仙谷氏表舞台に 地方議員説得「拙速ではない」
2012年4月15日 東京新聞 朝刊
政府が関西電力大飯原発3、4号機の再稼働方針を決めたのを受け、民主党の仙谷由人政調会長代行は十四日、地元の福井県を訪れた。政府・民主党内の再稼働に向けた議論を水面下で主導してきた仙谷氏が地元の説得という難しい局面で表舞台に乗り出してきた。
「拙速と言われるが、政府は判断を避け、逃げ回っているという非難もある。安全基準は原子力安全・保安院が考え、拙速な作られ方はしていない」
仙谷氏は福井市内で開かれた民主党所属の県議ら地方議員の説明会に出席。議員の一人から政府の再稼働方針を「拙速だ」と批判されると、語気を強めてこう反論した。
仙谷氏は政府・民主党で再稼働問題を実質的に議論してきたチームのリーダー。会合では、政府が十三日に大飯原発の安全性や必要性を確認した経緯について、一時間にわたって説明。枝野幸男経済産業相が西川一誠知事らと会談したのに合わせ、仙谷氏は地方議員を説得した。
仙谷氏は「(地球温暖化対策として)二酸化炭素(CO2)削減を目指す脱化石燃料と、脱原発の両立は至難のわざだ。再稼働に向け政治決断せざるを得ない」と理解を求めたが、議員の賛否は真っ二つに分かれた。
説明会後の記者会見で、仙谷氏は全国の他の原発に関し「安全性が確認され、必要性があれば再稼働をお願いする」と強調。政府の再稼働方針を批判する大阪市の橋下徹市長について「全国の原発が止まれば関電管内の電力供給量も落ちる。(工夫次第で電力不足を乗り切れるという)その考え方は臆測に基づく考えだ」と批判した。
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他の原発も再稼働目指す=仙谷氏
時事通信 4月14日(土)21時36分配信
民主党の仙谷由人政調会長代行は14日、福井市内で記者会見し、関西電力大飯原発3、4号機以外の定期検査中の原発について「安全性、必要性が確認され、地元の理解があれば再稼働をお願いすることになるのではないか」と述べ、全国的に電力需要増大が見込まれる今夏に向け、運転再開を目指す考えを示した。
◆大飯原発再稼働を「チーム仙谷」は決めた/北朝鮮のミサイル発射に国民の注意を向けさせ、その隙に 2012-04-13 | 地震/原発/政治
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◆再稼働5人組「チーム仙谷」枝野・細野・古川元久・斎藤勁/霞が関(財務省 勝栄二郎)・財界(米倉)同調 2012-04-11 | 地震/原発/政治
再稼働「5人組」仙谷氏ら
中日新聞 朝刊2面 2012年4月11日Wed.
関西電力大飯(おおい)原発の再稼働問題で、野田佳彦首相と関係三閣僚が頻繁に会合を開き、議論している。だが、再稼働問題は実質的には仙谷由人党政調会長代行が中心となる通称「五人組」が、水面下で議論を仕切っている。そして首相らの四者の協議は、それを追認するような形だ。まさに政府・与党、さらに財界、霞が関が一体となって「再稼働ありき」を進めようとしている構図が浮かび上がる。(城島建治、関口克己)
野田首相、藤村修官房長官、枝野幸男経済産業相、細野豪志原発事故担当相。この四人の協議が再稼働を決める。
だが四者協議の議論を先導し、事実上政権内をまとめる枠組みが、昨年秋、非公式に出来上がっている。
四者協議のメンバーでもある枝野、細野の両氏と、仙谷氏、古川元久国家戦略担当相、斎藤勁官房副長官の五人組。リーダー格は仙谷氏で「チーム仙谷」とも呼ばれている。
仙谷氏は国家戦略担当相、官房長官、党代表代行などの要職を歴任。枝野氏、古川氏も一員の前原誠司政調会長を支持するグループを束ねている。昨年八月の党代表選では決選投票で野田氏支持に回り、首相誕生の立役者となった。その政策力と政治的腕力には野田首相も一目置く。
仙谷氏は菅政権で官房長官、副長官としてエネルギー政策を担当し、官邸を去った後も仕切り役を続ける。野党時代から電力会社とのつながりがあり、霞が関や党内ににらみが利く仙谷氏が頼られ続けている格好だ。
野田首相と藤村氏は昨年末以来、消費税増税問題に忙殺されてきた。そのこともあり再稼働問題は長い間、五人に任されてきた。
五人の議論は人目につきにくいホテルなどが選ばれる。東京電力をどう再建するか。電力会社の地域独占体制をどう破るか。そして再稼働問題。政府の新成長戦略の旗振り役を担ってきた仙谷氏は、電力不足は経済成長の阻害要因になると考えている。早い再稼働を前提に議論を進めてきた。そして、一連の議論は党内でも、知る人は少数にとどまる。
■仙谷氏ら、4者協議お膳立て
五人が出す方向性を正式に認める形の四者協議も再稼働を前提として生まれた。
昨年七月。九州電力玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)の再稼働が政治日程に上っていた時だ。
当時の菅直人首相は閣内に根回しなく「新たなルールを作って、国民が納得できる判断が出るよう指示する」と表明。再稼働を考えていた他の閣僚と衝突した。当時の菅氏は、脱原発を進めて延命を図る野心もあり、衆院解散も頭をよぎっていた。
この時は当時官房長官だった枝野氏が、再稼働の決定は、首相だけでなく官房長官、経産相、原発相を含めた四人で決定することを提案。菅首相にのませた。つまり四者協議は脱原発に走る菅氏を止めるためにできた。再稼働のツールだった。
四者の協議は四月三日の初会合後、九日までに計四回、慌ただしく回数をこなしているが、各回の所要時間は平均約一時間。首相が枝野氏に求めた新しい安全基準も、関西電力に求めた安全対策の工程表も、指示を待っていたかのように次の会合までに提出されるなど、出来レースを思わせる展開が続いている。
■霞が関・財界同調
経団連の米倉弘昌会長ら財界首脳は「安定した電力供給がなければ、生産拠点の海外移転が加速する」などと、政府に圧力をかけ続けている。
そんな経済界の動きを、経産省は歓迎している。監督官庁として稼働する原発をゼロにしたくない。五月五日、北海道電力泊原発3号機が停止するまでに大飯原発が再稼働しなければ全国で五十四基ある原発は一基も動かなくなり「原発なしでも大丈夫」という機運が高まる。
その事態を避けたいという利害では財界と一致する。
経産省だけでなく財務省も後押ししている面がある。総合特別事業計画で、政府は今夏に一兆円規模の公的資金を投入する方針だが、再稼働しなければ、東電は安定経営ができず、さらに税金投入が必要になると想定しているからだ。財務省の勝栄二郎事務次官も野田首相に直接、再稼働を働きかけている。
オール財界、オール霞が関が、もともと再稼働をめざす政権を後ろから押している。
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橋下旋風、兵庫でも勢い 次期衆院選本紙調査
神戸新聞NEWS2012/04/15 08:30
神戸新聞社がインターネットを通じて行ったアンケートで、次期衆院選の比例代表近畿ブロックでの投票先を尋ねたところ、橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が24%に上り、既存政党を引き離してトップに立った。橋下市長の政治姿勢を評価する人も約7割に上り、衆院選の候補者擁立に向けて準備を進める維新の会への期待が兵庫でも高いことを示した。ただ、橋下市長が取り組む改革の進め方には慎重さを求める声も目立った。
アンケート結果によると、次期衆院選に「関心がある」「どちらかといえば関心がある」が計90%に達した。比例代表近畿ブロックでの投票先では、ほぼ4人に1人が「大阪維新の会」と答えた。政権与党の民主は10%、政権奪還を目指す自民も15%にとどまった。
維新の会代表の橋下市長の政治姿勢についても質問。「評価できる」「どちらかといえば評価できる」が計69%=同上。評価の理由(二つまでの複数回答)では「実行力」(62%)「リーダーシップ」(48%)「改革の姿勢」(46%)が多く、閉塞(へいそく)感打破への期待がうかがえた。
一方、地域政党の維新の会も含めた政党支持率では、「支持政党なし」が46%を占め、維新の会(13%)と民主(12%)や自民(15%)との差はわずか。無党派層の票が維新の会に流れる可能性が高いが、今後の“風向き”次第で結果は大きく変動しそうだ。
自由記述では「改革のためにはあれぐらいの行動力が必要だ」と橋下市長の政治姿勢を評価する声の一方、「強引な手法に違和感がある」との意見も多かった。(岸本達也、黒田勝俊)
アンケートの方法 神戸新聞の読者クラブ「ミントクラブ」の会員約2万人に協力を呼び掛け、4月2〜8日に実施。1466人(男性1103人、女性363人)が回答した。