小沢新党、増税より財政出動 重点政策、脱原発・TPP反対
東京新聞2012年7月10日 02時08分
小沢一郎元民主党代表が旗揚げする新党の重点政策が9日、判明した。消費税増税前に徹底した行財政改革を実施、財政出動による公共事業投資を積極的に進め5年以内のデフレ脱却を実現するのが柱だ。将来的な「原発ゼロ」も明記し、環太平洋連携協定(TPP)反対を打ち出す。11日の設立総会で公表する。
重点政策は冒頭で「統治機構の大改革」を掲げ、官僚主導から政治主導への転換を訴えている。消費税増税を進める野田政権の経済政策を「デフレ政策を推進している」と批判。民間投資が進んでいないとして、国債発行による公共事業投資の必要性を強調している。(共同)
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「減税日本」パーティー 小沢氏、連携に含み
2012年7月10日 00時15分
河村たかし名古屋市長が代表を務める地域政党「減税日本」の東京本部開設パーティーが9日、東京都内で開かれ、民主党を除籍された小沢一郎元代表ら衆参国会議員の40人超が出席した。
河村市長は「時代は政権交代じゃない。税金を払っとる人が喜ぶ庶民革命が必要だ」と主張。次期衆院選に向けた対立軸として「脱増税、脱原発、脱中央集権」の3本柱を挙げ「既成政党とは一線を画した新しい軸の政治を目指して敢然と闘う」と決意を述べた。
新党結成を目指す小沢元代表は「正しいことはどこまでいっても正しい」と語り、消費税増税関連法案への反対など一連の行動の正当性を強調。その上で「河村さんとは細かい点では見解が異なるが、基本的な考え方は全く同じ」と連携に含みを持たせた。
河村市長はパーティー終了後、記者団に小沢元代表らとの連携の可能性を問われて「税金を上げない勢力は応援したいけれども大阪、東京との第三極結集に全力投球したい」と述べ、橋下徹大阪市長や石原慎太郎東京都知事との首長連携を優先させる考えを示した。
パーティーには、小沢元代表が結成する新党の幹事長に就任する東祥三衆院議員や新党大地・真民主の鈴木宗男代表らも出席した。
(中日新聞)
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岩手政界の分裂も深刻…残留組「小沢氏に失望」
小沢一郎元民主党代表の地元・岩手で9日、達増たっそ拓也知事が旗幟きしを鮮明にした。
「民意の受け皿をきちんと作って、政権交代をやり直そうという運動に参加したい」
達増氏は定例記者会見で、民主党を離党し、小沢氏の新党に参加する方針を初めて明言した。国会議員時代から小沢氏と常に行動を共にしてきた達増氏の新党参加は既定路線ではあったが、正式な態度表明は岩手県政界の新たな混乱の始まりを告げるものとなった。
岩手の民主党は分裂状態にある。国会議員は新党組5人、残留組3人と、新党組が優勢だが、県議の勢力は異なる。9日現在の読売新聞調べで県議は新党組10人、残留組12人、態度未定1人と、残留組が上回っている。残留組は、小沢氏の選挙区・衆院岩手4区内でも4人を数えた。その一人は「東日本大震災が起きても、地元に帰ってこない小沢氏に深く失望した。それがすべてだ」と打ち明けた。
岩手県議会(定数48)は最大会派の民主党の分裂で、知事与党が少数勢力に転落。残留組は、新党組と緩やかに連携する構えも見せるが、「誰のおかげで議員になれたんだ」との声も飛び交った新党組による多数派工作のしこりは残る。
(2012年7月10日07時58分 読売新聞)
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岩手県知事、民主離党へ 「小沢氏に傾倒しすぎ」
河北新報 2012年07月10日火曜日
民主党籍を持つ岩手県の達増拓也知事が近く離党し、同党の小沢一郎元代表が結成する新党への参加を表明した9日、県内の野党関係者からは「特定の政治家に傾倒しすぎだ」といった批判や疑問の声が噴出した。同じく離党する方針の民主党県議らは歓迎した。
自民党県連の千葉伝幹事長は「小沢氏を信奉するのはかまわないが、知事としてどうなのか。国民は新党に期待していない」と批判。公明党県本部の小野寺好代表も「なぜ知事が世論から遊離した政治家に傾倒した言動をするのか疑問だ」と手厳しい。
ほかにも「復興に向けて重要な時期に、なぜ自ら混迷する政局に飛び込むのか理解できない」(地域政党いわての飯沢匡代表)など、知事の姿勢に否定的な意見は多い。
一方、離党か残留かで所属県議が割れている県議会最大会派の民主党(23人)。離党するとみられる党県連幹事長の佐々木順一氏は「知事は信念に基づいて、自らの取り組みを明確にした。政権交代をもう一回やり直そうという気持ちが根底にあると思う」と理解を示した。離党する別の県議は「われわれと思いが同じで心強い」と評価した。
残留する方針の県議は「4日の県議会一般質問では『新党への参加について頭の中にない』と答弁していた。今回の表明はそれを無視するもの。(知事が)何を考えているのか分からない」と冷ややかだった。
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岩手知事、新党入り 「小沢氏崇拝の表れ」 県議ら批判、県政かじ取り難しく
産経ニュース2012.7.10 02:15
小沢一郎元代表の民主離党に絡んで、達増拓也知事が9日、「民主離党、新党入り」を表明したことは、県政界に波紋を広げている。県議会の新党会派は、今のところ表明しているのは10人で、自民会派12人、民主残留会派11人に次いで第3会派になる見通し。達増県政は不安定な会派構成の上で、厳しいかじ取りになるのは必至。県議からは「党の代表でなく、県民の代表であることを忘れている」など疑問視する声が出ている。(原圭介)
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達増知事は記者会見で、新党入り表明について、「私本人は何も変わらない。いままでやってきて、これからもやっていこうとする運動の母体となる新党に合わせ、(入党)手続きするだけ」と説明。サポーターとして民主党員だったが新党の党員となっても、県政運営に対する姿勢は変わらないことを強調した。
しかし、自民党県連幹事長の千葉伝(つとう)県議は「新党の中身がまだはっきりしない段階での新党入り表明は、個人的な小沢崇拝の表れとしか思えない。県民の代表であることをしっかり認識すべきだ」と指摘する。
自民党のほかの県議は、このタイミングでの表明は「少しでも多く県議を新党会派に引っ張り込むための後押し発言としか思えない」という見方をした。
最大会派の民主会派が分裂すると、民主、自民、新党の上位3会派の数が拮抗(きっこう)し、政策によっては会派の合従連衡(がっしょうれんこう)となる不安定な政局が続きそうだ。
キャスチングボートを握りそうな会派の「地域政党いわて」(4人)の飯沢匡代表は「今後、いろいろ連携を模索することになる」と語った。
この日に開かれた6月県議会最終日の本会議では「消費税増税に反対する請願」「消費税増税関連法案の廃案を求める請願」がともに賛成多数で採択された。採決でも民主会派は賛成、反対に分かれ、民主残留を表明しながら賛成に回った五日市王県議は「残留と消費増税は別」と話した。
今回は分裂過渡期で許された個別対応も、やがて来る次期衆院選では離党、残留に分かれ、それぞれの党の方針に従って戦うことになりそうだ。
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◆達増岩手県知事が民主離党表明 小沢新党に合流 / 横山北斗衆院議員、小沢氏の新党への参加を表明 2012-07-09 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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◆大震災被害対策「小沢一郎さんの計らい・小沢力」が有効に働いている/仙台空港=小沢側近・弟子が奔走 2011-04-25 | 地震/原発/政治
東日本大震災津波・岩手からの報告
日本一新の会 達増拓也(岩手県知事)
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◆『誰が小沢一郎を殺すのか?』の著者カレル・ヴァン・ウォルフレン氏と小沢一郎氏が対談〈全文書き起こし〉2011-07-30 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア より抜粋
■お悔みを申し上げるのが政治家の仕事なのか?
上杉: まずは「3.11」の震災について、その震災後のことについてお話を頂ければと思う。今ウォルフレンさんからお話いただいたので、小沢さんの方から。「3.11」の国を揺るがすような大震災以降、どうも既存メディアでは小沢さんの影が見えなかったのでは、何もしていないのではないか、という声もあった。果たして小沢さんはどのような活動をされていたのか。「3.11」の発災以降のことも含めて、お話をいただければと思う。
小沢一郎衆院議員(以下、小沢): 今度のいまだかつて経験したことのないような大災害、私も被災県の岩手県の出身だけれども、特に福島県の原発の損壊と放射能汚染の問題、それが非常に深刻な事態だと、私は当初から機会ある度に訴えてきた。このような時にあたって、今ウォルフレンさんが指摘されたが、世界でも非常に評価されるような日本人の長所が発揮されていると同時に、日本人の欠点も露呈されているというのが、正直なところではないかと思っている。長所というのは、それは一般的に言われているように、こんな大災害にもかかわらず、みんな一生懸命力を合わせて復興のために頑張っていること。その忍耐と努力と、そして能力というのは、当然日本人として誇っていいことだと思っている。
ただ、放射能汚染といういまだかつて(ない)、ある意味においてはチェルノブイリやスリーマイル以上に、非常に大きな危険性を秘めているこの原発の事故と放射能汚染の拡大――。これほどの大きな深刻なことになると、単なる個人的な力の発揮ということ以上に、本来もっと国家として前面に立って、そして英知を集めて思い切って対策を講じていく仕組みと姿勢が必要だと思う。けれども、どうもその意味において、政治の面だけではなくて、一般の国民の中からもそういった強い要求というか、動きというものがなかなか出てこない。まさに非常に日本的な現象だと思っている。ほかの国ならば、こんなに黙って現状を見過ごしているような国民は多分ないだろうと思う。大きな大きな国民運動にまで広がりかねないと思うが、そういう(大きな運動にならない)ところがちょっと日本の国民性というか不思議なところであって、「まあまあ」という中で個人が一生懸命頑張っている。
上杉さんがマスコミの話をしたけれども、マスコミ自体も、政治が何をすべきか、政治家が何をすべきかと(報じない)。お見舞いに現地を歩くのが政治家の仕事なのか? お悔やみを申し上げるのが政治家の仕事なのか? というふうに私はあえて憎まれ口をきくけれど、やはり政治の役割というのは、そういうことではないと思う。このような深刻な事態をどのようにして克服していくか、そのためには政治の体制はどうあるべきなのか、政治家はどうあるべきなのかと考えるのが、本当に国民のための政治家のあり方だと私は思っている。そういう意味で、今後もいろいろとご批判は頂きながらも、私の信念は変わらないので、その方向で頑張りたいと思う。
■財源があろうがなかろうが、放射能を封じ込めろ
上杉: 引き続いて、お二方に質問を。自由報道協会の面々は発災直後から現地に入り、取材活動をずっと行ってきた。その取材の中で相対的に、結果としていま現在、県単位で見ると岩手県の復興が意外と進んでいるという報告が上がってきている。おべんちゃらではなく。(小沢氏の)お膝元の岩手県の復興が進んだという見方もできるが、一方で岩手県だけがそういう形で支援が進めばいいのかという疑問もある。そこで、これはウォルフレンさんと小沢さんお二方に伺いたい。仮に現在の菅政権ではなく、小沢一郎政権だったらどのような形で国を復興させたのか。また、もし小沢一郎総理だったら、具体的な方法としてどのような形で今回の震災に対応したのか。ご自身のことでお答えにくいかもしれないが、まず小沢さんから。
小沢: 岩手県の震災復興の進捗具合が大変良いとお褒めいただいているが、別にこれは私が岩手県にだけ特別何かしているということではない。ただ、それぞれの国民あるいは県民の努力と同時に、地域社会を預かっている知事はじめ、それぞれの任務にある人たち、トップが先頭に立って、そしてその下で皆があらゆる分野の活動で一生懸命やっている。岩手県が他の県に比べて良いとすれば、そういう体制がきちんとされているので、復興の進捗状況が良いと言われている理由ではないかと思っている。
私の場合は、かてて加えて原子力ということ、放射能汚染ということを強く主張している。これはもちろん東京電力が第一義的に責任を持っていることは間違いのないことだけれども、日本が政府として国家として、原子力発電を推進してきたことも事実だし、原発の設置運転等については許認可を与えている。そういう意味から言っても、また今日の放射能汚染が依然として続いているという非常に深刻な事態を考えると、東京電力が第一義的責任者だといって済む状況ではないのでは。東京電力にやらせておいて、政府はその後押しをしますよ、支援しますよというシステムでは、本当に国民・県民の生活を守っていくことはできないのではないか。
やはり政府、国家が前面にその責任をもって、最も有効と思われる対策を大胆に(行う)。これはお金がいくらかかる、かからないの問題ではない。メディアも含めてすぐ財源がどうだなんていう話が、また一般(財源)の時と同じような繰り返しの話ばかりしているが、そんな問題ではない。極端な言い方をすれば、財源があろうがなかろうが、放射能汚染は何としても封じ込めなければいけない話で、それは国家が政府が、前面に立って全責任でやる。私はそういうシステムを、仕組みをもっともっと早く、今でも遅くないから構築すべきだと思っている。今なお、東京電力が第一義的責任というやり方をしていたのでは、多分解決しないのではないかと思っている。
■菅さんは一人で何でもできると思い込んでいる
上杉: ウォルフレンさん、同じ質問だが、もし菅総理ではなくて小沢一郎総理だったら、この震災に対してはどうなっていたか。
ウォルフレン: いろいろな面があると思うが、まず3月11日にあの災害が起きた当時、私は阪神・淡路大震災の時と比べて政府の対応はどうだったかと、直感的に思った。当時の政府の対応と比べて、今回はずっと早く迅速に動いたという気がした。私はそのストーリーを書き、世界中に報道された。その時に私が言ったことは、「半世紀続いた一党体制が崩れて、新しい民主党という政党のもとに政権が建った。その政権は本当に国民のことを、人のことを大事に考えて中心に置いている」という書き方をした。ところが、せっかくの初動後の時間が経過するに従って、壮大な画期的な改革をする機会が与えられたにも関わらず――それはキャリア官僚の体制の上に政治的なコントロールを敷くということだったが――そこに至らないでズルズル時間が経ってしまった感じがする。
なぜ、そうなってしまったのかを考えたわけだが、1993年という年以降、政治の改革をしようと集まった政治家たちが、新しい民主党という党をつくった。そして官僚体制に対して、政治がきちんとコントロールしよう、今までなかった真摯な政府をつくろうという人たちだったのに、どうなってしまったのかと思った。何が起きてしまったのか、正直いって私自身は分からない。ただ、ひとつ考えられるのは、首相が一人で何でもできると思ってしまっているのではないか、ということ。数日前に日本に来て、その間多くの方々といろいろ話をして感じたのは、どうも菅さんは、時々いいアイデアもあるのかもしれないが、それを自分一人でやるだけの政治力があると思い込んでしまっているのではないか、ということだ。
菅さんにしても、誰であっても、一人ではとてもできないことではないか。災害に対処しながら、また原発事故に対処しながら、今までの官僚体制に政治がコントロールしていく――それを同時にやるのは大変なことだ。細かいことは存じ上げないが、原発事故が起きたということは、多くの人たちが新しいところで生活を始めなければならない。再定着が必要になってくるわけだから、政治家一人ではとても負えるものではない。民主党をつくった人たちが、官僚制度の上に政治的なコントロールを敷こうと、そして本当に政府をつくろうと、同じ志を持った民主党の政治家たちがお互いに、一緒に協力をしていかなければできないことなのだ。
災害が起きる前年、去年の秋だったけれど、少なくとも三人(小沢氏、鳩山由紀夫氏、菅直人氏)のトロイカ体制という話を聞いた時に、ある意味では当たり前だが、私はすごく良いアイデアだと思った。明治維新ひとつをとってみても、一人で誰がやったというわけではない。志を同じくした人たちが、一緒にやったことだった。戦後の復興にしても同じ。皆で一緒にやって初めてできたこと。半世紀に渡って一党支配の体制を崩した新しい政党が、新しいシステムをつくる。それにはトロイカであれ、グループであたっていかなければならないと、私は去年思ったものだ。
小沢政権ができた場合に、この災害にあたってどう対応されたかのは分からない。けれども、私は小沢さんは「官僚を制する」というよりは、「官僚と一緒に仕事をする」能力がある方だと思っているし、権限の委譲もできるし、官僚の下に置かれることは絶対にない方だと思っている。小沢政権ができた場合には、きちんと然るべき人たちと協調体制のとれた対応をとっていかれるのではないかと思う。
■現状を維持しようとする日本の免疫システム
上杉: (ウォルフレン氏が書かれた)『誰が小沢一郎を殺すのか?』という本のタイトルも衝撃的だが、その中で小沢一郎さんに対して、日本国内の権力構造が"人物破壊"のキャンペーンを張っているとウォルフレンさんは指摘している。「世界的に類を見ない人物破壊」――少し聞きなれない言葉だが、ウォルフレンさん、せっかくだから小沢さんが横にいらっしゃるので、この本で書ききれなかったこと、そしてぜひ聞いてみたいことを質問してはどうか。
ウォルフレン: 前にも言ったように、私は特別小沢さんを知っているわけではないし、友人ということでもない。小沢さんよりはむしろ、菅さんの方をよく知っているし、それよりさらに鳩山さんを知っている、ということが正しいかと思う。私が関心を持っているのは、政治体制をきちんと制する、その現象をもたらすためのタレント・才能を持った方、こういう有能な人を抹殺するというメカニズム、そのシステムに非常に関心を持っているわけだ。
この(日本の)マスコミの問題というのは、不思議な逆説的な現象を呈している。マスコミの主流派は「政治的なリーダーシップが欠如している」「なぜ、そういう政治家が出てこないのか」と言うが、出てくるとその人を抹殺しようとする。なんて奇妙なシステムだと思っている。私はマスコミ自体が悪いからそうなっているとは言わない。ただ、どうも「既存の秩序を守る」――それが自分たちの義務であるかのようにマスコミが思っているのではないか。20年〜25年、私はいろんな官僚やシニア編集者の方々と会い、話し合う機会があった。彼らはどうも秩序が覆ることや、それが脅かされることに対して、恐れを感じている。現体制を何としても守りたい、という気持ちがあるのではないか。
また検察の小沢さんに対するやり方というのは、外から見ると、本当に馬鹿げていると言わなければならない。だから「日本には免疫システムがあるのだ」というふうに言うわけだ。私があえて「民主党政権になっても、小沢さんが首相にはならない」と予測したのは、2009年の春だったと思うが、先ほど言った"現状を維持しようという免疫システム"が存在しているから、そう思ったのだ。名前を忘れてしまったけれど、自民党のある人が私に漏らした。「検察が小沢さんに対してああだこうだ言っていることを代議士全部にやったら、国会は空っぽになってしまう」と言っていた。それで12月になって検察が十分な証拠が集まらなかったと言ったら、朝日新聞の論説のところで「証拠はないけれども彼は有罪だ」という言い方をした。どうやってそんなことが言えるのかと思う。
検察審査会というものがある。いつ、どのようにできたか知っている日本の方は少ないと思うが、これはアメリカの占領下でできたシステムだ。どうやって検察審査会ができたのか、経緯を知らない方も多いと思うので、少し説明する。アメリカの占領軍は、日本の法務省を信頼しなかった。信用できないと思った。だから市民による、検察体制を審査しようというものをつくった。そういう新しい制度をつくって、日本にデモクラシー、民主政治を根付かせようとした。法務省関係者は非常に抵抗したが、抵抗しきれずに最終的には検察審査会なるものができたのだ。ところが、その検察審査会が今まで発動されたのは、交通事故とか軽犯罪とかそういうことだけだった。小沢さんのことにあたっては、どこから取り出してきたのか知らないけれども、"魔法の何か"を使った。それで、客観的に物事を見ることが大事だと思うわけだ。私は小沢さんのファンでもなければ、小沢さんの特別な友達でもないが、日本の政治状況を客観的に見るということでやっている。
■民主党の主張を実現する最大のチャンス
上杉: 小沢さんに対して質問は?
ウォルフレン: 本(『誰が小沢一郎を殺すのか?』)を読んで下さったのだろうか? 本を読んで、何か私の書いていることに過ちがあったら、指摘していただきたい。過ちから学ぶことが多いものだから。
小沢: もう読ませていただいた。本の中でも、私があまり露骨に言えないことを正確に言っていただいた。非常にわが意を得たりというか、よくここまで客観的に、公正に見て書いていただいたと思っている。
上杉: この本にも書いてあり、先ほどのウォルフレンさんの言葉の中にもあったが、日本は総理をつくるという形でマスコミ、国中が持ち上げる。持ち上げておいて、そういうリーダーができるとつぶすという、非常に不思議な国だと言っている。小沢さんとしては、その実感はあるか?
小沢: やはり日本社会の、日本人の特殊性ではないだろうか。歴史的な何千年の経過の中で、強力なリーダーというのはほとんど必要なかった。平和で豊かな国だったから。「和を以て貴しと為す」という言葉に代表されるような、いわゆる悪く言えば「談合社会」、良く言えば「コンセンサスの社会」というのが出来上がっていて、それは結局、結論は誰も責任をとらなくてもいい仕組み。
だから今の状況を見て申し上げたいことは、われわれ(民主党)は官僚主導の政治から、政治家主導、国民主導の政治に変えるんだ、そして国民の皆さんの生活を第一にしていく政治を実現するんだと、皆さんに訴えて政権を任せてもらった。ところが現実には、自民党の時よりひどいじゃないかという批判もあるくらいに、官僚機構に乗っかっているだけ。こういう非常事態においては、まさにわれわれが主張した国民主導の政治を実現するために、国の統治の機構、中央集権から地方分権、いろいろな制度を含めて、震災に対処するという大義名分があるから、思い切ってやればできる絶好の機会。ウォルフレンさんも言っているが、われわれの主張を実現する最大のチャンスだ。
ところが結果としては、今言ったように、「今まで以上に悪いじゃないか」と酷評される。そのゆえんは何かというと、国民主導、政治家主導の政治というのは、政治行政の政策を決定し実行する時に、国民そして国民の代表である政治家が、自分自身の責任で決定し実行するということだ。それがなければ国民主導とか政治家主導なんていうのは、ただの言葉でしかない。政治家が責任を取らないなら、何で官僚が言うことを聞くのか? 「俺が責任を取るから、こうこうこういう方針でやってくれ」と言えば官僚はついてくる、無茶苦茶な話でない限りは。だから、「それは俺は知らない、そっちで決めたんだ、あれはどうしたんだ」と、そういうことをやっていたのでは、われわれの主張はまったく国民に対してウソを言ったことになってしまう。なので私は、遅かりしだが、今からでも遅くないから、こういう危機にあたってこれをうまく活用して、本当の政治家主導の政治を実現して、「国民の生活が第一」というわれわれの訴えたキャッチフレーズに恥じることのないような震災対策、政治を実現しなくてはならない、そう思っている。
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小沢新党【増税より財政出動】/達増知事新党入り/岩手県議勢力:新党組10人、残留組12人、態度未定1人
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