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原発立地地域の人々が脱原発で失業したらどうするのか/政府と民主党は原発に関する情報をもっとオープンに

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原発が立地する地域の人々が脱原発で失業したらどうするのか!?
夕刊ガジェット通信2012.04.19 11:15 
 ここ1週間の動きを見ていると、政府は「再稼働ありき」で原発問題を考えているようである。それを後押ししているのが、経産省と財務省の官僚たちと財界のお偉方であることは、「国民不在の原発再稼働を進める『チーム仙谷』」という記事で報告した(夕刊ガジェット通信、2012年4月12日付)。
 再稼働に関する財界の議論については、原発利権を守りたいという話と、電力不足で産業が衰退するという話を分けて考える必要がある。「大手電力会社をつぶさないため」とか「原発に関連する産業をつぶさないため」、すなわち利権を守る「ため」に原発の再稼働を求めるような話は、福島第1原発事故を経験した今となっては本末転倒かつ笑止千万だと言わざるをえない。
 また、電力不足で産業が衰退するという話は、少数の原発稼働で乗り切った2011年3月11日からの1年間の実績と、原発利権とは無関係の第三者が分析した電力需要の見通しなどを踏まえた上で、冷静に議論する必要があろう。その結果、電力が足りないということになった場合、代替エネルギーによる発電が軌道に乗るまでのあいだは、最低限の原発再稼働を認めざるをえないのかもしれない。もちろん、近い将来の脱原発を前提にした上で、という条件付きで。
 やっきになって再稼働を進める政府も、基本的には「脱原発依存」の方針を示している。最近、しばしば指摘されるのが枝野経産相の原発問題に関する姿勢のぶれだ。筆者には、ぶれと言うよりも、説明不足であるように見える。原発の必要性を訴えて再稼働を進める。その話は脱原発を前提にしている。これだけ聞いたら、ダブルスタンダードだと思ってしまう人もいると思う。「再稼働」と「脱原発」のあいだに存在するさまざまな事柄を、ていねいに説明する努力が足りていない。
 いずれにしても、「脱原発依存」の方針を進めていけば、日本の原発は順次、廃炉になる。廃炉になれば、かならず仕事を失う人が出てくる。原発利権のど真ん中に存在する組織のデータで申し訳ないが、経済産業省所管の財団法人・日本エネルギー経済研究所によれば、「国内の原子力発電所54基すべてが2012年春に停止した場合」、「電力不足が国内産業の空洞化を加速させることで失業者数も19万7000人増加する」と試算している(読売新聞、2011年7月29日付)。
 この数字を鵜呑みにするのはどうかと思うが、原発が次々に停止もしくは廃炉になった場合、多くの失業者が発生する可能性がある、という程度にデータを読みこむことには問題なかろう。とくに、原発そのもので働く人、原発に出入りする業者で働く人、原発で働く人を相手に商売をする人などが失業する可能性が高い。その人たちを、いったいどうするのか。職業の選択は自己責任だという声が聞こえてきそうだが、こと原発に関連する職業の場合、そうとは言い切れないと筆者は思う。
 原発の設置は、国策によって推進された。そして、福島第1原発事故が発生するまで、私たち国民は、その国策を黙認し、原発によって発電された電力を何の疑いもなく消費してきた。ところが、原発事故の発生によって、その国策はまちがっていたのではないかと言う話になった。まちがいを修正するための国策が、脱原発である。したがって、脱原発によって、とりわけ原発の立地する地域で働く場所を失う人がいるのだとすれば、まちがいをおかした政府とそれを黙認した国民が、その人たちをバックアップすべきではないか、と筆者は考える。
 ようは、それが原発問題に対して、政府や国民が「落とし前をつける」ことであり、責任をとるということにつながるのではないか。失業者をバックアップする方法は、いろいろあると思う。代替エネルギーによる発電が軌道に乗れば、そこで働いてもらうのも一案である。また、廃炉作業にも一定の働き手が必要になろう。しかし、そうやって復職できる人はほんの一部であり、多くの失業者は税金を使うなどして支援する必要が生じると思われる。
 ひとつだけ付けくわえれば、原発に関連する人たちの失業は、それぞれの原発が廃炉になると同時に発生する。だが、東日本大震災で職を失った人たちの支援は、待ったなしである。こちらは、「落とし前」とか「責任」とは別の次元の話になる。天災の被害で失業した人たちを、日本社会がどう受け入れるのか、どう支援するのか、という話だ。原発に関連する人たちにしても、被災者にしても、周りが「がんばれ」と言っているだけでは失業問題は解決しない。必要なのは、具体的な政策と国民の覚悟なのではないか。
(谷川 茂)
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政府と民主党は原発に関する情報をもっとオープンに!
ガジェット通信2012.04.18 14:15
政府は13日に、大飯原発の再稼働を可能と判断した。その翌日、同原発の立地県である福井県に、枝野経産相と民主党の仙谷政調会長代行が向かった。復興庁を設置するのに1年弱もかかったスローペースの政府が、原発の再稼働についてはすばやい動きを見せていることに、不自然な印象を持たざるをえない。
2012年4月14日付の福井新聞によると、「枝野幸男経済産業相は14日、福井県庁で西川一誠知事らと会談し、政府が「妥当」と判断した関西電力大飯原発(同県おおい町)の再稼働に同意するよう求めた。そして、「西川知事と時岡忍おおい町長は、大阪市や京都府、滋賀県の首長が政府の判断を拙速と批判していることに懸念を示し、国が責任を持って周辺自治体の理解を得ることが条件との考えを示した」という。
また、読売新聞は15日付で、福井入りした仙谷さんが民主党の「地元国会議員、地方議員ら約30人との会合で、大飯原発の再稼働について理解を求めた」ことを報じている。「『脱原発依存』と『脱化石燃料』を一緒にやるのは、現実の生産活動の中では、なかなか容易ならざる話だ。再稼働に向けて政治決断せざるを得ない」という仙谷さんの訴えに対し、民主党の議員さんたちがどう反応したのか。
日本経済新聞によれば、その反応は「『安全基準の作り方が拙速だ』『再稼働しないと下請け・孫請け業者がつぶれ、経済は冷え込む』などと賛否は分かれた」のだとか。枝野さんと知事らの会談内容にしろ、仙谷さんと地元議員とのやりとりにしろ、いまもっとも重要かつ必要な情報だと言っていいだろう。にもかかわらず、その断片しか伝わってこないのは、なぜなのだろう。報道する側が自主規制で伝えないのか、政府が報道に圧力を加えているのか。
いずれにせよ、原発に関するあらゆる情報を、政府はオープンにしてしまうべきであろう。党内の意思統一がとれていないこと。仙谷さんが東電や財界、官僚の意向をくんで、再稼働を進めようとしていること。ほんとうは脱原発を求めていると思われる枝野さんが、大きな力によって再稼働を推進する側にならざるをえないこと(陰謀論のようなことは言いたくないが……)。原発問題に関して、野田首相がまったくリーダーシップを発揮できていないこと。
日々の報道を追いかけていれば、そんなことは誰にでもわかる。何十年も続けてきた日本の原発政策が転換期を迎えているのだから、政府の中で議論が分かれるのは当然である。その噛み合わない議論を、そのまま国民に見せる。その上で、どう判断するのか。そうした国民の態度こそ、政府が注視すべきものであり、今後の原発政策を左右するものだと筆者は思うが、いかがなものであろう。
政府も民主党も、こと原発に関する情報については隠しすぎである。隠しているだけで、国民を不安にさせるし、不信感を抱かせる。原発で不信感を持てば、消費税にも不信感を持つのは必然。原発問題での負のスパイラルを断ち切ることが、政府と民主党に対する信頼回復のカンフル剤になると思うのは、筆者だけであろうか。
(谷川 茂)
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関連;大飯原発 国民を煙に巻きつつ進められる再稼働 2012-04-17 | 地震/原発/政治
  【大飯原発】国民を煙に巻きつつ進められる再稼働
 サーチナ【社会ニュース】 2012/04/16(月) 11:22
  政府として原発の再稼働を判断する4者会議(首相、官房長官、経産相、原発事故担当相)が13日の夜に開かれ、「大飯原発3、4号機の安全性と必要性が確認できた」と言うことで、再稼働を認める方針が固まった(東京新聞、2012年4月14日付)。翌14日には、大飯原発の立地県である福井県を枝野経産相が訪問。同県知事ら関係者と会談し、再稼働を要請した。
  こうした政府の動きを、地方の新聞各紙が痛烈に批判している。まず、北海道新聞は4月14日付の社説「大飯原発 再稼働要請は早すぎる」で、「再稼働の可否を判断する安全基準が即席で作られ、関電から早々と提出された安全対策の実施計画が了承された」ことへの危機感を訴える。「決定の根拠も過程も不明確な見切り発車」で「地元の同意を求めるのは無理がある」のは当然であろう。
  さらに、問題はその先にある。「しかも、急ごしらえの安全基準は、大飯以外の原発の再稼働にも適用される」のである。「中長期的な安全対策は、電力会社が実施計画をまとめるだけで可」とするような甘い基準の、どこが「安全基準」などと言えるのだろうか。また、枝野さんが繰り返す「電力不足」にしても、「原発の安全性と電力需給の逼迫は、同列に論じるべき問題ではない」と斬り込んでいる。
  次は西日本新聞。4月15日付の社説「大飯原発再稼働 初めに結論ありき」で、情報公開の不十分さを指摘する。「福島第1原発の爆発事故のときがそうだ。事態の深刻さが増すにつれて、政府、東電の口は重くなった。正しい情報をできるだけ早く。それが最も求められるときに情報が途切れた」。
  同事故が起きてから原発は止まり続け、来月には稼働する原発が「一瞬ゼロに」(枝野経産相)なる予定だ。止めた原発を再稼働させないのはなぜか。それは、あの事故が何であったのかを完全に検証し、事故が起きた場合の対策を完璧に講じることができなければ、ふたたび広域にわたる放射能の飛散という前代未聞の事態が発生することを危惧せざるをえないからである。
  つまり、止めた原発を次に再稼働させるときには、国民にその危惧を抱かせないような説得力のある情報が必要なのである。にもかかわらず、「最も求められる」情報である上記の4者会議で、「どんな話し合いが行われているか」が分からない。同社説では、情報の「詳細を公開した方がいいはずだ」とした上で、そんな政府の対応を「曇りガラスを通して見るようで、会合の中身はぼやけてしか見えない」と批判している。
  秋田魁も同じく4月15日付の社説「大飯原発再稼働『妥当判断』拙速すぎる」で、「最近の政府は、再稼働に躍起となっているのが見え見えだった」と述べる。そして、「3日の初会合から13日までに6回の関係閣僚会合が開かれ、新安全基準の決定、関電からの安全対策工程表提出、再稼働妥当の判断と慌ただしく続いた」ことが、「再稼働を前提としたものとしか受け取れず、泥縄の印象が拭えない」とする。
  さらに、「原発事故による放射性物質拡散の影響は計り知れないことを私たちは学んだ。福島第1原発事故の検証は終わっておらず、原子力規制庁も発足していない中で、なし崩し的に原発を再稼働させようという姿勢では国民の理解は到底得られない」と言うが、まったくその通りだと筆者も思う。
  原発の再稼働をめぐる現状は、まさに国民が「煙に巻かれた」状態と表現するのにふさわしい。もちろん、国民を煙に巻いているのは政府である。とはいえ、いまの国民は、「安全です」と言って煙に巻いていれば、原発の設置に合意していたころの国民とは違う。免疫力も知恵もつけている。そして、そのことは政府も分かっていると思う。その上で政府が安易な再稼働への道を進んであるのだから、私たち国民もなめられたものである。
  ただひとつ、気になることがある。それは、原発に関連する職場で働いている人たちのことである。原発が再稼働せず、このまま停止、もしくは廃炉ということになれば、その人たちが一気に仕事を失う。この点については、後日、改めて考えてみようと思う。基本的には、原発に関連する職場で働く人が失職したら、「安全です」と言い続けて設置を進めた当事者である政府が、責任を持ってその人たちの仕事を保証すべきだと思っている。
(谷川茂)(情報提供:夕刊ガジェット通信)
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国民不在の原発再稼働を進める「チーム仙谷」
夕刊ガジェット通信
2012.04.12 10:15
 いやな話である。ずるいというか、姑息というか。国民の意思とは全く関係ないところで、与党の有力者と官僚、そして財界とが原発の再稼働を推進しているというのだ。

       

 2012年4月11日付の東京新聞は、トップで「『チーム仙谷』再稼働主導」という記事を掲載した。現在、再稼働するか注目されている関西電力の大飯原発。再稼働の可否を最終的に決めるのは、4者協議(野田佳彦首相と藤村修官房長官、枝野幸男経産相、細野豪志原発事故担当相の3閣僚)である。しかし、その裏で民主党の政調会長代行である仙谷由人さんが動き、原発の再稼働を進めていることが記事で報告されている。
 仙谷さんは、上記の枝野さんと細野さんに古川元久国家戦略担当相、そして齋藤勁官房副長官を加えた5人で「チーム仙谷」なるグループを作り、原発の再稼働について議論している。そして、仙谷さん自身は、「政府の新成長戦略の旗振り役」であることから、「電力不足は経済成長の阻害要因になる」と考え、「早い再稼働を前提」に議論を進めているというのである。
 消費税増税問題で忙しい首相や官房長官は、「チーム仙谷」での協議を「追認」するようなかたちになっている。さらに、「チーム仙谷」による「一連の議論」は、「党内でも、知る人は少数にとどまる」というから驚きだ。経団連ら財界は、「安定した電力供給がなければ、生産拠点の海外移転が加速する」と「政府に圧力をかけ続け」、「監督省庁として原発をゼロにしたくない」経産省は、そうした財界の動きを「歓迎している」。
 再稼働しないと「東電は安定経営ができず、さらに税金投入が必要になる」という理由で、財務省も事務次官が首相に「再稼働を働きかけている」。つまり、「オール財界、オール霞ヶ関が、もともと再稼働をめざす政権を後ろから押している」というのが、現在の原発をめぐる構図となっているわけである。
 ホントかデマかも考えず、感情的に反原発を訴えるのは、どうかと思う。だが、福島第1原発の事故が起きてからは、原発に関する情報が身近になり、客観的かつ冷静に原発のことを考える国民も増えている。その傾向は、34万筆の署名を集めた「原発都民投票」などにもあらわれている。そうした原発に対する国民の関心をよそに、財界と霞ヶ関をバックボーンにして、「党内でも、知る人は少数にとどまる」ようなかたちで、与党の一部の人たちが原発の再稼働を決めようとしていることを、読者はどう思われるだろうか。
 最終的に再稼働の可否を決める4者協議は「形だけ」のもので、実質的には再稼働を主導する「チーム仙谷」の協議が政府の方針を決めつつある。国民の声はおろか、民主党の議員の声も届かないような意志決定システムにより、原発の再稼働を決めさせていいのか。記事を読むと、それを阻止する仕組みはないように思える。このままずるずる再稼働が決まった場合、私たちにできる抵抗は、総選挙における投票活動くらいのものなのか。
 一時は国民の圧倒的な支持を得ていた民主党だが、原発問題に注目していると、堕落していく様子が浮き彫りになる。かといって、そもそも原発を林立させた張本人である自民党に、いまだ不信感を抱いたままの人も多い。河野太郎さんのような良心的な議員を除いては。このように、総選挙になったらなったで、私たちは選択肢のない状況と向き合わなければならなくなるのである。
 それにしても、民主党がこれほどひどくなるとは思っていなかった……。
(谷川 茂)
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