石川議員再聴取:担当検事「供述維持、幹部が指示」
毎日新聞 2012年05月11日 03時00分
小沢一郎・民主党元代表の政治資金規正法違反事件に絡み、元秘書で衆院議員の石川知裕被告(38)を10年5月に再聴取した際に「虚偽」の捜査報告書を作成したとされる田代政弘検事(45)が検察の内部調査に「(元代表の関与を認めた)石川議員の捜査段階の供述を維持させるよう一部幹部から指示された」と話していることが分かった。検察当局は指示の意図を確認するため、田代検事の当時の上司らから聞き取りを進めている模様だ。
石川議員への再聴取は、東京第5検察審査会が元代表について最初の起訴相当議決(10年4月)をした後の再捜査時に行われた。複数の検察関係者は「通常こうした再聴取では相手に自由に話をしてもらう」と指摘する。
だが、関係者によると、田代検事は「石川議員の供述を維持させろという一部幹部からの指示があった。別の上司からは『(再聴取を)頑張れ』などと言われた」と内部調査で説明しているという。
実際に行われた再聴取では、石川議員が冒頭から「無罪になるわけないですから」などと発言。自身が「隠し録音」したICレコーダーの内容をおこした文書によると、5時間を超える再聴取のうち約20分経過した時点で「今までの(供述)を全部翻すことにはならないでしょ」などと、大筋で供述を維持する姿勢を示した。
しかし、田代検事はその後も「検審、ま、うち(検察)の方針もそうだけど、石川さんが今までの話を維持してきちっとね、話をしている限り、多分、(元代表が)起訴だということにはならないんだろうと思うんだよ」などと繰り返し念押ししていた。
◇「虚偽」報告書…故意の立証困難
田代検事は、実際にはなかったやりとりを捜査報告書に記載したことについては「逮捕時の取り調べと記憶が混同した」と述べ、故意の虚偽記載を否定している模様だ。
捜査報告書には石川議員の発言として「検事から『ヤクザの手下が親分を守るためにうそをつくのと同じようなことをしていたら選挙民を裏切ることになる』と言われ、小沢先生へ報告し、了承を得たと話したんです」などと記載されていたが、実際には再聴取時にこうしたやりとりはなかった。この捜査報告書は東京第5検察審に送られ、2度目の起訴議決の根拠の一つになったとされる。
このため元代表への無罪判決で東京地裁は「事実に反する捜査報告書を作成し、検察審の判断を誤らせることは決して許されない」と厳しく批判。「経緯や原因の究明については検察が十分調査し、対応することが相当」と調査を求めていた。
この捜査報告書を巡っては、市民団体が田代検事や当時の幹部ら計7人を最高検などに刑事告発。検察当局は今月中にも処分を決めるが、「故意」の立証は困難として、不起訴の方向で検討を進めている模様だ。
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◆小沢一郎氏裁判 第9回公判〈前〉/証人 田代政弘検事「特捜部は恐ろしいところだ」=報告書に虚偽の記事 2011-12-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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検察の内部調査;「石川議員の捜査段階の供述を維持させるよう一部幹部から指示された」=田代政弘検事
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