「井戸掘った人忘れない」の心は失われたか パナソニックなど日系企業襲う中国暴徒
産経ニュース2012.9.16 19:02 [west経済]
中国の反日デモが暴徒化し、日本企業が標的となっている。パナソニックの山東省と江蘇省の工場も襲撃された。中国と同社の深い歴史を知る関係者は「悲しいことだ」と複雑な胸中をのぞかせている。
中国と同社の関係は、まだ松下電器産業だった昭和53年にさかのぼる。当時、副首相だった?小平氏が大阪府茨木市のテレビ工場を訪れた際、出迎えた松下幸之助氏(当時相談役)に「中国の近代化を手伝ってくれませんか」と頼んだのが発端だ。
幸之助氏は「できる限りのお手伝いをします」と返し、翌54年には北京に駐在員事務所を開設。62年にはブラウン管製造の合弁会社を北京に設立し、日本企業では戦後初めて中国に工場進出した。その後も次々と合弁会社の設立を進めた。
出会いから30年後の平成20年。来日した胡錦濤国家主席が大阪府門真市の松下の本社を訪れた。そのとき、胡主席は予定にない行動に出た。出迎えた松下正治氏(当時名誉会長)に歩み寄ると「中国の発展に尽くしていだたき、ありがとうございます」と感謝の言葉を述べたのだ。
第2代社長の正治氏は幸之助氏とともに?小平氏を出迎えた1人。胡氏の振る舞いは「井戸を掘った人を忘れない中国」の姿を、あらためて関係者に印象づけた。
尖閣諸島の国有化に抗議するデモ参加者は、見境なく日本企業を襲う。反日教育に伴う歴史観ばかりが広がるなかで、“井戸を掘った人”の歴史が風化するのは極めて残念なことだ。(松岡達郎)
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デモ襲撃 店のガラス散乱・工場の車横転(青島ルポ) 日系企業に「破壊」予告も
日本経済新聞2012/9/16 20:52 (2012/9/17 0:03更新)
【青島(中国山東省)=菅原透】中国国内で16日、日本政府の沖縄県・尖閣諸島国有化に抗議する反日デモが各地に広がり、現地に滞在する日本人は警戒と緊張を強めた。前日、デモ隊に襲撃された山東省青島市では、日系スーパーのガラスが砕け、工場内にはめった打ちにされた乗用車が横転し、破壊行為の激しさを物語っていた。
15日にデモ隊が暴徒化した青島市西部の黄島区。トヨタ自動車系やホンダ系とみられる自動車販売店は建物全体が真っ黒に焼けただれていた。「こんなにひどいとは」。現場確認に駆けつけた損害保険会社の担当者は驚きの表情を浮かべた。
放火された日系部品メーカーの工場は16日午前になってもくすぶり続け、煙を上げていた。
現地の日系企業関係者によると「まず狙われたのはジャスコ。そしてパナソニックの工場へ向かった」。当初3千人規模といわれたデモ隊はその後も次々に日系工場を襲い、収束は夜10時ごろ。16日までに被害が確認されたのは12社にのぼる。
ジャスコを運営する青島イオンの折口史明総経理は、デモ隊が鉄パイプなどを手にしているのを目撃したといい、「これは単なる反日デモではない」と語気を強めた。
青島周辺には約600社、黄島だけで約50社の日系企業が集積するが、企業関係者は「これまで反日デモが起きたことはなかった」と当惑する。
今回の暴徒化の背景として指摘されるのが、5年ほど前、青島市政府が周辺に分散していた大学や高等専門学校を黄島に集積させ、反日教育を受けた若い学生が一気に増えたこと。都市化が進んで工場と住居が混在する街へ変貌を遂げる中で住民の権利意識も高まっており、「数年前には日系ではない化学工場からの異臭を発端に住民運動があった」(日本貿易振興機構青島事務所の北条尚子所長)。
16日も複数の反日デモがあったが暴徒化はせず、被害は確認されなかった。しかし、青島の日系企業関係者によると、15日夜にも4社を名指しし「日系企業を襲う」との予告があったという。満州事変の発端となった柳条湖事件の発生日である18日に学生たちが授業を終えた午後5時50分からのデモを呼びかけているといい、現地の日本人社会は「まだ安堵できない」と警戒を強めている。
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反日過激デモ 中国政府はなぜ容認するのか(9月17日付・読売社説)
中国の反日デモが拡大し、過激化している。
憂慮すべき事態だ。
日本政府が沖縄県の尖閣諸島を国有化したことに抗議するデモは、中国の約100都市に広がった。
北京では日本大使館が投石され、地方都市では日系企業が襲撃された。デモの現場ではないが、日本人が暴行された例もあった。
野田首相が抗議したのは当然である。日本政府は引き続き、中国政府に対し、邦人と日系企業の安全、財産の保護を徹底するよう求めなければならない。
中国政府は、破壊行為に関わった容疑者を法に基づいて厳正に処分すべきである。
デモと並行して、尖閣諸島の実効支配を崩そうとする中国政府の示威行動も目立つ。尖閣諸島周辺の日本の領海内に14日、中国の海洋監視船6隻が侵入した。中国公船が同時に6隻も侵入してきたのは過去に例がない。
1972年の日中国交正常化以来、これほど中国が日本との間で緊張を高めたのは初めてだ。尖閣諸島を巡って日本に譲歩した、と国内で受け止められれば、共産党政権の威信が揺らぐと危機感を強めているのだろう。
中国は、外務省報道官が「日本の誤った行為が強い義憤を引き起こしている」と反日デモへの理解を示し、商務省幹部も日本製品の不買運動を容認するかのような発言をしている。
これが愛国教育世代の若者を煽あおり、行動の過激化を招いた。
中国政府には、尖閣諸島国有化に反発する国民の怒りを対日圧力に利用する政治的思惑がある。
だが、愛国的行為は罪に問われないとする「愛国無罪」のスローガンの下、破壊行為を正当化するのは法治の否定だ。特定国の製品の不買は自由貿易に反する。中国のためにもならない。
満州事変の発端となった柳条湖事件から81年に当たる18日、各地では再びデモが呼びかけられている。邦人の生活や日系企業の営業活動への影響が懸念される。
間もなく尖閣諸島沖に向け、中国漁船が大挙出港し、農業省の漁業監視船の護衛で、日本領海への侵入を図る可能性が高い。
日本政府は海上保安庁による領海警備に万全を期すべきだ。
政府は、尖閣諸島は日本の領土であり、安定的に管理するための国有化であることを、国際社会に主張していかねばならない。
国民感情の対立を深めぬよう、日中両国は首脳レベルで、事態の沈静化に努める必要がある。
(2012年9月17日01時20分 読売新聞)
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尖閣めぐる中国のデモ 放置すれば政府施設に向かう可能性も
NEWSポストセブン2012.09.16 16:00
尖閣諸島をめぐって中国ではまたぞろ反日の動きが強まっている。中国に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏が解説する。
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尖閣諸島の魚釣島を国有化したことを受けて中国で大規模なデモが起きた。その規模は全土で約6万人、日中国交正常化以降で最大となった。
デモ隊の一部は暴徒化し、青島でジャスコが店舗に侵入して略奪、また工場が襲撃を受けるといった事態まで発生した。法人に直接の被害が及ばなかったことが不幸中の幸いと言わざるを得ない。
このデモはある程度予想されたものだった。そもそも満州事変の入口である柳条湖事件が起きた「9・18」に向け、大規模な反日デモが呼びかけられていたからで、ウィークデーにあたる9月18日よりもその前の週末である15日と16日にそのピークが来ると考えられたからだ。
この問題がこの後どう転んでいくのか。
鍵を握っているのはやはり9月18日のデモだ。この週末デモがピークとなり、さらに「9・18」の勢いが下火になれば、当局が一気に引き締めに入る可能性が高い。もちろんその際に勢いが衰えなければ手の施しようがなく、問題は新たなステージに突入することは避けられない。
勢いがすこしでも殺がれればすぐに取締りが始まることが予測されるのは、?十八大?(中国共産党第18回全国代表大会)の開催のスケジュールを考えれば、どうしてもこの時点で一度鎮静化を図る必要があるからである。
加えて、今回のデモでも各地で毛沢東の写真を掲げる若者が多数確認されたことが当局の警戒心を刺激している。
毛沢東の写真を掲げる行為は、文字でこそ表現されないものの、その意味するところは一つだけ、反政府の旗印だからだ。放置していたらいずれデモ隊は日本大使館ではなく政府の重要施設へと向かうことが改めて予測されるのである。
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◆ 国防のためにすべきことを行わず無為のままにいる日本〜世界の流れのなかに取り残された孤島になっている 2012-09-14 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
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「井戸掘った人忘れない」の心は失われたか 日系企業襲う中国暴徒/反日教育に伴う歴史観ばかりが広がる
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