Quantcast
Channel: 午後のアダージォ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 10100

森本敏防衛相「危険性の高い沖縄県の米軍普天間飛行場の返還は日米両政府のきちっとした約束だ」

$
0
0

日本の論点PLUS  「この人の重大発言」
「北朝鮮情勢を含め、日本の防衛をしっかりやってほしいと野田首相から指示を受けた。危険性の高い沖縄県の米軍普天間飛行場の返還は日米両政府のきちっとした約束だ。実現するために全力を尽くしたい」(東京新聞6月5日付)
日本の論点PLUS  (東京新聞6月5日付)
森本敏・防衛相 6月4日夜、野田再改造内閣発足後の記者会見で、沖縄の普天間飛行場の移設問題について質問されて。
 6月5日、第2次改造内閣が発足。注目された田中直紀氏に変わる防衛大臣に、野田佳彦首相は、森本敏拓殖大学大学院教授を任命した。防衛大卒業後、航空自衛隊に勤務し、その後防衛庁職員、外務省職員を経て拓殖大学教授に転じ、自公政権の2009年には、防衛相補佐官を務めた。マスコミでは軍事・外交評論家として、日米同盟を重視し、集団的自衛権を容認する立場で発言、自民党寄りの論客として知られる。
 会見では、記者団から(1)普天間の移設問題はどのように取り組むのか、(2)米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備に沖縄県は反発しているが、どう取り扱うのか、(3)抑止力の観点からして米海兵隊の駐留は沖縄でないとだめか、など普天間を中心とする沖縄の基地問題についての質問があいついだ。
 森本防衛相は、「危険性の高い普天間飛行場の返還は、日米両政府が16年間にわたって苦労を積み重ねている問題だ。沖縄の基地負担を軽減しながら抑止力も維持するという2つの評価要素を考え合わせながら、どうすれば解決にたどり着けるか、日米両政府ならびに沖縄県側との間で長い間努力を積み重ねてきた。その努力をふまえて確実に物事を前進させたい」(防衛省ホームページより要約)と答え、問題解決への意欲を示した。
 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の返還をめぐっては、1996年4月に日米両政府が合意してから今年で16年目になる。普天間の代替移設地として名護市辺野古沖が閣議決定されたのは、1999年12月。それからすでに12年を数えるが、いまだ解決の兆しは見えず、かえって混迷は深まっているのが現実だ。
 地元の反対が強くなったのは、2009年の総選挙の後で、民主党の鳩山由紀夫元首相が、「普天間移設先は最低でも県外」と訴えて政権を獲得しながら、結局は、自公政権時代の原案(辺野古沖移設)に戻ってしまったことが原因だ。沖縄県民の政府不信の背景には、期待を抱かせながら実現できなかったという不満がある。
 日米両政府は、今年4月、沖縄駐留の海兵隊1万9000人のうち9000人を国外に移転(4000人をグアムに、残りは豪州ダーウイン基地などにローテーション)させ、1万人を沖縄に残すという米軍再編案を発表した。米軍の対中国戦略の変更にともなう再編だが、それは沖縄の基地負担の軽減につながる。政府の2012年度予算では、沖縄県が自由に使える振興一括交付金を提供、那覇空港拡張事業など新規事業に予算をつけるという異例の優遇策が打ち出された。しかし沖縄県は、復興支援は歓迎するものの、普天間移設は別問題であり、普天間移設はあくまで県外に、という姿勢を崩していない。
 さらに米海兵隊が、この7月、ヘリコプターのように垂直離着陸ができ、水平飛行もできる最新型輸送機MV22オスプレイを普天間に配備することも問題を複雑にした。今年4月、同機がモロッコで墜落し、その安全性が問われていることもあって、普天間周辺住民を中心に「辺野古移設反対」とともに「反対」運動が起きているのだ。
 これについて、森本氏は、「同機は米国が統合兵器システム開発の一環として開発したもので、すでに中東に実戦配備しており、沖縄への配備は抑止力の向上につながる。配備までにできるだけ沖縄の方々の理解が得られるような方法を模索したい」と、容認する姿勢を示した(防衛省ホームページより要約)。
 翌5日の記者会見でも、「アメリカ政府から、墜落事故は機械的なミスが原因ではないとする調査結果が伝えられた。できれば配備の前に、すべての調査結果が提供されることが望ましい。必ずしもそうならないこともあるだろうが、最後まで飛行の安全を期すように努力しなければならない」(NHKニュース6月5日付)と述べた。しかし調査結果の公表は、米軍の軍事機密に属するだけに、安全性を担保するに足る情報を得るには限界があり、普天間周辺の住民の不安を払拭するのはそう簡単ではない。
 4日の記者会見では、米海兵隊が沖縄に駐留する意味をどう考えているか、との質問も出た。記者の質問は、2010年に「沖縄タイムス」が主催したシンポジウムで、森本氏が「海兵隊の抑止力は必ずしも沖縄駐留を前提としない」と発言したこととの整合性を問い質したものだ。
 これについて森本氏は、「(シンポジウムでは)仮定として(海兵隊すべてを)地元が受け入れ、訓練、戦略的用地として十分な場所があれば、沖縄でなくてもいいと言った」として、「現実の政治環境では(辺野古が)日米両政府が到達した結論だ」と釈明した (発言は沖縄タイムス6月5日付)。
 また「集団的自衛権の行使を可能にするような政策の指示をおこなうのか」と聞かれ、「日本政府が(現行憲法の)有権解釈(内閣法制局など法解釈の権限をもつ国家機関による解釈のこと。この解釈は拘束力をもつ)として(集団的自衛権の行使を)認めていないのは、十二分に理解している。野田政権の方針の下で閣僚としての職務を全うする」(読売新聞6月5日付)と述べ、「集団的自衛権の行使を認めるべき」とする、かねての主張をいったん留保する考えを示した。ちなみに、森本氏は、自民党安倍政権時代の2006年、米国のホワイトハウスを見習った日本版国家安全保障会議(NSC)を検討する有識者会議の「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍首相)のメンバーであり、マスコミや著作物を通じて「集団的自衛権を行使できるようにしなければ、日本の安全や国益は守れない」という趣旨の発言を繰り返してきた。
 このほか、民間人が防衛相に就任して文民統制(シビリアンコントロール)ができるのか、との疑問が野党ばかりか身内からも提起された。鳩山由紀夫元首相が「ミサイルのスイッチを入れる権限を有する方が選挙の洗礼を経ない方でよいのか」(産経新聞6月6日付)とクレームをつけたのをはじめ、自民党の石破茂元防衛相は「どんなに優秀であろうと、軍事的な出来事に責任を負えるのは選挙の洗礼を受けた政治家だけ。禁じ手だ」(東京新聞6月5日付)と批判、公明党の山口那津男代表も「強い違和感を覚える」(朝日新聞6月5日付)と、疑問を呈した。
 これについて森本氏は、「シビリアンコントロールは、本来、政治が軍事に優先するというシステムだ。我が国では、文民である内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮権を持ち、国の予算や防衛の体制は、すべて国会審議の承認を得て防衛体制が成り立っている。国の防衛に任ずる文民である国務大臣(防衛大臣)も、内閣総理大臣の指揮監督の下で、自衛隊の職務を統括する任務が与えられている。先進国では国防大臣が必ずしも国民から選ばれた議会のメンバーでない場合もあり、そのことが必ずしもシビリアンコントロールという本来の目的と趣旨を損なうものではないと考えている」(防衛省ホームページより要約)と反論した。
 ちなみに憲法66条第2項では、「内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならない」と規定されている。1953年(昭和28年)の国会で、当時の佐藤達夫法制局長官が「過去に『職業軍人』ではなく、軍国主義に深く染まった人ではない人物」と答弁したのが、いまに続く「文民統制」の考え方の基準だといわれる。とすれば、森本氏がこれにあたりそうもなく、野党は、今後この問題を追及する構えは見せているものの、米国でも民間出身者が国防長官になるケースが少なくなく、議論は尻すぼみになりそうだ。
 これまで自民党寄りだった人物が民主党の閣僚になったことで、風当たりの強い森本氏だが、6月5日(日本時間)、米国防総省は、同氏の就任に際して「日本は最も親密な同盟国の一つであり、新防衛相とも同盟強化に協力して取り組み、アジア・太平洋地域の安全保障上の新たな課題に対処していく」(朝日新聞6月6日付)との談話を発表した。
 野田政権はこのメッセージをどう受け止め、同盟強化をどう政策レベルに落とし込むのか。野田首相が“目玉”だと自賛した重要人事だが、中国の軍拡や北朝鮮の脅威にさらされているなか、肝心の安全保障をめぐっては、その方向性すら、党内で議論されていないのが実情だ。
================================
オスプレイで米に安全確保要請 普天間配備に森本防衛相
東京新聞2012年6月8日 19時07分
 森本敏防衛相は8日、共同通信など報道各社のインタビューで、米軍が7月に予定する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備について、米側に安全確保策を強く求めていく考えを強調した。「飛行の安全に米国が真剣に取り組んでもらうようにするのが、われわれの重要な仕事だ」と指摘した。
 普天間の名護市辺野古への県内移設計画については「日米間でたどりついた唯一有効な解決策だ」と推進する考えを重ねて表明。「実現が困難であることは十二分に理解している。在任中に一歩でも前に進めたい」と述べた。
=================================
防衛省、オスプレイ「機体に問題なし」 米側から連絡
産経ニュース2012.6.8 11:53
 防衛省は8日午前、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に来月にも配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが4月にモロッコで墜落した事故について、米側から防衛省に「機体の安全性に問題はない」とする調査結果の連絡があったと発表した。
 人為的なミスも含めた米海軍法務官による調査は引き続き行われ、年末までにまとめられる見通し。
 米側から連絡があったのは調査報告書の概要。7日に駐日米大使館を通じて伝えられた。航空機事故安全調査を通じ、確認されたデータによれば機体は「海軍訓練運用手続き標準マニュアル」通りに機能しており、米海軍は機械的な不具合はなかったと断定した。
 オスプレイをめぐっては、森本敏防衛相が墜落事故の報告が配備後にずれ込む可能性に言及したことを受け、民主党沖縄県連が7日に辞任を求める声明を発表した。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 10100

Trending Articles