トヨタ、自動車向けSNS加速 米IT大手と提携、若年層を開拓
SankeiBiz 2011.5.24 05:00
トヨタ自動車と米IT(情報技術)大手のセールスフォース・ドットコムは23日、トヨタの自動車ユーザー向けソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で提携したと発表した。セールスフォースのSNSサービスを通じて、2012年に市販予定のトヨタの電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)でサービスを提供する予定。ITサービスを強化することで、クルマ離れが指摘されている若年層の需要を開拓することなどが狙い。トヨタは4月、IT分野で米マイクロソフト(MS)とも提携しており、今回はMSのIT基盤を活用した次世代情報サービスの第1弾となる。
今回の提携によりセールスフォースはトヨタのIT事業会社「トヨタメディアサービス」(名古屋市中区、資本金1億5050万円)が7月に実施予定の10億円の第三者割当増資のうち、2億2300万円を出資する予定。
新サービス「トヨタフレンド」は、顧客のスマートフォン(高機能携帯電話)などに自動車の状態やサービス情報などを提供する。例えばEVやPHVの電池残量が少ない場合、「電池残量5%」と充電を促す情報を知らせる。また、地図情報と連動し、運転中にドライバー同士で相互の位置や運行状況なども確認できるサービスも提供。外部のSNSやツイッターと連携し、家族や友人と交流することも可能という。
同日会見したトヨタの豊田章男社長は「サービスを通じて自動車をさらに身近に感じてもらうことで、若者のクルマ離れに歯止めをかけられる」と語った。セールスフォースのマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)も「車と顧客、販売店、工場がつながる」とした。
トヨタは、MSと次世代情報サービスで提携したばかり。セールスフォースはネット経由でソフトなどを提供するクラウドサービスでMSと競争関係にあるが、「MSの情報サービス基盤上でセールスフォースのオープンなSNSを提供する」(友山茂樹常務役員)と、競合しないと説明した。(阿部賢一郎)
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「クルマはモバイルデバイスになりつつある」──クルマがつぶやくSNS「トヨタフレンド」の狙い
トヨタとSalesforceが共同で構築・運営するEV/PHV向けSNS「トヨタフレンド」は、「クルマのソーシャル化」に向けた一歩になるかもしれない。SalesforceのベニオフCEOは「クルマはモバイルデバイスになりつつある」とみる。
ITmedia 2011年05月23日 21時09分 更新
「クルマはモバイルデバイスになりつつある」──トヨタ自動車の豊田章男社長と都内で会見した米Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOは、両社の戦略的提携によるトヨタ車向けSNS「トヨタフレンド」について、「クルマがネットワークにつながり、透明でオープンになれば信頼が生まれ、本当の意味での『トヨタフレンド』になれるだろう」と話す。豊田社長も「ソーシャルネットワークの普及でコミュニケーションが劇的に変化している。クルマも変わることができれば、若者のクルマ離れやクルマの魅力低下に歯止めをかけられるのでは」と期待を込めた。
SNS「トヨタフレンド」は、トヨタが2012年から市販する電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)に対応。ドライバーとクルマ、販売店、メーカーを結ぶプライベートSNSとして機能する。
特徴の1つは「クルマのつぶやき」だ。EV/PHVのバッテリー残量が少ない場合、「電池残量5%です。充電プラグは接続しましたか?」などとクルマがつぶやき、iPhoneなどを通じてドライバーに充電を促す。また「間もなく走行距離が1000キロになります」とクルマが点検を促すと、販売店がクルマをリモート点検し、結果をドライバーに通知する──といったこともできる。友人の位置情報を地図上に表示する「フレンドサーチ」機能なども備える。
トヨタフレンド自体はドライバーと販売店などをインターナルに結ぶSNSだが、Facebook、Twitterなど外部のソーシャルサービスとも連携し、家族や友人とのコミュニケーションツールとしても利用可能という。SNSはスマートフォンやタブレット端末で利用できるようにする。ソーシャルメディアやスマートデバイスを活用し、クルマの付加価値を高めるとともに、ドライバーやその家族、販売店、メーカーなどとの関係をより深いレベルで強化するのが狙いだ。
トヨタは4月、米Microsoftとのテレマティクス分野での提携を発表。SNSはSalesforceが持つクラウドプラットフォーム上に構築し、クルマのデータ収集などはWindows Azureベースのシステムで行い、SNSにデータを渡す仕組みになっている。
SalesforceとMicrosoftは、サービスを運営するトヨタ子会社TOYOTA MEDIA SERVICEにそれぞれ出資する(Salesforceが2.23億円、Microsoftが3.35億円)。
クルマのソーシャル化で「本当の意味での『トヨタフレンド』に」
Microsoftに続き、大手IT企業との提携を発表した豊田社長。トヨタは東日本大震災の直前に発表した中期計画「グローバルビジョン」で「未来のモビリティ社会をリードする」という目標を掲げ、「いいクルマ」作りのためにITとの連携を進める方針を明らかにしていた。
クラウドに関心を持った豊田社長は、ベニオフCEOがSalesforceの立ち上げについて記した著書「クラウド誕生」を読み、今年1月のデトロイトモーターショーで訪米した際にベニオフCEOと会談。「ソーシャルメディアにクルマ自身が参加者として入る『トヨタフレンド』」というアイデアをその場でベニオフCEOから提案され、今回の提携につながったという。
クルマ好きで知られる豊田社長は「まさかクルマが話すとは。わたしはクルマ好きで、テストコースではクルマと会話している。SNSで普段から会話できるんだと、感動した」と話す。「お客がトヨタをフレンドだと思ってもらえればこんなにうれしいことはない」「もっといいクルマを作るというチャレンジの1つ。Salesforceと一緒に仕事をすることで、トヨタのクルマがどう変わるのか、期待でわくわくしている」
ベニオフCEOは「非常に高速に変化する時代だが、重要なのは『信頼』だ。トヨタフレンドに必要なのは透明性だ。透明で、オープンでなければならない」という。「わたしがFacebookやTwitterを好むのは、これまで世界になかったような、その透明性のためだ。これらを活用することで企業にも信頼感をもたらすことができる」「クルマがネットワークにつながるということは、ソーシャルになれる、本当の意味での『トヨタフレンド』になれるということだ」
ベニオフCEOは、トヨタがSalesforceというクラウドを採用したことを評価する。「トヨタはオープンカンパニーだ。トヨタ車が場所を選ばずどこでも走るように、クラウドもどこでも使える。もちろんMicrosoftは重要だが、クラウド上で動くことも重要だ」
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〈来栖の独白〉
上の記事には及びもつかないが、我が愛車(インサイト)も、ナビを起動させると、色んなおしゃべりをする。「ハンドルのふらつきが多くなりました」とも言う。長距離を走行するときなど、ケッコー面白い。
ただ先日、新しく完成した道路を行くとき、まだインストールしていなくて、案内に四苦八苦しているようで、可笑しかった。「インサイト君、気分(体調)が悪くなるのでは?」と、ちょっと心配もしてあげた。
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トヨタ、自動車向けSNS加速「クルマが話す」 米IT大手セールスフォースと提携
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