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増税もできず、解散もできず 小沢控訴で始まった 永田町の「終わらない物語」 週刊朝日 5/25号

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増税もできず、解散もできず 小沢控訴で始まった 永田町の「終わらない物語」ネバーエンディング・ストーリー
週刊朝日2012/05/25号
 民主党の小沢一郎元代表(69)の無罪判決で、ようやく政治が動き出すのかと思いきや、まさかの控訴で永田町は大混乱状態に陥った。消費増税を目指す野田佳彦首相(54)も、政権奪回を狙う自民党の谷垣禎一総裁(64)も、身動きが取れない。日本の政治は凍り付いたままだ。
 読者諸賢の記憶からはすでに消去されているかもしれないが、年頭の記者会見で、野田佳彦首相は消費増税について、こう叫んだ。
「ネバー、ネバー、ネバー、ネバー・ギブアップ」
 だが、大型連休明けの永田町で演じられているのは、何も動かず、何も決められない政治劇「ネバーエンディング・ストーリー」である。
 5月9日午後1時過ぎ、衆議院議員会館の各部屋から、一斉に驚きの声が上がった。
「民主党の小沢一郎元代表への無罪判決に対し指定弁護士が控訴」
 通信社が速報を配信し、テレビ局は緊急ニュースとしてテロップで伝えた。
 この瞬間まで、永田町では「控訴はない」という空気が大勢だった。前日の民主党常任幹事会で、小沢氏の党員資格停止処分の解除がけっていされたことが、その象徴だった。野田首相に近い議員も「無罪判決が出た以上、抵抗しようがない」と意気消沈していたのだ。
 それが急転直下、まさかの控訴で空気は激変。小沢グループの議員たちは血相変えて議員会館の小沢氏の部屋に続々と集まり、今後の対応策を練ったが、当の小沢氏は姿を見せず、「理解に苦しむ」などとコメントを発表しただけだった。
「これで小沢さん自身が9月の党代表選に立候補する可能性はほぼ消えた。息のかかった候補者を立てて戦う目は残っているが、衆院解散・総選挙と来夏の参院選が視界に入ってきている中、刑事被告人である小沢さんの『傀儡政権』で選挙を戦えると思う議員はほとんどいないだろう」(小沢グループの一人)
 控訴審が始まるのは数ヶ月以上先といわれている。中間派の議員も言う。
「小沢さんの支持議員100人という『人の砦』をつくることに成功したから、刑事被告人になっても政治生命を維持できた。『いずれ選挙で助けてもらえる』と思って、みんな集まったんだ。そのうまみを与えられない小沢さんに付いていく議員が何人いるのか」
 小沢陣営が戦略の練り直しを迫られているのは間違いない。
 とはいえ、崖っぷちに立たされているのが小沢氏だけではないのが、民主党政権のやっかいなところ。野田首相の行く手も急峻だ。
 輿石東幹事長(76)が間に入ろうとしているが、消費増税に真っ向から反対する小沢氏との”手打ち”は容易ではない。
 それでも野田首相が増税を目指すなら、野党第一党の自民党を「仮想友党」として過ごさなければならないが、自民党内からは「環境整備がお粗末過ぎる」との不満が噴出している。
「胸襟を開いて協議に応じていただけるよう、重ねてお願いを申し上げます」
 野田首相は8日の衆院本会議でそう口にはしたが、参院で問責決議が可決された田中直紀防衛相(71)と前田武志国土交通相(74)の更迭に応じるそぶりはない。小沢氏の国会招致にも「政治家自らが判断すべきだ」とにべもなかった。
 増税関連法案の仕切り役で、今や自民党の「陰の総裁」とまで言われるようになった伊吹文明元幹事長(74)は、10日の派閥総会でこう苦言を呈した。
「這いつくばってでも野党にお願いして法律を通していく。これが本来の議院内閣制のあるべき姿だ」
 さらに、もう一つの「仮想友党」候補である公明党との連携も、選挙制度改革で折り合いが付かず、暗礁に乗り上げている。
「公明党の支持母体である創価学会とのパイプ役を期待された城島光力国対委員長は、連用制という”飴玉”をちらつかせたが、うまくいかなかった。それでも脈があるような報告を上げるものだから、野田首相の連携も夢を捨てきれない。まったく甘いとしか言いようがない」(民主党関係者)
 小沢氏と野田首相がともに足踏み状態となれば、勢いづくのは自民党の谷垣氏のはずだ。ところが、その足元もおぼつかないのが、今の永田町の痛いところ。「指導力不足」「いつまでも解散に追い込めない」との不満が、日頃から党内に蔓延しているうえ、谷垣氏が金科玉条としている増税にまで反対の火がつきそうなのだ。来夏には改選期を迎える参院議員はこう明かす。
「うちの現職議員の3分の1は、本音では消費増税反対だ。民主党と同じ増税路線で、次の選挙に勝てるわけがない」
 谷垣自民党は一昨年の参院選に10%増税を掲げて勝利し、今年4月に発表した政権公約原案にも「(税率は)当面10%」と盛り込んだ。にもかかわらずである。「昨年の東日本大震災で増税できる環境ではなくなった。条件が変わったのだから本来、党としての主張も変えるべきなのに、谷垣さんは柔軟に対応できていない」(中堅議員)
 水面下では「デフレ脱却派」「上げ潮派」議員らを中心に、党執行部を突き上げる動きが始まっている。
 大型連休中には局面打開のため「野田・谷垣会談」が画策されたというが、「不調に終わった」(永田町関係者)
 こちらも、いかんともしがたい状況なのだ。
 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、苦笑混じりにこう語る。
「視界ゼロのまったく読めない政局です。どのみち小沢さんは消費増税法案には反対するので、野田さんがどうしても成立させたいなら、自民党の協力を仰ぐしかありません。そのためには、野田さんが最終盤で、小泉純一郎元首相のように、目的達成のため、仲間を切り捨てる腹を固めないといけない。まずは、『衆参同日選挙が望ましい』と発言するなど増税法案を本音では棚上げしたい輿石さんら党執行部を一新し、内閣改造で問責2閣僚を更迭する人事に踏み切れるかどうかですが・・・。解散・総選挙、総辞職、政権交代、政界再編。何でもありの混沌とした政治が当分続くでしょう」
 シロであれクロであれ、陸山会裁判の判決が出れば、政治は動き出すはずだった。永田町の住人たちは、その時を待っていた。ところが、まさかの控訴で、小沢、野田、谷垣の3氏は動きが取れない「三すくみ」の状態に入ってしまった。
 永田町でネバーエンディング・ストーリーが終わる兆しはまったきない。
(本誌・渡辺哲哉記者)
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検察も頭を抱えるまさかの控訴 陸山会「茶番」裁判は笑止千万 『週刊朝日』 5/25号 2012-05-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア  
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小沢抹殺で法務官僚が謀った「大司法省計画」/捜査資料流出の裏に、検察の暗闘 『サンデー毎日』5.27号 2012-05-16 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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