【経済快説】“小沢新党”あなどるべからず!マニア受けする政策に注目
zakzak2012.07.19
小沢一郎氏が民主党を離れて、新党「国民の生活が第一」を結成した。本稿では、政策論に深入りしないが、現在、前回総選挙の公約に反する消費税率引き上げを「急いで」決めねばならぬ状況にはない(原発事故への対応のようなものとは事情が異なる)。公約を守るべきという小沢氏に「一理はある」と言っておく。
その「小沢新党」だが、結党間もない現時点での人気は必ずしも高くない。新聞社の調査などでは、同党に期待するとの答えは十数%程度で、支持が少ないとの見出しが付くことが多い。ただし、支持率自体は、民主党、自民党もぱっとしないままだ。
そこで、興味が湧くのは、「選挙に強い」と言われてきた小沢氏が、次の選挙をどう戦うかだ。
新党には、何人か知名度の高い議員がいるものの、小沢氏以外には重量級の政治キャリアを持つ看板議員がいない。加えて、当選1回目の議員が多い。選挙の際に俗にいう「タマ」(候補者)の面では、有利な状況にあるとは思えない。
しかし、目下の同党の戦略は、マーケティング的に眺めるとなかなか興味深い。
まず、党名だ。「国民の生活が第一」とは長くて語呂が良くないが、他党に比べて長い名前なので目立つ。しかも、TVなどで党名が報道されるたびに、同党のキャッチフレーズが流れることになる。長期的な党名のネーミングとしては疑問があるが、短期限定のキャンペーン手段としては強力なのではないか。
また、政策の選択も選挙戦略的に興味深い。今回の小沢氏の主な政策は「反消費税増税」、「反原発」、「反TPP」の三点だ。何れも賛否両論があるテーマだが、それぞれの「反」の立場には、非常に強い共感を持つ支持層が存在する。
たとえば、「反原発」。民主党も自民党も原発について、歯切れのいい主張は出来まい。仮に、ある選挙区で、原発稼働について強力な反対意見を持つ人が有権者の3割いるとしよう。彼らは、民主党にも自民党にも投票しまい。両党の個々の候補者が、自分の意見として原発稼働慎重論を唱えても信用しないだろう。反原発票を「国民の生活が第一」の候補者が集めて、残りの票が割れるとすると、小選挙区の中で同党が1位を取る場合もあるのではないか。
地域によっては、反TPPにも強力な支持者がいる。付け加えるなら、小沢一郎という党首にも熱心な固定ファンがいる。票が割れると、同党候補がトップの可能性が出る。
過半数ではなくとも、一番が取れたら小選挙区は勝ちだ。支持者の固い政策の選択は、候補者の弱さをカバーするかも知れない。商売の世界でも、マニア受けする戦略が奏功することがある。小沢新党侮るべからず。
■山崎元(やまざき・はじめ) 経済評論家。1958年北海道生まれ。東大経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一証券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。
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