PAC3配備「ナンセンス」=小沢元代表
民主党の小沢一郎元代表は12日、自らが主宰する勉強会であいさつし、北朝鮮の「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射に備え、政府が自衛隊の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)を沖縄県などに配備したことに関し、「本当にそういう事態になるという時は、予告なしに来るわけだから、何日もかけてロケットをあちこちに運ぶのは全くナンセンスな話だ」と批判した。(時事通信2012/04/12-13:17)
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小沢氏、PAC3配備を批判「有事は予告なし」
民主党の小沢一郎元代表は12日、自らが会長を務める勉強会「新しい政策研究会」の国会内での会合で、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射問題をめぐって政府が地対空誘導弾PAC3を沖縄などに配備したことについて、「本当にそういう(武力攻撃)事態になる時は予告なしにくるわけだから、何日もかけてあちこちに運ぶのは全くナンセンスだ」と指摘した。
そのうえで、「安全保障の在り方が日米関係の最も大きな柱だが、日本政府はしっかりした自らの意見と政策を打ち出せないがゆえに、普天間であれ何であれ、日米間のそごが生じている。皆で議論してもらいたい」と述べた。
(2012年4月12日19時52分 読売新聞)
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〈来栖の独白2012/4/12 Thu.〉
北のミサイルについて、この国がフィーバーしているようだ。ある国を敵国と見立てて大本営を使い、衆愚を煽る。目をミサイルの向けさせる。その隙に、アリバイ作り(「チーム仙谷は、丁寧に検討、議論しました」と格好付け)をして、5月5日(泊原発が停止に入る)までに大飯原発を稼働させる。
「国際社会」などというが、アメリカ一味、中国一味、ロシア一味・・・にすぎない。腹黒い国際社会。正義も公正もありはしない。国益追求が大義だ。
「戦争放棄」などとアメリカから押し付けられた憲法を後生大事に守り、自分の国を自分で守ることさえ忘れた日本人。平和ボケ。ロシアだって、中国だって、韓国だって、核心的利益の大義のもとに日本の領土を奪おう窺っている。奪われた後で、国際社会の何であるかに気づいても、遅い。
まったく馬鹿馬鹿しい騒ぎだ。
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◆北方領土、ロシア側の呼び方「南千島」に / ロシア軍、北方領土にミサイルまで配備するか 2011-03-02 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
北方領土が「南千島」に
2011/03/01Tue.中日新聞夕刊「清水美和のアジア観望」
中国メディアに北方領土を「南千島群島(日本名・北方四島)」と呼ぶ報道が目立ってきた。外務省ホームページや人民日報など党機関紙は「北方四島(ロシア名・南千島群島)」と表記している。
「南千島」はロシア側の呼び方「南クリール諸島」の中国語訳。メディアでは北方領土問題でロシア寄りになる傾向がはっきりしてきた。
■「日本の正義の闘い」
「北方領土返還を求める日本人民の正義の闘いを支持する!」。1970年代に中国を訪れると、中国のホストは必ず、こう繰り返した。
中国と旧ソ連は社会主義の路線対立から60年代末には国境で武力紛争を起こすまで関係が悪化した。「第三次世界大戦を起こすのはソ連」と決め付けた中国はソ連の北方領土占領を「拡張主義」の表れとして日本を応援した。
80年代に中ソ関係が正常化に向かうと、中国は北方領土について「日本とソ連(ロシア)の間で歴史的に残された問題で両国が解決すべきだ」(外務省)と語るようになった。しかし、中国で出版されている地図は今でも北方四島に日本と同じ色を付け日本領として扱っている。
■核心的利益を支持
こうした態度が微妙に変化したのは昨年9月末、ロシアのメドベージェフ大統領が訪中し胡錦濤国家主席とともに発表した共同声明で「主権と統一、領土不可分など核心的利益に関わる問題での相互支持」を申し合わせてから。
同時に発表した第二次世界大戦終結65周年の中ロ共同声明では「歴史の改ざんを許さない」と述べ歴史認識の一致を宣言した。これらが第二次大戦の結果として北方領土の占領を正当化するロシアへの中国の同調を意味するかどうかははっきりしない。
しかし、共同声明が尖閣衝突事件で日中が対立する中で発表され、直後にメドベージェフ大統領が北方領土訪問計画を明らかにしたため、中ロが尖閣諸島と北方領土の領有を相互に支持することで合意したとの観測が浮上した。
その後、ロシアは北方領土への中国企業進出を呼びかけた。人民日報系の国際情報紙「環球時報」(2月16日付)には「大胆に南千島群島の開発に参加すべきだ」と応える国際関係研究機関トップの寄稿が掲載された。
しかし、その2日後には同じ新聞に「中国企業が北方四島の開発に参加すべきかどうかは難しい。こうしたビジネスは日本を不必要に緊張させる」と否定的な外交研究者の意見も掲載されている。
実際には日ロ対立で、どちらにつくかをめぐる論争は中国で決着していないようだ。それがメディアに「北方四島」「南千島群島」の表記が混在する現状に表れている。
■機敏な外交が必要
70年代のように、中国に日本への全面的な支持表明を期待できる状況ではない。しかし故周恩来首相が「北方領土をいまだ返還しない」ソ連を糾弾した歴史(党10回大会報告)を中国も否定しにくいはずだ。北方領土の表記がすべて「南千島」に変わるのを阻止する機敏な外交が問われている。
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北方領土 ミサイルまで配備するか
産経ニュース2011.3.3 02:48
ロシア軍が北方領土に対艦巡航ミサイルや新型対空ミサイルを配備する軍備増強計画をまとめ、国防相に提出した。
国後、択捉両島には、すでに3500人の部隊が駐屯している。これに最新兵器を加え、軍事面でも不法占拠を強化しようという狙いだ。
根室から目と鼻の先の日本固有の領土で、主権を侵害する危険極まりない計画は断じて許されない。枝野幸男官房長官は「わが国の立場と相いれず、大変遺憾だ」と述べるにとどまった。日本は強く抗議すべきだ。
また、ロシア軍参謀総長は先月末、フランスから購入予定のミストラル級強襲揚陸艦4隻のうち、少なくとも1隻をロシア太平洋艦隊に配備し、北方領土などの防衛任務にあてる可能性を示した。
この強襲揚陸艦はヘリコプター16機、兵員900人を輸送する能力をもつ。ソ連崩壊後、ロシアが欧米から購入する最大規模の艦艇である。日本政府はロシアに対してだけでなく、フランスにも強く抗議すべきだ。
ロシアは新型原潜を開発したのに続いて、昨秋、核搭載可能な新型弾道ミサイルの原潜からの発射にも成功した。このミサイルは米国のミサイル防衛網を突破する可能性がある。
近く、新型原潜はオホーツク海に配備されるようだが、問題の対空ミサイルなどは、同海の「聖域化」を図る狙いがあろう。北方四島を一切返還する意思がないことを示している。菅直人政権は米国と連携し、この方面での防衛体制を強化すべきだ。
先月末、国後島の農場で、複数の中国人労働者がロシアの労働許可を得て農作物の栽培に従事していることも明らかになった。北方領土でのロシアの管轄権を認めることになる中国人労働者の雇用は、日本として認められない。
先に発表された同島でのナマコ養殖の中露合弁事業を含め、こうした経済活動による不法占拠の既成事実化にも注意を払い、その都度、抗議していく必要がある。
尖閣事件後の昨年9月、中露両国は「主権や領土保全にかかわる核心的利益」での協力をうたった共同声明を発表した。以来、ロシアは不法占拠の固定化に向け露骨な敵対行動を繰り返している。
ロシアの不当な行為を逐一、指摘し、それを国際社会に知らしめていかねばならない。
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◆自分の国は自分で守る決意/境外を保護するのは法律、正義、自由ではない。国際法も国力の強弱に依存2011-01-12
日本抹殺を目論む中国に備えはあるか?今こそ国家100年の計を立てよ、米国の善意は当てにできない
JB PRESS 2011.01.12(Wed) 森 清勇
今日の国際情勢を見ていると、砲艦外交に逆戻りした感がある。そうした理解の下に、今次の「防衛計画の大綱」(PDF)は作られたのであろうか。「国家の大本」であるべき国防が、直近の政局絡みで軽々に扱われては禍根を千載に残すことになる。
国家が存在し続けるためには国際社会の現実から目をそらしてはならない。日本の安全に直接的に関わる国家は覇権志向の中国、並びに同盟関係にある米国である。両国の国家としての在り様を検証して、国家百年の計を立てることこそ肝要である。
■中国は日本抹殺にかかっている
1993年に中国を訪問したポール・キーティング豪首相(当時)に対して、李鵬首相(当時)が「日本は取るに足るほどの国ではない。20年後には地上から消えていく国となろう」と語った言葉が思い出される。
既に17年が経過し、中国は軍事大国としての地位を確立した。日本に残された期間はわずかである。
中国の指導者の発言にはかなりの現実味がある。毛沢東は「人民がズボンをはけなくても、飢え死にしようとも中国は核を持つ」と決意を表明した。
当時の国際社会で信じるものは少なかったが実現した。?小平は「黒猫でも白猫でも、ネズミを捕る猫はいい猫だ」と言って、社会主義市場経済を導入した。
また香港返還交渉では、交渉を有利にするための「一国両制」という奇想天外なノーブルライ(高貴な嘘)で英国を納得させた。
政治指導者ばかりでなく、軍高官も思い切ったことをしばしば発言している。例えば、朱成虎将軍は2005年に次のように発言している。
「現在の軍事バランスでは中国は米国に対する通常兵器での戦争を戦い抜く能力はない。(中略)米国が中国の本土以外で中国軍の航空機や艦艇を通常兵器で攻撃する場合でも、米国本土に対する中国の核攻撃は正当化される」
「(米国による攻撃の結果)中国は西安以東のすべての都市の破壊を覚悟しなければならない。しかし、米国も数百の都市の破壊を覚悟せねばならない」
他人の空言みたいに日本人は無関心であるが、日米同盟に基づく米国の武力発動を牽制して、「核の傘」を機能不全にしようとする普段からの工作であろう。
2008年に訪中した米太平洋軍司令官のティモシー・キーティング海軍大将は米上院軍事委員会公聴会で、中国海軍の高官が「太平洋を分割し、米国がハワイ以東を、中国が同以西の海域を管轄してはどうか」と提案したことを明らかにしている。
先の尖閣諸島における中国漁船の衝突事案がらみでは、人民解放軍・中国軍事科学会副秘書長の要職にある羅援少将が次のように語っている。
「日本が東シナ海の海洋資源を握れば、資源小国から資源大国になってしまう。(中略)中国人民は平和を愛しているが、妥協と譲歩で平和を交換することはあり得ない」と発言し、また「釣魚島の主権を明確にしなければならない時期が来た」
こうした動きに呼応するかのように、中国指導部が2009年に南シナ海ばかりでなく東シナ海の「争う余地のない主権」について「国家の核心的利益」に分類したこと、そして2010年に入り中国政府が尖閣諸島を台湾やチベット問題と同じく「核心的利益」に関わる問題として扱い始めたと、香港の英字紙が報道した。
■中国の「平和目的」は表向き
1919(大正8)年、魚釣島付近で福建省の漁民31人が遭難したが、日本人が救助し無事に送還した。それに対して中華民国長崎領事が「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島・・・」と明記した感謝状を出している。
中国が同諸島の領有権を主張し始めたのは国連の海洋調査でエネルギー資源が豊富にあることが判明した1970年代で、領海法を制定して自国領に組み入れたのは1992年であるにもかかわらず、「明確な日本領」を否定するためか、最近は「古来からの中国領土」とも言い出している。
実際、首相が横浜APECで“首脳会談を開けた”だけで安堵している間に、ヘリ2機搭載可能で機銃まで装備していると見られる新鋭漁業監視船を含む2隻が接続水域に出没している。
海保巡視船の警告に対しては「正当に行動している」と返事するのみである。
中国の言う「正当な行動」とは中国の領海法に基づくもので、尖閣諸島に上陸しても正当化されるということにほかならない。現に、石垣市議2人が上陸したことに対し、中国外務省は「中国の領土と主権を著しく侵犯する行為」という談話を発表した。
漁船がさほど見当たらないにもかかわらず漁業監視船が接続水域を彷徨しているのは、日本人の感覚を麻痺させる(あるいは既に上陸しているかもしれない)のを隠蔽する作戦のように思われる。
係争の真っ只中で、そうした行動が取れるはずがないという識者も多いが、「尖閣は後世の判断に任せる」、あるいは「ガス田の協議をする」などの合意を平気で反故にしてきた中国である。何があってもおかしくない。
20年余にわたって2桁台の軍事力増強を図ってきた中国に透明性を求めると、「平和目的」であるとの主張を繰り返す。中国の「平和目的」は異常な軍事力増強の言い逃れであり、露わになってきた覇権確立のカムフラージュでしかない。
軍事力増強と尖閣沖漁船衝突のような異常な行動、さらには北朝鮮の無謀をも擁護する中国の姿勢が日米(韓はオブザーバー)や米韓(日本はオブザーバー)の合同軍事演習の必要性を惹起させたのであるが、中国はあべこべに自国への脅迫であるとクレームをつけている。
現時点では指導部の強権でインターネット規制などをしながら、人民には愛国無罪に捌け口を求めさせることで収拾している。
しかし、矛盾の増大と情報の拡散で人民を抑えきれなくなった時、衣の下に隠された共産党指導部の意図が、ある日突然行動に移されないとは言えない。
■米国を頼れる時代は終わりつつある
日本人で米国の「核の傘」の有効性に疑問を呈する者は多い。歴史も伝統も浅い米国は、「国民の国民による国民のための政治」を至上の信条としており、行動の基本は世論にあると言っても過言ではないからである。
フランクリン・ルーズベルトは不戦を掲げて大統領選を戦い、国民はそれを信じて選んだ。しかし、第2次世界大戦が始まるや、友邦英国の苦戦、ウィンストン・チャーチルの奮戦と弁舌巧みな哀願を受けた大統領は、米国民のほとんどが反対する戦争に参加する決心をした。
当初はドイツを挑発して参戦の機会を探るが、多正面作戦を嫌うドイツは挑発に乗らなかった。
そこでルーズベルトは日本を戦争に巻き込むことを決意し、仕かけた罠が「ハル・ノート」を誘い水として真珠湾を攻撃させることであった。
日本の奇襲作戦を「狡猾(トリッキィー)」と喧伝し、米国民には「リメンバー・パールハーバー」と呼びかけて国民を参戦へと決起させたのである。
逆に、世論が政府を動かないようにさせることも当然あり得る。核に関して言うならば、被害の惨状に照らして、国民が政府に「核の傘」を開かせないという事態が大いにあり得る。
虎将軍ら中国軍高官の発言は、普段から米国民にこうした意識を植え付けて、米国が日中間の係争に手を出せないように仕向ける下地つくりとも思われる。
米国初代のジョージ・ワシントン大統領は「外国の純粋な行為を期待するほどの愚はない」と語っている。
日米安保が機能するように努力している現在の日本ではあるが、有事において真に期待できるかどうか、本当のところは分からない。能天気に期待するならば、これほどの愚はないということではないだろうか。
今こそ、日米同盟を重視しながらも、「自分の国は自分で守る」決意を持たないと、国家としての屋台骨がなくなりかねない。
中でも「核」問題が試金石であると見られる。親米派知識人は、「日本の核武装を米国が許すはずがない」の一点張りであるが、あまりにも短絡的思考である。
日本の核論議が日米同盟を深化させ、ひいては米国の戦略を補強するという論理の組み立てをやってはいかがであろうか。
米国が自国の国益のために他国を最大限に利用し、また国家戦略のために9.11にまつわる各種事象を操作(アル・ゴア著『理性の奪還』)したりするように、日本も自立と国益を掲げて行動しないと、米中の狭間に埋没しかねない。
核拡散防止条約(NPT)は高邁な趣旨と違って、保有を認められた5カ国の核兵器削減は停滞しているし、他方で核保有国は増大している。
「唯一の被爆国」を称揚する日本であるゆえに、道義的観点並びに核に関するリアリズムに則った新条約などを提案する第一の有資格者である。
同時に、地下鉄サリン事件の防護で有効に対処できた経験を生かし、核にも有効対処できるように準備する必要がある。
その際、形容矛盾の非核三原則ではなく、バラク・オバマ大統領の言葉ではないが、「日本は核保有国になれるが、保有しない」(Yes, we can, but we don’t)と闡明し、しっかり技術力を高めておくのが国家の使命ではないだろうか。
ヒラリー・クリントン米国務長官は「尖閣には日米安保条約第5条が適用される」と言明した。
しかし、かつて一時的にせよ、ウォルター・モンデール元駐日米大使が「適用されない」と発言したように、政権により、また要人により、すなわちTPO(時・場所・状況)に左右されると見た方がよい。
米国では従軍慰安婦の議会決議に見た通り、チャイナ・ロビーの活躍も盛んである。
ましてや、既述のように決定の最大要因が国民意思であるからには、核兵器の惨害が米国市民数百万から1000万人に及ぶと見られる状況では、「核の傘」は機能しないと見るのが至当ではなかろうか。「有用な虚構」であり続けるのは平時の外交段階だからである。
■先人の血の滲む努力を無にするな
日本は明治維新を達成したあと、範を欧米に求めた。新政府の要路にある者にとって自分の地位が確立していたわけでもなく、また意見の相違も目立つようになり内憂を抱えていた。
しかし、それ以上に外患に備えなければ日本の存立そのものが覚束ないという思いを共有していた。そこで、岩倉具視を団長とする米欧使節団を送り出したのである。
一行には木戸孝允、大久保利通、伊藤博文などもいた。1年10カ月にも及ぶ長期海外視察は、現役政府がそのまま大移動するようなもので、不在間の案件処理を必要最小限に留めるように言い残して日本を後にしたのもゆえなしとしない。
よく言われるように、英国を観ては「40年も遅れている」とは受け取らず、「40年しか遅れていない」と見て、新興国日本の明日への希望を確認した。
また、行く先々で文明の高さや日本と異なる景観に感服するところもあったが、その都度、好奇心を発揮して記憶にとどめ、また瀬戸内海などの素晴らしい景観があるではないかと、「日本」を決して忘れることはなかった。
米国のウエストポイント陸軍士官学校を訪れた時は射撃を展示され、そのオープンさにびっくりするが、日本人ならばもっと命中させると逆に自信の程を高めている。
ことほどさように、初めて外国を視察しているにもかかわらず、その目は沈着で、異国情緒に飲み込まれることもなく、基底に「日本」を据えて比較検証しようとしている。
こうした見識はひとえに、為政者として日本の明日を背負って立たなければならないという確固たる信念がもたらしたと見るほかはない。
代表団が特に関心を抱いたことは、小国の国防についてである。オランダ、ベルギー、デンマーク、さらにはオーストリア、スイスなどを回っては、日本の明日を固める意志と方策を見出そうと懸命である。
もう1つ、国際社会に出ようとする日本が関心を持ったのは万国公法(今日の国際法)についてであった。プロシアの鉄血宰相ビスマルクの話には真剣に耳を傾け、また参謀総長モルトケの議会演説にも強い関心を持った。
概略は次のようなものだった。
「世界各国は親睦礼儀をもって相交わる態度を示しているが、それは表面上のことでしかない。内面では強弱相凌ぎ、大小侮るというのが実情である。万国公法は、列国の権利を保全する不変の法とはいうものの、それは大国の利のあるうちでいったん不利となれば公法に代わる武力をもってする」(ビスマルク)
「政府はただ単に国債を減らし、租税を軽くすることばかりを考えてはならない。国の権勢を境外に振るわすように勤めなければならない。法律、正義、自由などは国内では通用するが、境外を保護するのは兵力がなければ不可能である。万国公法も国力の強弱に依存している」(モルトケ)
このことは、現在にも通用する。しっかり反芻し、記憶することが大切である。
日本は「唯一の被爆国」や「平和憲法」を盾に、国際情勢の激変にもかかわらず官僚的手法の「シーリングありき」で累次の「防衛計画の大綱」を策定してきた。
こうした日本の無頓着で内向的対応が、周辺諸国の軍事力増強を助長した面はないのだろうか。
明治の為政者たちが意識した外国巡視に比較して、今日の政治家の海外視察はしっかりした歴史観も日本観も希薄に思えてならない。
■歴史の教訓を生かす時
ここで言う歴史の教訓とは、明治の先人たちが命懸けで体得した「国際社会は力がものをいう」というリアリズムである。今日ではそのことが一段と明確になっている。
アテネはデモクラシー(民主主義)発祥の地であり、ソクラテスやプラトンを輩出したことで知られている。
そのアテネでは人民(デモス)の欲望が際限なく高まり、国家はゆすり、たかりの対象にされ、過剰の民主主義が国力を弱体化させていく。
専制主義国家スパルタとの30年戦争の間にも国民は兵役を嫌い、目の前の享楽に現を抜かし道徳は廃れ、ついに軍門に下る。
その後、経済も復興するが、もっぱら「平和国家」に徹し続け、スパルタに代わって台頭した軍事大国マケドニアに無条件降伏を突きつけられる。一戦を交えるが惨敗して亡国の運命をたどった。
例を外国に求めるまでもない。日本にも元禄時代があった。男性が女性化し、風紀は乱れ、国家の将来が危ぶまれた。この時、出てきたのが「武士道といふは死ぬことと見つけたり」で膾炙している『葉隠』である。
ことあるごとに死んでいたのでは身が幾つあってもたまらないが、真意は「大事をなすに当たっては死の覚悟が必要だ」ということである。
こうした考えが、自分たちのことよりも国家の明日を心配した米欧派遣の壮挙につながった。日本出発から1カ月を要してようやくワシントンに着くが、いざ条約改正交渉という段になって天皇の委任状のないことを指摘され、大久保と井上博文はその準備に帰国する。
往復4カ月をかけて再度米国に着いた時には、軽率に条約改正する不利を悟り代表団が米政府に交渉打ち切りを通告していた。
何と無駄足を運んだかとも思われようが、当時の彼らにとっては、国力の差を思い知らされる第1章と受け取る余裕さえも見せている。
国家を建てる、そして維持することの困難と大切さを身に沁みて知ったがゆえに、華夷秩序に縛られた朝鮮問題で無理難題を吹っかけられても富国強兵ができる明治27(1894)年まで辛抱したのであり、三国干渉の屈辱を受けても臥薪嘗胆して明治37(1904)年までの10年間を耐えたのである。
佐藤栄作政権時代に核装備研究をしていたことが明らかになった。「非核三原則」を打ち出した首相が、こともあろうにという非難もあろう。
しかし、ソ連に中立条約を一夜にして破られた経験を持つ日本を想起するならば、「日本の安全を真剣に考えていた意識」と受け取り、その勇気に拍手喝采することも必要ではないか。
国際社会は複雑怪奇である。スウェーデンもスイスも日本人がうらやむ永世中立国である。その両国が真剣に核装備を検討し、研究開発してきたことを知っている日本人はどれだけいるであろうか。また、こうした事実を知って、どう思うだろうか。
「密約」を暴かずには済まない狭量な政治家に、そんな勇気はないし、けしからんと難詰するのが大方ではないだろうか。しかし、それでは国際社会を生き抜くことはできない。
■終わりに
漁船衝突事案では、横浜APECを成功させるために、理不尽な中国の圧力に屈した。日本は戦後65年にわたって、他力本願の防衛で何とか国家を持ちながらえてきた。
しかし、そのために国家の「名誉」も「誇り」も投げ捨てざるを得なかった。今受けている挑戦は、これまでとは比較にならない「国家の存亡」そのものである。
米国から「保護国」呼ばわりされず、中国に「亡失国家」と言われないためには、元寇の勝利は神風ではなく、然るべき防備があったことを真剣に考えるべきである。
そのためにはあてがいぶちの擬似平和憲法から、真の「日本人による日本のための日本国憲法」を整備し、名誉ある独立国家・誇りある伝統国家としての礎を固めることが急務であろう。
〈筆者プロフィール〉
森 清勇 Seiyu Mori星槎大学非常勤講師
防衛大学校卒(6期、陸上)、京都大学大学院修士課程修了(核融合専攻)、米陸軍武器学校上級課程留学、陸幕調査部調査3班長、方面武器隊長(東北方面隊)、北海道地区補給処副処長、平成6年陸将補で退官。その後、(株)日本製鋼所顧問で10年間勤務、現在・星槎大学非常勤講師。また、平成22(2010)年3月までの5年間にわたり、全国防衛協会連合会事務局で機関紙「防衛協会会報」を編集(『会報紹介(リンク)』中の「ニュースの目」「この人に聞く」「内外の動き」「図書紹介」など執筆) 。
著書:『外務省の大罪』(単著)、『「国を守る」とはどういうことか』(共著)
国防 日米安保条約が締結されてから50年目が経ち、いつしか日米安保は空気のような存在となった。そんな折、日本では自民党政権が倒れ、沖縄にある普天間基地の国外・県外への移設を掲げる民主党政権が誕生した。普天間基地の移設問題では早くも日米間できしみが生じるなど、日本の国防が根底から揺らぎそうな雰囲気だ。一方、中国が軍事力、なかんずく海軍力を大幅に増強、北朝鮮からは核ミサイル発射の危険性も現実のものとなり、国を守ることを国民一人ひとりが真剣に考えなければならない時代を迎えている。 *強調(太字・着色)は来栖
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◆次に狙うのは「日本の森」? 中国マネーが日本の不動産に向かうワケ2010-12-30
追跡!AtoZ 〜いま一番知りたいテーマを追う!超リアルドキュメント
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◆民主党大会 小沢氏演説=この理念に沿った政治をこの国が渇望しないはずがない2010-09-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
民主党代表選に於ける小沢一郎氏演説
〈前段略〉
私は40代でたまたま国務大臣、自民党幹事長に就任するという機会があり、国家はどう運営されているのか、その実態を権力の中枢でつぶさに見続けて参りました。そこで見た官僚主導の、例えば予算作りでは、各省のシェアが十年一日のごとくほとんど変わることがありませんでした。官僚組織というのはそういうものであります。
その中で私は、自民党の中にいながらこの改革は無理であることを骨身に染みて分かりました。だからこそ、政権与党である自民党を飛び出して、真にしがらみのない政党を作り、政権を変えるしかないという決意をもってこの17年間、政治活動を続けて参りました。
改めて申しあげます。昨年、政権交代が実現したのは、こんな日本を何とか変えてくれ、という国民の悲痛なまでの叫びからだったはずであります。この声に応えようと、菅総理大臣始め閣僚の皆さんが一生懸命に取り組んでおられることを否定をするものではありません。
しかし、政治と行政の無駄を徹底的に省き、そこから絞り出した財源を国民の生活に返すという、去年の衆院選挙マニフェストの理念はだんだん隅においやられつつあるのではないでしょうか。実際に来年度の予算編成は、概算要求で一律10%カット。これではこれまでの自民党中心の政権と変わりません。財政規律を重視するという、そういうことは大事なことではありますけれども、要は官僚の抵抗で無駄を削減できず、結局マニフェストを転換して国民に負担をお願いするだけではないでしょうか。これでは本当の意味で国民の生活は変わりません。
私には夢があります。役所が企画した、まるで金太郎あめのような町ではなく、(※)地域の特色にあった町作りの中で、お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意見を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自立した国家日本。そのような日本に作り直したいというのが、私の夢であります。
(略)
官僚依存の政治に逆戻りさせるわけにはいきません。それはとりもなおさず、政治の歴史を20世紀に後戻りさせることになるからであります。私は代表になってもできないことはできないと正直に言うつもりであります。しかし、約束したことは必ず守ります。
こう断言できるのは官僚の壁を突破して、国民の生活が第一の政治を実行するのは、最後は政治家の志であり、改革のきずなで結ばれている皆さんとなら、長い時代の壁を突破できると信じるからであります。そして私自身は、民主党の代表すなわち国の最終責任者として、すべての責任を取る覚悟があります。
今回の選挙の結果は私にはわかりません。皆さんにこうして訴えるのも、私にとっては最後の機会になるかもしれません。従って最後にもう一つだけ付け加えさせてください。
明治維新の偉業を達成するまでに多くの志を持った人たちの命が失われました。また、わが民主党においても、昨年の政権交代をみることなく、志半ばで亡くなった同志もおります。このことに思いをはせるとき、私は自らの政治生命の総決算として最後のご奉公をする決意であります。そして同志の皆さんとともに、日本を官僚の国から国民の国へ立て直し、次の世代に松明を引き継ぎたいと思います。
そのために私は政治生命はおろか、自らの一命をかけて全力で頑張る決意であります。皆さんのご指示、ご理解をお願いいたしまして、私のごあいさつといたします。ありがとうございました。
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※憲法第13条
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」
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小沢一郎氏 新しい政策研究会会合で「PAC3配備 ナンセンス」
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