大阪維新の「上から目線」で第三極シッチャカメッチャカ
日刊ゲンダイ2012年8月23日 掲載
有権者はどうすりゃいいんだ!
<このままだと選挙協力もできないゾ>
「近いうち」に解散・総選挙が行われるというのに、「第三極」の動きが鈍い。早くもグダグダになってきた。 20日に「大阪維新の会」の橋下徹代表と「みんなの党」の渡辺喜美代表が“密会”していたことが発覚、話題になった。トップ同士が次期衆院選での連携について話し合ったというのだが、どちらが主導権を握るかでモメ、協議は平行線に終わった。
<トップ会談も不調>
「そもそも、喜美さんがわざわざトップ会談を行ったのは、焦りがあるから。大阪だけでなく、東京でも維新の方が支持が高いという調査もあり、みんなの党の議員は浮足立っている。結党から3年経って、新鮮味も薄れてきました。このままでは、集団離党で維新に移り、喜美さんだけが残されてしまう可能性もある。それで、自分も一緒に維新に行けるよう、合併話を持ちかけたとみられています」(みんなの党関係者)
「維新」と「みんな」はブレーンが同じで政策もソックリ。いつでも一緒になれそうなものだが、それでもスンナリまとまらない。維新の松井幹事長は22日の会見で、「(みんなの党の政策は)広がっていない状況があり、実現できない集団になってしまう」と合併を否定した。
維新は以前から連携の条件に「維新八策」の丸のみを要求するなど、やたらと上から目線だ。まだ候補者も決まっていない“政党未満”のクセに、何様なのかと言いたくなる。そのくせ、何がしたいのかハッキリしない。現職の国会議員を5人集めて政党化を目指すというが、どこかの党とくっつくのか、それとも一本釣りしてくるのか。安倍元総理に色目を使ってみたり、民主党の松野元官房副長官を取り込もうとしてみたりと定まらない。次の総選挙は、談合既成政党VS.第三極の戦いになるというのは衆目の一致するところ。しかし、第三極の中で最も勢いがあるとされる維新がこんな調子では、既成政党に勝つなんて絶対に無理だ。維新やみんな、そして小沢代表の「国民の生活が第一」など第三極がバラバラに候補者を擁立すれば、無党派層の票を食い合って共倒れに終わるだけである。
<まずは過半数を取ることが先決>
「小選挙区制度の特性を考えると、民自公の既成政党に対抗するには、既成政党批判の受け皿になる第三極が結集しなければ勝負になりません。本当は統一名簿で戦えれば一番いいのでしょうが、簡単ではない。選挙区調整で100%のすみ分けも難しい。それでも、選挙協力は必須です。ギリギリまで努力すると思いますよ。次の選挙で既成政党を壊さなければ、その先の政界再編もない。それは第三極の側も分かっているはずだと思いますが……」(政治ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)
第三極は選挙後の結集を考えているのかもしれないが、選挙で肝心の数を取らなければ意味がない。まずは第三極が協力し、総選挙で過半数を取れるような枠組みを考えるべきだ。小さな政策の整合性にこだわって、少数政党が乱立していても仕方がない。何はともあれ、手を組んで既成政党を壊滅させること。それができなければ、第三極も国民から見放されることになる。
関連: 小沢一郎氏と森ゆうこ氏の対談『検察の罠』変わらずに残るために/民自み10人超国会議員 大阪維新と連携 2012-08-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
民自み10人超 道州制で「維新」接近
東京新聞2012年8月15日 朝刊
民主、自民、みんなの党の国会議員十人超が、次期衆院選での大阪維新の会との連携に向け、調整を続けていることが明らかになった。一部の議員は所属政党を離党し、新党結成も視野に入れる。今後、離党議員の受け皿になる可能性もあり、「第三極」をめぐる動きが活発化している。(金杉貴雄)
維新の会と連携を目指す議員の母体は、民主党の松野頼久元官房副長官と自民党の松浪健太衆院議員が中心に立ち上げた「道州制型統治機構研究会」。道州制実現などを目指す政策は、維新の会の衆院選公約「維新八策」に近い。
同会は三月に発足し、これまで二十回以上、会合を開いてきた。二人のほかに、民主党の石関貴史、自民党の西村康稔、平井卓也の各衆院議員、みんなの党の小熊慎司、上野宏史の各参院議員ら当選四回以下の十人超が参加。与党の民主党や野党第一党の自民党内から、維新の会との連携に向けた動きが出てきた格好だ。
背景には、秋にも衆院解散・総選挙の可能性が取りざたされてきたことがある。
今月の共同通信の世論調査では、次期衆院選の比例投票先として維新の会(10・7%)は、自民党(23・5%)民主党(14・3%)に続いた。小選挙区や比例代表の候補者が明らかになっていない中では異例の数字で、選挙基盤が必ずしも盤石でない若手議員にとっては、維新の会への期待感は強い。
現時点では、離党を視野に入れるのは一部の議員にすぎないが、メンバーの一人は「次期衆院選後は自民、民主、維新の会がどう動くかで政権の枠組みが変わる。今のうちにパイプをつくりたい」と強調する。
維新の会にとっても、現職国会議員が合流するメリットは大きい。衆院選前に五人以上が参加すれば「政党」の要件を満たし、小選挙区と比例代表の重複立候補も可能になるほか、政見放送で有権者に訴えることができる。
地域政党「減税日本」の代表を務める河村たかし名古屋市長も国会議員五人以上の入党に自信を示している。
既成政党にとっては、その分、次々と離党者が出かねない不安材料を抱えているのが実情だ。衆院選で既成政党への批判票が第三極に集まれば、党勢に大きく影響するだけに、警戒感を強めている。
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〈来栖の独白2012/8/15Wed.〉
地方の電力会社に脅されればすぐに原発再稼動を容認し、またどれほどの脅しがあったか分からぬが、野田総理の消費税増税について「決める政治をしている」と持ち上げた維新・橋下氏。このような人物(仲間)が永田町へ進出したとしても、霞が関(既得権益)と闘うなど、ありはしないだろう。忽ちに官僚にいいように飼いならされるのではないか。
「連携」というが、各々が自身の生き残りを図っているにすぎぬ。国会議員のセンセイたちにとっては選挙に勝つことが大前提。政策も国民の幸福も思案の外。彼等を国政に送ればたちまちに(民主党の政権交代以上に早期に)裏切られたことが判り、国民が地団太を踏むのは目に見えている。
小沢一郎氏も過去に幾度も離党し、新党をつくり、他党と連携した。そういった姿を国民に繰り返し見せ、メディアから「壊し屋」と揶揄された。ここで私が厳粛な気持ちになってしまうのは、氏のそういった姿が自身の生き残りのためではなかったことだ。断じて「自身の生き残り」のためではなかった。憲法13条にも謳われた「国民の幸福」を実現させたいがために、氏は与党の幹事長まで任された(総理総裁に最も近い)場所から、野党に転じた。「姿」は変容しても、氏の夢は変わらなかった。「姿」は壊しても、中身は変わらなかった。
森ゆうこ著『検察の罠』から、小沢氏と森氏の対談を以下に引用してみたい。「この世界で本質を突き詰め変わらずにいるのは難しいこと」と森氏は言う。
p245〜
森:ひどいですよね。何でマスコミはあそこまで小沢先生を叩くんでしょう?
p246〜
小沢:結局、官僚支配なんだよ。その点は同じなんです、官僚と。たぶん官僚以上に既得権や利権を持っているんだよな。電波とか再販とか。
だから官僚支配が一番いいんだよ、マスコミは。新聞は再販で保護されて、テレビは一度取った免許は4年から5年に1度必ず見直されるはずなんだけども、実際は一度取ればずっとやれるからね。僕が目の敵にされるのはそういうことを含め、不必要な規則はなくしたほうが良いという意味のことを言うからですよ。
電波を競争入札している国もあるけど、そんなことをされたら大変だと思っている。小沢の野郎ならやりかねないって(笑)。
森:そういう意味では、やっぱり先生には試練が降りかかるわけですけれども。
小沢:今は上方の方で「維新」という言葉が流行っているけれど、維新というのは革命なんですね。革命というのはやっぱりそう簡単にはできないんだよ。世の中を変えることだから。明治維新だってどれだけ有為な人が死んでいったか。犠牲の上に初めてできることだからね。しょうがないんだな(笑)。
p247〜
この世界で本質を突き詰め変わらずにいるのは難しいこと---森
森:私は先生に初めてお会いしたのが2001年の参議院選挙、投票日が7月29日でしたけれども、その半年前の3月29日に新潟でやった総決起集会においでくださって、そのとき初めてお会いした。だから10年ちょっとたつわけですけれども。
小沢:早いなあ。
森:永田町の世界にはいろんなことがありますよね。誘惑もあるし。だから他の人たちはいろいろ言ったりやったりすることは変わるんですけど、先生は全然その頃と変わらない。
小沢:そうかな。
森:この世界の中で本質をずうっと突き詰め変わらずにいるということは、やっぱり難しいことで。
小沢:そうね。僕が自分の主張を通してこられたのはやっぱり国民、選挙民のおかげです。選挙民が支持してくれてるから筋道を、自分の思うことを通せるんであって。だからそれは非常に幸運だと思うし、感謝しているんですよ。政党だって自民党から何回名前が変わったか。しかも後援会に一度も相談しないで僕はやっているからね。
それでもちゃんと支持してくれてるっていうことを、僕は非常に感謝しているし、そうである以上、これは貫き通さないかんと思っているだけどね。
森:その一方で2006年の代表選挙では、「変わらずに生き残るためには、変わらなければならない」とおっしゃっています。
小沢:日本が、そして日本人が生き残るためには、旧体制を変えなくちゃいけないと。アンシャン・レジームを変える。変わらずに残るために。「古い上着よ、さようなら」というやつだよ。「青い山脈」だよ。
森:難しいですね。民主党はもはや政権交代したときの民主党ではないというか、正反対だと私は思うんですが。
小沢:いやあ、驚いたね。結局、選挙のときはほとんどの人がほぼマニフェストに沿ったことを言ったんだと思うんだよね。だけど結局何も中身はわかっていないというか、自分はそう思っていないのにしゃべってきたっていう話になっちゃうんだよな、今の現実は。その意味ではほんとにがっかりだね。
◆ 「今なら党内も私の思うようになるが、時間が経てば経つほど私の指導力はなくなっていく」小沢一郎氏 2012-08-19 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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