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【欠陥憲法】(3)不明確な国籍条項 外国人に参政権を付与できるのか

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【欠陥憲法】
(3)不明確な国籍条項 外国人に参政権を付与できるのか
産経ニュース2012.5.1 13:29
 「初の投票に感無量」「韓国国民であることを実感した」
 4月11日に投開票された韓国総選挙は、在外投票制度が初めて導入され、日本国内でも事前に登録した人のうち約9800人が母国の将来を託す一票を投じた。在日本大韓民国民団(民団)のホームページは、日本国内10カ所の投票所に足を運んだ在日韓国人らの興奮した様子を伝えた。
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 日本国内の韓国・朝鮮籍永住者は約45万人(平成20年末)。韓国が在外投票制度を整備したことで、仮に日本の永住外国人に地方参政権(選挙権)が付与されれば、彼らの多くは韓国の国政と日本の地方自治体に“二重”の投票権を持つことになる。民団は昭和62年から地方参政権を訴え続け、平成10年以降、衆参両院に15本の付与法案が提出されている。民主党は政権交代時の「政策集INDEX2009」に「永住外国人の地方選挙権」を掲げ、鳩山由紀夫元首相は今年1月の民団新年会で「今年こそ超党派で解決していきたい」と強調した。
 日韓の間には日本固有の領土でありながら、韓国に不法占拠されている竹島問題や「慰安婦」問題などが存在する。多くの在日韓国人が日本国内で地方自治体に限るとはいえ参政権を行使した場合、問題が複雑にならないか。そもそも日本国憲法第15条1項は公務員の選定と罷免、つまり参政権を「国民固有の権利」と規定しているのに、なぜ外国人に付与することができると考えられるのか。
 付与できるとする根拠の一つが、地方自治体の首長や議員を「住民が、直接これを選挙する」と定める憲法第93条2項の規定で、「『住民』には外国人も含まれる」と解釈されるからだ。7年2月28日の最高裁判決が法的拘束力のない「傍論」で、「永住者等」について法律に基づく選挙権付与が「憲法上、禁止されているものではない」としたことも許容説に拍車をかけた。
 スウェーデン、ドイツなど複数の欧州諸国で地方参政権を認める国があることや、2005(同17)年に韓国が永住外国人に地方参政権を付与する法改正を行ったことから、「相互主義」の観点で日本も認めるべきだとする意見もある。民団の調べでは全国177の自治体が、合併などの際に永住外国人にも住民投票の投票権を付与する条例を制定している。
 だが、欧州諸国も相互主義を取る国がほとんどである上、韓国の場合、在韓の永住日本人で参政権を得るのは100人程度(改正時)にすぎず、「相互主義が成り立たない」との批判が強い。
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 国立国会図書館の資料によると、学説では、国政での参政権付与は憲法上禁止されているとする説が多数を占める。「自国の主権の保持と独立、国益確保の見地から、安全保障、外交・内政に関する重要事項には外国人の参加を認めない」ためだ。外国人の地方参政権を認めない立場の学説は、地方自治と国政への参政権を別個のものと考えること自体を否定する。米軍普天間飛行場移設問題をはじめとする米軍基地問題や原子力発電所などのエネルギー問題など、地方自治体の選挙でも国政を大きく左右するからだ。
 21年9月に発足した鳩山政権は、韓国・朝鮮籍が99%を占める特別永住者だけでなく、中国籍約17万人を含む一般永住者約56万人をも対象にした参政権付与法案を検討。これに対し、延べ35県が反対や慎重対応を求める意見書、決議を採択した。外国人に参政権を付与できるとする学説を日本で最初に紹介した長尾一紘中央大教授が産経新聞の取材に対し自説の誤りを認めるなど、反対論が高まり、政府は法案提出断念に追い込まれた。だが、外国人に地方参政権を付与することが妥当かどうか、憲法解釈の矛盾は残されたままだ。(田中靖人)

憲法第15条
 1 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
 憲法第93条
 2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
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