野田政権はアメリカの召使いだ 亀井静香
7月 24th, 2012by 月刊日本編集部.
人類は文明の反逆を受けている
―― 原発再稼働に反対する首相官邸前デモには多くの人々が集まり、大きなうねりとなっている。
亀井 私も見ていたが、官邸前には雲霞の如く人が集まってきた。しかも、それは子供連れの奥さんなど、政治的な主張を掲げたりしていない一般市民ばかりだった。
こんなことを言うと神懸かりと思われるかもしれないが、神の手が動いている。それがこのうねりをもたらしたのだ。もはやこの流れを抑えることなどできはしない。
日本は長らく金儲けばかりに勤しんできた。他人が苦しもうが、環境が破壊されようが、それを顧みることはなかった。原発の建設などその最たるものだ。人心の荒廃は留まることを知らず、日本人の魂は失われてしまった。
そうした中で起こったのが福島の原発事故だった。なぜ他の国ではなく日本で起こったのか。それは日本に先達的な使命が課せられたからだ。原発依存から脱却し世界を導け、という神の声なのだ。
苦しんでいるのは日本だけではない。中東やヨーロッパ、アメリカ、中国の奥地でも、日本と同様の民衆運動が起こっている。政治、経済、文化、ありとあらゆる面にほころびが生じている。人類は文明の反逆を受けているのだ。
幕末期の日本では、「ええじゃないか運動」と呼ばれる運動が起こった。民衆が「ええじゃないか」と言いながら集団で熱狂的に踊る、というものだ。これは、当時の日本が直面していた危機に対して、民衆が無意識的に反応したものだ。
今回の脱原発デモもそれに比することができるだろう。現在の日本も大きな危機に直面しているのだ。
ところが民主党政権はこの危機を感知することができていない。野田総理はこのデモについて「大きな音だ」と言ったそうだが、デモが起こらないと言われてきた日本で、なぜこれほどまでのデモが起こり、国民が怒りの声を挙げているか、彼には理解できないのだ。
野田政権はアメリカの召使いと化した
―― 福島原発事故について、アメリカは徹底的した調査を行い、そのデータを本国に持ち帰った。
亀井 それは何も今回の事故に限った話ではない。アメリカは広島に原子爆弾を投下した直後、原子爆弾による傷害の実態を調査・記録するための施設を、広島の比治山に作った。そこでアメリカは被爆した市民を徹底的に調べたのだ。私の姉がそこに勤めていたのでよく知っている。
―― そもそもアメリカのGE(ゼネラル・エレクトリック)が開発した原子炉には、格納容器全体の容積が小さいといった欠陥があった。原子炉設計者が原子炉の安全性について懸念を示し、それを理由に同社を退社したという事実もある。
亀井 原発だけではない。日本の経済の仕組み、政治のあり様、全てがアメリカ式であり、その全てに欠陥がある。
3年前の政権交代は、こうした状況から脱却するために行われたものだった。日本にはびこるアメリカ的価値観から脱却し、日米関係を見直す。アメリカに対して言うべきことを言い、要求すべきことを要求する。
これは感情的な反米主義とは違う。日米関係が対等であることが、日米両国にとってプラスになる。日米が真の意味で手を取り合うためにも、日本は対米自立を成し遂げる必要があるのだ。
そのため、我々は郵政民営化を凍結した。わが国の伝統に馴染まない市場原理主義との決別を目指した。そして、鳩山総理の主導の下、普天間問題を解決しようとした。
しかし、それに対して強烈な反発が巻き起こった。そして菅政権になると、民主党は先祖返りしてしまい、自公時代の従米路線へと戻ってしまった。野田政権もまた、なりふり構わずアメリカの要請に従っている。まるでアメリカの召使いだ。
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