都内で大会、中国反発=きょうアジアで初の開催−世界ウイグル会議
世界各国の亡命ウイグル人団体を束ねる「世界ウイグル会議」(本部ドイツ・ミュンヘン)の第4回代表大会が14日、東京都千代田区の憲政記念館で開幕する。3年に一度の代表大会のアジア開催は初めて。同会議を「分裂主義組織」と非難する中国政府は、日本政府に大会開催阻止を要求。温家宝首相は13日、北京で野田佳彦首相と会談した際、この問題で強く反発した。
2004年に設立された世界ウイグル会議の議長はノーベル平和賞候補にもなった女性人権活動家のラビア・カーディル氏。大会には125人程度のウイグル人団体代表が出席し、今後3年間の運動方針を話し合う。開会式には、日本の国会議員も出席する。
新疆ウイグル自治区の区都ウルムチでは、09年7月に大規模暴動が発生。当局発表では197人の死者を出し、中国政府に対する国際社会からの批判が高まった。17日までの代表大会はこの暴動以来初めての開催で、厳しい立場に置かれるウイグル人の現状を世界に発信する狙いだ。
中国外務省によると、温首相は13日の会談で、ウイグル会議と尖閣諸島問題に関し「中国側の核心的利益と重大な関心事項を尊重し、慎重かつ適切に問題を処理してほしい」と要求した。(時事通信2012/05/14-06:47)
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5月14日、ウイグル人活動家125人が東京に集結 日本で開催される「世界ウイグル会議」の代表大会
WEDGE Infinity 2012年05月11日(Fri)有本 香(ジャーナリスト)
先月の本コラムでも触れたが、来週14日から4日間、いわゆるウイグル問題の解決を目指して活動している、在外ウイグル人の組織、「世界ウイグル会議(本部:ミュンヘン)」の第4回代表大会が東京で開催される。期間中、世界20カ国から125名(予定)ものウイグル活動家が東京に集結することとなるという。
■開催国・日本に圧力をかける中国政府
例によってこの事態に、中国当局が黙っているはずもなく、先月、日本政府への圧力を明言するコメントを発表。中国の政府系メディアは、世界ウイグル会議総裁のラビア・カーディル女史(在ワシントンDC)や、前回の本コラムでも触れた、同組織の創設メンバーの一人で、現在、事務総長を務めるドルクン・エイサ氏(在ミュンヘン)らをあらためて「危険分子」と烈しく非難して伝えた。といっても、これらはいわば予想どおりの反応。むしろ予想と違っていたのはわが国政府周辺の反応である。
去る4月9日、ロイターは、「中国、亡命ウイグル人会議開催阻止するよう日本に圧力」なる見出しの記事の中で、これまでも中国政府が、諸外国による在外ウイグル人への支援を阻むため外交的圧力をかけてきたことを伝えている。
■韓国・仁川空港で拘束されたエイサ氏
例として2009年9月、ドルクン・エイサ氏(1997年に中国を出国、06年ドイツ国籍取得)が、アジア民主化フォーラムへの参加のため到着した韓国・仁川空港で拘束された件を挙げた。
このとき韓国政府は拘束の理由を「(中国の)ブラックリストに載っていたため」としたが、世界ウイグル会議側は「北京からの圧力があったと思われる」とし、当の北京は表向き、「知らん顔」で通した。
この件が起きたのは、「7.5ウルムチ事件」――新疆ウイグル自治区ウルムチ市で、ウイグル人による抗議行動が当局によって弾圧され、大勢の死傷者、逮捕者が出た惨事――の2カ月後のことであり、中国当局が内外のウイグル人の動きにとくに敏感になっていた時期でもあった。
在韓ドイツ大使館の働き掛けに加え、拘束の翌日には、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが、「ドルクン・エイサ氏の即時釈放を求める」との声明とともに韓国当局に氏の解放を働きかけ、3日後、氏は解放された。先月の来日の際、氏にこの件をあらためて尋ねると、「拘束された際、理由についての説明はなく、北京からの圧力以外に考えられないと感じた」と強調した。
■中国の圧力に「泰然自若」としていた民主党政権
以後、氏は2010年と11年の2度、日本を訪れたが、そのたびに日本のウイグル支援者らは気を揉んだという。韓国のときと同じようにひょっとすると日本でも、理由も明確にされないまま入国を阻まれるのではないか、との懸念からである。先月の入国の際にも、氏自身も周囲も不安を抱いていた。「今年は日中国交40年の年。中国が日本に強く圧力を掛け、日本側が折れるのではないか」との懸念からである。
ふつうに考えれば、過去に数回入国を許し、日本領内で何ら問題を起こしてもいない一人のドイツ国民を突如入国拒否にすることなどあるはずもない。しかし、2010年9月の「尖閣事件」の際の日本政府の異常とも思える「弱腰ぶり」など見れば、関係者が不安に駆られるのも無理もない。
幸運にもこの不安は的中せず、氏はすんなりと入国できた。さらに中国側の「圧力コメント」の直後、日本側からは、世界ウイグル会議代表者大会の出席者について「査証申請があれば粛々と手続きを行なう」という、そもそも当然の、しかし、あの「弱腰ぶり」を見せた現政権にしては上出来なコメントも聞こえてきたのである。■なぜ、日本で開催するのか?
筆者の取材では、この件について閣内の複数から、「中国側の圧力など受けてはならない」との声が聞かれた。現在の閣内には、過去にドルクン・エイサ氏ら世界ウイグル会議の幹部と面会した人が複数いる。よきに考えれば、ウイグル問題に理解ある政治家が閣内にいたことが幸いしたかとも思われるが、そう単純な話ではなかろう。
日本政府が、中国側の「圧力」を意に介さず、世界中のウイグル人の活動家らへのビザ発給を行なう、とのニュースが伝わると、Facebook上では世界の多くのウイグル人らから喜びの声が書き込まれた。日本を称賛する内容のものも少なくなかった。しかし、筆者はいま一つ釈然としないものを感じていたのである。
前回も述べたが、世界の例にもれず、日本でのウイグル問題の認知度はまだまだ低い。チベットと比べても雲泥の差がある。それは永田町とて同じで、ウイグル問題を詳しく知る日本の政治家は皆無に近いといって過言でない。
過去に、世界ウイグル会議の幹部らと接点のあった閣内の人々も、あるいは今般、設立が発表された「日本ウイグル国会議員連盟」のメンバーとして集まった12人の議員らも、数人を除けば、ウイグル問題にとくに詳しい、との印象はない。むろん、ウイグル人に対し酷い人権弾圧が行なわれているということは全員が承知しているだろうが、たとえば、このうちの何人が、ドルクン・エイサ氏が09年に韓国で拘束された件を関知していただろうか?
■ウイグル人は日本が好き
そうした状況ではあるが、今般、日本政府は“毅然と”ウイグル人活動家らにビザを出すといい、保守系といわれる野党の国会議員らは「ウイグル議連」を立ち上げるに至った。 果たして日本の政治家らは「目覚めた」といえるのであろうか?
ドルクン・エイサ氏は先月、日本の複数のメディアから「日本で代表者大会を開催する理由」を聞かれ、日本が「アジアの大国であり、自由で民主的な体制であり、中国に対し影響力をもつ国である」ことを挙げ、そんな日本の人々にもっとウイグル問題を知ってほしいためでもあると答えていた。筆者の取材に対しては、加えて、「ウイグル人は日本が好きなのです。日本に来たい、あなたたち日本人に会いたいという気持ちが強いのですよ。それも大きな理由の一つ」と、泣かせることをも言った。偽らざる思いではあろうが、理由はそうした「ウイグル人の思い」のほかにもあるのでは、と思える。
■米国の対中戦略やいかに?
あくまで筆者の憶測だが、今般の世界ウイグル会議代表者大会の日本開催には、米国の意向が色濃く反映されているのではなかろうか。そう考えると万事納得がいく。米国との「コンセンサス」あればこそ、日本政府は、中国側の圧力をものともせず、“毅然と”ウイグル人活動家125名の入国を許すと宣言したのではないか?
一方、北京も、おきまりの「圧力コメント」を発し、ラビア総裁、ドルクン事務総長批判こそ展開したものの、それ以上の手は打ってきていない。現在は、国内でのゴタゴタが多くそれどころでない、との見方もできるが、わずか数年前に、ラビア総裁の訪日にあたって、日本の与野党の政治家が彼女と接触しないよう、執拗に工作を行なったことを思えば、一体どうしたのか、と思うほどあっさりした反応である。これも、今回の日本開催の背後に米国の意向を見て取っているがゆえの「冷静さ」か、と考えずにいられない。
昨今の中国国内の権力闘争の顛末を見ても、米国が、北京の「生殺与奪」にそれなりに深く関与できる立場にあることは明らかだ。しかも最近、米国の現政権は、中国の周辺諸国との関係、連携を工夫し、「中国包囲シフト」と思える動きを加速させている。ミャンマーは民主化への道を歩み始め、フィリピンは中国の海洋進出に一歩も引かない構えであるし、インドとパキスタンは一応、関係改善を宣言した。いずれも米国の思惑を濃厚に反映した結果かとも思われる。そんな流れのなかに、今般の世界ウイグル会議代表者大会の東京開催を置いて見るのはいかがか。
■「ウイグル会議」で見ておくべき視点
このように背景を推測しつつも、一方でわれわれ日本人としてはやはり、自国で開催される世界ウイグル会議の代表者大会の行方に着目する必要がある。
同組織が掲げる、ウイグル人の人権状況の改善は、隣国の住人として看過すべきでない問題であるし、彼らが目標とする、ウイグル人による民族自決権の獲得という件は、われわれの将来にも大きく影響する問題だからである。大会では、今後3年間の活動方針と執行体制が話し合われ、決定されるという。その結果は、今後の世界におけるウイグル運動の行方はもちろんのこと、アジアそのものの行方をも大きく左右しかねない、といっても過言でないだろう。
・著者 有本 香(ありもと・かおり)ジャーナリスト
企画会社経営。東京外国語大学卒業後、雑誌編集長を経て独立。近年とくに中国の民族問題の取材に注力している。『中国はチベットからパンダを盗んだ』(講談社)『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』(祥伝社)の他、近著に『中国の「日本買収」計画』(WAC BUNKO)がある。
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◆尖閣諸島購入問題の本質=「中立の立場」という無責任きわまりない米国の立ち位置を覆い隠す役割 2012-05-13 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
「尖閣諸島購入」問題の本質 米国の立ち位置隠し
豊下楢彦
中日新聞 文 化 2012/5/10 Thu.
石原慎太郎東京都知事が、尖閣諸島のうち個人所有の3島を都として購入する方針を明らかにしたことで、その狙いや賛否をめぐり議論百出の状態である。しかし、問題の本質をえぐった議論は提起されていない。
石原氏は購入の対象として魚釣島、北小島、南小島の3島を挙げている。しかし、同じく個人所有の久場島については全く触れていない。なぜ久場島を購入対象から外すのであろうか。その答えは同島が、国有地の大正島と同じく米軍の管理下にあるからである。海上保安本部の公式文書によれば、これら2島は「射爆撃場」として米軍に提供され「米軍の許可」なしには日本人が立ち入れない区域になっているのである。
それでは、これら2島で米軍の訓練は実施されているのであろうか。実は1979年以来30年以上にわたり全く使用されていないのである。にもかかわらず歴代政権は、久場島の返還を要求するどころか、高い賃料で借り上げて米軍に提供するという「無駄な行為」を繰り返してきたのである。ちなみに、一昨年9月に中国漁船が「領海侵犯」したのが、この久場島であった。それでは事件当時、同島を管轄する米軍は如何に対応したのであろうか。果たして、米軍の「抑止力」は機能していたのであろうか。
より本質的な問題は、他ならぬ米国が尖閣諸島の帰属のありかについて「中立の立場」をとっていることである。久場島と大正島の2島を訓練場として日本から提供されていながら、これほど無責任な話があるであろうか。なぜ日本政府は、かくも理不尽な米国の態度を黙認してきたのであろうか。
言うまでもなく日本政府は一貫して「尖閣諸島は日本固有の領土であり、領土問題などは存在しない」と主張してきた。ところが米国は、1971年に中国が公式に領有権を主張して以来、尖閣諸島について事実上「領土問題は存在する」との立場をとり続けてきたのである。
とすれば日本がなすべき喫緊の課題は明白であろう。尖閣5島のうち2島を提供している米国に、帰属のありかについて明確な立場をとらせ、尖閣諸島が「日本固有の領土である」と内外に公言させること。これこそが、中国の攻勢に対処する場合の最重要課題である。これに比するなら「3島購入」などは些末な問題にすぎない。
しかし、仮に同盟国である米国さえ日本の主張を拒否するなら、尖閣問題が事実として「領土問題」となっていることを認めざるを得ないであろう。その場合には、日中国交正常化以来の両国間の「外交的智慧」である「問題の棚上げ」に立ち返り、漁業や資源問題などで交渉の場を設定し妥結をめざすべきである。
いずれにせよ、石原氏が打ち上げた「尖閣諸島購入」という威勢の良い「領土ナショナリズム」は結局「中立の立場」という無責任きわまりない米国の立ち位置を覆い隠す役割を担っているのである。
(とよした ならひこ)=関西学院大教授、国際関係論・外交史
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「核心的利益」中国は主権や領土に関わる問題で外国に妥協しない姿勢を強めた 2011-07-18 | 国際/防衛/中国
拡大する「核心利益」 中国外交を懸念する
2011年7月18日中日新聞【社説】
中国は主権や領土にかかわる問題を「核心的利益」として外国に妥協しない姿勢を強めた。その範囲も野放図に広げ、周辺諸国の警戒を招いている。
「国家の主権と安全、発展は外交の最優先任務だ」「国家の核心的利益にかかわる問題は絶対に、いかなる妥協も譲歩もしない」
中国外務省の馬朝旭報道局長が最近、党機関紙に発表した文章の一節。軍やマスコミばかりか外交官にも勇ましい発言が目立つようになった。今月下旬、インドネシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)などの外相会議では中国への対応が焦点になる。
*2009年の大転換
?小平時代、中国は経済発展を最優先に融通を利かせた外交を展開した。日本の尖閣諸島に対する領有権を主張しても外交の争点にせず「次世代に任せよう」と問題を棚上げしたのは代表例だ。
江沢民時代はとう路線を基本的に引き継ぎ、それに続く胡錦濤政権も二〇〇二年の発足以来、「隣国を友」とする協調的な外交姿勢をとってきた。それがおかしくなるのは、08年の金融危機を中国が各国に先駆けて克服し「突如、大国になった自分を発見した」(中国人研究者)ころからだ。
09年7月に世界から大使を集めて開いた第11回駐外使節会議で、胡国家主席は「外交は国家の主権、安全、発展に貢献しなくてはならない」と言い切った。
?氏が示した「韜光(とうこう)養晦(ようかい)、有所作為」(能力を隠して力を蓄え少しばかりのことをする)という抑制的な外交方針を「堅持韜光養晦、積極有所作為」に修正した。能力を隠し、力を蓄える姿勢を堅持するが、これまでより積極的に外交に出るという意味か。
*台湾から南シナ海へ
同月開かれた初の米中戦略・経済対話で、胡主席側近の戴(たい)秉国(へいこく)国務委員(副首相級)は核心的利益を「第一に(社会主義の)基本制度と国家安全の擁護、第二に国家主権と領土の保全、第三に経済社会の安定した発展」と述べた。
それまで中国は外国に譲歩や妥協ができない核心的利益を台湾問題に限ってきた。その範囲を大幅に広げたのは外交の「09年転換」ともいえる重要な変更だったが、外国は気付くのが遅れた。
その証拠に、同年11月、オバマ大統領訪中時に発表された米中共同声明には、主権と領土で「両国が核心的利益を尊重し合う」との一節が入った。米国は後に、うかつさに気付き11年1月の胡主席訪米時の共同声明では「核心的利益」という言葉を拒否した。
その後も核心的利益論は独り歩きを始める。09年12月に来日した習近平副主席は「台湾、チベット、新疆ウイグル自治区の問題は核心的利益」と述べた。
10年3月には訪中したスタインバーグ米国務副長官に、中国政府高官が「南シナ海は核心的利益」と語ったといわれる。米国は強く反発し、介入を避けてきた中国と東南アジア諸国による南シナ海の島々の領有権争いに対し「航海の自由」を掲げて中国をけん制し東南アジアに肩入れを始める。
あわてた中国は「指導者が南シナ海を核心的利益と公式に語ったことはない」(外務省高官)と言い訳し、米国との対決回避を図った。しかし、東シナ海や南シナ海など外国との係争地域を核心的利益から除くと表明することもなく周辺国の疑いは消えていない。
主権や領土問題で妥協を拒否する政府の姿勢は、対外強硬論が勢いづく軍や海上実力部隊による独断専行の危険を高めた。
08年12月、尖閣周辺の日本領海に、中国の海上保安庁に当たる国家海洋局東海海監総隊の巡視船二隻が進入し、9時間も徘徊して尖閣への主権を主張する事件が起きた。
中国の外交関係者によると、その後の内部会議で航行を指揮した司令官が尖閣周辺進入を独断で決意し、進入時は無線を切り本部の帰還命令をさえぎったと得意げに報告したという。南シナ海でも今年5月、中国艦船がベトナムの資源探査船のケーブルを切断する事件が相次いだ。ベトナム政府は中国指導部による指示ではなく、海洋当局による「功名争い」が原因と判断していると報じられた。
*抑えきかない下克上
こうした「下克上」も政府が核心的利益をふりかざし、勇ましい物言いを続けている以上、処分や規制のしようがない。戦前の日本は前線の司令官が政府や軍中央さえ無視して中国の戦線を拡大した。マスコミが報じる戦果に国民は熱狂し、破滅の道をたどった。
外交当局がふりかざす核心的利益論と前線の功名争いで中国は同じ轍(てつ)を踏むおそれがある。中国政府は一刻も早く核心的利益の範囲から外国との係争地域を除き、過剰な宣伝を戒めるべきだ。 *強調(太字)は来栖
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◆『最終目標は天皇の処刑 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌』 ペマ・ギャルポ著 飛鳥新社 2012-04-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
Professor PEMA News and Views ペマ・ギャルポ
この国、日本に生き、一握の土となることを願う者のひとりとして
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2012年4月26日 (木)
中国の下心は「天皇の処刑」
尖閣、沖縄に食指をのばした中国は、在日華僑に日本国籍取得を勧めはじめた。細胞増殖に着手した中国の「日本乗っ取り計画」の青写真とは──。
中国の覇権主義はいまや世界の脅威となっています。最近は、海洋における覇権を確立しょうと、南シナ海の南沙諸島や西沙諸島の領有を主張して、 関係各国と緊張が高まっています。
日本も尖閣をはじめとする島嶼、そして沖縄までこうした中国の軍事的脅威にさらされています。今でこそ中国は海洋国家に脱皮すべく海軍力を増強していますが、本来中国は大陸国家であり中央アジアにその矛先を向けていました。私の祖国・チベットを狙ったのは、地政学的に中国が南アジアや南西アジアに進出するために重要な拠点だったことと、 豊富な地下資源と水資源を獲得するためでした。地政学上の重要さや、海底資源・地下資源の豊富さで日本はチベットと酷似しています。
「始めは処女の如く、後には脱兎の如し」という兵法がありますが、中国のチベット侵攻はまさにそれでした。
一九五一年、 チベット代表団に偽造した国璽を捺印させて締結した「一七カ条協定」で〈(チベット人の)宗教信仰自由の政策を実行して〈チベットに進駐する人民解放軍は、人民の針一本、糸一本といえども取らない〉と謳いました。しかし中国によって僧侶は虐殺され、僧院は破壊され、人民裁判が行われ、七九年までにチベット人百二十万人が犠牲になりました。
ひるがえって日本外交は「自分が約束を守れば、相手も守るはずだ」という能天気ぶりです。これも国際法の盲点を突く研究に余念のない中国には、世迷言でしかないでしょう。
そして今、沖縄です。
中国のデモでは「琉球を返せ」というスローガンが叫ばれ、「中国は琉球に対する権利がある」という論文も出てきています。学者の論文も中国当局の管理下にあります。ちなみに中国は琉球と呼び、沖縄とは言いません。 たしかに琉球処分で日本になるまで、琉球王国は明・清に朝貢する冊封関係にありました。一部の沖縄県民は、仲井員弘多知事もそうですが、中国大陸にルーツを持つことを誇りとし、中国に親近感を感じているようです。
中国がこれを見逃すはずはありません。沖縄の県民感情に働きかけて、揺さぶりをかけています。
沖縄ではすでに中国の総領事館を作って二百万人の観光客を中国から呼び込もうとすることが既定路線になっています。すでに中国は、観光客が沖縄と往来できる三年有効の数次ピザの特権も獲得しています。私が沖縄で会った多くの地方議員や商工会議所など政財界は、これが地元の経済振興になると前向きでした。
でも、それは甘い。
わが半生を振り返れば、チベットに生まれ、六歳でインドに亡命、十二歳で来日した後は、師に恵まれ多くの日本人に支えられてきました。そして二〇〇五年、私は日本国籍を取得しました。
最新刊の『最終目標は天皇の処刑』(飛鳥新社)は、中国によって祖国を奪われた者として、また日本をこよなく愛する者としての視座から著したものです。
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■最終目標は天皇の処刑 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌ペマ・ギャルポ(著) 飛鳥新社
日本人なら背筋が凍る!
ここまで来ている侵略工作。
チベット出身者だから分かる中国の悪辣な罠。
巻末には中国共産党作成の機密文書「日本解放第二期工作要綱」を収録!
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