法として盛り込むに至った。自由権規約第7条および10条の理念に逆らう処遇を合法とする危険がある「心情の安定」が、新法の施行後において、いかにその実際の処遇に現れているかを、ここに検証しなければならない。
2 確定死刑囚処遇の原則
 新法は、〔死刑確定者の処遇の原則〕において、その第32条で「死刑確定者の処遇に当たっては、その者が心情の安定を得られるようにすることに留意するものとする」と規定した。この条項の新設については2つの問題がある。
 第1は、前述したごとく、受刑者(とりわけ未決拘禁者)一般とは区別して「死刑確定者の処遇」を法的に独立させた条項を設けた点、第2は、「その者が心情の安定を得られるようにすることに留意する」という、「心情の安定」への積極的関与を法的に位置づけたことにある。
 第1の点については、旧監獄法下での位置づけについて若干の指摘をした。問題は、少なくとも、「心情の安定」については、63年通達において「面会・通信」に関する制約であった。ところが新法32条は、「死刑確定者の処遇の原則」のなかに「心情の安定」を位置づけた。このことにより面会・信書はもとより運動・入浴・居室、その他、死刑確定者の処遇の態様すべてにおいて「心情の安定」が支配し、その法的根拠を与えることとなった。すなわち従来の「単に執行を待つ身分」としての法的位置付けから、とめどなく死刑確定者の内心に至るまで「心情の安定」を根拠に侵入し得る根拠を与えるものとなった。
 第2点の「心情の安定」への積極的関与の可能性に関しては、安易にかかる法規定を許した点を含めて、その経過について稿を改めて述べておかなくてはならない。
3 「心情の安定」の制定過程
 新法制定までの長年にわたる、いわゆる刑事施設法立案の経過のなかで、もっとも重要な法案は、1982年に国会に提出された「刑事施設法案」である。
 その基本となったのは、1976年の「監獄法の改正の構想」であり、これにより法制審議会監獄法改正部会が審議を開始し、1980年に「監獄法改正の骨子となる要綱案」が公にされた。その要綱を基本として法務省が作成したのが「刑事施設法案」である。
 これを死刑条項について対照するならば、まず構想の段階では、「死刑確定者の処遇」について、「(44)死刑確定者は勾留施設に収容し、その処遇は、面会及び信書については、受刑者に対する処遇とおおむね同様とするものとする」とした。受刑者と同様に面会・信書が許されるのは、?親族、その一身上、法律上又は業務用の重要な用務の処理のため必要と認められる者、である。ただし、これ以外の者との面会・信書の発受は「死刑確定者の身柄確保及び心情の安定を害するおそれがないことが明らかなとき」に許す(法務省矯正局編「続・資料・監獄法改正」構想細目、109頁)としている。
 要綱では、おおむねこの構想を踏襲したが、構想では「心情の安定を害するおそれがないことが明らかなときは」としているに対し、要綱では、単に「心情の安定を害するおそれがないとき」とし、「明らかな」を削除している。これは「心情の安定」による関与を幅ひろく解釈することを伏線としたものと解される。ところが刑事施設法案においては、構想および要綱になかった「処遇原則」にこの「心情の安定」を掲げた。その結果として当然ながら面会・信書の発受だけではなく、その他の死刑確定者の処遇一般に「心情の安定」による制約が拡大されるに至った。その表現も「明らかに心情の安定を害する」から「心情の安定を得られるようにする」(法案15条)、または「心情の安定に資するため」(同117条、118条)となり、より積極的に施設側が死刑囚の内心にまで立ち入ることを可能にする根拠を与えるものとなった。
 新法においては、この「心情の安定」をどのように位置づけているか。法32条は「心情の安定を得られるようにすることに留意するものとする」とある。この「留意する」の意味は、これまでの「得られるようにする」、「資するため」とは異なり、単純な「意向」にとどまるものではなく、法的義務としてより積極的に関与する根拠を鮮明にし「心情の安定」が「権利制限原理」として作用することを法的に義務付けたものである。かかる原理が「死刑に直面する者」の原理として国際的にも違法であることを改めて確認しなければならない。
 このような新法における、いわば死刑条項の具体的法案作成がどのような経緯においてなされたかについて、筆者は不幸にして知らされていない。基本的には刑事施設法案を踏襲しているが、それ自体が法案審議会の検討を得たものではない。どのような経緯で法案が作成されたにせよ、これまでの死刑条項の法案作成の経緯から見て事実上、1980年らいの法案作成作業の積み重ねを無視したものであり、少なくても法制審議会の議を経ることなく作成された新法、とくに死刑条項は、手続き的にも問題がある。
4 新法における死刑確定者の問題点 (p135〜)
 新法では、基本的には「被収容者の処遇原則」を死刑確定者にも適用する形式をとりつつも、死刑確定者につき別段の条項を設け、扱いを異にするという巧妙な法体系をとっている。というのは、一見するところ確定死刑囚も被収容者の範疇にあることを法体系のなかで位置づけながら、他方では、そのことごとくを「心情の安定」のもとに特殊扱いするものとしている。
 いわゆる被収容者一般については、すでに別稿で問題を提示したので、まず死刑確定者の特段の扱いに関する問題点について検討することとし、その後において被収容者としての条項の適用下にある死刑確定者が現に受けている異なる扱いの諸問題について検討することとする。
 確定死刑囚の扱いについて、差し当たり問題とすべき課題には、第1にこれまでに検討した「心情の安定」に関連する実務上の問題、第2に昼夜独居、第3に外部交通に関する面会・信書の扱い、第4に死刑囚の生活一般の問題、第5にその他に分けて、いずれも新法のもつ課題として検討されなくてはならない。実際的には、第1に、各拘置所などにおいて所長名の達示のもとに出している「死刑確定者処遇規定」(以下、処遇規則)あるいは「生活のしおり」等の文言の検討と、第2に、これら文言が現実の死刑確定者の日々の生活にどのように適用され、または適用されていないか、を検討しなくてはならない。
 ここで注目しておかなくてはならないのは、これら処遇規定なるものは、所長による単なる「達示」であり、法的根拠あるものではない。そこで処遇規定では、「確定者の処遇については、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律等の関係法令及び別に定めのある場合のほか、この規定に定めるところによる」として法によることを基本であるとしつつも、付随的に「この規定」によるものとしている。
 この点については、新法の「留意する」の文言の意味について前述したが、これら「処遇規定」は、法32条の「留意する」を現場の法的義務とするとともに、現場が制定した「処遇規定」が現場では最優先することを表明したものである。確定死刑囚の日常生活において、まず直接作用するものは、この所長達示等であることは、受刑者一般を含む日本行刑の基本であるところからもうなずけるものである。
5 「心情の安定」にかかわる課題
 新法における「心情の安定を得られることに留意するものとする」(32条)文言が実務においてどのように適用されているかであるが、手元にある札幌、宮城、東京、名古屋、大阪、福岡の各拘置所等の「死刑確定者処遇規定」によると、「収容の確保と心情の安定を図り、適切な処遇を行うことを目的とする」(札幌、東京、名古屋、福岡等)を骨子とし、あるいは、「心情の安定を得られるようにすることに留意し・・・」(大阪、広島等)とし、いずれも新法32条を基本にしている。
 しかし、これら「処遇規定」でが、「心情の安定」を根拠に、面会、信書の発受等に許否を判断することを規定する一方では、「心情の安定に資するため希望者には、居室内において映画等のビデオまたはテレビを視聴させることができる」(宮城、第5条ー4)、としつつも「確定者が購入する書籍、新聞紙等の購入手続及び居室内における同時所持冊数については、未決被収容者に準ずるものとする。ただし、心情の安定のため必要と認められる場合は、この限りでない」(同第八条)とし、「心情の安定」から、いかようにも制限することが可能であるとしている。
 このように「心情の安定」は確定死刑囚の基本生活のすみずみまで支配している。その判断基準は物理的に設定できる性格のものでないことは、これまでに縷々検討した。これが実務においてどのように実施されているかについては項を改めて紹介するが、「心情の安定」はつとに「内心」の問題であり、他人により判断される問題ではない。その意味で合理性のない「心情の安定」を基本とする新法32条は憲法19条に違反しているし、かかる「処遇規定」なるものは基本法の理念そのものを越えるものであり、特別権力関係の存在を明らかにしている点で見逃してはならない問題である。
 東京地裁平成6年12月13日判決では、「心情の安定を図る必要性については、拘置所長が死刑確定者の身柄確保の必要性又は拘禁施設の正常な管理運営、規律及び秩序の維持という拘禁目的を達成するために死刑確定者との外部交通の許否を判断する際の一要素となるに止まるものであって、それ自体が死刑確定者に贖罪観念を起こさせ、死を安らかに迎え入れる心境に至らしめることなどの積極的な拘禁目的を形成するものであってはならないことはいうまでもないことである」と判示している。
 これらを踏まえ、平成18年4月14日(衆議院法務委員会)、同年6月1日(参議院法務委員会)は、「刑事施設及び受刑者の処遇に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」において、政府は、本法の施行に当たり、「死刑確定者処遇の原則に定められている『心情の安定』は、死刑に直面する者に対する配慮のための原理であり、これを死刑確定者の権利を制限する原理であると考えてはならないこと(を徹底すること)としていた。
 同年4月14日の衆議院法務委員会で参考人として出席した、当時の法務省矯正局長・小貫芳信氏は、「心情の安定は、こちらが主体的な確定者の思いに援助をしていく、ということで考えておりまして、これを制限根拠規定にしようというような考えはございません」と答弁している。
 ところで日弁連関係の資料(「日本における死刑制度--その問題点と改善の提言」資料11、46頁)によると(日弁連死刑執行停止法制定等提言・決議実現委員会、2008年3月25日第6回全治会議・資料)、「・・・『心情の安定』という文言は、従来とは全く異なり、、死刑確定者に対する配慮・援助のための文言として再定義されたうえで、新法に組み込まれた」と述べ、「心情の安定」が「権利制限原理」とは無関係な用語であるかの表現をし、法務省当局への無節制な迎合をしている。
 果たしてそうであるか。先にあげた法務委員会での矯正局長の発言から1年も経たない平成19年5月30日付「依命通達」では「死刑確定者の心情に与える影響等を考慮し・・・」とし、「心情の安定」を死刑確定者の権利制限の原理とすることを明らかとしている現実を知るべきであろう。
 一歩を譲り「心情の安定」が、たとえ「主体的な確定者の思いを援助する」ものであるとしても、かかる「心情の安定」を理由として確定者の内心に立ち入ることは、これを拒否する。なぜなら「心情の安定」は法による世界とは異なるからである。
 「心情の安定」が死刑確定者の日常生活にいかに支配しているかを、さらに検討する。
(一)昼夜独居
 法は、36条2項において「死刑確定者の居室は、単独室とする」としつつも、居室外で行うことの可能性についても規定している(第36条1項)。そこで、たとえば、宮城刑務所、東京拘置所では、処遇規定において、「確定者の居室は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う」とし、一応は例外のあることを示唆はしている。ところが、いずれの拘置所でも、「確定者は、単独室に収容」とし(札幌、東京、名古屋市、大阪)、あるいは「死刑確定者の居室は、少なくとも4月(或いは6月、東京、名古屋)毎に1回は転室を行わなければならない」(福岡、第5条)とし、夜独居を前提としている。
 法36条の居室外での処遇が事実上はあり得ない現状からは、単独室に限定していることを法的に問題とすることもないと言えようが、法そのものが、居室外での処遇を「心情の安定」により縛りをつけていること自体が巧妙な法逸脱防衛策である。
 ただし、その法施策自体が司法判断の視点からは違法であることをも免れない。先に引用した東京地裁判決の判示する「心情の安定」なるものが死刑囚の内心を支配するための口実とされることは違法であるからである。他の死刑囚との接触が「心情の安定」を害するとの施策は、それ自体が人間の内心を支配するものであり、そのことは確定死刑囚を人として扱うことを否定したものである。こんにちの確定死刑囚への昼夜独居の扱いは国際基準を持ち出すまでもなく非人道的であり即時廃止されるべきである。
(二)面会
 法120条1項では、?死刑確定者の親族、?婚姻関係の調整、訴訟遂行、事業の維持等での用務の処理に必要な者との面会を「許すものとする」としている。しかし実際には親族でも面会が無条件に許可されているわけではない。親族でも未決中に縁組した者との面会や内縁の妻にはきびしい制限があり、原則不許可である。友人についても条件がきびしいが、友人のない死刑囚は、死刑確定後だれ1人とも面会がなく、「どうせ死ぬのだから好きな人を会わせて欲しい」と記載している者もいる。
 同条2項では、「前項各号に掲げる者以外の者」、友人らとの面会については、「施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがないと認められるとき」との条件付き「許すことができる」としている。
 この「規律秩序の維持」については、受刑者と同様の規定となっているが、受刑者についてはこれを根拠に多くの場合において友人等との面会を不許可にしている。つまり「規律秩序を害することなく、矯正教育に支障を生じさせない場合」でも不許可に出来るというものであり、法規定の持つ意味がない状況となっている。
 ところで確定死刑囚についても、法による「規律秩序の維持」の他に拘置所によっては「死刑確定者処遇規定」において、「死刑確定者の心情の安定に資すると認められる者」を付加している(例・名古屋、大阪拘置所)。このことから、たとえ法120条2項の「これを許すことができる」を「これを許すものとする」と改めるにしても、「心情の安定」から「許さない」ことが実務上の扱いとなるであろうから、法改正のみでは不十分である。かくして日本における行刑は、いぜんとして法以前の特殊権力関係論が優先していることを認めざるを得ない。
 とくに弁護士には面会を許す保障がなされるべきである。施設によっては弁護人になろうとする者との接見を不許可としている。その理由は告げられていない。筆者の経験でも東京拘置所において、これまでに許可していた確定死刑囚について、突然「本人が接見を希望していない」として不許可にしている。その本人の意思は確認できる性格のものではない。事実上の「管理運営上」の都合が最優先している(この処置は死刑囚の家族に対してもとられたことがある)。
 弁護人の面会については、新法下においては基本的には職員の立会いのない処置(法112条、弁護士法3条1項)がとられていると思われるが、受刑者については、施設内の処遇に関連する訴訟準備のための弁護人の面会に職員が立ち会うことも、新法下で行われている。確定死刑囚についてもことは同様である。そもそも本人と面会しなければ訴訟提起の検討ができないのであるから、訴訟提起後だけに無立会いを限定することには意味がない。法による規定が必要である。
 再審請求弁護人は法第111条1項2号および120条1項2号(法律上または業務上の面会)により接見しているが、接見時の立会については施設長の裁量に委ねられている(112条、121条)。その実際は、必ずしも無立会が保障されているわけではない。
 弁護士の再審準備のため等の面会について、弁護人、弁護人になろうとする者に、その秘密接見が法的に保障されなければならないが、新法では、そのような規定がない。
 面会時間については、受刑者と同じく1回の面会時間が5〜8分が多い。最低でも30分を遵守すべきである。なお長期化する死刑囚の面会には、家族の都合も考慮し、土、日に面会を許可する検討がなされるべきである。
(三)信書
 信書に関しても面会と同じく法139条で「規律秩序の維持」という同類の枠組みを設定している点で同じ問題を擁している。同じく拘置所によっては信書の発受も「死刑確定者の心情の安定に資すると認められる者」に限定している。(例・名古屋拘置所)。つまり当局が「認められない者」と判断することで信書の発信を不許可とすることができる。面会と同じく、その客観的基準はない。たとえば最近の例として、手紙の最後に「・・・さんによろしく、お伝えください」と書いたら「それは、この手紙の内容の伝言を依頼していると考えられるから、発信不許可だ」とされた。親族を通じての友人への伝言もできない。
 親族、友人等からの着信があっても、だれからの手紙であるかも知らされない。むろん許可された相手への発信も検閲を受け、抹消しなければ許可されないことが一般化している。弁護士への発信もその必要性を説明しなくては発信させないことがある。
 また着信の内容が「死刑確定者が心情の安定の陥るようなおそれがある記述があるとき」(名古屋拘置所処遇規定第23条3項)に「その部分を抹消若しくは削除し、又はその信書の交付を許さないことができる」(同条4項)としている。法139条が「発受により死刑確定者の心情の安定に資すると認められる信書」を許すとしているのであるから、「心情の安定の陥るような」信書を削除等ができる、とするのは合理的根拠があると言えそうであるが、法141条は「信書の内容による差し止め等」を具体的に規定しているのであるから、それ以外に「心情の安定」から、抹消もしくは削除できるとする達示は法を超えたものである。
 とこrで、法140条は、「死刑確定者が発受する信書については、検査を行わせるものとする」としているが、受刑者と同じく、弁護士との間で発受する信書については「確認の限度」にとどめている。ただし、その例外は、「規律秩序」からの制約を満たしていることが条件である(これ自体が問題だが)。ところが先に紹介した名古屋拘置所の処遇規定では、「心情の安定」からの抹消、削除を可能にしている。このことは基本法そのものを拡大したものであって、法によらざる執行が優先した典型であるといえよう。
 この扱い規定からすれば、弁護士による再審準備もことごとく制約が可能となる。これらの問題は、法の不備というより執行機関の独走とも解されるが、基本には「規律秩序の維持」「心情の安定」の基本原理を柱とする法そのものに問題があることはいうまでもない。
6 確定死刑囚--昼夜独居
 確定死刑囚は、新法において「死刑の言渡しを受けて拘置される者」(法3条1項4号)とはいえ、「被収容者の処遇」(法第2編)のもとにある。その確定死刑囚の生活は、当然ながら法の下での「人間の尊厳の存在」を基本とするものであることはいうまでもない。死刑確定者の生活の実態については、これまでにも若干の報告がある。
 死刑確定者の生活においてとくに問題があるのは、昼夜独居の実態である。
 法的には、昼夜独居以外の可能性を規定していることは前述したが、現状はすべての確定死刑囚は昼夜独居を強いられている。東京拘置所を例にとると、独居房の広さは、3畳に1畳の板の間にトイレ、流し台がついている。窓の大きさは縦150センチ×横120センチほどで穴あき鉄板がついていて外は見えない。この舎房内で朝7時の起床から9時の消灯時間まで過ごす。この間の食事も舎房内でするが、1日のうち約30分の戸外運動では房外に出るが、単独の運動(週2日くらいともいわれる)である。その他、入浴(1週間に2回)、面会、宗教教誨のとき以外は居房の外に出ることはない。その間の他の死刑囚との接触はいっさいない。
 しかも一部の自殺のおそれあると判断される死刑確定者は自殺防止房と呼ばれる特殊な房に収容されている。最近では、処遇上問題があると思われる死刑囚もこの特殊房に収容されているとの報告がある。この独房には一切の突起物がなく、水道の蛇口は壁に埋め込まれ、水道の栓は押しボタン、窓には穴あき鉄板が貼られ通風や採光がまったくない。この舎房内には24時間看視できるテレビカメラが作動している。自殺防止とはいえ、これを名目に特殊房に収容しているとの報告が絶えない。
 1998年に「死刑廃止フォーラム」が実施した死刑囚へのアンケートでは、東京拘置所の6名の特殊房に収容されている確定死刑囚から回答を得ている。そのうちの1人は「死ぬまでに1度は夜間照明のない部屋で眠りたい」と記していた。すべての舎房では夜間も10ワット程度の蛍光灯が24時間ついている。24時間を看守の監視のもとにおかれ、つねに居室の指定された場所にいなくてはならない。横になることは許されない。ちなみに韓国では、確定死刑囚も他の受刑者との雑居が許されている(胸に札をつけて区別しているが)。それどころか外部の複数のボランティアが寿司を持参し、楽器を奏でて1日の慰労を過ごす。その良し悪しはともかう、わが国でも、たとえば帝銀事件の平沢貞道死刑囚は支援者が死刑囚の居房を訪れ、彼が制作したテンペラ絵を販売する手助けをしていた。また免田栄元死刑囚は、死刑囚同士で野球をしたり花壇の手入れをしていた。
 新法そのものが果たして「人間の尊厳」を基本理念としているか否かについて残念ながら疑問をもたざるを得ない。ただし、法それ自体を動かすものは人である。新法が「人権を尊重しつつ、これらの者の状況に応じた適切な処遇を行う」(法第1条)ことを目的とするにおいては、法そのものに「人間」を反映させなくてはならない。ところが世界的にも類をみない非人道的扱いが日本における確定死刑囚の実態である。
7 確定死刑囚・今後の課題
 死刑に関する国際基準としては「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する国連決議」(1989年12月)をはじめ、「「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(1966)、(以下自由権規約、日本は1979年6月批准)、「被拘禁者処遇最低基準規則」(1957)、「形態を問わず拘留または拘禁されている者の保護に関する原則」(1988)、「被拘禁者処遇原則」(1990)等がある。
 このうちの「自由権規約」は、批准した国の国民を拘束する条約であり、それに違反することは国内法と同一の効力を有する。同規約の第4回規約人権委員会は、日本における死刑確定者のおかれている状況について、とくに面会、通信の過度な制限、死刑囚官房における状況について「人道的に改善すること」を勧告している。規約第7条は、「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない」としている。
 あらゆる日本における死刑確定者の扱いは、面会、通信、日常生活のすべてにおいて人道的扱いを受けていない。本稿では述べなかった不服申立においても人としての扱いを受けていない。
 とくに新法では、死刑確定者に関する条項が被収容者の条項に包括され、それなりに意味あることではあるが、本稿で指摘したように、一方では、「心情の安定」のもとで現実を制約している。その最先端での役割が各拘置所での「処遇規定」である。
 その「処遇規定」自体が個別的な規定をおくことなく、基本的には「施設の秩序維持」で裁量権の支配するものとなっている。たとえば弁護士への発信に関する検閲についてすら規定することなく事務での裁量で検閲している。まさに法によらざる行刑執行が優先している。
 かかる「処遇規定」なるものが実務の根拠として可能であるのは、言うまでもなく法そのものの基本原理のありようにある。しかし一歩を譲り、仮に「心情の安定」が当局の認識しているとされる「処遇規定」に立ち入らない原理であるとするならば、その原理を越える実務が現に優先することを可能にしている事実をどうとらえればよいのかが課題となる。
 この問題について詳細を論じることは、ここでは差し控えるが、結論から言えば、立法者の意図とは関係なく法は「一人歩きする存在」である。とりわけ日本の行刑はいぜんとして旧来の特別権力関係から脱却できていない。そこで法のあり方は、ここで課題にしている「心情の安定」それ自体が特別権力関係論と親和性ある存在である。
 基本的には、法手続き的にも問題があり、国際準則にも違法の疑いがある新法の死刑条項は、全面的に見直しされるべきである。石塚伸一教授が提唱している「死刑確定者処遇法」(仮称)の独立立法に賛同する。後述するようにアメリカでは、各州がこの種の処遇法を制定している。
 さりとて、ここでこの独立立法を提唱するだけで結論とすることは実際的でない。実は、本稿の主たる目的はそこにある。すなわち、これまでに指摘してきた個別的な条項について、解釈においていずれにも可能な法用語を極力排除することである。これまでに指摘した例として「許すことができる」ではなく、「許すものとする」の類である。とりわけ確定死刑囚の実務を根拠づける法規は(個人的には不本意ではあるが)、解釈を許さない直接・具体的条項でなくてはならない。
 たとえば筆者の手許にあるINMATEHANDBOOK FOR NEW JERSEY STATEPRISPON, CAPITAL SENTENCE UNIT, DEPT. CORRECTIONS.1990(A4、全47頁、これを紹介したものとして、菊田「JCCD」68頁参照)を参照すると、この規定は、むろん州法として成立したものであるが、たとえば部外者との接触には、信書、面会、電話による方法がある。これら家族や友人との関係を保つことを当局は推奨するが、それには、遵守事項を守る義務があり、これに違反した者には希望を満たすことはできない、とし詳細な規定をしている。つまり権利を与えるが、それに見合った義務を守らない場合は、その権利を与えない、との方針で一貫している。立法精神の本質からは当然のところである(なお、ニュージャージーは現在は死刑廃止州)。
 新法制定後の5年目のこの機会にせめてこの程度の部分改正を求めねばならない。同時に、かかる国際準則にも違法の疑いがある法および実務の扱いについて裁判を通じて問題提起をし続けなくてはならない。
 最後に筆者が強調しておきたいことは、かかる「非人道的扱い」の実態は、単に死刑確定者に限定されたものではなく、日本における刑務所での受刑者一般での課題であるということである。死に直面する日本の確定死刑囚の扱いが国際的にも非難される恥辱的状況にあることは、同時に日本の受刑者すべてが恥辱的状況であることを示している。確定死刑囚の扱いが「法による支配」に向かっていないならば、日本の刑務所にいるすべての受刑者の処遇に法的改善の方向を見つけることは困難である。
 聞くところによると法務省は、2011年に予定されている新法5年目の見直しについては、そのいっさいの部分改正も予定外であるといわれている。
 筆者は、前述したように、この数年をかけて新法5年目の見直しに向けて、受刑者と今回の確定死刑囚のそれぞれについて、可能な問題点の指摘のための作業をしてきた。当局に新法改正の意図がないとしても、そのこととは関係なく、日本の犯罪者処遇が現状のまま放置されるような環境でないことを早晩気付かざるを得ない状況に至るものと確信する。

【63年法務省矯正局長通達】
法務省矯正甲第96号
昭和38年3月15日
死刑確定者の接見及び信書の発受について
 接見及び信書に関する監獄法第9章の規定は、在監者一般につき接見及び信書の発受の許されることを認めているが、これは在監者の接見及び信書の発受を無制限に許すことを認めた趣旨ではなく、条理上各種の在監者につきそれぞれその拘禁の目的に応じてその制限の行われるべきことを基本的な趣旨としているものと解すべきである。
 ところで、死刑確定者には監獄法上被告人に関する特別の規定が存する場合、その準用があるものとされているものの接見又は信書の発受については、同法上被告人に関する特別の規定は存在せず、かつ、この点に関する限り、刑事訴訟法上、当事者たる地位を有する被告人とは全くその性格を異にするものというべきであるから、その制限は専らこれを監獄に拘置する目的に照らして行われるべきものと考えられる。
 いうまでもなく、死刑確定者は死刑判決の確定力の効果として、その執行を確保するために拘置され、一般社会とは厳に隔離されるべきものであり、拘置所等における身柄の確保及び社会不安の防止等の見地からする交通の制約は、その当然に受忍すべき義務であるとしなければならない。更に拘置中、死刑確定者が罪を自覚し、精神の安静裡に死刑の執行を受けることとなるよう配慮さるべきことは刑政上当然の要請であるから、その処遇に当たり、心情の安定を害するおそれのある交通も、また、制約されなければならないところである。
 よって、死刑確定者の接見及び信書の発受につきその許否を判断するに当たって、左記に該当する場合は、概ね許可を与えないことが相当と思料されるので、右趣旨に則り自今その取扱いに遺憾なきを期せられたい。
    記
一、本人の身柄の確保を阻害し又は社会一般に不安の念を抱かせるおそれのある場合
二、本人の心情の安定を害するおそれのある場合
三、その他施設の管理運営上支障を生ずる場合
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中日・東京新聞はかつてなく充実している/「他紙が何を書こうが我々は我々の道を行く」腹をくくったようだ

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東京新聞の挑戦
「魚の目」2012年4月2日 魚住 昭
 私は十年ほど前から東京新聞の「新聞報道のあり方委員会」の委員を務めている。日々の紙面に目を通し、第三者として意見を述べるのが役目である。
 ただ実際に東京新聞幹部らと顔を合わせ、議論する機会は年に二度しかないから、社の内情は知らない。あくまで記事を通して記者たちの心情や取材風景を想像するに止まっている。
 そういう前提で私の話を聞いてもらいたいのだが、最近の東京新聞の報道はかつてなく充実している。紙面全体に躍動感がある。記者たちの言いたいことがはっきり伝わり、彼らの怒りや悲しみが直に心に響いてくる。一読者として、日本の新聞も捨てたものではないなと誇らしげな気持ちになってくる。
 具体例を挙げよう。2月5日の朝刊一面トップに「『主 権在官』打ち破れ」という日隅一雄さん(四九歳)のインタビュー記事が掲載された。日隅さんは末期ガンと闘いながら、3・11後の東電・政府の記者会見を監視してきた弁護士である。
 日隅さんはその中で「官僚は匿名。だから責任を取らない。彼らに有利な情報しか出さず、常にメディアをコントロールしようとする。日本の民主主義は上っ面だけ。『主権在民』ではなく『主権在官』なのです」と発言し、読者の大反響を呼んだ。
 3月20日朝刊の1面トップは「企業向け電気 値上げ断れる」。東電が4月からの値上げを発表した企業向け電気料金は利用者がノーと言えば、契約期間内は現行料金が運用されるという事実を報じ、東電の周知不足を批判した。企業経営者らにとっては貴重なュー スだった。
 翌朝の1面トップは「第一原発事故 福島県が拡散予測消去」。福島県が3・11事故当夜から放射性物質拡散の予測データをメールで入手しながら15日朝までの分をなくしていたという衝撃的な特ダネである。
 もういちいち紹介したら切りがないのでやめるが、官庁や大企業の情報隠しを徹底的に暴く記事が連日のように東京新聞の紙面を飾る。それに共感する読者の声がわき起こり、その声に励まされてより深い調査報道が進んでいくというサイクルができあがった。目を瞠りたくなるような紙面の活性化である。
 そのきっかけは言うまでもない。3・11の大震災とフクシマのメルトダウンである。未曾有の事態に直面して編集局は一時混乱したようだが、まず反権力が売り物の名 物記事「こちら特報部」が反転攻勢に出た。
 見開き2ページのスペースを使って、被災地ルポ、原子力ムラの呆れた実態、原発の危険性を訴え続けてきた京大の小出裕章助教のインタビューなどを次々と半年以上にわたって掲載しつづけた。これに引っ張られるような形で編集局全体に脱原発・官僚による情報統制打破の気運が生まれ、どの新聞より明確な脱原発の社論が形成された。
 それを象徴したのが昨年9月の「脱原発六万人集会」の報道だった。各紙が比較的地味な扱いだったのに、東京新聞は一面トップと社会面トップ、特捜部の見開きページを総動員して集会・デモの模様を伝えた。
 もう政治家にお任せの間接民主主義だけではダメだ。市民が街頭に出て、民意の所在を誇示しなけれ ば日本は再び亡国の淵に追いやられる。そんなせっぱ詰まった気持ちが彼らを六〇年安保以来の大規模デモ報道に踏み切らせたのである。
 こうした危機感は原発以外の社会面ネタの扱い(例えば孤独死問題の追及)や一面下のコラム「筆洗」、論説にも及び、他紙との横並び意識に囚われていた記者たちの意識も変えたらしい。他紙が何を書こうが、我々は我々の道を行く。編集局全体がそう腹をくくったようだ。
 それは私が共同通信の記者だった頃から夢見た新聞のありかただ。東京新聞の試みが成功(実際に新たな読者が急速に増えているという)すれば新聞ジャーナリズムは変わる。それにほんの少しでも手伝いできれば本望だと思う。(了)
(編集者注・これは週刊現代『ジャーナリストの目』の再録です)
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国税局、消費税増税反対の最右翼「中日・東京新聞」を徹底調査/ 輿石東幹事長、メディアに「電波止めるぞ」 2012-03-13 | メディア 
 国税が東京新聞を徹底調査する「理由」
現代ビジネス「永田町ディープスロート」2012年03月13日(火)
 通常国会で消費税増税についての論戦が本格化するなか、永田町と目と鼻の先にある日比谷公園前のビルでは、まったく別の緊張感高まる事態が起きていた。
「昨年夏から半年近くもの長きにわたって、中日新聞グループに名古屋国税局と東京国税局を中心とした大規模な税務調査が入っています。そうした中で東京新聞(中日新聞東京本社)が税務調査に入っている国税官から資料分析のために一部屋要求されたため、一部の社員の間では、東京での?本格調査?が行われるのではと緊張が走ったようです」(同社関係者)
 複数の同社関係者によると、今回の国税当局の徹底調査ぶりは異常で、同社記者らが取材相手との「打ち合わせ」や「取材懇談」に使った飲食費を経費処理した領収書を大量に漁り、社員同士で飲み食いしていた事例がないかなどをしらみつぶしに調べているという。
「実際に取材相手と飲食したのかどうか飲食店まで確認が及び、名古屋ではすでに社員同士で飲み食いしていた事例が見つかったようだ。一方で『これでは取材源の秘匿が危機にさらされる』と一部では問題視されてもいる」(同前)
 ここ数年、大手紙のほか、民放各局、出版社などが相次いで国税の税務調査を受けていることから、「たんに順番が回ってきただけ」と意に介さない向きもあるが、
「中日新聞グループは、野田政権がおし進める消費税増税に対して反対の論陣をはる最右翼。今回の徹底調査の裏には、国税=財務省側の『牽制球』『嫌がらせ』の意図が透けて見える」
 との見方も出ている。
 事実、中日・東京新聞は「野田改造内閣が発足 増税前にやるべきこと」(1月14日)、「出先機関改革 実現なくして増税なし」(1月30日)などの見出しで社説を展開、「予算が足りず、消費税率を引き上げると言われても、死力を尽くした後でなければ、納得がいかない」などと強く主張し、新規の読者も増やしてきた。それが今回の国税側の?徹底攻撃?で、筆を曲げることにならないといいのだが。
『週刊現代』2012年3月17日号より
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「電波止めるぞ!」民主党幹部が目の敵にする表現の自由
現代ビジネス「永田町ディープスロート」2012年03月13日(火)
 「間違った情報ばかり流すなら、電波を止めてしまうぞ!政府は電波を止めることができるんだぞ。電波が止まったら、お前らリストラどころか、給料をもらえず全員クビになるんだ」
 いまどき、こんな暴言を吐く政治家がいたとは驚くほかないが、これは民主党の輿石東幹事長の発言である。
「2月23日の幹事長番記者たちとのオフレコ懇談での発言でした。『野田政権が、税と社会保障の一体改革から社会保障の部分を切り離し、消費増税法案を先行させる見込み』というフジ他各社の報道を問題視し、『間違った情報を流しやがって!裏を取っていない情報を流すな!』と恫喝した」(大手メディア幹部)
 輿石氏は「間違った情報」と言うが、報道の元になったのは、同じ日の前原誠司・政調会長の会見。前原氏が年金一元化など社会保障関連法案の提出を4月以降に先送りすると発言したため、前述のような報道になったのだが・・・・・・。
「民主党幹部の言うことがバラバラなんですよ。原因は党をまとめられない輿石氏の力量不足に他ならないのですが、自分のことは棚に上げ、マスコミに八つ当たりしている」(同)
 それにしても、野田政権幹部のメディアに対する高圧的な姿勢は悪質だ。輿石氏は2月1日にも、朝日新聞の見出しが気に入らないとして、「またやったな!政治部長を呼んで抗議するからな」と吠えている。
 前原氏も、産経新聞に「言うだけ番長」と揶揄されて激怒し、同紙記者を会見から排除。与野党からの批判で撤回したが、政治家としての器量の小ささを、自ら曝け出した。
 さらにポスト野田の有力候補とされる玄葉光一郎外相も、2月9日の番記者とのオフレコ懇談で、沖縄の米軍基地再編問題に関する報道が気に入らないとして、「とくに共同通信の解説が酷い」などと、くどくどクレームをつけたという。
 かつて小泉進次郎議員から「自由があるのが自民党。自由がないのが民主党」と揶揄された民主党だが、意に添わない報道を目の敵にする姿勢は目に余る。
 この人たちには報道や表現の自由という常識は通じないらしい。
『週刊現代』2012年3月17日号より
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関連:
秘密保全法案 政府の情報隠ぺい体質/国家秘密法案にもなかった警察官僚の影/一般市民も重罰の恐れ2012-02-25 | 政治 
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「重荷を分かち合う。怒りと責任追及に加え、2年目はそのことを読者の皆さんと考えたい」特報部 田原 牧 2012-03-16 | メディア 
 メディア観望 上り坂をゆく覚悟
特別報道部 田原 牧 (中日新聞2012年3月6日 夕刊)
 東日本大震災と東京電力福島原発事故から、間もなく1年がたつ。後者については1年という区切りを感じない。むしろ、事故が2年目に入ると言った方がピンとくる。
 事故発生以来、担当する「こちら特報部」では、今日まで紙面の多くを原発問題に割いてきた。こだわる理由は記者によって異なると思う。個人的には、原発に日本社会の縮図を見たからである。
 原発は放射性廃棄物という未来へのツケと、被ばく労働者という犠牲が不可欠なシステムだ。それを無責任な原子力ムラが増殖させてきた。下地にある差別とムラ構造。それは日本社会のあちこちに顔をのぞかせている。原発はそうした精神風土のあだ花だ。
 東電や政府をはじめ、原子力ムラの虚飾をはぎとろうと奔走してきた。ただ、そうした作業の間も、どこか割り切れない感情を抱えてきた。
■都市生活者の責任
 11日には福島で大きな脱原発集会があり、首都圏からも多数が参加しそうだ。そのことで、福島の友人にこう云われた。「地元には逃げ出したくても、介護や収入に縛られて逃げられない住民たちがいる。都会の人は1日ここに来て、原発は危険だと騒いですぐに帰る。それを不愉快に思う人は少なくない」
 特報部の紙面への批判に聴こえた。そうかもしれない。事故以前にも、原発を批判する記事を書いてきた。だが、私も都会で原発に頼り、安穏と暮らしてきた一人だ。
■避け難い国民負担
 事故で進学を断念した若者の将来。緊急避難で津波に襲われた家族を探せなかった悔恨。荒れる農地。事故の被害はいまも拡大している。
 にもかかわらず、東電も政府も賠償には逃げ腰だ。同社に十分な支払い能力はない。だが、巨額の費用ねん出も理由のひとつに、もっとも稼ぎやすい再稼働へと突き進んでいる。
 東電を徹底的に絞っても、賠償や廃炉のための国民負担は避け難い。その負担軽減に固執すれば、再稼働は必然の流れだ。さらに間もなく、東電の処分や新たなエネルギー計画が固まる。脱原発は上り坂にさしかかっている。
■ただでない脱原発
 もう一度、苛酷事故が起きれば・・・と考えれば、進行中の再稼働の企てに対する答えは明白だ。ただ、それは地方に原発依存を強いてきた構造を正すことでもある。それには賠償問題と同様、都市住民の協力が不可欠だ。原発に頼ってきたツケを払うことに等しい。脱原発はただではない。
 重荷を分かち合う。怒りと責任追及に加え、2年目はそのことを読者の皆さんと考えたい。「福島の痛みを共有する」といった大それたことは言えない。けれども、この事故は「誰かの犠牲」を無言で認めるような社会を変える機会でもある。
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あれから一年、早くも復活する原発「安全神話」 / 再稼動が他党や経済界との取引材料に2012-03-16 | 地震/原発 
大飯原発再稼働 手続き先行 / 再稼働の是非を政治家に委ねたのでは拙速感は否めない2012-03-16 | 地震/原発

死刑制度 法相が負う職責とは/法務省 98年から執行事実と受刑者の人数、07年から氏名と刑場を公表

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死刑制度 法相が負う職責とは
信濃毎日新聞[信毎web]社説 2012/04/04(水)
 死刑制度をめぐる小川敏夫法相の発言が気になっている。
  「法相の職責として執行すべきだ」と、就任当初から死刑執行に前向きだった。
  1年8カ月ぶりに3人の死刑を執行した3月、「刑罰権は国民にある。裁判員裁判でも死刑が支持されている」と述べている。執行の責任を国民に転嫁しているようにも受け取れる。
  各種世論調査で、国民の大半が死刑を容認している。けれど、制度についての確かな情報は乏しい。国の情報公開があまりに不十分なためだ。
  民主党は2009年の政策集に、死刑の存廃を「国会内外で幅広く議論する」と明記していた。法相は、情報公開を進め、議論を深める場をつくることに、大きな職責を負っている。
  3人の死刑を執行した後の記者会見で「なぜ、この3人なのか」「なぜ、この時期なのか」という質問に、法相は「特別な理由はない」と答えていた。
  法務省は1998年になってようやく、執行の事実と人数の公表を始めた。07年からは氏名と刑場を示しているが、対象者の選定理由は説明していない。
  再審請求の有無、死刑の確定時期がより古い、心身ともに健康―などが条件とされるが、正確なことは分からない。
  04年、再審請求を準備していた死刑囚が執行候補者になっていたことが判明した。命令直前に回避されたものの、同じような事例はほかにもなかったのだろうか。
  小川法相が執行した死刑囚の1人は、再審請求に前向きだったという。死刑廃止を求める市民団体のアンケートに「本当の真実を伝えるまでは死ねません」と記していた。何を言いたかったのか、知るすべはなくなった。
  裁判員裁判で死刑が支持されているという法相の見解も疑問である。死刑判決に関わった裁判員の多くが「一生悩み続ける」と苦しい胸の内を明かしている。死刑廃止を訴える人もいた。裁判員経験者の多様な声を、存廃論議に生かさなければならない。
  法相は、法務省内にあった死刑制度の勉強会を打ち切った。「議論は出尽くした」と理由を述べている。ならば、問題点を整理し、一つ一つに対する見解を分かりやすく示す必要がある。
  死刑を維持するとしても、“秘密主義”のまま続けることは認められない。果たすべき役割は、情報の開示と議論の進展にあることを忘れてはならない。 *リンクは、来栖
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再審準備中にもかかわらず死刑(リスト)に/宮崎知子死刑囚に「再審の理由はない」=富山地検 2012-04-03 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
  松田死刑囚 生前にメッセージ「真実を伝えるまで死ねません」
 29日に死刑が執行された3人のうち松田康敏死刑囚(44)は2008年に市民団体「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」(東京)が実施したアンケートに、「本当の真実を伝えるまでは死ねません」と再審請求への執着心を明かしていた。
 松田死刑囚は09年2月17日付で回答。カエルの子が親におぶさるイラストも添えている。
 回答では「今年も1月29日に4名の執行があったニュースを聞きましたが、そのうちで私の文通仲間も入っていて、とっても落ち込んだ私でした」と他の死刑囚が執行された事実を伝え聞いた心情を吐露。
 「次は我が身と考えて、本当の真実を伝えるまでは死ねません」と続けた。
 死刑制度について「これから死刑を言いわたされる人たちには、死刑執行という刑にならないように法律を改正してほしいと強く願っています」と反対の立場だと記した。
 また11年6月に実施したアンケートには「私が、今こうして生きてる事、生かされてる事に感謝します。全国の皆さん、気持ちをしっかり持って元気に頑張りましょう。私の似顔絵自画像初公開で〜す」と回答した。
 [スポニチアネックス 2012年3月29日 16:41]
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法務大臣には死刑執行の法的義務は存在しない=安田好弘/死刑執行1年、千葉景子元法相決断の背景 2011-07-29 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
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「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と書いた人に訊きたい 2012-04-03 | 死刑/重刑/生命犯 問題 
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原発事故犯人が再稼働旗振り/利権に絡んでいる議員が、党 上層部に/再稼働反対意見が抑え込まれている

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  事故“犯人”が再稼働旗振り  
中日新聞《 特報 》2012/3/3 Tue.
 東京電力柏崎刈羽原発6号機(新潟県)が3月26日に止まったことで、国内商業用原発のうち、運転中は北海道電力泊原発3号機のみとなった。一方、野田政権は原子力安全委員会の確認作業を受け、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働を目指している。「政治判断」し、地元の合意を得て、ゴーサインを出す構えだ。だが、この方針は倫理面からも問題がある。(上田千秋、小坂井文彦)
国民の多くは疑問・・・でも利益団体の代弁が「政治判断」
■原子力ムラ人
 「政治判断」するのは野田佳彦首相、藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相の四閣僚。そろって原子力については素人だが、安全性に加え、電力需要という経済的、社会的な観点とすりあわせて判断する見込みだ。
 だが、そうした目先の利益に惑わされた結果として、福島原発事故があったのではないのか。政治家が安全性を検証せず、不十分な安全対策を看過してきたことも原因の一つだったはずだ。
 「原発危機と『東大話法』」などの著書がある東京大東洋文化研究所の安冨歩教授は「“素人”である政治家たちに判断を委ねること自体は間違いではない」と話す。
 「逆に自分の研究分野にだけ精通している専門家が、正しい判断を下せる保証もないからだ」
 ただ、こう条件を付ける。「同じ素人である国民の多くが『大丈夫だろうか』と、再稼働に疑問を抱いている。ならば、国民つまり素人の代表である政治家の判断内容はおのずと明らかだ」
 ところが、実際は逆の方向に進み、別の意図を引き受けているようにも見える。「結局、原発推進の特定の専門家や利益集団に振り回され、その代弁をすることがここでの『政治判断』の意味ではないのか」
 原発を再稼働させたい関西電力がつくった安全評価(ストレステスト)を「妥当」と判断したのは経産省原子力安全・保安院。その作業手順を原子力安全委員会がチェックして、確認を済ませた。この間の流れだ。
 この作業に携わった人物たちは、そろって福島原発事故の“犯人”ともいえる「原子力ムラ」の住人たちである。これで安全性を信頼しろ、というのは無理がある。本来、テストされるべきはこうしたムラの住人や閉鎖的な構造ではなかったのか。
■刑務所行きに
 京都大原子炉実験所の小出裕章助教は「原発は絶対安全で事故は起こさないというお墨付きを与えてきた人間たちが、同じやり方で『安全です』と言ってる状態。福島原発事故は収束せず、膨大な被害が現在も進行しているのに」と憤る。
 小出助教は安全評価について「もともと想定内の事柄に対して、安全だと言っているだけで、まったく意味がない」と断じる。「彼らは全員“犯罪者”。本来なら刑務所に入れないといけない。再稼働だけでなく、原子力発電のすべてをやめるべき状況なのに、どうしてこんなことが許されるのか私にはさっぱり分からない」と批判する。
■神話にすがる
 福島原発事故の原因については、国会の事故調査委員会が六月に報告書をまとめる。原因が分からないのに、そもそも安全評価や対策などできようはずもない。
 自民党の河野太郎衆院議員は「国会事故調設置は衆院と参院が全会一致で決めたもの。尊重されなければならない。そもそも事故原因が地震か、津波かもはっきりしていない。政府は報告書を待つべきだ」と話す。
 河野議員は国会議員の大多数の意見は「再稼働ちょっと待て」だとみている。しかし「自民党にも民主党にも、電力利権に絡んでいる議員が党の上層部にいるため、再稼働を急ぐなという意見が抑え込まれている。再稼働派は裏に回って動いているが、そういう意思決定の仕組み自体が問題。特に野党である自民党は、表で分かる議論をしなければいけないのに」
 関連の審議会委員の利益相反は放置され、政府から独立しない「原子力規制庁」設置が法案化されている。フクシマの反省はなく、事故の教訓を覆い隠す「安全神話」がよみがえりつつある。
合意範囲 半径10?圏に限定…でも京都府、滋賀県が反対
■狭い範囲既定
 政府は従来、原発から半径10キロ圏を防災対策重点地域(EPZ)としていたが、昨年11月、緊急防護措置区域(UPZ)を新設。対策地域を30キロ圏に拡大した。
 だが、藤村官房長官は3月16日、「再稼働と防災の30?は内容的に全然違う案件だ。再稼働とは連動していない」と説明。再稼働への合意を得る「地元」の範囲を半径10?圏の地方自治体に限定する考えを示唆した。今月2日になって「数値的、機械的に判断できるものでなく最終的にはそれぞれの地域に即して政府が判断する」と軌道修正したが、当初は、電源立地地域対策交付金などの恩恵を受ける地域だけに絞り込もうとしていた。
 佐藤栄佐久・前福島県知事は「私の住む郡山市は福島第一原発から50?も離れているが、場所によっては放射線量が高いまま。事故で影響が及ぶとみる地域を拡大したら、再稼働の意見を尋ねて当たり前。政府のやることはちぐはぐだ」。
 「政府はとにかく早く再稼働したいだけ」と、「地元」概念の範囲拡大による反対意見の続出を警戒しているとみる。
 対象外となりそうな周辺自治体の反発が急速に強まったため枝野経産相も2日、大飯原発3、4号機の再稼働には、京都府の山田啓二知事と滋賀県の嘉田由紀子知事の「二人の理解を得られなければ、地元の一定の理解を得たことにはならない」との見解を示すに至った。
■忘れるな福島
 昨年暮れの野田首相による事故収束宣言。再稼働を進めたい政府にとって、宣言は不可欠だったといえる。事故の収束なしに「再稼働」とは言えないからだ。
 しかし、現実には事故は収束せず、被害者の救済、賠償もまだまだこれからだ。その時点で、同等の事故が起きる可能性がゼロとは言えない再稼働に走っている。
 福島県富岡町の遠藤勝也町長は「原因が分かっていない段階で、再稼働を言い出すのは理解に苦しむ。また同じことが繰り返される」と語る。同町は全域が警戒区域にあり、全住民が村外に避難を強いられた。帰還のめどはたっていない。
 除染に賠償、町民の雇用確保…。問題は山積みのままだ。遠藤町長は「国はやらなければいけないことを何もやっていない」と怒りを込める。
 「日本中に原発がある以上、どこでも福島と同じことが起きうる。それを忘れてはいけない」
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■大飯原発再稼働問題 嘉田知事「“理解”ではなく“同意”必要」
MBS NEWS 2012年04月04日(水) 12時34分
 福井県の大飯原発の再稼働をめぐって枝野経済産業大臣が3日夜、「滋賀県と京都府の理解は必要だが、同意ではない」と述べたことについて、嘉田知事は「同意が前提」だと反発しています。
 原子力安全委員会が「再稼働」へのお墨付きを与えた関西電力の大飯原発3号機と4号機。
 最終的な判断を委ねられた政府は、福井だけでなく隣接する滋賀県や京都府の意向も踏まえるとしています。
 しかし3日の閣僚会議で枝野大臣が、滋賀と京都への「理解が前提だが同意ではない」と発言、滋賀県の嘉田知事は反発しています。
 「地元として同意は求めていきたい。国会の(福島)事故調査結果を待たずに政治的判断をするのは、国民の理解も得にくい」(滋賀県 嘉田由起子知事)
 京都府の山田知事も再稼動に反対の意向を示しています。(04/04 12:06)
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あれから一年、早くも復活する原発「安全神話」 / 再稼動が他党や経済界との取引材料に 2012-03-16 | 地震/原発
 PRESIDENT Online 2012年3月15日(木) 藤野光太郎
 「3.11福島原発事故」から1年。相変わらず原子炉内部では頻繁に異常が発生し、現場作業も遅々として進んでいない。事故収束にはほど遠い情況だ。
 国内各地の空間線量測定値は事故後、一様に上がっており、陸海空に拡散する放射性物質は今も汚染地域・海域を広げつつある。また、汚染された「食」は、政府が画策した“底上げ規制値”以下という手掛かりだけを頼りに全国で流通している。もはや、汚染地域は福島とその周辺だけではない。日本全国が“事故現場”となってしまったのだ。
 福島県の定時降下物測定値を昨年3月まで遡ると、事故直後に降り注いだ大量の放射性核種は昨秋までにいったん落ち着いていたにも関わらず、今年1月には400ベクレル超、2月も350ベクレルという高い数値が検出されている。いずれも放射性セシウム134と同137が中心だ。日常生活でセシウム被曝が恒常化してしまったということである。
 と同時に、原子炉内部の異常が続いている。2月には2号機圧力容器温度計の値が急上昇。東電は「計器の故障」と説明したが、その後もたびたび異常な温度上昇が続く。3月に入っても圧力容器底部で温度計の1つが異常な数値を示した。これに対して東電は、驚くべきことに「計器故障の可能性があるため監視対象から外した」と発表した。
 危険を監視するために設置した計器が異常温度を報知すれば、まずは状態を確認する。異常な環境だからこそ計器が故障し続けているかもしれず、実は温度が異常で計器は正常である可能性も高いからだ。これを不明にしたまま納得できる説明もせず「監視対象から外す」との発表に、多くの国民が不審を抱いた。
 つまり、事故後1年が経過した今もなお、国民は政府や東電に対して、情報隠蔽やデータ改竄を続けているのではないかとの疑惑を払拭できずにいるということだ。事故責任を問われるべき東電幹部や関係官僚は誰一人として断罪されず、被害者の生活をズタズタにしておきながら補償を渋る東電と金融機関は国庫で救済され、財源には国民の新たな税金が充てられる。危険は広がる一方だ。事態は好転せず、問題は何も解決していない。
■再稼動が他党や経済界との取引材料に
 それどころか、すでに崩壊したはずの「神話」が今、政府と電力会社、原発関連企業、そして、御用学者や御用メディアを通じて再び甦りつつある。「安全は、技術革新と基本設計、制度改革で取り戻せる」「化石燃料の高騰を考えれば、原発のコストはそれほど高くはない」「温暖化防止を考えれば、エネルギーミックスとして原発がやはり必須だ」「原発を止めたら経済が成り立たない」――。
 事故から「1年が過ぎた」のではなく、事故が「2年目に入った」のだ。喉元を過ぎてもいないのに、熱さを忘れたフリをするのか。
 しかし、事故が勃発したら取り返しがつかないのが原発である。日本のような地震列島で完璧な安全対策は不可能だ。復旧や補償に要する途方もない財政出動は、原発に経済合理性がないことを明示している。CO2による地球温暖化説にも根強い異論がある。そもそも、世界のCO2排出量の大半を占める米中両国が温暖化防止にはそっぽを向いており、日本の努力は無駄だと分かっているからこそ、民主党政権も削減ルールから離脱しようとしているのだ。原発を放棄すれば経済が破綻するから再稼働が必要という理屈は、国民に「悲惨な事故のことなど早く忘れてしまえ」と言うに等しい。
 ところが、最近になって急にこうした理屈を背景にした物言いが、政権中枢から出始めている。
 国内54基中、稼働中の原発数基が4月末までに定期検査で停止すれば、日本の原発は瞬間的に「全停止」となる。その後の「再稼働」について、政権の顔ともいえる面々が「やる方向」であることをちらちらと洩らし始めたのだ。
 2月24日、事故直後の官房長官として福島県民をミスリードした枝野幸男経産相が、BS番組で「今の電力需給状況では稼働させていただく必要がある」と述べ、再稼働がなければ電気料金は「5%とか10%とか15%とかいうレベルで上がる」と発言。3月に入って早々、今度は細野豪志環境省兼原発事故担当相も「安全性が確保できたものについて再稼働は必要だと思う」と発言(4日付、産経新聞)。その前日には、野田佳彦首相が「再稼働を政治判断した時には、政府が地元自治体を説得する」との意向を海外メディアに明言した。
 「今、水面下で政界再編の駆け引きが進行中です。再稼働は他党や経済界との取引材料です」(野党議員秘書)。
 事実であれば、とんでもない話だ。
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「もんじゅ」運営 原子力機構 関連団体に「会費」/天下り先や自民党大島理森副総裁ら国会議員団体にも 2012-03-26 | 地震/原発 
 もんじゅ運営 原子力機構 関連団体に「会費」8619万円
中日新聞2012年3月25日朝刊 1面
10年度文科省天下り先も
 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(茨城県東海村)が、2010年度、原子力関連の公益法人など81団体に「会費」名目で8619万円を支出していたことが本紙の取材で分かった。1口10万円の年会費に対して3千万円以上も支払っていた団体もあり、会費を隠れ蓑にして運営費を下支えしていた可能性もある。支出額が百万円を超える11団体のうち少なくとも7団体は文科省や経産省OBが役員を務めている。
■批判受け12年度95%減
 原子力機構の運営費の大半は国の交付金で、税金の一部が原発を推進する天下り団体に流れていた。原子力機構は「不透明な支出があった」と認め、12年度から支出総額を95%減の364万円に大幅カットすると近く正式発表する。

              

              

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もんじゅ独法不透明支出 議員所属の団体にも 5年で1200万円
中日新聞2012年3月25日朝刊35面
 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(茨城県東海村)が、自民党を中心とする国会議員六人が役員を務める社団法人「原子燃料政策研究会」(東京都千代田区)に対し、「会費」として二〇一一年度までの五年間で千二百万円を支払っていたことが分かった。原発反対派は「核燃料サイクル事業の推進に政治力を利用していた」と批判している。
 関係者によると、原子力機構は、前身の動力炉・核燃料開発事業団から原燃研究会の会員。一口一万二千円の年会費に対して二百口分、計二百四十万円を少なくとも〇七年度から毎年、支払っていた。
 原燃研究会の会員は他に沖縄を除く電力九社や三菱重工業、東芝などの原子炉メーカー、竹中工務店などの大手ゼネコンを含む三十社と個人十七人。一〇年度は原子力機構の二百四十万円を含め三千六百四十万円の会費収入があったという。
 原燃研究会は一九九二年、自民、旧社会党の国会議員らが原子力の平和利用や核燃料サイクルの推進などを目的に発足。機関誌「Plutonium(プルトニウム)」の発行のほか、〇四年に設立した超党派の国会議員でつくる「資源エネルギー長期政策議員研究会」(会長・甘利明元経済産業相、会員・百五人)に情報や資料の提供を行うなど活動を支援している。
 公表資料によると、会長、副会長、理事は計十一人で、すべて無給の非常勤。会長は学識経験者だが、副会長の津島雄二元衆院議員をはじめ現・元衆参議員九人が役員に名を連ねる。

            
        

 現職議員は六人で、自民党の大島理森副総裁、江渡聡徳、木村太郎の両副幹事長ら。三人はいずれも六ケ所村再処理工場など核燃施設のある青森県選出の衆院議員。民主党エネルギープロジェクトチーム座長の大畠章宏元経産相も一〇年九月の大臣就任まで理事を務めていた。
 機構から多額の会費を受け取っていたことについて、研究会の担当者は本紙の取材に「会の趣旨に賛同していただいた」と話した。
 理事を務める大島副総裁は「事務に関することは分からない」と文書で回答。大畠元経産相も事務所を通じて「純粋なエネルギー研究会だと認識し、参加してきた。大臣就任を機に現在は退会している」とコメントした。
 機構は、所管する文部科学省OBの再就職先を含む八十の公益法人に「会費」として一〇年に約八千六百万円を支出していたが、批判を受け、一二年度は九割超削減して約三百六十万円とする方針を今月表明。原燃研究会についても退会し、支出をゼロにする方針。

日本原子力研究開発機構
 原子力に関する研究や技術開発を目的とした独立行政法人。2005年10月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合して発足した。理事9人のうち3人が原発を推進する文部科学省と経済産業省の元幹部。福島第一原発事故を受け、政府は夏までに、もんじゅを含めた核燃料サイクルの是非を決める方針。
「原発ムラ」の象徴
 原子力資料情報室の伴英幸共同代表の話
 原燃研究会は原発の族議員と経済界が結び付く「原発ムラ」の象徴のようだ。原子力機構は寄付のような会費を支払うことで、原子力政策を有利に進めたい狙いがあるのだろう。国会審議で議員が特別な配慮をするなど影響が懸念される。そもそも原子力機構の予算は国が決めており、その一部が国会議員が役員の団体に流れること自体がおかしい。
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大飯原発再稼働 手続き先行 / 再稼働の是非を政治家に委ねたのでは拙速感は否めない 2012-03-16 | 地震/原発 

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