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尖閣国有化へ合意 政府、20億5千万円で購入/都への寄付金、国に渡す意向 石原知事

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尖閣:都への寄付金、国に渡す意向 石原知事
毎日新聞 2012年09月05日 11時40分(最終更新 09月05日 12時03分)
 東京都の石原慎太郎知事は5日午前、自宅前で報道陣の取材に応じ、国の尖閣諸島購入について「地権者からじかに話を聞きたい」と述べる一方、都に集まった14億円超の寄付金を購入資金として国に渡す意向を示した。
 石原知事によると、長島昭久首相補佐官が4日に自宅を訪れて国有化の意向を伝え、理解を求めた。知事は「国の購入は一向に構わない」としつつ、避難港や無線の中継基地の整備を改めて求めたが、了解は得られなかったという。価格への言及はなかったが「(20億5000万円は)私が地権者と交渉していた額よりも随分高くなっている」と報道陣に語った。
 また、5日朝に地権者と親交のある山東昭子参院議員から「地権者は『まだ政府と合意してはいない』と話している」との電話があったことを明らかにした。【佐々木洋】
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「『地権者は合意していない』と聞いた」 政府の尖閣購入合意に石原都知事
産経ニュース2012.9.5 11:50
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐり、政府が20億5千万円で購入することで地権者と合意したとされることに、東京都の石原慎太郎知事は5日、「政府からも地権者からも連絡はない。地権者は自民党国会議員に『政府とそんな合意はしていない』と言っているそうだ。地権者からじかに聞かないと納得できない」と話した。都内の自宅前で記者団の質問に答えた。
 石原知事によると、長島昭久首相補佐官が4日、「(尖閣諸島に)何もつくらないで国が買いたい」と知事に伝えた。地権者との合意の有無や金額について言及はなかったという。
 一方で、「政府が購入するならば義援金(寄付金)は即座に政府に渡す」とも言及。「寄付した人たちは心外だと思うが、地権者が国の言うことで折り合ったなら、私たちが口をはさめる問題ではない。寄付した人にはちゃんと説明、釈明の手紙をひとりひとりに出す」と述べた。
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尖閣国有化へ合意 政府、20億5千万円で購入
産経ニュース2012.9.5 11:12
 政府が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化をめぐり、約20億5千万円で購入することで地権者と合意したことが5日、分かった。長浜博行官房副長官が3日に地権者側と協議し、売買契約締結に関して合意した。協議では、東京都の石原慎太郎知事が国有化容認の条件として提案した漁船待避施設の整備などは当面行わないことも確認しており、石原氏が反発を強めるのは避けられない。
 国有化の対象となるのは尖閣諸島の5つの島のうち魚釣島と北小島、南小島の3島で、現在は国が賃借契約を結んでいる。
 国に先立ち石原氏は4月に尖閣の購入方針を表明し、これまでに14億円を超える寄付金を集めた。政府はこれを上回る20億5千万円の購入額を地権者側に打診し、詰めの協議に入っていた。
 政府は月内に関係閣僚で3島の国有化方針を確認した上で、購入経費として今年度予算の予備費を充てることを閣議決定する方針。地権者と売買に関する契約書も交わす。
 政府は売買契約締結で地権者と合意したことについて、都側にも4日に伝えたという。
 都が今月2日に海上から尖閣の調査を行ったのに続き、10月にも再調査を行い、その際には石原氏は上陸する意向を表明している。これが実現すれば中国側が批判を強めるのは確実で、政府は日中関係にも悪影響を及ぼすと危機感を募らせ、地権者側との合意を急いでいた。
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官邸が有事演習を初主催 第1弾は北ミサイル 尖閣占領シナリオも
産経ニュース2012.9.5 08:10
 政府は4日、首相官邸主催の有事演習(図上)を平成25年度から実施する方針を固めた。中国との間で沖縄県・尖閣諸島をめぐり不測事態が続き、北朝鮮も弾道ミサイルを再発射する可能性があるため、的確な対処には政府を挙げた演習が不可欠と判断した。25年度は北朝鮮の弾道ミサイル対処にあて、中国による尖閣占領シナリオは26年度に行う予定だ。
 平成22年12月策定の「防衛計画の大綱」は安全保障の基本方針として、「平素から総力を挙げ、事態の推移にシームレス(継ぎ目なし)に対応」と特記。首相の迅速・的確な意思決定の重要性を強調し、シミュレーションや総合的な演習を実施することも明記した。官邸の演習主催は大綱を踏まえたものだ。
 同年9月の尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件後、東シナ海での海軍艦艇以外の公船による領海侵犯や尖閣への不法上陸を想定し、官邸は海上保安庁と警察の対処策を検証した。また、陸海空3自衛隊は昨年11月、尖閣が中国に占領されたシナリオに基づき統合演習を行った。
 官邸主催の演習は、これらを統合する意義があり、重視するのは自衛隊と海保・警察の一元的な運用だ。海保と警察が中心となる「平時」の対処から、武力攻撃事態と認定する「有事」に至るまで継ぎ目なしに対応することが求められ、首相の判断能力も問われる。
 尖閣有事シナリオは多様で、軍の特殊部隊が潜水艦で近づけば上陸を防ぎにくい。非軍事を強調するため部隊は民間人を装い、海軍以外の公船と漁船も押し寄せる。ここまで数時間のうちに連続発生しかねない。
 それに応じ自衛隊を出動させる根拠として治安出動や海上警備行動を判断する必要があるが、演習を通じシミュレーションしておかないと首相は右往左往する恐れがある。野田佳彦首相は平時から自衛隊が海上保安庁と警察を支援できる「領域警備法」に消極的だが、政府高官は「演習に参加すれば法整備の意義を痛感するはず」と指摘する。
 また、北朝鮮の弾道ミサイルに対処する演習では官邸への情報集約が課題。今年4月のミサイル発射の際も官邸と防衛省の情報共有に混乱が生じ、発射情報の公表が遅れた。演習では日本領土に着弾する事態もシナリオに組み込み、災害派遣で出動する自衛隊と警察の連携なども確認する。
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尖閣諸島:石原慎太郎都知事「魚釣島、北小島、南小島の3島に加え、久場島も合わせて一括購入したい」 2012-06-08 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 
◆尖閣諸島:石原都知事、購入の意向さらに1島
毎日新聞 2012年06月08日 20時34分(最終更新 06月08日 20時44分)
 東京都の尖閣諸島(沖縄県石垣市)購入計画に絡み、石原慎太郎知事は8日の定例記者会見で、これまで取得の方針を表明していた魚釣島、北小島、南小島の3島に加え、所有者の異なる久場島(くばじま)も合わせて一括購入したいとの考えを明らかにした。
 また知事は、丹羽宇一郎駐中国大使が英紙インタビューで都の購入計画を「日中関係に重大な危機をもたらす」と発言したことについて、「もう少し自分の国のことを勉強して物を言え。じゃないと大使の資格はない」と厳しく批判。丹羽氏が伊藤忠商事の元社長であることに触れ「(中国と)利害関係がある。そんな者を大使で送る方が間違っている」と語った。
 尖閣諸島は五つの島と岩礁からなり、魚釣島など3島は、さいたま市の男性(70)が所有、久場島は男性の妹が所有している。久場島を72年から賃借している防衛省によると、島には30年以上使われていない在日米軍の射爆場があるという。残り1島の大正島は国が持ち主になっている。
 石原知事は「合わせて取得できると思っている。1島だけ別の人が持っているのはややこしい」と話した。ただ、都の担当部署は「初めて聞いた」と当惑しており、所有者の意向確認などはこれからになる。【佐々木洋】
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石原vs中国 尖閣争奪戦の舞台裏/丹羽宇一郎・中国大使 尖閣購入計画を批判/尖閣衝突事件 公訴棄却 2012-06-07 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉 

      
 “石原vs中国”尖閣争奪戦の舞台裏!
 ZAKZAK2012/06/07 20:29更新
 東京都の石原慎太郎知事が来週11日、衆院決算行政監視委員会に参考人として出席する。都による、沖縄・尖閣諸島の購入方針について説明し、動きの鈍い国に活を入れる意気込みだ。こうしたなか、中国の情報当局が、尖閣の売買交渉に関心を持ち、情報収集を進めていることが分かった。
 関係者によると、委員会には、石原氏のほか、尖閣諸島がある石垣市の中山義隆市長ら3人が出席。都による尖閣諸島購入方針や、国の購入・保有の是非などがテーマとなる見通し。
 都が募った尖閣購入に向けた寄付金は4日時点で、7万2718件、約10億4000万円に達している。日本人の領土意識は確実に高まっており、近く、都と尖閣諸島の地権者側が接触するという情報もある。
 一方、中国の情報当局が、情報収集をしていることも分かった。
 公安関係者は「在日中国大使館1等書記官のスパイ疑惑でも一端が明らかになったが、中国の情報収集法は独特。大使館員や大学教授から、学生や高級クラブのホステスまで、あらゆる場所で情報を集める。尖閣問題でも、さまざまなアプローチをしている」という。
 そのうえで、中国の情報当局が関心を持っているとみられる点について、(1)尖閣諸島の購入額(2)久場島が購入対象から外れた理由(3)仲介者の役割と狙い−などを挙げ、こう続けた。
 「中国側は、尖閣諸島の購入額が表に出ないことを『おかしい…』と思っているようだ。久場島が外れた理由も不審がっている。日本人の領土・主権意識が高まっているだけに、『尖閣購入をめぐって問題でも発覚したら、日本人の熱は一気に冷める』と考え、探っているようだ」
 中国の監視船が6日、久場島沖を航行したことが確認されている。中国の野心を打ち砕き、国民の領土への思いを大切にするためにも、尖閣購入は厳正かつ公明正大に進めてほしい。
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【金曜討論】
尖閣諸島の購入 「『南シナ海』起こり得る」「都に対応能力ない」…一色正春、孫崎享両氏が激論
産経ニュース2012.6.8 07:50
 東京都の石原慎太郎知事が尖閣諸島を現在の民間所有者から買い取る意向を表明し、購入のための国民からの寄付金は10億円を突破した。一昨年の中国漁船衝突事件以降、中国の漁業監視船による日本の接続水域への侵入が相次いでおり、尖閣諸島をめぐる情勢は予断を許さない。日本が実効支配していながら、日本人が上陸できない現状はどうなのか。都による購入をどう評価するか。元海上保安官の一色正春さんと、元外交官の孫崎享さんに見解を聞いた。(溝上健良)

≪一色正春氏≫
■領土保全へ重要な一歩
−−石原都知事が尖閣購入を表明したが、率直な感想を
 「好意的に支持する。『波風を立てるな』という反対意見もあるが、国は何もしていない。一方で中国は日本の実効支配を打破するために、漁業監視船や海洋調査船を定期的に送り込んできており、武力に訴えてでも奪う、ということまで言い始めているのに。都が買うことで、おそらく日本人が誰でも行けるようになることに一番大きな意義があると思う」
 ○上陸禁止は問題
−−今は国が日本人の尖閣諸島上陸を許可していない
 「おかしな話で、理由が分からない。(地元の)石垣市長が固定資産税の調査にも行けないし、尖閣に生息している絶滅危惧種の調査もできない。人類共通の財産が絶滅したらどうするのか」
−−国が尖閣を買い取るのが筋だという指摘についてはどうか
 「その通りではあるが、国は何もせず、むしろ邪魔をしている。地権者の方も『国には売らない』と言っているが、国が買い取ったら今の上陸禁止状態が固定化されかえって悪い。そうこうしているうちに中国が出て来かねない。南シナ海で起きていることは尖閣でも起こると考えるのが妥当だ」
−−漁船衝突事件では、中国政府の意志はどの程度、働いていたと考えられそうか
 「それは何とも分からないが、あれ以降むしろ公船の来る回数が増えている。以前は海軍力は圧倒的に日本のほうが強かったが、中国は空母を持って自信がつき、本心を隠さなくなってきた。日本の事なかれ主義が相手を増長させている。火事でも初期消火が大事なように、問題を先送りすると大変なことになってくる」
−−都の購入後、尖閣諸島をどう活用すべきか
 「買うのはあくまでも始まりでその後どうするかが重要。生態系などの調査はすべきだし、周囲で漁ができるようにすべきだ。すると船の安全のため灯台や携帯電話の基地局や避難港が必要…と次々と発展していく。戦前はあそこに水産加工場もあったわけだし」
 ○自力で守る覚悟を
−−中国人が尖閣諸島に上陸してくる可能性はあると思うか
 「見方によっては可能性は高く、対応策を怠るべきではない。しっかりと備えておいて、結果的に来ない、というのが一番いい」
−−尖閣で有事の際、米軍はどう動くと考えられるか
 「いざとなれば米軍が助けてくれる、と思っていてはいけない。自分の国は自分で守るという考えが必要だ。どこまでの覚悟があるのかが問われているが、現在の法体系では対応にも限界がある。法律の話を始めると、結局は憲法の問題に行き着かざるをえない」

≪孫崎享氏≫
■現状維持こそ最善の策
−−東京都による尖閣諸島の購入表明をどうみるか
 「非常に不適切だ。都が所有するだけでなく上陸して碑を建てるなどすれば中国側が軍事的行動を含め何らかの反応を起こす可能性があるが、都はそれに対応する能力がまったくない。能力のない公的機関が買うのは間違っている」
−−国が購入するなら妥当か
 「それは一つの考え方として、筋道が立っている。微妙な地域を国が安全保障上、責任を持つということはありうる。責任を持てない公的機関が購入して行動を起こすのは危ういと思う」
 ●中国を信用しすぎだ
−−尖閣諸島を中国が攻めてくる可能性をどうみるか
 「中国の指導部には日中関係を尖閣で壊したくないとの意向が強い。国民生活のレベルを向上させるためにも、日中間に軍事紛争のないことが国益にかなうはずだ」
−−とはいえ、軍部などが暴走したりする可能性はないか
 「そうしたハネ上がり行動の材料を与えないようにする必要がある。石原都知事や“タカ派”の方々は『中国が何も手を出してこない』と信用しすぎではないか」
−−日本が自制していれば、中国は出てこないといえそうか
 「一昨年に中国漁船の衝突事件があったが、昨年からはむしろ中国の漁船は減っている。中国当局は紛争を起こさないよう努力しているといえる」
−−将来にわたり、日本人は尖閣に上陸しないほうがいいのか
 「そのほうがいい。上陸しなくても、日本にとってマイナスにはならないはずだ」
−−「魚釣島」といった名前の通り、いい漁場だが
 「日本側として、あえて行かなくても困ることはないだろう」
−−著書では10年後の中国の軍事費は日本の10倍と指摘している
 「日本独自では軍事的には尖閣を守りきれない状況になってくるだけに、外交的な手を尽くさねばならない」
 ●米軍は参戦せず
−−尖閣で有事の際、米軍はどう動くと考えられるか
 「尖閣有事を想定した日米統合演習の内容が産経新聞で報じられていたが、中国軍は台湾海峡を重視して軍備を集中させており、想定通りに日米が瞬時に尖閣周辺の制空権・制海権を確保することはありえない。在日米軍基地が中国軍のミサイル攻撃の脅威にさらされていることもあり、米軍は出てこられない。それを前提に日本の戦略を考えねばならない」
−−日本はどう備えるべきか
 「現状を棚上げし、その状態を維持していくことが一番いい選択肢だ。ただ、尖閣諸島周辺には海上保安庁の巡視船を増やしておくべきだろう」

【プロフィル】一色正春
 いっしき・まさはる 昭和42年、京都府生まれ。45歳。国立富山商船高等専門学校卒。民間会社でのタンカー乗務などを経て、平成10年から海上保安庁勤務。22年に起きた尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件の映像を公開した後、同年末に自主的に退官。共著に「日本を守りたい日本人の反撃」。

【プロフィル】孫崎享
 まごさき・うける 昭和18年、旧満州国生まれ。68歳。東大法学部中退後、外務省入省。英国、米国、旧ソ連、イラク、カナダ勤務を経て、駐ウズベキスタン大使、外務省国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授などを歴任。近著に「不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換」。
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尖閣諸島購入問題の本質=「中立の立場」という無責任きわまりない米国の立ち位置を覆い隠す役割 2012-05-13 | 政治〈領土/防衛/安全保障 
  「尖閣諸島購入」問題の本質 米国の立ち位置隠し
 豊下楢彦
 中日新聞 文 化 2012/5/10 Thu.
 石原慎太郎東京都知事が、尖閣諸島のうち個人所有の3島を都として購入する方針を明らかにしたことで、その狙いや賛否をめぐり議論百出の状態である。しかし、問題の本質をえぐった議論は提起されていない。
 石原氏は購入の対象として魚釣島、北小島、南小島の3島を挙げている。しかし、同じく個人所有の久場島については全く触れていない。なぜ久場島を購入対象から外すのであろうか。その答えは同島が、国有地の大正島と同じく米軍の管理下にあるからである。海上保安本部の公式文書によれば、これら2島は「射爆撃場」として米軍に提供され「米軍の許可」なしには日本人が立ち入れない区域になっているのである。
 それでは、これら2島で米軍の訓練は実施されているのであろうか。実は1979年以来30年以上にわたり全く使用されていないのである。にもかかわらず歴代政権は、久場島の返還を要求するどころか、高い賃料で借り上げて米軍に提供するという「無駄な行為」を繰り返してきたのである。ちなみに、一昨年9月に中国漁船が「領海侵犯」したのが、この久場島であった。それでは事件当時、同島を管轄する米軍は如何に対応したのであろうか。果たして、米軍の「抑止力」は機能していたのであろうか。
 より本質的な問題は、他ならぬ米国が尖閣諸島の帰属のありかについて「中立の立場」をとっていることである。久場島と大正島の2島を訓練場として日本から提供されていながら、これほど無責任な話があるであろうか。なぜ日本政府は、かくも理不尽な米国の態度を黙認してきたのであろうか。
 言うまでもなく日本政府は一貫して「尖閣諸島は日本固有の領土であり、領土問題などは存在しない」と主張してきた。ところが米国は、1971年に中国が公式に領有権を主張して以来、尖閣諸島について事実上「領土問題は存在する」との立場をとり続けてきたのである。
 とすれば日本がなすべき喫緊の課題は明白であろう。尖閣5島のうち2島を提供している米国に、帰属のありかについて明確な立場をとらせ、尖閣諸島が「日本固有の領土である」と内外に公言させること。これこそが、中国の攻勢に対処する場合の最重要課題である。これに比するなら「3島購入」などは些末な問題にすぎない。
 しかし、仮に同盟国である米国さえ日本の主張を拒否するなら、尖閣問題が事実として「領土問題」となっていることを認めざるを得ないであろう。その場合には、日中国交正常化以来の両国間の「外交的智慧」である「問題の棚上げ」に立ち返り、漁業や資源問題などで交渉の場を設定し妥結をめざすべきである。
 いずれにせよ、石原氏が打ち上げた「尖閣諸島購入」という威勢の良い「領土ナショナリズム」は結局「中立の立場」という無責任きわまりない米国の立ち位置を覆い隠す役割を担っているのである。
(とよした ならひこ)=関西学院大教授、国際関係論・外交史
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「核心的利益」中国は主権や領土に関わる問題で外国に妥協しない姿勢を強めた 2011-07-18 | 国際/防衛/中国
 拡大する「核心利益」 中国外交を懸念する
2011年7月18日中日新聞【社説】
 中国は主権や領土にかかわる問題を「核心的利益」として外国に妥協しない姿勢を強めた。その範囲も野放図に広げ、周辺諸国の警戒を招いている。
 「国家の主権と安全、発展は外交の最優先任務だ」「国家の核心的利益にかかわる問題は絶対に、いかなる妥協も譲歩もしない」
 中国外務省の馬朝旭報道局長が最近、党機関紙に発表した文章の一節。軍やマスコミばかりか外交官にも勇ましい発言が目立つようになった。今月下旬、インドネシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)などの外相会議では中国への対応が焦点になる。
*2009年の大転換
 ?小平時代、中国は経済発展を最優先に融通を利かせた外交を展開した。日本の尖閣諸島に対する領有権を主張しても外交の争点にせず「次世代に任せよう」と問題を棚上げしたのは代表例だ。
 江沢民時代はとう路線を基本的に引き継ぎ、それに続く胡錦濤政権も二〇〇二年の発足以来、「隣国を友」とする協調的な外交姿勢をとってきた。それがおかしくなるのは、08年の金融危機を中国が各国に先駆けて克服し「突如、大国になった自分を発見した」(中国人研究者)ころからだ。
 09年7月に世界から大使を集めて開いた第11回駐外使節会議で、胡国家主席は「外交は国家の主権、安全、発展に貢献しなくてはならない」と言い切った。
 ?氏が示した「韜光(とうこう)養晦(ようかい)、有所作為」(能力を隠して力を蓄え少しばかりのことをする)という抑制的な外交方針を「堅持韜光養晦、積極有所作為」に修正した。能力を隠し、力を蓄える姿勢を堅持するが、これまでより積極的に外交に出るという意味か。
*台湾から南シナ海へ
 同月開かれた初の米中戦略・経済対話で、胡主席側近の戴(たい)秉国(へいこく)国務委員(副首相級)は核心的利益を「第一に(社会主義の)基本制度と国家安全の擁護、第二に国家主権と領土の保全、第三に経済社会の安定した発展」と述べた。
 それまで中国は外国に譲歩や妥協ができない核心的利益を台湾問題に限ってきた。その範囲を大幅に広げたのは外交の「09年転換」ともいえる重要な変更だったが、外国は気付くのが遅れた。
 その証拠に、同年11月、オバマ大統領訪中時に発表された米中共同声明には、主権と領土で「両国が核心的利益を尊重し合う」との一節が入った。米国は後に、うかつさに気付き11年1月の胡主席訪米時の共同声明では「核心的利益」という言葉を拒否した。
 その後も核心的利益論は独り歩きを始める。09年12月に来日した習近平副主席は「台湾、チベット、新疆ウイグル自治区の問題は核心的利益」と述べた。
 10年3月には訪中したスタインバーグ米国務副長官に、中国政府高官が「南シナ海は核心的利益」と語ったといわれる。米国は強く反発し、介入を避けてきた中国と東南アジア諸国による南シナ海の島々の領有権争いに対し「航海の自由」を掲げて中国をけん制し東南アジアに肩入れを始める。
 あわてた中国は「指導者が南シナ海を核心的利益と公式に語ったことはない」(外務省高官)と言い訳し、米国との対決回避を図った。しかし、東シナ海や南シナ海など外国との係争地域を核心的利益から除くと表明することもなく周辺国の疑いは消えていない。
 主権や領土問題で妥協を拒否する政府の姿勢は、対外強硬論が勢いづく軍や海上実力部隊による独断専行の危険を高めた。
 08年12月、尖閣周辺の日本領海に、中国の海上保安庁に当たる国家海洋局東海海監総隊の巡視船二隻が進入し、9時間も徘徊して尖閣への主権を主張する事件が起きた。
 中国の外交関係者によると、その後の内部会議で航行を指揮した司令官が尖閣周辺進入を独断で決意し、進入時は無線を切り本部の帰還命令をさえぎったと得意げに報告したという。南シナ海でも今年5月、中国艦船がベトナムの資源探査船のケーブルを切断する事件が相次いだ。ベトナム政府は中国指導部による指示ではなく、海洋当局による「功名争い」が原因と判断していると報じられた。
*抑えきかない下克上
 こうした「下克上」も政府が核心的利益をふりかざし、勇ましい物言いを続けている以上、処分や規制のしようがない。戦前の日本は前線の司令官が政府や軍中央さえ無視して中国の戦線を拡大した。マスコミが報じる戦果に国民は熱狂し、破滅の道をたどった。
 外交当局がふりかざす核心的利益論と前線の功名争いで中国は同じ轍(てつ)を踏むおそれがある。中国政府は一刻も早く核心的利益の範囲から外国との係争地域を除き、過剰な宣伝を戒めるべきだ。 *強調(太字)は来栖
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