これが小沢“仁義なき戦い”の全貌だ!衆院選で民主に“逆刺客”も
zakzak 2012.07.10 ★鈴木哲夫の核心リポート
民主党を除名された小沢一郎元代表は11日、50人規模の新党を立ち上げる。世論調査では8割前後が「期待しない」と答えているが、20年以上、政界に君臨し続けた小沢氏の政治・選挙手腕はダテではない。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、小沢氏が権力闘争に勝ち残るため、次期衆院選で仕掛ける「逆刺客」「地域政党化」といった作戦を入手した。
小沢グループが集団で民主党に離党届を提出した2日午前、1年生議員の福嶋健一郎氏は地元・熊本にいた。党県連会長に対し、事前に離党のあいさつに出向いたのだ。
「ご迷惑をおかけしますが、消費税だけを先行してやるのは国民との約束を破ることです。私の意思は変わりません」
県連会長は「思いとどまる気はないのか」と慰留したが、福嶋氏は拒否した。そして、同日午後、グループの衆院38人、参院12人の離党届が提出された。福嶋氏が驚き、怒りを覚えたのはその直後だった。
「離党届が出された直後、『熊本県連が刺客候補を決めた』という情報が入ってきた。党執行部は『最後まで党内融和』だとか、輿石東幹事長も『小沢さんと話し合う努力をする。何日か待ってくれ』などと気を持たせたが、本当は融和なんて気持ちはなかった」
権力闘争の域に入った以上、選挙になれば食うか食われるかの「仁義なき戦い」だ。民主党が「どんな手を使っても小沢新党を潰す」と考えるのは仕方ないことだ。
当然、小沢グループとしても相手を蹴落としてでも生き残りを図る。そして、小沢氏は選挙には絶対の自信を持っている。民主党の「刺客」に対し、「逆刺客」の準備を進めているという。
「気の早いことに、もう、『小沢新党から出たい』と言ってきている人が何人かいる」
2日のグループ会合で、小沢氏はこんなあいさつをしたが、実は水面下で、新人候補擁立を着々と進めてきた。小沢氏に近い議員がいう。
「今回、消費増税法案に賛成した民主党議員の選挙区には、『増税反対』『脱原発』などを掲げて、小沢新党の候補をぶつけるということだ」
小沢氏の選挙戦術は一言でいうと「強気」だ。政権交代後の2010年参院選で、小沢氏は幹事長として「複数区には複数候補を立てる」と宣言し、票の掘り起こしを目指した。
民主党は当時、小沢氏の陸山会事件や、鳩山由紀夫首相の母親による月1500万円の子ども手当問題などで逆風にあった。現職議員は「共倒れになる」と総反発したが、小沢氏は「政権与党が複数区で1人に絞るなどあり得ない」と意に介さなかった。
今回も、報道各社は「小沢新党は追い込まれている」「低支持率で展望は厳しい」と酷評しているが、小沢氏は拡大路線の、強気の選挙に踏み出しているのである。
「離党届提出の翌日から、小沢さんはグループの一部議員に対し、『県レベル単位で(候補者擁立を)頼むぞ』と指示を出した」(同議員)
私(=鈴木)の取材では、小沢氏が候補擁立を言及しているのは、青森3、4区、岩手1、3区、福島3、4、5区などである。
青森3、4区は、自民党の大島理森副総裁と木村太郎副幹事長の地盤だが、増税法案に賛成した民主党の田名部匡代、津島恭一両衆院議員も比例復活している。岩手1、3区は、小沢新党への参加を拒んだ民主党の階(しな)猛、黄川田徹両衆院議員の地盤。
そして、福島3、4、5区は、野田佳彦首相の松下政経塾の後輩に当たる玄葉光一郎外相や、小沢批判を繰り広げた渡部恒三最高顧問、増税法案を推進した吉田泉財務大臣政務官の地元である。
注目の「逆刺客」候補だが、小沢氏側近は「地方議員や、中小企業のベンチャー経営者、12年やってきた小沢塾卒業生など、人はいくらでもいる」と話す。
小沢氏が、東北から具体的指示を出しているのにも戦略がある。選挙協力や選挙後の連携パターンに「地域政党」を考えているのだ。
「地域政党といえば、北海道には鈴木宗男代表率いる『新党大地・真民主』、中部地方には名古屋市の河村たかし市長の『減税日本』、近畿には大阪市の橋下徹市長率いる『大阪維新の会(維新)』、関東は地域政党でないが渡辺喜美代表の『みんなの党』が主戦場。こうした政党とバッティングしないような配慮だ」(同)
ただ、全国には10%程度とされる強固な小沢支持票がある。報道各社の世論調査でも、70−80%は「期待しない」と答えるが、10−15%は「期待する」と答えており、「雨が降ってもやりが降っても小沢氏を支持するファン」(自民党選対幹部)という。
このため、小沢氏は選挙協力の進展具合を見ながら、「比例当選の上積みを狙い、全国各地での候補擁立も考える」(小沢氏側近)。
選挙戦の手足となる人材確保も狙う。民主党では現在、「小沢氏が、民主党で長く選挙を担当し、選挙区事情や支持団体をすべて把握している職員を引き抜こうとしているようだ」との情報が流れ、戦々恐々としている。
11日の結党大会で正式スタートする小沢新党だが、選挙準備は早くも先行している。
■すずき・てつお 1958年生まれ。早大卒。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部などを経て、現在、日本BS放送報道局長。著書に「政党が操る選挙報道」(集英社新書)、「汚れ役」(講談社)など。
===========================================
京野公子議員に勝てぬ…民主秋田の公認擁立難題
民主党秋田県連は8日、秋田市で常任幹事会を開き、社会保障・税一体改革関連法案に反対票を投じ、小沢一郎元代表らとともに離党届を出した京野公子衆院議員(62)(秋田3区)と、高松和夫衆院議員(70)(比例東北ブロック)を同日付で、それぞれ県連の副代表と、副代表兼総務会長から解任することを決めた。
また、党本部で両氏の除籍(除名)処分が確定後、京野氏の後任として、次期衆院選の秋田3区の公認候補選びに入る方針を確認した。
常任幹事会は、京野、高松両氏らを除く10人が出席。終了後、県連代表の松浦大悟参院議員(42)(秋田選挙区)と、県連幹事長の寺田学衆院議員(35)(秋田1区)が記者会見した。
寺田氏は会見で、「除籍の方針も出たので高松、京野両氏の役職を解任する」と述べ、党本部での正式決定を待たずに両氏を解任した理由を説明。3区での公認候補擁立について、「自分たちの考えに共鳴する方々に、投票の受け皿を提示するのが政党の役割」と述べ、党本部の処分を待って、3区の常任幹事らと意見交換しながら、後任候補の選任作業に入る考えを示した。
また、寺田氏らは、大館市の菅大輔市議(67)から「一身上の都合」として離党届が提出され、受理したことも明らかにした。
菅氏は8日、読売新聞の取材に対し、「小沢さんの新党が発足してから、離党の理由や新党への合流について話したい」と話した。
一方、京野、高松両氏は、小沢元代表が11日に結成する新党に参加するとみられている。秋田3区総支部幹事長の小沢秀宏・横手市議(72)は9日、読売新聞の取材に応じ、常任幹事会で、今月中に同区の候補を探すよう要請され、「非常に難しい」と返したことを明らかにした。
小沢氏は「(幹事長の)責任もあるので全力で探すが、(京野氏には)勝てないので、出る人がいないと思う」との見解を示し、「今回は擁立しない方がいい。もし擁立することになれば、京野氏を応援するために離党する」と話した。
◇
同県連は9日、高松氏の後任の総務会長に副代表の川口博衆院議員(64)(秋田2区)が就任し、副代表は、代表代行の虻川信一県議(66)が兼務することを決めた。
(2012年7月10日14時45分 読売新聞)
===============================
小沢新党:11日に結党大会 衆参で約50人が参加
毎日新聞 2012年07月10日 21時14分(最終更新 07月10日 21時26分)
消費増税法案に反対して民主党を除籍(除名)された小沢一郎元代表は11日、同じく民主党を離れたグループ議員と新党の結党大会を開く。新党参加は衆参で約50人となり、衆院解散・総選挙をにらみ「反増税・脱原発」で支持獲得を目指す。基本方針を定める綱領には「国民の生活が第一」と「自立と共生」を盛り込む方針で、地域政党との連携を探る。
結党大会は11日夕、国会近くの憲政記念館で開催し、党名や綱領、規約を発表する。基本政策は、結党大会のスピーチで小沢氏が骨子を示すのにとどめ、全体像の発表は来週以降となる見通しだ。幹事長に就任する東祥三衆院議員は「政策は議論してもう少し煮詰める必要があり、(全体は)11日には提示しない」と語った。
新党の会派「国民の生活が第一」は衆院で民主、自民に次ぐ第3党(37人)、参院で第4党(12人)の勢力となる。衆院会派は近く、小沢氏に近い新党きづな(衆院9人)との統一会派を結成する方針。統一会派は46人となるが内閣不信任決議案を単独で提出できる51人には届かない。
参加議員は選挙基盤の弱い当選1回議員が多く、小沢氏は選挙態勢作りに全力を挙げる。【光田宗義】
-------------------------------
↧
小沢新党 衆院選で民主に逆刺客も/ 京野公子議員に勝てぬ…民主秋田の公認擁立難題
↧