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【尖閣問題】米国は本当に日米安保条約を適用するか(中国網)/安保を発動してまで守ろうとはしないだろう

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尖閣諸島問題 米国は本当に日米安保条約を適用するか=中国
サーチナ 2012/08/09(木) 10:07
  中国網日本語版(チャイナネット)は8日、尖閣諸島(中国名:釣魚島)問題で米国は本当に日米安保条約を適用するのかと論じる記事を掲載した。以下は同記事より。
  尖閣諸島問題において、米国は本当に日米安全保障条約を適用するのか。実はこれはまだ「仮の問題」に過ぎないが、日本はこの「仮の問題」を「切り札」にし、しかも事態をエスカレートさせている。
  米国は「尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象」だと表明したが、全体を見ると法律的に曖昧(あいまい)な部分がある。報道によると、米国務省の報道官は7月11日、「米国政府は尖閣諸島の最終的な主権について立場を示さないが、尖閣諸島は1972年に沖縄県の一部として日本に返還されてから、日本政府の行政管理下に置かれてきた。そのため、尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象である」と述べた。
  これは条約の解釈の問題である。日米安保条約第5条では確かに「日本国の施政の下にある領域」という表現が使われているが、これが施政下にある領土に限られるのか、それとも主権を認められていないが支配する領土を含むのか、条約の文面からははっきりわからない。そのため、米国は適用すると言ったり、適用しないと言ったりすることができる。
  日米安保条約の適用範囲が日本が合法的に管理する領土だけでなく、主権を認められていない領土(尖閣諸島など)も含むとすれば、米国の言い分そのものが安保条約第7条に反することになる。第7条は、条約について国連憲章に反する解釈をしてはならないとも規定している。
  国連憲章は他国の領土と主権を侵犯することに反対しており、米国の行為はこの規定に反するものである。そのため、米国は最初に「尖閣諸島の最終的な主権について立場を示さない」という言葉を付け加え、中国の主権を侵すと思わせないようにしている。つまり、米国のこの疑問が残る発言は法律上の不明確さを利用したものであり、言葉を濁したり態度をゆるがせているのは自身の利益のためである。(編集担当:米原裕子)
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『尖閣戦争――米中はさみ撃ちにあった日本(祥伝社新書223)』2010年11月10日初版
 p42〜
*中国の息の長い戦略的、かつ野心的な計画---西尾
 ここまで日本が危うい状態に追い込まれていながら、国民のなかには、まだそこまでの危機感が浸透していないように思います。尖閣を軍事占領されることはないと考えているとしたら、それは甘い。アメリカが安保条約に基づいて抑えてくれると考えているとしたら、それはさらに甘いと私は最初に言いました。そして安保条約というのは、そんな性格のものではありませんと述べました。そこが一番のポイントだと思います。
 ここから日本はどうやって尖閣を守るかという話に転じなければいけないのですが、多くの人はアメリカに対する依存心理があって、クリントン国防長官以下が安保条約の5条適用と言ってくれると、「ああ、そうか」とほっとする。私ですらも安堵するわけですから、日本人がそれで安堵するのは無理はない。北朝鮮のミサイル打上げのときに、ライス国務長官(当時)が飛んできて「大丈夫よ。日本はアメリカの核で守られているんだから、大丈夫、大丈夫」と言ってくれたら、ほっとするのと同じことです。
 しかし中国の今度の行動は、そんなに単純ではありません。きわめて戦略的な、息の長い、1世紀以上にわたって練られた中国人の野心的な計画の終着点だという性格が基本にあります。
 中国は清の時代に、ロシアとイギリスの両国による西域争奪戦になすすべがありませんでした。中国が第2次大戦直後にチベットを侵略したのは、それへの復讐ですが、同時にインドを北から抑え込むためでもありました。チベット動乱の3か月後に、中印国境戦争が起きています。そして、それから10年後に、中国の眼は北に向かい、中ソ国境紛争と呼ばれるソ連軍との戦争を起こしました。ソ連が油断をしていたときです。北の次は当然南です。ベトナムは清の属国でしたが、かつてフランスに奪われ、何とか取り戻したいという領土的野心をもっていました。
 しかしベトナムはフランスを倒し、アメリカをも追い払うという勇敢な民族で、中国も簡単に手出しができません。ですが、アメリカはベトナム戦争で手傷を負い、厭戦気分が高まり、アメリカは2度とベトナムに戻ってこないとわかってから、中国はゆっくりと侵略の牙を磨きだし、中ソ戦争の10年後に、ベトナム侵略を開始しました。1979年の中越戦争です。
 こんなふうに中国の対外侵略の歩みはゆっくりですが、1度として停止したことはないのです。東西南北の4方向に向けてのこの国の深謀に根差した膨張行動の歴史をみれば、次に残された東への野心をこの国が諦めるはずはありません。理屈ではないのです。ただ西、北、南への進出にくらべて今度は用心深かった。旧日本軍への恐怖もあるでしょうが、何といってもアメリカが怖い。
 しかし、その恐怖を抑えて、中国はここへきて、そろそろ動き出したのです。今の日本はどうやらまったく怖くないようだ。アメリカも力を失って浮き足立っている。同時多発テロ以後、アメリカが恐れているのは持ち運び可能な小型核です。アメリカ軍は少しずつ戦線を引き上げて、太平洋の防衛ラインを東へ移していく可能性が高い。太平洋全域を支配しようと手を出している中国は、琉球列島が何といっても邪魔である・・・。
p45〜
*南シナ海で現実に起こっていること---西尾
 こうして事態は少しずつ動いていて、中国の野望がはっきりしてきたわけですから、沖縄は本当に危ないのです。そこから先何が起こるか考えてみたいと思います。すでに東南アジアでは、島の領有をめぐってしばしば衝突が起こっていて、1988年には、スプラトリー諸島、中国では南沙諸島といいますが、そこのジョンソン環礁でベトナム、中国両軍が軍事衝突を起しており、ベトナム軍艦が沈没しています。水兵70人以上が死亡しています。99年には2度にわたってフィリピン軍艦艇と中国の漁船が衝突して、このときは漁船が沈没しています。
 最近でもこの10月にも、やはり領有権を争うパラセル諸島、中国名は西沙諸島ですが、ベトナム漁船が中国に拿捕されています。8月にはインドネシアのナトゥナ諸島沖でインドネシア海軍が拿捕した中国漁船を、武装した中国艦艇にに奪還される事件が起きています。南シナ海全体が中国のこうした威嚇と、現実的な拿捕事件、あるいは軍事行動に攪乱されています。これは日本とて決して無関心でいられる事件ではありません。さしあたり南で、中越戦争のつづきでしたが、次には当然東の海上へ目が向けられます。
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石原慎太郎著『新・堕落論』
p76〜
 日本の核保有に関して、私と、もう一人複雑な思いを抱えていた若泉敬にとって極めて印象的な思い出があります。ある機会に私はかつて強い影響を受けた、サルトルと並んで戦後のフランスにおける実存主義の旗手の一人だった哲学者のレイモン・アロンとの知己を得て以来彼が来日する度会って会話を楽しみましたが、ある時親友の若泉を伴って会食したことがあります。
 その時話題が世界の核に及んだらアロンが、
「日本は何故自ら核兵器をもとうとしないのだ。世界で核を保有する権利が最もあるのは、世界で唯一の被爆国の日本以外にありはしないのに」と詰問してき、何か言い訳をしようとした若泉を遮って、
「日本にはドゴールのような指導者はいないのか。我々は我々の危機に及んでの、友人と称する他国の善意を信じることはあり得ない。君ら一体何を根拠に他国の善意なるものを信じようとするのか」
 といわれ返す言葉がありませんでした。
p77〜
 若泉にとってその時の会話はよほど肺腑をえぐるものだったらしく、彼はその後すぐに生まれた次男に核という名前をつけましたが。
 現代この時点で核戦略に関する議論は新しい技術体系を踏まえてさまざまあり得よう。核兵器による攻撃は弾道ミサイルで運ぶ以外に、潜水艦からの発射や巡航ミサイル、あるいは今日では宇宙船搭載による等。しかし日本という狭小な国家は、今日の水爆ならばただの2発で全滅してしまいます。そんな国が、例えばまず1発の水爆で半ば消滅しかけているのに、それを救うべく他の一体誰が自らの危険を冒して乗り出してくるだろうか。
 特に中国が「軍民統合、平戦結合、以民養軍、軍品優先」なる16文字政策によって1989年から2006年にかけての17年間に軍事予算をなんと8倍に増やし、核に関しても十分な抑止力を超えた装備を備えた今、彼らのいうように「中国の国防は純粋に自衛のためのもの」と信じる者はどこにもいません。今限りで中国がいずれかの国に対して直接武力による侵犯を行う意図はうかがえぬにしても、日本との間にある尖閣諸島周辺の資源開発問題や、あるいは領土権そのものに関しての紛糾の際に、その軍事力はさまざまな交渉の際の恫喝の有効な手立てとなってくるのです。
p79〜
 しかしその間中国の潜水艦は沖縄の島々の間の海峡を無断で通過するという侵犯を敢えて行い、日本側はそれに抗議するだけにとどまる不祥事がつづき、日本側は、本来なら警告の爆雷投下ぐらいはすべきだろうに放置してきました。これがもし日本の潜水艦が中国なり北朝鮮、いや韓国の領海にしても無断で押し入ったなら当然撃沈されるされるでしょう。それが「国防」というものだ。国防のためにすべきことを行わない国家にとっては、領土も領海も存在しないに等しい。
 この尖閣問題はさらに今後過熱化され、日本、アメリカ、中国三者の関わりを占う鍵となるに違いない。要はアメリカは本気で日米安保を発動してまで協力して尖閣を守るかどうか。守るまい、守れはしまい。
p81〜
 尖閣諸島への中国の侵犯に見られる露骨な覇権主義が、チベットやモンゴルと同様、まぎれもなく、この国に及ぼうとしているのに最低限必要な措置としての自衛隊の現地駐留も行わずに、ただアメリカ高官の「尖閣は守ってやる」という言葉だけを信じて無為のままにいるこんな国に、実は日米安保条約は適応されえないということは、安保条約の第5条を読めばわかることなのに。後述するが、アメリカが日米安保にのっとって日本を守る義務は、日本の行政権が及ぶ所に軍事紛争が起こった時に限られているのです。
 つまりあそこでいくら保安庁の船に中国の漁船と称してはいるが、あの衝突の(略)アメリカはそれを軍事衝突とはみないでしょう。ましてその後ろにいるのが中国としたら、アメリカの今後の利害得失を踏まえて本気のコミットメントは控えるに決まっている。
  安保条約への誤解
 ちなみに現時点ならば、核兵器に関しては別ですが日本が独自に保有する通常兵器での戦力は中国を上回っています。(p81〜)F-152百機による航空集団はアメリカ空軍に次ぐ世界第2の戦闘能力があり、その訓練時間量は中国の寄せ集め機種での実力に勝っているし、制海権に関しても関しても保有する一次に7発のミサイルを発射し得る6隻のイージス艦を旗艦とする6艦隊は中国の現有勢力に十分対抗し得る。予定のイージス艦10隻保有が達成されれば日本独自で制海権を優に獲得し得る。ということを、政府は国民に知らしめた上で尖閣問題に堂々と対処したらいいのです。
 もともと尖閣諸島に関する日中間の紛争についてアメリカは極めて冷淡で、中国や台湾がこれら島々の領有権について沖縄返還後横槍を入れてきていたので、日本はハーグの国際司法裁判所に提訴しようとアメリカに協力を申し入れたのに、アメリカは、確かに尖閣を含めて沖縄の行政権を正式に日本に返還したが、沖縄がいずれの国の領土かということに関して我々は責任を持たないと通告してきています。
 さらに、かつて香港の活動家と称する、実は一部軍人が政府の意向に沿って民間船を使って尖閣に上陸し中国の国旗を掲げたことがありましたが、一方同時に沖縄本島ではアメリカ海兵隊の黒人兵3人が小学校5年生の女の子を強姦し県民が激怒する事件が重ねて起こりました。
p83〜
 その時アメリカの有力紙の記者がモンデール駐日大使に、尖閣の紛争がこれ以上拡大したら、アメリカ軍は安保条約にのっとって出動する可能性があるかと質したら、大使は言下にNOと答えた。
 しかし不思議なことに日本のメディアはこれに言及せず、私一人が担当していたコラムに尖閣の紛争に関してアメリカの姿勢がそうしたものなら安保条約の意味はあり得ないと非難し、それがアメリカ議会にも伝わり当時野党だった共和党の政策スタッフがそれを受け、議員たちも動いてモンデール大使は5日後に更迭されました。
 丁度その頃、アメリカでは中国本土からの指令で動くチャイナロビイストのクリントン政権への莫大な献金が問題化しスキャンダル化しかかっていたが、それとモンデールの発言との関連性ははたしてあったのかどうか。(略)
p84〜
 さて、尖閣諸島の安保による防衛に関してのモンデールの発言ですが、実はこの発言には、というよりも安保条約そのものにはある大切な伏線があるのです。はたして彼がそれを熟知して発言したのかどうかはわからないが。
 彼だけではなしに、政治家も含めて日本人の多くは、安保条約なるものの内容をろくに知らずに、アメリカはことが起こればいつでも日本を守ることになっていると思っているが、それはとんでもない思い込み、というよりも危ない勘違いです。
 「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全をあぶなくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃およびその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第51条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない」(日米安保条約第5条)
p85〜
 ここで規定されている日本領土への侵犯を受けての紛争とは、あくまで軍事による紛争です。尖閣でのもろもろの衝突事件は日米安保の対象になり得ないというアメリカの逃げ口上は条約上成り立ってしまう。
 だからヒラリー国務長官がいくらアメリカは日本の尖閣を守ってやると大見得を切っても、その後彼女の子分のクローリー国務次官補が圧力をかけてきて日本の政府にああした措置をとらせてきたのです。
 日米安保に関するもう一つの大きな不安要素については、ほとんどの日本人が知らずにいます。
 それはアメリカのれっきとした法律、「戦争権限法」だ。これは戦争に関する大統領の権限を強く拘束制限する法律です。大統領はその権限を行使して新しい戦争を始めることは出来るが、それはあくまで剥こう60日限りのことで、その戦争のなりゆき次第で議会は60日を過ぎると行われている戦争に反対しそれを停止させることもできるのです。
 しかしこれは彼等白人同士の結束で出来ているNATOが行う戦争には該当され得ない。
p86〜
 だから現在アフガンで行われている不毛な戦闘には適応され得ないが、彼等が作って一方的に押しつけた憲法にせよ、それをかざして集団自衛権も認めず、日本にとっても致命的なインド洋のタンカールートを守るための外国艦船への海上給油作業も止めてしまうような国での紛争に、果たして長い期間の戦闘を議会が認めるのかどうか。ここらは日本人も頭を冷やして考えた方がいい。
 私の発言でモンデールが更迭された後、フォーリーが就任するまでなんと1年近くもの間アメリカの駐日大使は不在のままでした。つまり日本などという国には、ことさら大使を置かなくとも何の痛痒も感じないということだろう。
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