環境大臣・内閣府特命担当大臣 細野豪志−ミイラ取りがミイラになった「秀才」
PRESIDENT 2012年7月30日号
2012年7月11日
この方といえば「路上キス」。6年前、週刊誌にすっぱ抜かれた女性タレントとのキスシーンが印象に残る。芸能人顔負けの不倫騒動だが、その後も当選を続け、現在に至る。本人は「信頼を取り戻すべく国政に全力を注ぐ」と深く反省。今年41歳という若さだが、その後「いたずら」が報じられることもなく、すっかり民主党の顔の一人だ。
スキャンダルの穴を埋めるかのように、その仕事ぶりは凄まじい。特に、去年6月に原子力担当相に就任してからは獅子奮迅の働きぶりだ。京大法学部出身の秀才で理解力も早く、エリート官僚と肌が合う。世渡りもうまい。民主党では、2009年、小沢幹事長時代に党組織委員長、次の菅執行部では幹事長代理、11年には菅内閣補佐官に起用された。「小沢か反小沢か」で揺れる中、うまく階段を上ってきた。
秀才かつ小器用。だからこそ、「できないと思う人」には厳しい。周囲からは「だれもが同じようにできるわけではない」という愚痴も聞こえる。しかし、エリート官僚には「宰相の器」と持ち上げる輩も出てきた。これは危険信号だ。「使いやすい」と同じ意味。
6月、改正原子力基本法が成立したが、いつの間にか「我が国の安全保障に資する」という目的が追加された。担当大臣の細野氏は「平和目的は堅持」と言うが、納得できる十分な説明がない。「核兵器開発への道を開く」という指摘はもちろん、わずか4日の審議で国民の目の届かないうちに潜り込ませたという批判は免れない。こういう不可解な役所体質と闘ってこそ、ニューリーダーではないか。
政界も人材不足で早くも総理候補だ。
「本人も意識している」と近い議員は語る。ならば国家観を表現せよ。国民の切なる願いだ。
*細野豪志(ほその・ごうし)
1971年、京都府生まれ。京都大学法学部卒業後、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)研究員を経て、2000年に衆議院議員初当選。幹事長代理、内閣総理大臣補佐官を経て、11年6月より内閣府特命担当大臣。同年9月より現職。
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◆「安全保障」追加/「原子力の憲法」といわれる原子力基本法がこっそり変更されていた 2012-06-23 | 地震/原発/政治
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◆「原子力の憲法」基本法変更/「安全保障」の文言 2012-06-30 | 地震/原発/政治
「原子力の憲法」基本法変更 「安全保障」の文言 真の狙いは
潜在的核能力?核燃サイクル?
中日新聞 特報 2012/06/29
技術誇示「抑止力」に
「わが国の安全保障に資する」。原子力開発の基本原則を定めた原子力基本法に奇妙な文言があえて付け加えられた。原子力利用を平和目的に限定した「原子力の憲法」。それが、なぜ、いとも簡単に書き換えられたのか。「日本の核武装に道を開くのでは」という懸念が広がる中、本当の狙いを探った。(小坂井文彦、小栗康之)
「原子力基本法には平和利用が明確に規定されている。懸念は当たらない」。細野豪志原発事故担当相は二十六日の閣議後会見で、基本法の改正が、核武装や軍事転用につながるのではという批判を懸命に打ち消した。
しかし、こうした懸念は内外に広がっている。知識人らでつくる「世界平和アピール七人委員会」事務局長で、慶応大名誉教授の小沼通二(みちじ)氏は「安全保障の文言は解釈があいまい。解釈できないような内容を基本法に載せることは将来、混乱を招く」と批判。韓国のメディアは「核武装の布石と読める」と報道した。
細野担当相は「政府として積極的に入れようということではなかった」とも話した。原子力政策の歴史に詳しい山崎正勝東京工業大名誉教授(科学史)は「意図がよくわからない。細野担当相の説明通りなら、よく考えずに、うっかり加えたということになる」と首を傾げる。
原子力基本法とは何か。一九五五年十二月、その前に調印された日米原子力協定を国会で承認する受け皿として制定された。
「協定と基本法は、日本への原発導入を目的としたものではなかった」と山崎氏は指摘する。当時、米国にも商業用の原発はまだなかった。冷戦下、米国は、旧ソ連を中心とする東側陣営に対抗するため、原子力という最先端技術を通じて西側陣営を結束させようとしていた。平和利用をうたう協定を通じ、各国の反核意識を抑えることが米国の狙いだったという。
日本でも、水爆実験で被曝した一九五四年三月の第五福竜丸事件をきっかけに、原水爆禁止運動が盛り上がっていた。基本法には「原子力の研究、開発及び利用は平和の目的に限る」と盛り込まれた。基になったのは、日本学術会議が提唱した「公開、民主、自主」の原子力三原則。「基本法は『持たず、つくらず、持ち込ませず』という歴代内閣の非核三原則の法的根拠になった」(山崎氏)という。
軍事転用については、米国も当初から認めていなかった。日本原子力協定では、米国が日本に研究用の濃縮ウランを貸与し、使用後にプルトニウムを含む核廃棄物を米国に返還する決まりだった。しかし、日本はその後、商業用の原発を導入。核拡散防止条約(NPT)に加盟し、プルトニウムやウラン濃縮技術を核兵器に利用しないことを世界に約束。使用済み核燃料を再処理する核燃料サイクルを進めてきた。
福井県敦賀市の高速増殖原型炉「もんじゅ」や青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場(再処理工場)は、そのための施設だ。
逆風下 推進の根拠に
「わが国の安全保障に資する」の文言は、民主、自民、公明の三党による原子力規制委員会設置法案の修正協議の過程で盛り込まれた。自民党の要求を民主党が受け入れた。
問題は「安全保障」の意味だ。政府側は「安全保障」について、「核物質の軍事転用を防ぐセーフガード(保障措置)や、核不拡散、(核テロを防止する)核セキュリティーの意味」と説明する。それなら、わざわざ、軍事的な意味が強い「安全保障」という表現を使用しないで、そのまま、「核不拡散、核テロ対策」と表現すれば済む。
もう一つ疑問がある。政府の主張する核不拡散、核テロ対策などの意味は基本法第二条の「安全の確保を旨として」で十分に言い表されている。あえて「安全保障」という表現を付け加える必然性はないことだ。
小沼氏は「原子力の安全を確保するという意味であるなら、安全保障の表現はなじまないし、おかしい。どう解釈していいかわからないようにしている」と指摘する。ここに拡大解釈の余地が残されているとみる。
今回の改正でも「原子力利用は平和の目的に限る」との大原則はそのまま残っている。自民党が将来的な軍事利用の可能性を追求したいのならば、第二条一項の「目的」に「安全保障」と明記する事を主張すればよいのに、そうはしていない。
なぜか。真の狙いは、「潜在的核能力」のアピールであるとの見方もできる。「いつでも核兵器を製造できる」という姿勢を保つことで、「抑止力」になるという考え方だ。
自民党の谷垣禎一総裁は最近、「核兵器を開発しなくても、核エネルギーを利用する技術は確立しなければならないという考えが(過去に)なかったとは言えない」と発言。その上で「日本が原発の技術を保持していかないと、核兵器保有国だけが原子力エネルギー技術を持つことになる。安全保障などの面で、そういうことになっていいのか」と述べるなど、潜在的核能力に肯定的な見方を示している。
核燃料サイクルでは、使用済み核燃料からプルトニウムを生成することができる。既に日本では、海外に依頼して再処理した分を含め、大量のプルトニウムを保有している。プルトニウムは核兵器の原料にすることができる。
「潜在的核能力」を誇示するためには、原発と核燃料サイクルの維持が前提となる。
ところが、核燃料サイクルは風前の灯だ。再処理工場は度重なる不具合で未だに完成していない。もんじゅの稼働にいたってはいつになるかわからない。国の原子力委員会の議論でも再処理より地中に埋める直接処理の方がコストが安いという試算が出ている。
あえて「安全保障」の文言を入れたのは、逆風の中、原発と核燃料サイクルを維持する根拠とするためではないかという見方も成り立つ。
社民党の服部良一衆院議員も、その点を指摘し、「外国の使用済み核燃料を日本が引きとり再処理することで、核燃料サイクルを維持する根拠ができるという話もある」と言う。「仮にそのような意図が潜り込まされ、都合よく解釈される余地が残されているのであれば、大きな問題だ」と批判を強める。
政府は、今のところ「脱原発依存」の方針に変更はないと説明している。しかし、この「安全保障」の文言が、将来的な「原発維持」への根拠となる可能性は残る。小沼氏は言う。「基本法自体が原発を推進するものであり、(脱原発に向け)この際、全面的に見直すべきだ」
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◆ 核兵器に転用可能なプルトニウム/原発保有国の多くは本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようで 2012-01-24 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
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◆原発保有国の語られざる本音/多くの国は本音の部分では核兵器を持ちたいと思っているようであり2011-05-10 | 政治〈国防/安全保障/領土〉
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細野豪志−ミイラ取りがミイラになった秀才/原子力基本法に「安全保障」という文言 こっそり追加
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