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「本気の安保論」沖縄40年 反米軍基地闘争に明け暮れ、莫大な援助を自立経済の確立に生かそうとしなかった

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沖縄祖国復帰40年と沖縄の課題
濱口和久「本気の安保論」2012年5月23日10:00
<沖縄の米軍基地の現状>
 沖縄県が祖国に復帰して5月15日で40周年を迎えた。
 最近、海軍力の増強や尖閣諸島の領有権主張を強める中国の動向が、周辺海域の緊張を高めている。そのため沖縄にある米軍基地の地政学的な重要性は40年前よりも一段と増している。
  嘉手納基地は太平洋地域で最大の空軍基地で、「太平洋の要石」と呼ばれている。東京、北京、ソウルに2時間以内に到着でき、ロシア中央部やインドへも5時間以内という地理的環境にある。冷戦下から現在まで日米同盟の枠を超えて、米国の極東アジア地域での国益確保という大きな意味を持つ存在となっている。
 その他に、海兵隊の中枢司令部(キャンプ・コートニー)、海兵隊実戦部隊(キャンプ・ハンセン)、海兵隊ヘリ部隊(普天間基地)、陸軍特殊部隊グリーンベレーが常駐している(トリイ・ステーション)などが沖縄県に置かれている。
 ちなみに海兵隊は、予備役を除けば、第1から第3まで3つの「海兵遠征軍」で編成されている。第1と第2は米国本土に配備されている。第3だけが常時、米国本土以外の海外に展開し、唯一の有事即応部隊となっており、(キャンプ・コートニー)には第3海兵遠征軍の司令部が置かれている。
<沖縄の米軍基地は25パーセント>
 一般的に「沖縄には在日米軍基地・施設の約75パーセントが集中している」と言われている。これは大きな間違いである。
 ここで言われている在日米軍基地・施設とは、米軍が単独で使用している基地・施設のことを指している。自衛隊が一緒に使用している三沢基地、厚木基地、岩国基地、座間基地などは含まれていない。これらの基地・施設を加えて再計算をすると、沖縄には日本全国の在日米軍基地・施設の約25パーセント程度しかないのである。 しかしすべてのマスコミがいまだに「沖縄には在日米軍基地・施設の約75パーセントが集中している」とする報道を繰り返している。
<沖縄を支配する「沖縄被害者史観」>
 5月15日、米軍普天間基地がある宜野湾市で、「沖縄復帰40周年記念式典」(政府・沖縄県共催)が開催された。
 沖縄県では毎年5月15日を「新たな屈辱の日」とする市民団体などがデモ行進を行なう。今年も記念式典の会場から南に800メートルの公園では、市民約50人が集まり、「復帰記念式典弾劾」「基地はどこにもいらない!」などと書かれた赤い垂れ幕、のぼりを手に過重な基地負担に反対するデモ行進を行なった。
 地元メディア(琉球新報、沖縄タイムス)は、わずか50人規模のデモ行進でも大々的に大きな写真とともに掲載するのに、復帰を肯定する行事などは、1,000人以上が集まってもほとんど報道しない。
 地元メディアや市民団体は、沖縄地上戦や戦後の米軍統治、復帰後も存在する米軍基地問題を沖縄の苦悩の象徴とする「沖縄被害者史観」に基づいて報道し、行動している。
 「沖縄被害者史観」から沖縄県民は脱却しなければ、沖縄と本土の溝は、いま以上に深まり、沖縄を虎視眈々とねらう中国の思うツボになるだけである。
<真の自立を阻む沖縄への予算投入>
 復帰後の40年間に投入された沖縄振興予算は、総額で9兆2,144億円にのぼる。平成24年度予算でも、使途の自由度の高い総額1,575億円の「沖縄振興一括交付金」を創設し、交付金を含む振興費総額も概算要求より500億円上積みされ、沖縄県の要望に満額回答となる約3,000億円となった。
 また、沖縄本島北部地域の市町村には、普天間基地の名護市辺野古沖への移設を促進する目的で、平成12年度から10年間にわたり、合計で約900億円の振興事業がつぎ込まれている。
 これだけの予算が沖縄県に投入されても、沖縄の経済は自立できるどころか、逆に失業率は日本一高い。新産業も芽生えていない。沖縄県へのこの40年間の莫大な予算投入は、県民のために役立ったのだろうか、という疑問が沸いてくる。
 沖縄県内の観光業関係者は「復帰以降、反米軍基地闘争に明け暮れ、莫大な援助を自立経済の確立に生かそうしなかったのは認めざるを得ない。沖縄は自己検証すべき時期に来ている」とも述べている(産経新聞・平成24年5月15日)。
 復帰40年が経ち、沖縄県の未来を切り開くためにも、知事以下県民みずからが知恵を出して、自立できる処方箋を示す時期に来ているのではないだろうか。
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沖縄、きょう復帰40周年 「自立」阻む被害者意識
産経新聞 5月15日(火)7時55分配信
 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市で12日、「沖縄県祖国復帰40周年記念大会」が開かれた。
 日の丸が打ち振られるなか、実行委員長の中地昌平・日本会議沖縄県本部会長が「5月15日を米軍基地を押し付けられた屈辱の日とする風潮があるが、断じてそうではない。祖国復帰は沖縄の誇り」と訴えた。
 沖縄ではこの時期、5月15日を「新たな屈辱の日」とする市民団体などがデモ行進を展開する。地元メディアは大々的に報じるが、復帰を肯定する行事はほとんど伝えない。
 各メディアや市民団体は、沖縄地上戦や戦後の米軍統治、復帰後も存在する米軍基地問題を沖縄の苦悩の象徴とし、反日・反米闘争の大義名分にする。だが、大会に参加した60代の男性は「基地受け入れに対する被害者意識が根強いのは事実」としながら、「復帰40年の今、沖縄は平和で何ら苦悩はない。ただ、あいも変わらない反日反米闘争には辟易(へきえき)だ」と話す。
 確かに、この男性の語る思いが公になることはほとんどなく、「沖縄の苦悩=被害者意識」という認識は固定化されている。だが、元保守系県議によると、それは、本土と沖縄の距離を遠ざけ、沖縄の「真の自立」を阻む要因にもなっているのだという。
 昨年11月、沖縄振興策について意見交換するため沖縄を公式訪問した竹歳誠官房副長官は「(過去の歴史からみて)沖縄は特別」を繰り返した。復帰後40年間に費やされた沖縄振興予算は総額で9兆2144億円にのぼり、米軍基地を受け入れる代償として投じられた予算を含めると10兆円を超す。さまざまな高率の補助制度や減税措置もある。
 ところが、「100の指標からみた沖縄県のすがた」(県企画部編、平成23年4月版)を見ると、莫大(ばくだい)な援助にもかかわらず、失業率が全国一高いほか、財政の自立度を示す財政力指数は低い。それでも、24年度予算では他府県が予算を削られる中、沖縄だけは2937億1900万円とほぼ満額回答だった。竹歳氏の言う「沖縄=特別」という言葉の裏で政府と沖縄の間に奇妙な「暗黙の合意構造」ができあがってしまっているのだ。
 観光業界関係者は「復帰以降、反米軍基地闘争に明け暮れ、莫大な援助を自立経済の確立に生かそうとしなかったのは認めざるを得ない。沖縄は自己検証すべき時期に来ている」。復帰の年に生まれた日本青年会議所沖縄地区協議会の宮平貴裕会長も記念式典で「自虐思想と祖国批判には未来はない。自立に向かって立ち上がらないといけない」と誓った。
 復帰後半世紀まで10年。沖縄の真の自立へのカウントダウンが始まった。(那覇支局長 宮本雅史)
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