大熊町、15億円超課税 事故後も原発マネー頼み
2012年4月17日 07時05分
東京電力福島第一原発1〜4号機が立地する福島県大熊町が本年度、原発に対し十五億円を超す固定資産税を課すことが分かった。1〜4号機は電気事業法に基づいて廃止されることになり、事実上、原発の価値はゼロ。それでも事故対応のため追加された高額の設備が固定資産となり、課税総額は事故前を上回る見込みだ。町の財政は、今も原発マネー頼みとなっている。 (岡本太)
建屋の骨組みがぐにゃりと曲がったまま、むき出しになった3号機。核燃料が溶け落ちているとみられる原子炉には、二十四時間体制で注水が続く。高い放射線量の影響で作業員も容易に近づけず、発電所としての機能を失っている。ところが固定資産税を算出するための資産評価額をはじくと、最低でも三十一億円にのぼる。
東電は事故直後の二〇一一年三月末、1〜4号機の廃炉を決め、資産千十六億円はすべて損失として計上。電気をつくれない原発の価値はないと算定していた。通常なら、この時点で、固定資産税はかからないはずだ。
ところが、総務省は電気事業法の「廃止」とは別に、課税判断のもとになる原子炉等規制法上の廃止計画が東電から出ていないことなどを理由に「事業継続中」と判断。事故後の状態をもとに初めて課税する本年度も、東電に「資産」として申告するように求め、1〜4号機の価値を評価することにした。
実際は1〜4号機に価値をつけることは難しく、建設当時の価格の5%という最低限度額が適用されるとみられる。2号機は二十八億円以上、建設コストの高い4号機は四十億円以上になる。
これに大きく上乗せされるのが、事故収束のために建設された設備の資産価値だ。昨年十月、放射性物質の飛散を防ぐ目的で、1号機に設置された建屋カバーは数百億円。二十三万トンもの放射能汚染水からセシウムを取り除く装置や海水の塩分を除去する装置、仮設防潮堤も建設費に応じて高額資産となる。
東電が大熊町に説明した資産の概要によると、従来の設備と、建屋カバーなど新設分を合わせた資産総額は、一千億円ほどだった前年度を上回った。
大熊町の本年度予算は総額六十一億五千万円。歳入のうち町税収入は、事故で土地を追われたため前年度より四割以上減り、二十億円弱となる見通しだ。このうち四分の三の十五億円を原発関連の固定資産税が占める。
町はこれまでも原発稼働に伴う固定資産税を医療費助成など住民サービスに活用してきたが、皮肉にも事故により、原発のもたらす固定資産税に依存する割合が強まった。
税務課の担当職員は「町の再建のためにはどんな収入でも重要です」と話す。
福島第一原発では今後も3、4号機に建屋カバーが建設される予定。これらも固定資産となり、税収入は維持されるとみられる。
最終的な資産額は総務相の評価を受け、近く町に通知される。
(東京新聞)
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中間貯蔵 大熊町に最大施設を
NHK 4月16日 18時51分
福島県内の除染作業で出る土などを保管する中間貯蔵施設について、細野環境大臣は、設置を要請している3つの町のうち、大熊町の議員らと意見交換し、放射線量の高い地域の多い大熊町に最も大きな施設を建設したいという考えを明らかにしました。
除染のための中間貯蔵施設について、政府は先月、福島県の双葉町、楢葉町、大熊町の3つの町に分けて設置することを要請しています。細野環境大臣は、このうち大熊町の14人の議員全員が出席する全員協議会に出席しました。
この中で細野大臣は、放射線量が高く、帰還困難区域になる地域の多い大熊町に最も大きな施設を作りたいという考えを初めて示すとともに、建設にあたっては地形的に1か所に集約できない場合、施設を分散させることもありうることを伝えたということです。
また意見交換では、議員らが町の全域を「帰還困難区域」に指定するよう改めて要望しましたが、国側は区域の設定は放射線量によって行うため難しいという見解を示したということです。
意見交換のあと、細野大臣は「中間貯蔵施設が町の復興の妨げになるという思いを持っている人が多いが、それは違う。今後は雇用、研究などプラスの要因もあることを丁寧に説明していきたい」と述べました。
一方、町議会の千葉幸生議長は「イメージの話ばかりで具体的な説明がなく、現段階で設置の可否は判断できない」と話していました。環境省は今後は県も加わった形で協議を行うとともに、住民説明会も開きたいとしています。
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大熊町 15億円超課税 事故後も原発マネー頼み/中間貯蔵 大熊町に最大施設を
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