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Channel: 午後のアダージォ
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南シナ海における中国の「小さな警棒」外交/米国や周辺諸国がこの巧妙なやり方に対抗するのは難しい

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世界潮流を読む 岡崎研究所論評集
南シナ海における中国の「小さな警棒」外交  
WEDGE Infinity 2012年05月15日(Tue)  岡崎研究所
 National Interestのウェブサイト4月23日付で、米海軍大学のJames HolmesとToshi Yoshiharaが、先頃、フィリピンと中国が南シナ海の砂州を巡って睨み合いをした際、中国はこれまでと違って、海軍艦船を送り込むようなことはせず、沿岸警備や海洋監視の船を派遣するという新手の巧妙な手法を示した、と警告しています。
 すなわち、中国は、2010年にその不器用な戦術によって弱い周辺諸国を怖気づかせ、これらの国同士や米国との間に反中という共通利害を生むという間違いを犯してしまったが、その間違いから立派に学び、「小さな警棒」外交、つまり、海軍艦船ではなく、軽武装ないし非武装の船を使って、本来の目的を達する方法を使い始めた。
このやり方は:
1)強く打つと、相手側(周辺諸国)を一体化させてしまうが、軽く打つ真似をするだけだと、相手側をむしろ動揺・分散させる効果がある。
2)軍艦を繰り出せば、そこに係争があることを認める形になるが、警察力を繰り出すだけなら、当該領域に対してあたかも支配権があるかのような外観を呈することができる上に、国内における法執行なのだから、外交とは無関係だとすら主張できる。
3)周辺国のいわゆる海軍艦船は、沿岸警備艇にも劣る程度なので、中国は軍艦などもともと出す必要はない。例えば、今回出動したフィリピン海軍の船はフリゲート艦と呼ばれているものの、実は米沿岸警備隊が払い下げたしろもので、1960年代に建造された古いものだ。と言って、周辺諸国が統一戦線を張るのは難しい。また、米国も、領有権争いについてはどちらか一方に味方するつもりはなく、航行の自由の維持のみを主張する。
4)軍事力を動員すれば、事態は国際化してしまうが、非軍事力を使う限り、問題をローカルな問題に留めておける、など様々な利点がある。
 しかも、万一これらで効果が出なければ、中国は、背後に控えて脅しを利かしてきた海軍艦船を実際に使用することができる。まさに、クラウゼヴィッツもきっと満足するだろう巧妙な戦術だ、と言っています。
                       ◆         ◆         ◆
 中国は、沿岸警備艇をはじめ、非軍事的な船の建造を急ピッチで進めており、各造船所は新鋭警備艇を続々浸水させていると言われているにも拘らず、この事実はとかく見逃されてきました。ヨシハラらは、しかし、大砲やミサイルを積んでいないからといって、これらの船が持つ政治的役割や意味合いを決して軽視してはならない、つまり、海軍力を動員しなくても、シーパワーを示威することはできる、と言っているわけです。そして、このやり方は、言わば、「飛車」「角」を独り占めにしておけば、「歩」だけで将棋に勝てる、「歩」だけなら、怖そうな外観を呈することもなく、中国にとっては良いことづくめ、他方、米国や周辺諸国がこの巧妙なやり方に対抗するのは難しい、と警告しているわけです。
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「核心的利益」中国の意図は尖閣奪取だ/中国は主権や領土に関わる問題で外国に妥協しない姿勢を強めた 2012-05-15 | 政治〈領土/防衛/安全保障 


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