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田代政弘検事不起訴/国家権力が本気になれば実力政治家にも足枷をはめることもできる 中日東京新聞

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虚偽報告書 田代検事を減給処分
東京新聞2012年6月28日 朝刊
 小沢一郎民主党元代表(70)が強制起訴された陸山会事件に絡む虚偽捜査報告書問題で、最高検は二十七日、虚偽有印公文書作成・同行使容疑で刑事告発された元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)=現法務総合研究所=について、故意に虚偽記載したとは認められないとして嫌疑不十分で不起訴にした。法務省は報告書に不正確な記載をしたとして、減給六カ月の懲戒処分とし、田代検事は同日付で辞職した。
 法務省が人事上の処分をしたのは計五人。当時の佐久間達哉特捜部長(55)=現法務総合研究所部長=と特捜部主任検事だった木村匡良検事(50)=現東京地検公判部副部長=を、監督責任を怠ったとして戒告の懲戒処分とした。また、岩村修二検事正(62)=現名古屋高検検事長=を厳重注意、斎藤隆博特捜部副部長(49)を訓告とした。
 田代元検事のほか、佐久間元部長ら六人が検審の審査を妨害した疑いなどで告発されたが、最高検はいずれも嫌疑がないとして不起訴とした。告発した市民団体は、田代元検事の不起訴を不服とし検察審査会(検審)に審査を申し立てる方針。
 最高検によると、田代元検事は二〇一〇年五月十七日、検審の起訴相当議決を受けた再捜査で、保釈中の元秘書石川知裕衆院議員(39)を再聴取した後、木村検事から捜査報告書作成を指示された。十八日に佐久間元部長から石川議員が元代表の関与を認めた経緯を盛り込むよう追加の指示を受け、十九日に完成させた。
 田代元検事は最高検の調べに「以前の取り調べの内容と記憶が混同した」と故意を否定。最高検は、石川議員が勾留中に元検事から「親分を守るためにうそをつくようなことをしたら選挙民を裏切ることになる」と説得され、元代表への報告を認めた事実があったと指摘。「石川議員の隠し録音記録でも、二人は勾留中の取り調べを振り返っており、報告書の記載は実質的に相反するところがなく、思い違いの可能性を否定できない」と結論づけた。
 最高検の笠間治雄検事総長は「国民に疑念を抱かせるような事態を招き、誠に遺憾」とコメントした。
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検事不起訴 身内に甘すぎる処分だ
中日新聞2012年6月28日
 小沢一郎民主党元代表が強制起訴された陸山会事件で、虚偽捜査報告書を作成した検事を検察当局は不起訴とした。明らかなねつ造文書だ。これでは身内に甘すぎて、検察改革の信用も失墜する。
 「記憶が混同した」「故意ではなかった」などの検事の釈明が、一般の国民にはとても通用するとは思えない。それほどでたらめな内容の捜査報告書である。
 検察審査会が小沢元代表を起訴相当と議決した後、小沢元代表の元秘書石川知裕議員を東京地検の田代政弘検事が再聴取した。石川議員はICレコーダーで録音したため、虚偽の全容が明らかになった。
 石川議員が「検事から『議員なのにうそをついたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いた」と述べたと報告書に書かれているが、やりとりは架空だった。むしろ報告書の大半は、検事の“作文”だ。ねつ造に等しい。
 田代検事らが虚偽有印公文書作成などの容疑で告発されたが、検察当局は刑事責任を問えないと、検事全員を不起訴処分とした。身内に甘すぎる判断と言わざるを得ない。田代検事は石川議員が逮捕された際に取り調べたが、三カ月も前の記憶が混同したと言っても、国民は誰も信じはしまい。
 問題は当時の佐久間達哉特捜部長ら幹部にも濃厚にある。別の報告書は佐久間氏自ら作成した。自分が自分に対して報告するという、でたらめもまかり通っていた。しかも、報告書のほとんどは小沢元代表が陸山会事件に深く関与していたことを示す内容だ。
 そもそも検察審に検事が出向くのは、小沢元代表を不起訴にした説明をするためだ。それなのに元代表に不利な記述部分に下線を引くなどして強調したのは、市民の判断を誤らせる。小沢元代表が強制起訴されたのは、検察の詐術的な手法のせいではないか。
 田代氏は減給、佐久間氏らは戒告などの行政処分を受けたが、あまりに軽すぎる。そもそも同僚の検事に対して、適正な捜査を尽くしたかどうかも不明だ。検察審制度を恣意(しい)的に利用したとみられているのに、最高検は「誘導する意図があったとは認められない」という報告書を作成した。
 これでは検察改革で新設された監察指導部が、組織として自己弁護に終始している。この問題が検察審で審査されても、検事側に有利な書類ばかり提出されよう。市民が適正にチェックできない事態を招かないか、心配だ。
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筆洗
東京新聞2012年6月28日
 刑罰に関係することが語源になっている言葉は多い。「烙印(らくいん)を押す」「土壇場」「足かせとなる」などがそうだ。足かせは二枚の厚い板の真ん中をくりぬき、罪人の足首にはめて自由に動けなくする刑罰だ。転じて、自由が奪われた状態を意味するようになった▼足かせ自体、今の時代は消えたが、国家権力が本気になれば、実力政治家にも足かせをはめることもできる。そんな薄ら寒さを感じさせる事件だった▼検察審査会に提出した捜査報告書が偽造された事件で、検察当局はきのう、民主党の小沢一郎元代表の秘書だった石川知裕衆院議員を取り調べた検事を嫌疑不十分で不起訴にした。法務省は減給処分を下し、検事は辞職した▼審査会に提出された捜査報告書がインターネット上に流出した。それを読むと、東京地検特捜部は小沢氏が深く関与していることを執拗(しつよう)に強調し、自ら不起訴処分にした人物の刑事訴追に執念を燃やしていることがうかがえる▼これでは、強制起訴以外の結論を出すのは難しい。審査会を誘導して、小沢氏を葬り去ろうとしたと疑われても仕方がなかったが、身内に甘い調査でお茶を濁した▼建設会社を通じた小沢氏の旧態依然たるカネの集め方には、嫌悪感しかない。擁護するつもりはまったくないが、「正義」を御旗にした特捜検察の暴走は、金権政治の腐敗以上に社会を危うくする。
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最高検 田代政弘検事を不起訴〈2012/6/27〉 虚偽報告書問題 2012-06-27 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 

2012-06-28 11:06:55


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