沈みゆく野田…小沢“倒閣勢力”急拡大!消費増税と原発再稼動
ZAKZAK 2012.06.09
野田佳彦首相が8日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を再稼働させる方針を表明した。しかし、民主党内では慎重論が根強い。消費税増税法案に関しても中間派を中心に反対論が高まっており、反主流派の首領、小沢一郎元代表の勢力は急拡大している。このまま野田首相を一気に追い詰めるのか。
「国民生活を守るため、再稼働すべきだというのが私の判断だ。国論を二分している状況で結論を出すのが、私の責任だ」
野田首相は8日の記者会見でこう語った。
しかし、党内では慎重派が動きを活発化させている。
8日に開かれた党の原発関連の会合では、小沢氏に近い川内博史衆院議員が「政府が再稼働を決定する前に、もう一度会議を開くべきだ」と念押しし、納得する気配はない。
一方で、菅直人前首相ら脱原発派が主導して再稼働の再考を求める署名を行い、わずか4日間で民主党議員の3分の1に当たる117人が賛同した。小沢氏や鳩山由紀夫元首相ら小沢系だけでなく、中間派の馬淵澄夫元国交相、主流派の前原誠司政調会長のグループに所属する福山哲郎元官房副長官らの名前もあった。
小沢グループは、「消費税増税反対と反原発の両輪で反野田勢力を増やしていく」(中堅)戦略を激化させている。
8日には、小沢氏が会長を務める「新しい政策研究会」が消費税反対を訴える、のぼり旗150枚を所属議員に配布した。白地に赤い文字で「増税の前にやるべきことがある。」と記したものだ。
野党時代の「お年寄りをいじめるな」(後期高齢者医療制度に反対)、「ガソリン値下げ」(ガソリン値下げ隊が使用)といった“名作”を思い出させるが、いまや「反増税」は中間派にも浸透している。
増税法案について、野田首相は15日までに自民・公明両党との修正協議を済ませ、21日の通常国会会期末までに衆院採決をしたい考え。しかし自公は、最低保障年金制度導入と後期高齢者医療制度廃止という民主党の主要政策の棚上げを迫っており、会期末までに採決するなら、公約撤回もありうる展開だけに、反発が強まっている。
また、法案を採決すれば、低支持率の野田首相が解散に打って出て、自分たちは討ち死にするという選挙恐怖症も反増税が拡大している原因だ。
小沢氏周辺は「民主党内の早期採決反対派は相当増えている。輿石東幹事長も採決先延ばし路線だ。修正協議をまとめることは不可能だろう」と分析する。修正協議がまとまっても、再度党内手続きを経る必要があり、このときに小沢系と中間派が結託して巻き返しを図る公算が大きい。
小沢氏の大攻勢が始まる日が迫っている。
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小沢元代表が首相批判 大飯再稼働「国民視点欠く」
日本経済新聞2012/6/9 20:01
民主党の小沢一郎元代表は9日、宇都宮市の会合で、野田佳彦首相が大飯原発3、4号機を再稼働すべきだと表明したことや、消費税増税関連法案を念頭に「国民生活のためにどうあるべきかという視点で政策を決めなければならない。今の政治には誠心誠意そのために努力する気持ちが欠けている」と首相を厳しく批判した。
鳩山由紀夫元首相も大阪市の会合で、現時点での再稼働反対を明言し、「東京電力福島第1原発事故の原因が全て判明しているわけではなく、検証を待った方がいい」と述べた。〔共同〕
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西川福井県知事 橋下にブチ切れ
2012年6月9日(土)10時0分配信 日刊ゲンダイ
福井県の大飯原発再稼働問題で、西川一誠知事がブチ切れた。大阪市の橋下市長への不満をぶちまけ、話題になっている。
西川知事が怒り心頭なのは、橋下市長が再稼働を事実上容認しながら、「夏場だけの期間限定」と注文を付けたことが原因だ。
「西川知事の発言は、4日夕、細野豪志大臣との会談後の記者会見で飛び出した。再稼働を事実上容認したことを『負けた』と表現した橋下市長について、『勝ったとか負けたとか、子供みたいな話ではない』と一蹴。夏季限定の再稼働の主張に対しては『スーパーの安売りのようなものでもない』と痛烈に皮肉り、橋下憎しの思いをぶちまけたのです」(民放テレビ記者)
旧自治省キャリア官僚で「ふるさと納税制度」の提唱者でもある知事3期目の西川知事からすれば、何の実績もないのに「次期総理」などとメディアにちやほやされ、「再稼働容認」「夏季限定」などと“上から目線”の口だけ市長には、はらわたが煮えくりかえっていたに違いない。
これでシナリオが狂ったのが、野田内閣だ。
予定調和での再稼働合意が得られると計算して福井県庁に乗り込んだ細野大臣だったが、橋下市長のことでカリカリする西川知事は再稼働に同意せず、「首相が国民に説明して欲しい」と突き放した。
「西川知事としては、再稼働は国の全責任でやってくれ、自分だけが悪者にされるのは嫌だという思いなのでしょう。野田首相は今週中に再稼働を最終決断する予定でいたが、西川知事の強硬姿勢は大誤算。会談後、細野大臣は、鳩が豆鉄砲を食らったような表情でしたよ」(地元記者)
どの世論調査でも、再稼働「反対」が「賛成」を上回っている。5日には民主党議員117人が要望書を官邸に突きつけ、党内は真っ二つだ。消費増税だけでなく、原発再稼働でも野田政権はグチャグチャになってきた。
(日刊ゲンダイ2012年6月6日掲載)
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確証なき安全宣言 「大飯再稼働すべき」 首相、来週にも決定
東京新聞2012年6月9日 朝刊
野田佳彦首相は八日、官邸で記者会見し、関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)に関し「再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明した。東京電力福島第一原発事故の原因究明が途上にもかかわらず、首相は夏の電力確保や原発の継続性を重視。福井県の理解を得る前に最終決断の意思を示す必要があると判断した。国民に広がる安全への不安を解消できないまま、政府は再稼働に突き進み、来週にも最終決定する。
首相は再稼働の必要性を「原発を止めたままでは日本の社会は立ちゆかない」と強調。「(関電管内が)計画停電になれば、命の危険にさらされる人、働く場がなくなってしまう人も出る。国民生活を守る。私がよって立つ唯一絶対の判断の基軸だ」と述べた。
再稼働した場合の安全面では、専門家による議論を重ねたと説明し「福島を襲ったような地震、津波が起きても事故を防止できる」と断言した。
周辺自治体が求める夏場限定の再稼働にとどめる可能性は「夏限定では国民の生活を守れない」と否定した。
大飯原発以外の再稼働方針は「個別に安全性を判断していく」と述べるにとどめた。
福井県の西川一誠知事は首相の会見を評価し、十日に再稼働の安全性を検証する県原子力安全専門委員会を開く。同委と県議会、おおい町の意見を聴き、再稼働の同意を判断する。政府は知事の同意を受け、首相と関係三閣僚の会合で再稼働を最終決定する。
■「事故防げる」根拠どこに
東京電力福島第一原発事故を受けた緊急安全対策により、重大事故は起きないはずだから、「念のため」の対策はとりあえずなくても大丈夫−。
政府が強調する大飯原発の安全性とは、この程度のものだ。崩れた「安全神話」への逆戻りそのものだ。
完了したのは、非常用の電源や冷却ポンプの多様化など必要最小限の対策までだ。
実際の事故のとき、被害をどう最小限に抑えるか、これらを検証する安全評価(ストレステスト)の二次評価は、関電を含め一社も評価をしていない。
政府は、再稼働を優先し、重要な対策でも時間のかかるものは先送りを認めた。
まずは免震施設。福島の事故では最前線基地となり、現在も現地対策本部が置かれている。「あれがなかったら、と思うとぞっとする」。東電の清水正孝前社長が八日の国会事故調でこう語った施設だ。それでも当初の放射能防護は不十分で、作業員たちを十分には守れなかった。
だが、大飯原発にはそれもなく、整備は三年先のこと。不十分な代替施設でしのぐしかない。
福島では、格納容器の圧力を下げるため汚染蒸気を外部放出するベントを迫られた。
大飯原発の格納容器の容量は、福島第一の数倍あるが、ベント設備がなく、放射性物質を除去するフィルターもない。これも設置は三年ほど先という。
福島では、原発の熱を海に逃がす海水ポンプが破壊された。ポンプを守る防潮堤が大飯原発にも造られるが、来年度のことだ。
原発の外も、重要な問題が山積みだ。
大津波が来れば、海近くの低地にある大飯や高浜原発の両オフサイトセンター(OFC)はひとたまりもない。政府は福井県内に敦賀、美浜両原発のOFCがあるから、とのんびり構えている。
放射能汚染が広域に及んだ反省から、重点防災区域を原発の半径三十キロに拡大する方針が既に出ているが、モニタリングポストの設置や安定ヨウ素剤の備蓄も遅れている。福井県の住民避難計画も、隣の滋賀県や京都府と連携せず、県内にこだわった柔軟性のない計画のままだ。
こんな状態で安全と言えるのか。「国民生活を守る」と言いながら、原発事故が起きれば、多くの人の生活が脅かされる。ほんの一年前の苦い記憶を忘れている。(鷲野史彦)
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◆大飯原発再稼働/野田総理 福井県知事の要請で渋々記者会見し、自らも確信していない原発の安全性を説く 2012-06-09 | 地震/原発/政治
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◆野田・谷垣合意でも民主党内にクーデター決起の可能性/勝栄二郎財務省が野田首相に「G20欠席」を助言? 2012-06-09 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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沈みゆく野田…小沢“倒閣勢力”急拡大 消費増税と原発再稼動/大飯再稼働「国民視点欠く」〜小沢氏
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