【石原知事会見詳報】
(1)陛下への謝罪要求発言「大統領の器じゃなかった」
産経ニュース2012.8.25 01:30
東京都の石原慎太郎知事は24日の定例会見で、韓国の李明博大統領による天皇陛下の訪韓に絡む謝罪要求発言に関し「日本の元首に対するああいう侮蔑というのはいかがか。(ソウル)市長の時は非常に評価していたが、やはり大統領の器じゃなかったって事だ」と批判した。会見の詳報は次の通り。
「冒頭1つ。かねてから検討してきました尖閣諸島の調査ですが、来週、東京都の調査団を派遣することに致しました。調査団は、海洋と生態学の専門家、不動産鑑定士、地元・石垣市の職員。(石垣市の中山義隆)市長も同伴したいと言っているが、結構でしょう。専門的な知識を持つ東京都の職員など、合計25名で構成します。購入のための現地確認をするとともに購入後の活用方策の検討に向けての基礎的な調査を行なう予定である。具体的日程は、台風の影響を見ながら決定しますが、どうやら29日に石垣港を出発して、30日に到着になるかと」
「いずれにしても台風の影響を見て決定しますが、上陸についてはすでに政府に申請しており、藤村修官房長官は29日までに判断すると言ってますが、これまでの政府の無為無策を改めて、上陸を早期に承認するべきでありましょう。詳細は知事本局に聞いて頂きたいが、10月にはもう一回再調査に行きますが、その時は私も行きます。それで逮捕するなら結構だけどね。質問あればどうぞ」
−−ニューヨークにある中国語テレビ放送局だが、尖閣について。中国国内では最近、周恩来首相が「尖閣諸島は日本の国土である」という趣旨の発言をしていたということや、人民日報も過去の記事で「尖閣諸島は日本のものである」と書いていたことなどが暴露され、大きな議論になっている。一方で先日各地で反日デモが起きた。尖閣諸島は日本に主権があると思われるが、改めて知事に根拠を聞かせて頂きたい。また、中国国内ではデモが頻繁に発生するが反日デモ以外は起きない。それについてのお考えを。そして尖閣諸島に関し中国と日本はどういう風に解決すべきと思われるか
「とても大事な質問で、中国人の記者からそういう質問が出るのは意外だった。日本の領土であるという根拠を示せというが、中国の領土であるという根拠を私たちは示してもらいたい。とにかく、佐藤内閣の時だったと思うが、ハーグの国際司法裁判所に日本はこの問題を提訴しましたがね、原告の日本が提訴したのに、被告人たるシナが応じようとせず裁判が成立しなかった。ただね、ハーグの司法裁判というのは、原告側の提訴国だけでも裁判が行なわれ得るんですよ。私は、日本が承知してるんだったらすればよかったと思うし、これからでもすればよろしいと思う。もうひとつは何だったかね?」
−−反日デモ
「ああこれはね、今の中国の経済状況のひずみから本当に恐ろしい事が起こっていてね、例えば蟻族?って呼ばれている、大学卒業しても就職できない若い世代がたくさんいる。それから地方から出てきて都市建設で働いていたけど仕事が無くなって、不動産ブームがはじけててしまった後、帰るに帰れない、帰っても職がない、地下で惨めな生活をしているモグラ族っていわれている人たちがいる。あのデモ見てますとね、この2つの人たちが主力になっている印象が非常に強いですね。人に聞いたわけじゃないけども」
「中国の政府は、これを非常に気にしていると思いますよ。この人たちの扱いをね。それから、中国におそらく騒擾(そうじょう)事件が起るでしょう。私は近いか遠いか分からないけど、中国の政府が分裂していくと思うし、中国は4つくらいの国になった方が幸せなんです。でね、そういうきっかけになる騒擾事件がどこで起きるかってのはね、これは、農民には力がない。起こるとしたら大都市のね、中産階級と学生でしょうね。それをシナの北京の政府が社会心理学的にちゃんと分析しているから、そういうエネルギーをそらすために反日デモという形で彼らを扇動しているかも知れないけども、それでこの問題が片付くものでは決して無いし、中国内部のひずみも是正されるもんじゃないと私は思います。これから、どういう政権が年末に誕生して、どういう姿勢を日本に対して取るか分からないけれども、シナが言ってる事は非常に滑稽ですね、私から見るとね。と思います」
(2)「大事なことは、血を流してでも守るんだという意思表示をすること」
2012.8.25 01:33
−−ドイツの記者。どうして東京都があんなに遠い尖閣諸島をお買いになろうとしているのかという理由が私たち外国人からすれば分からない
「それについては、あなた(通訳)ドイツ語も日本語も出来るから、私が先月の文芸春秋に書いた長い論文がありますから、訳して伝えてあげて下さい。私は国会議員のころからの長いヒストリーに関係あるんだが、青嵐会という…日中国交回復した時に実務協定を非常に一方的に中国が押しつけてきて、その時に日本にとって一番メリットのある航空協定を私たち反対しました。そのとき、ロシア(上空)も飛べなかったんで、南回りでヨーロッパ行くのに、シナの領土も飛べなかった。で、シナがそれを開放すれば、イスラマバードに直行便が飛んで、そこから中継で日本に短時間で燃料も補給せずにヨーロッパ行けるはずだったんですよ。私たちは、角(田中角栄)さんがこんなもの一週間で挙げろなんて言うのを絶対反対して。その時の外務省は非常にしっかりしてて、周恩来首相と大平(正芳)外相の間に交わされた密電、秘密の電報を全部暴露し、こんな外交交渉ありますかって言って、僕らの前で泣いてたね。一緒に飯食った時にご飯も食べずにね」
「その時に結局押し切られたんだけど、日中国交実務協定全て完了して、初めて日本の経済使節団が行った時に、周恩来が使節団団長を歓迎して「これで日中関係完全に修復しました。我々は、いかなる日本人も歓迎するでしょう」と言った。経団連の馬鹿なヤツがね、「あの青嵐会の奴らも歓迎するんですか」と聞いたら、周恩来は呵々(かか)大笑して「私は彼らを非常に評価してます。このごろの日本人は変わりましたね。だが青嵐会の諸君は元の日本人ですね。当然私は歓迎しますよ」と言ったんですよ」
「まあ、そういう歴史もありまして、さっきの方も仰ったけど、周恩来はちゃんと尖閣の問題を認めた。そのあと?小平が来て余計な事を言い出してね。日本の外務省は腰が抜けているからね、将来の問題として棚上げにされて喜んだんですけども。あそこは非常に大事な戦略的な基地なんですよ。しかしまだ自衛隊を置く必要はありません。非常に豊かな漁場でね、しかも台湾やシナから大きな大きな何十トンの漁船がやってきて、そこで乱獲をする。石垣島の漁船は小さくて、非常に荒い海ですから時化が来ると、船を縛って何日か過ごしてる。帰ってくる事はできないんだ。帰って来るときにそんなことしたら燃料が無くなる。ですから石垣の漁民は、あの豊穣なたくさんマグロとか取れるところで、漁をしたいけど、時化が多くて出来ない。だから、台湾やシナの漁船が沢山やってきて、勝手に漁業して自分のものにしてる。そういう事があったんで、何とかしようと言うことになって、私たちやってました」
「国会議員の時も、あの島を1つ買おうじゃないかという事で持ち主に会いに行ったら『売ってしまった』と言うので、栗原さんという今の持ち主のお母さんに会いに行ったんだが、政治家は一切信用しませんと。で、私の母が懇意にしていた未亡人の方に母がその話をしたら『あら栗原さんだったら私、親友ですよ』という事で、慎太郎さんが困ってんだったら私取り次ぎますってんで、紹介で会ったんですよ」
「そうしたら非常に率直に、戦争中に沢山の土地を一方的に軍に取られ1銭ももらわなかった、戦後も5000坪の立派な屋敷に住んでいたが区画整備でどんどん削られて今は500坪しかない、私は政治はほとほとごめんなんで一切構わないでもらいたい、という事だったんだけども、その方が亡くなったあと栗原さんがですね、色々お父さんも失敗なんかして借財もあるんでしょうけど、どういう財政事情か知りませんけども、石原さんだったら売っていいとおっしゃって頂いたんで、東京であそこをしっかり買って、つくるべきものをつくって、石垣の漁民のためにも安心して操業できるような電波の中継基地をつくって、それで国に取り次ごうという事で話が始まったんですよ。話は長くなりましたけれど。そういうこと」
−−そういう事であっても、将来的に中国と日本の軍事対立の方に煽るような事にならないか
「さあそれは分かりませんね。向こうの思惑次第でしょう。ただ、中国が尖閣という所有権の無いものを自分の領土だと言い出してね、それを占領することを前例にして、南太平洋のフィリピン、ベトナムといった島々を占領していったらね、アメリカが協力しなかったら、アメリカは太平洋を失いますよ」
「しかしその前にね、大事なことは、例えば一滴でも二滴でも血を流してでも私たちが守るんだという意思表示をすることですよ。それが無かったらアメリカも協力しませんよ。当たり前の事じゃないですか。 (米国の)モンデールがかつて何にも知らないで日本大使で来たときに、沖縄で忌まわしい事件が起こって、あそこに上陸したヤツもいた。その時にですね、ワシントンポストの記者がモンデールに『これ以上尖閣問題がエスカレートしたら日米安保発動するんですか』と聞いたら、モンデールは言下に『ノー』と言った。私はそれに抗議して論文書きました。あの時は民主党政権だったけども、共和党の議員たちに送ったら彼らカンカンになって怒ってね、こんな大使が日本にいたらえらい事になると。モンデールは5日後にクビになりましたな。それで1年半、ホーリーという大使は来なかったんだけども。いずれにしてもアメリカは日本は何でも言う事を聞くと、大使がいてもいなくても同じだと言いたかったんでしょう」
「そんな事もありましたが、いずれにしても『毅然として冷静に』なんて、昨日の予算委員会も聞いてると総理も閣僚も質問者も言ってるけど、『毅然』結構じゃないですか。毅然とはどういう事ですか。言葉じゃないんだ。はっきりここは日本の領土だとインフラを造ること、漁民を守ること。それから『冷静に』というのはそれを着々と造ること、相手にきちっと説明してね。あなたの言ってる事は間違いです、場合によってはハーグの国際司法裁判所できっちり議論しようじゃないですか、という事をですね、シナだけじゃなくて世界に向かって提訴することでしょう? 裁判することがそんなに過激なことですか。国際裁判所で裁判することは一番冷静な対処じゃないですかね。ということです」
−−米政府側は香港の活動家が上陸したことに絡み、尖閣には日米安保が適用されると発言したが
「当たり前ですよ、そんなもん。当たり前ですよ。クリントン(国務長官)も言ったしね、間違ったことをモンデールが言ったからクビになったんでね。だって、沖縄返還交渉のときに私も竹下登さんとくっついてたんです。沖縄全体を返還するという条文作るときに、ものすごく島があって名前もない島も岩もあるからね、困ったなあと言ってるから、私たちはヨットの国際レースをやるときに、自分は東経何度何分にいると報告する。それと同じように、いくつか点を打ってその点を結んだ、確か6カ所か7カ所か、その線に入る領土や土地は無名の島も含めてすべて沖縄県として返還するという条約になったんですよ。そのなかにちゃんと尖閣は入ってます」
(3)「捕まえたらいいじゃないですか。石は投げないよ、僕はね」
2012.8.25 01:36
−−藤村修官房長官によると、尖閣諸島の地権者は、東京都の上陸を許可するかどうかは「政府の責任で判断してほしい」と政府側に伝えているそうだが
「そんなこと言ってない。つい最近栗原くんに会ったけども」
−−知事はこれまで上陸の同意を得ていると話していたが、官房長官の言を聞くと地権者は必ずしも都の上陸に賛意を示していないように思えてしまうが
「そら君らが思ってるだけでね。じゃあ藤村が言ったことのニュースソースどこにあるんだよ。彼がじかに話したのか? 誰が話したんだ。栗原くんに聞いてみようか? それで誰とも話してないってことになったら、政府が恥かくだけなんじゃないの? 君らが調べろよ、藤村に聞いて。『ニュースソースどこですか』って。藤村に直にあって誰が話したんですか。
−−知事としては、藤村官房長官の言う地権者の意向は間違いであるという認識か
「地権者はね、『好きなようにしてください、石原さんに任せます』と言ってるんだから。上陸も含めて」
−−上陸調査については伝えているのか
「もう前から話をしてますよ。何度も会って。藤村みたいな昼行灯みたいな訳わかんない官房長官がだね、何を根拠に言ってるか知らんけどね。なんか自分の思惑か政府の思惑か知らんけどね、政府はやっぱりこの問題やっかいだろ? どういう負い目があるかしらんけど、シナに気兼ねして。さっさと政府変えるんだ。みんなで」
−−10月に再調査に行く際に「逮捕するならすればいい」とおっしゃったが、政府の上陸許可がなくても上陸する考えということか
「なんで民間の地権者の島にね、いま政府が租借してることになってるかも知らんけど、なんで民間人と地方公共団体の間の商業ベースでの取引をしようとするための調査をですね、政府がなんの理由で拒むんですかね。裁判にかけて聞いてみたい」
−−10月に再調査参加というが、なぜ今回は参加せずに10月か
「今回は日にちがずれるかもしれないということで。10月はもっと落ち着いていると思うが。西風が強くなる時期でもあるけども。私が考えていることもいろいろありますし、口だけで説明しきれないから、再調査のときに同じ人を連れて行って、現場でいろいろ支持しますから。捕まえたらいいじゃないですか。石は投げないよ、僕はね。でも、強制、無理矢理に上陸したら、退去はするけど、俺は日本人だからね、外国追っ払われないから香港に戻らせることはないと思うけどな。しっかりしろってほんと日本の政府。国会も。ほんとにみんな国民怒ってるよ。どこ行って聞いても」
−−長浜博行官房副長官と長島昭久首相補佐官らが都庁に再来訪しようとしたそうだが
「そんなものこなくていいって言ったの僕。お前ら来て何になるかって。そしたら藤村よこすって、藤村来て何になるかって」
−−何を伝えたいということで
「なんだか知らないよ。それで、やがて、返事が来るだろうけど、私あるところで総理と1時間半、話しました。直に。その結果は、今日中に返事が来るだろう」
−−夕方に首相が会見することになっているのだが、そこで発言があるということか
「さあ知りませんな。私の言ったことについて関係あるの?」
−−領土問題、竹島及び尖閣について記者会見すると
「ああ。じゃあそのときに返事が来るんでしょうきっと」
−−知事からはどういう話を
「いやそれは言わない。その返事はわたし非常に期待して待ってますけどね」
「それから皆さんに対して1つ言っておきたいのは、シナも韓国ものぼせているが、韓国に関しては肝心なことをみんな知らない。もうドルが息切れしてるんだろ? 日本はドルを注入して助けてやるという約束してるけど、極めて近い将来その事態が近づいてくるが、どういう風な心構えしてるんだろうね。それから偉そうな事言ってるが、サムスンがこうなったのは、東芝のスタッフを全部10倍ぐらいの給与で引き抜いていって、東芝が一度諦めた半導体のプロジェクトをサムスンが引き抜いたんですよ。その時ね、テレビの報道にあったが、迷ってる人が先輩に相談したら『君の人生の問題だから、行くも良し行かないも良し。ただ、君は日本の最高の東芝の技術を持ってサムスンのために働くというのなら、君は日本の友達を失うことになるぞ』と言われた。その人は翻然として決心して、今、東北大学の主任教授してます」
「もう一つ。韓国はUAE(アラブ首長国連邦)に原発売り込んだ。UAEはフランスのテリトリーだから、フランスの政府は仰天してだね、新聞も大騒ぎになって、ナポレオンがウェリントンにワーテルロ−で負けて以来の屈辱だとなった。ある人が、何で日本はこの事を問題にしないんだと言った。東芝の会長にこの事を話したら、彼は笑って、私たち原発の先進国というのは世界中でバッティングします。世界中の発展途上国が原発が希求してる時にどこの国に何を売り込むかとなると、いちいち競争になるから棲み分けしましょうという事で、UAEはフランスのマーケットになったそうだ」
「そこへ韓国が目をつけて東芝会長に懇願して、彼は韓国に行って大統領に会って話したら『UAEに進出したいが東芝はサポートしてくれますか』と言われたそうだ。韓国の原発はウェスティングハウスですからね。ウェスティングハウスは東芝が買収してますからね。ウェスティングハウスは完全に日本のものになった。それで韓国の原発は動いてるんですよ。だからUAEで何か問題があると、日本がバックアップしないと韓国はどこへ行っても通用しない。そういう密約・関係がありながら、何をのぼせてかあの大統領が、今まで言った事を踏まえて日韓関係を大事に冷静にやりましょうと就任当時は言ってたのが、てめえの兄貴が収賄で捕まって、自分もこれから危ないんじゃないのか? 韓国の大統領は終わった後にずいぶん逮捕されてるじゃない。こんな国滅多にないよね。自分の与党を次の選挙に勝たせるためなのか、ああいう行動に出たんでしょうけど、あれは決してプラスにならないと思うね。日本に退路絶たれたらどうするんですか。韓国の経済かなり被害受けますよ。そういう背景がありながら、あんな馬鹿な事をするなんて、外交感覚が欠落してるっていうか、物事を重層的にとらえる事ができないんだね」
「私は、韓国の大統領が市長の時は非常に評価していたんだが、やっぱり大統領の器じゃなかったって事だな。それからやっぱり日本の元首に対するああいう侮蔑っていうのはね…。はっきり言っておけども、従軍慰安婦なんて強制とかじゃない。ああいう貧しい時代は、日本人だろうと韓国人だろうと何人であろうと、売春というのは非常に大きい利益になる商売だったから、貧しい人はある意味で仕方なしに、しかし嫌々ではなしにあの商売を選んだんだよ。日本軍がだね、日本にいる朝鮮人を強制して売春してたなんて証拠がどこにありますか? こんなものを訳も分からず認めた河野洋平って馬鹿がだね、日本と韓国の関係を駄目にしたんだ。以上」
−−確認だが、首相と話をした際は、東京都が島を買うという前提での話か
「前から言ってる。それを知らずに私が会うわけがないでしょう。総理が」
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【主張】 都の尖閣調査 上陸許可が抑止力になる
産経ニュース2012.8.24 03:29
尖閣諸島の購入を計画している東京都が、政府に調査のための上陸許可を正式に求めた。野田佳彦政権はこれを速やかに許可すべきだ。
都は早ければ29日にも上陸を目指している。2千トン級の民間船をチャーターし、財務、港湾、環境などの担当職員や不動産鑑定士ら約10人で調査する予定だ。上陸が認められなければ洋上から調査するという。
上陸目的ははっきりしている。野田政権がなぜ結論を留保しているのか理解に苦しむ。
野田首相は23日の衆院予算委員会で「平穏かつ安定的な維持管理」の必要性を重ねて強調し、明言を避けた。一方、藤村修官房長官は記者会見で「政府関係者以外の上陸は認めないという基本方針がある」とも述べた。
「都の上陸を許可すれば、中国を刺激する」という懸念があり、そのために国が許可を渋っているとすれば、考え違いである。
上陸許可はむしろ、15日に起きたような香港の反日活動家による尖閣不法上陸を許さない国の強い姿勢を示すことになる。ひいては中国の尖閣奪取の狙いを封じる抑止力にもつながる。中国と波風を立てないという「事なかれ主義」では国家主権は守れない。
問題は、上陸許可だけでは不十分なことだ。地元の石垣市漁協などが要望する避難港や漁業中継基地建設のほか、警戒監視レーダー設置、本格的なヘリポート建設などの統治強化策について、都や石垣市などと協力して国が早急に実現に移すべきである。
尖閣諸島などを警備する第11管区海上保安本部(沖縄県)には、1千トン級以上の巡視船が7隻しかない。これでは、武装した中国の漁船群が大挙して尖閣に押し寄せた場合に対応できない。巡視船の増強に加え、主権を侵害する不法行為を自衛隊が排除するための領域警備法制定も急がれる。
竹島問題では、玄葉光一郎外相と森本敏防衛相は民主党閣僚として初めて、竹島が韓国に「不法占拠」されていると明言した。また野田首相は衆院予算委で、天皇陛下に謝罪を要求した李明博・韓国大統領の発言に対し、謝罪と撤回を求める考えを示した。
野田政権は過度の対中・対韓配慮が目立った鳩山由紀夫、菅直人両政権時代の外交を少しずつ正そうとしているようにみえる。尖閣でも毅然たる姿勢を求めたい。
石原慎太郎著『新・堕落論』新潮選書2011/7/20発行
p83〜
その時アメリカの有力紙の記者がモンデール駐日大使に、尖閣の紛争がこれ以上拡大したら、アメリカ軍は安保条約にのっとって出動する可能性があるかと質したら、大使は言下にNOと答えた。
しかし不思議なことに日本のメディアはこれに言及せず、私一人が担当していたコラムに尖閣の紛争に関してアメリカの姿勢がそうしたものなら安保条約の意味はあり得ないと非難し、それがアメリカ議会にも伝わり当時野党だった共和党の政策スタッフがそれを受け、議員たちも動いてモンデール大使は5日後に更迭されました。
丁度その頃、アメリカでは中国本土からの指令で動くチャイナロビイストのクリントン政権への莫大な献金が問題化しスキャンダル化しかかっていたが、それとモンデールの発言との関連性ははたしてあったのかどうか。(略)
p84〜
さて、尖閣諸島の安保による防衛に関してのモンデールの発言ですが、実はこの発言には、というよりも安保条約そのものにはある大切な伏線があるのです。はたして彼がそれを熟知して発言したのかどうかはわからないが。
彼だけではなしに、政治家も含めて日本人の多くは、安保条約なるものの内容をろくに知らずに、アメリカはことが起こればいつでも日本を守ることになっていると思っているが、それはとんでもない思い込み、というよりも危ない勘違いです。
「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全をあぶなくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
前記の武力攻撃およびその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第51条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない」(日米安保条約第5条)
p85〜
ここで規定されている日本領土への侵犯を受けての紛争とは、あくまで軍事による紛争です。尖閣でのもろもろの衝突事件は日米安保の対象になり得ないというアメリカの逃げ口上は条約上成り立ってしまう。
だからヒラリー国務長官がいくらアメリカは日本の尖閣を守ってやると大見得を切っても、その後彼女の子分のクローリー国務次官補が圧力をかけてきて日本の政府にああした措置をとらせてきたのです。
日米安保に関するもう一つの大きな不安要素については、ほとんどの日本人が知らずにいます。
それはアメリカのれっきとした法律、「戦争権限法」だ。これは戦争に関する大統領の権限を強く拘束制限する法律です。大統領はその権限を行使して新しい戦争を始めることは出来るが、それはあくまで剥こう60日限りのことで、その戦争のなりゆき次第で議会は60日を過ぎると行われている戦争に反対しそれを停止させることもできるのです。
しかしこれは彼等白人同士の結束で出来ているNATOが行う戦争には該当され得ない。
◆ 「従軍慰安婦」を「創作」し 日韓関係を破壊した朝日新聞には、事実関係を検証して説明する責任がある 2012-08-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
朝日新聞が日韓関係を破壊した 慰安婦についての大誤報を謝罪することが関係修復の条件
JBpress 2012.08.16(木)日本経済の幻想と真実 池田信夫
韓国の李明博大統領が突然、竹島を訪問した事件は日本人を驚かせたが、8月15日の光復節(独立解放記念日)の式典では「従軍慰安婦問題について日本政府の責任ある措置を求める」と述べ、竹島には言及しなかった。
彼にとっては慰安婦問題に世界の注目を集めることが目的で、竹島はその手段にすぎなかったわけだ。日本人の大部分には関心もない古い話がいまだに蒸し返される原因は、政府のまずい対応にもあるが、この問題を拡大したのは朝日新聞である。
■朝日新聞の創作した「従軍慰安婦」
これは戦後処理とは無関係なデマである。第2次大戦の賠償問題は1965年の日韓基本条約で終わっており、このときには慰安婦という言葉も出ていない。「従軍慰安婦」という言葉は日本のルポライターの造語で、戦時中にそういう言葉が使われた事実もない。
ところが1983年に吉田清治という元軍人が『私の戦争犯罪』という本で「済州島から慰安婦を拉致して戦場に送り込んだ」と書いたため、韓国で騒ぎが起こった。しかし1989年に済州島の地元紙が検証を行い、吉田の記述がまったく事実に反することを明らかにした。
本来ならここで終わっていたのだが、1991年8月に福島瑞穂弁護士などが慰安婦を原告として日本政府に国家賠償を求める訴訟を起こし、「私は慰安婦だった」という韓国人女性が名乗り出た。
実は私は当時、NHKに勤務していて朝鮮人の「強制連行」を韓国まで取材したのだが、50人近い男女の中で「日本軍に強制連行された」という証言は1人もなかった。このためNHKでは「慰安婦が初めて名乗り出た」という話にとどめた。
ところが朝日新聞が「戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた『朝鮮人従軍慰安婦』のうち、一人がソウル市内に生存していることがわかった」という植村隆記者の「スクープ」を掲載したことが騒ぎの再燃するきっかけになった。
続いて植村記者は、1992年1月の「慰安所 軍関与示す資料」という記事で、日本軍の出した慰安所の管理についての通達を根拠として「慰安婦が軍に強制連行された」と報じ、その直後に訪韓した宮沢喜一首相は韓国の盧泰愚大統領に謝罪した。
■政府の弱腰の対応が問題をさらに悪化させた
しかしこの通達は「慰安婦を拉致するな」と業者に命じたものだ。軍が慰安婦を連行した事実はなく、そういう軍命などの文書もない。当の元慰安婦も、訴状では「親に40円でキーセンに売られた」と民間の業者による人身売買であることを認めていた。
これは戦前には合法だった公娼(公的に営業を許可された娼婦)であり、軍は慰安所の監督をしていただけだ。だまされて「タコ部屋」から逃げられないという事件も多かったが、監禁したのは業者である。もちろん好ましいことではないが、これは商行為であり、国家に責任はない。
ところが植村記者が「慰安婦が女子挺身隊として強制連行された」と報じたため、韓国政府が日本政府に賠償を求め、政府間の問題になった。彼の義母は日本政府に対する慰安婦訴訟の原告団長だったので、これは訴訟を有利にするための意図的な捏造だった疑いが強い。
そして日本政府が慰安婦に聞き取り調査を行い、1993年に河野洋平官房長官が「本人たちの意思に反して集められた事例が数多く」あり、「官憲等が直接これに加担した」という談話を発表したため、「日本政府も慰安婦問題を認めた」という印象を世界に与えてしまったのだ。
このあとも朝日は「強制連行はなかったとしても強制性は明らか」だとして政府に謝罪を求めた。2000年には編集委員の松井やより氏が主催する団体が「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」を開いて昭和天皇に「有罪判決」を下した。
また安倍政権のとき、朝日新聞社の中に東京支局を置くニューヨーク・タイムズ紙のノリミツ・オオニシ支局長が繰り返し慰安婦問題を取り上げて「元慰安婦」の証言を報じ、安倍首相は訪米で謝罪するはめになった。
朝日新聞が謝罪しないと日韓関係は打開できない
このように「慰安婦問題」が政府間の問題になったきっかけは朝日新聞の誤報(あるいは捏造)だが、それを裏づけるのは元慰安婦の(矛盾した)話しかない。
朝日新聞も2000年代からは慰安婦キャンペーンをやめ、「強制連行されたかどうかは本質的な問題ではない」などと書くようになった。今年8月15日の社説では、次のような微妙な表現になっている。
韓国併合や旧日本軍の慰安婦問題をめぐり、韓国内には根強い対日批判がある。日本の植民地支配からの解放を祝う15日の「光復節」を前に、そうした世論に火をつけようとしているとしたら危険このうえない。[中略]
歴史認識を近づけることは容易ではない。長く厳しい道のりを覚悟せねばならない。それでも、未来を共に築こうとする者たちは、過去にも共同で向かい合わねばならないのである。
かつてのように居丈高に「政府の反省」を求めなくなったことは進歩だが、もともと慰安婦問題に「火をつけた」のは朝日新聞であることを自覚しているのだろうか。
李大統領の今回の行動は政権末期の人気取りとの見方が強いが、昨年の訪日の際にも会談の半分以上を慰安婦問題に割くなど、その力の入れようは単なるリップサービスとも考えにくい。韓国でも日本の植民地時代を経験した人は実態を知っているが、1941年生まれの李氏は慰安婦問題を本気で信じているのかもしれない。
だから日本政府がやるべきなのは、外交的に報復するよりも客観的な証拠に基づいて事実を明らかにすることだ。河野談話のときの調査でも、朝鮮半島で軍が慰安婦を拉致・監禁した証拠はまったく出なかった(「官憲が加担した」というのはインドネシアの軍紀違反事件)。
何よりもまず、韓国に誤解を与えた一連の大誤報を朝日新聞が訂正して謝罪することが必要だ。朝日も吉田清治の証言が虚偽だったことは認めたのだから、1991年以降の報道についても事実関係を検証して説明する責任がある。「未来を築くために過去に向かい合う」べきなのは朝日新聞である。
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◆ 慰安婦問題の「主犯」は福島瑞穂弁護士 / 外務省の戦略なき政治決着 / アムネスティの人権侵害 2012-08-22 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉