〈来栖の独白〉
日本の政治を左右し始めたポピュリズム選挙が、軍靴の音を響かせるようになった。憲法はなんぴとに対しても思想の自由を認めているが、言論統制、思想弾圧という音である。橋下というモンスター知事の憲法無視の姿勢は、光市事件裁判における発言で既に予兆されていた。
各政党はしっかりしなければ、ポピュリズム地域政党に国政も地方政治もいいようにされ、この国は亡んでしまう。議会はチェック機能を果たす存在ではなくなり、知事(の自党)の言いなりになってしまう(条例案を通してしまう)。
国民はしっかり事の深層を見なければ、自分の首を絞めることになる。そうなってからでは遅い。
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国歌「起立義務付け」 大阪府立校など 維新が条例案
産経新聞 5月14日(土)15時33分配信
大阪府の橋下徹知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」(維新)の府議団が、府立学校の入学式や卒業式などで国歌を斉唱する際、教職員に起立を義務づける条例案を5月定例府議会に提出する方針を固めたことが14日、わかった。維新は府議会で過半数を占めており、可決される公算が大きい。府教委によると、教職員の国歌斉唱時の起立を都道府県で条例化したケースはないという。
5月の府議会では、自民が府立高校を含む府施設での国旗の常時掲揚を義務付ける条例案を提案する予定。維新は「反対はしないが、会派の考え方を反映させた修正案を出したい」として、国旗の常時掲揚に加え、府立学校の教職員に対し入学式や卒業式での国歌斉唱時に起立することを義務付ける条例案を検討している。罰則規定は盛り込まない見通し。
一方、自民会派の幹部は「罰則のない条例は有名無実。条例として扱うべきかにも議論の余地がある」と述べ、両会派の条例案の一本化には、否定的な見方を示した。
学校の入学・卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱は平成元年の学習指導要領で義務付けられた。府教委は14年以降、府立学校の教員に対し、国歌斉唱時には起立するよう文書で指示している。
条例案について橋下知事は同日、記者団に対し「ルールを守らないごく一部の教員により、ほかの9万人の職員の信頼失墜になるのが残念。条例が制定されれば府として処分の基準を整えたい」と述べた。
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政党政治が崩れる〜問責国会が生む失望感===透けるポピュリズム
論壇時評 金子勝(かねこ・まさる=慶応大教授、財政学)
2011/02/23Wed.中日新聞
(前段略)
保坂によれば、「最近の政党が劣化した原因」は「小泉政権による郵政選挙」であり、その原形は「東条内閣は非推薦候補を落とすため、その候補の選挙区に学者、言論人、官僚、軍人OBなどの著名人を『刺客』としてぶつけた」翼賛選挙(昭和17年4月)に求めることができるという。そしてヒトラーを「ワイマール共和国という当時最先端の民主的国家から生まれたモンスター」であるとしたうえで、「大阪の橋下徹知事」が「その気ならモンスターになれる能力と環境があることは否定できない」という。
保坂とは政治的立場が異なると思われる山口二郎も、「国政を担う2大政党があまりにも無力で、国民の期待を裏切っているために、地方政治では既成の政治の破壊だけを売り物にする怪しげなリーダーが出没している。パンとサーカスで大衆を煽動するポピュリズムに、政党政治が自ら道を開く瀬戸際まで来ている。通常国会では、予算や予算関連法案をめぐって与野党の対決が深刻化し、統治がマヒ状態に陥る可能性もある」(「民主党の“失敗” 政党政治の危機をどう乗り越えるか」=『世界』3月号)という。
(中略)
このまま政党政治が期待を裏切っていくと、人々は既存の政党政治を忌避し、わかりやすい言葉でバッシングするようなポピュリズムの政治が広がりかねない。何も問題を解決しないが、少なくとも自分で何かを決定していると実感できるからである。それは、ますます政治を破壊していくだろう。
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◆光市事件 橋下知事に対する「懲戒請求呼びかけ訴訟」 最高裁 6月に口頭弁論2011-03-26 | 光市母子殺害事件
◆光市母子殺害事件弁護団への懲戒請求呼び掛け発言で、橋下知事に2ヵ月弁護士業務停止2010-09-17 | 光市母子殺害事件
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国歌「起立義務付け」へ 橋下徹知事が代表を務める「大阪維新の会」の府議団
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