「小日本を殺し尽くせ」 あふれる過激で下品なスローガン 暴力行為いさめる若者も
産経ニュース2012.9.21 08:08
「小日本(日本人の蔑称)を殺し尽くせ」。中国各地で発生した反日デモでは、差別用語や過激で下品な表現のプラカード、スローガンがあふれた。一方で暴力行為をいさめたり、デモ現場で散らかったごみを片付けたりする若者も一部に見られた。
16日の上海のデモでは「日本では軍国主義が横行。(日本に対して)核兵器が必要だ」と中国の軍事力強化を背景にしたスローガンが相次いだ。「日本の犬」との侮辱的な表現も見られた。「親日の豚!」。湖南省長沙で15日にあったデモでは、男性が日の丸が描かれた布を子豚に巻き付け、得意げに見せびらかした。大勢が子豚を取り囲み「小日本を打倒しろ」などと叫びながらつつき回し、笑いながら撮影した。
「小日本」は中国で日本人をののしる際の決まり文句で、英語の「ジャップ」に相当。「日本人を話題にする時はよく使う」(中国人男性)とされる。(共同)
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ドイツでは中国に同情的な新聞報道も。「反米暴動」「反日暴動」に感じる違和感と、世界への情報発信で遅れをとる日本政府への歯がゆさ
現代ビジネス2012年09月21日(金)川口マーン惠美
世界中で暴動が起こっている。ドイツのニュースをつけると、アラブ諸国での反米暴動が凄まじく、日本のニュースを見ると、中国の反日暴動がおどろおどろしい。
ただ、動機も状況も違うのに、デモに参加している人たちの表情が、驚くほどそっくりだ。皆が異常に興奮し、忘我の境地で絶叫している。星条旗や日の丸をこれ見よがしに踏んづけたり、燃やしたり。皆、何かに憑かれたようで、まさにエクスタシー状態。窓ガラスを割る、建物を壊す、車に火をつけるなど、気が触れたように器物破損にいそしむ姿には、高まった感情だけが猛々しく、理性は感じられない。憎悪と興奮が自家発電(!)によっていや増していくところも、まるでそっくりだ。
それを見るとき、まず、事態の良し悪しよりも、「ああ、これが日本人でなくてよかった」という気持ちがこみ上げる。こんな人たちに囲まれて暮らさずに済んで、本当によかった。日本人は普通、どんなに怒ってもこういうふうにはならない。これほどの理性の崩壊、そういって悪ければ、冷静さの放棄、そして暴力の噴出は、私たちには真似が出来ない。
海外から様々な事象を見ていて、「もっと怒れ、日本人!」と歯がゆく思うことはままあるが、しかし、こういうすぐに興奮する人たちと同胞であるよりは、まだ歯がゆい同胞に痺れを切らしているほうがずっとましだ。
■映画を広めたのはイスラム原理主義の影の支援者?
アラブの反米暴動は、アメリカで作られたイスラム誹謗映画が原因だと言われている。しかし、リビアでアメリカ大使が殺害された事件は、それとは関係がない。これは9.11にちなんだイスラム原理派のテロ活動だろう。もっとも、そのあと野火のように広がった暴動では、集まった民衆は、確かに例のムハンマド冒涜映画に対して抗議している。とはいえ、これも何だか腑に落ちない。
映画の一部を見たが、あまりにも幼稚で趣味が悪い。中学の映画部でももっと上等なものを作るだろう。本気で相手にするのがバカバカしいと、冷静な頭の持ち主なら思うはずだが、イスラム教徒にしてみれば神聖なる予言者がからかわれたのだ。百歩譲って、彼らの怒りと抗議する気持ちは理解するとしよう。
だが、そのあとがいけない。アメリカの公館を襲うというのは、どう見てもお門違いだ。この映画をアメリカ国民が喝采したというなら、アメリカの大使館や領事館に火を付けるのもわかるが、そんなことは一切起こっていない。アメリカに住むアメリカ国籍の人間が作ったらしいが、アメリカ国民とは何の関係もない。それなのに、かように低級な挑発に正しく反応し、憤怒し、暴動を起こしては、相手の思う壺ではないか。
思う壺? しかし、よく考えると、この映画を作った人間の意図も、今一つ不明だ。モハメッドを冒涜し、イスラム教徒を挑発しているように見えるが、果たして本当にそれが目的なのか。ずいぶん前にできていたものを、アラブ語に吹き替え、出してきたのがつい最近。しかし、それが誰の手によってなされたのかもわからない。
ただ結果的に、これによってイスラム原理主義者たちは「アメリカに死を!」と絶叫し、暴力行為を正当化し、アラブの民衆の頭を過熱させ、どんどん急進イスラムの方向に誘導している。問題の映画をデモの参加者全員が見たとは到底思えないのだが、皆、見た気になって、気分よさそうに怒りを爆発させている。彼らが発散しているのは、実は、元々心の中に燻っていた対米憎悪なのだろう。
つまり、この映画を広めた者の目的が、反米感情を煽り、民衆の心理をイスラムの求心力でまとめあげ、イスラム原理主義者の勢いを伸ばし、そして、アメリカ政府を困難に陥れるということだとしたなら、これは今のところ、まさしく大成功を博している。とすれば、この映画をアラブ世界に広めた者は、イスラム原理主義の影の支援者なのだろうか?
■中国の反日暴動の原因は尖閣問題だけではない
ドイツでは、これをベルリンで上映しようとしている極右グループがある。そんなことになれば、イスラム原理派の反発は避けらず、下手をすると、ドイツ中が無差別テロの危険に晒される可能性もある。ドイツには現在、3800人のサラフィスト (過激イスラム教徒の一派)がいて、そうでなくてもしょっちゅう問題が起こっているのだ。
一方、中国の反日暴動も腑に落ちない。尖閣問題が直接の原因だというのはわかるが、暴動は他の要因にも煽られている。
デモ隊が毛沢東の写真を掲げているが、これは尖閣とはあまり関係がない。しかも、デモと言いつつ日本車に火を付けたり、日本企業の建物を破壊したり、日本のスーパーに押し入ったりして拍手している姿を見るにつけ、アラブの場合と同じく、怒りを爆発させるのはさぞかし爽快だろうと思えてくる。党の幹部の贅沢三昧や、様々な不平等、就職難など、彼らには発散させるべき怒りがたくさんあるに違いない。
ビルの壁に日本製品をボイコットしようという大きな垂れ幕が掛かっているのを見たときは、ナチの突撃隊がユダヤ人商店の店頭に張って歩いた、「ドイツ人よ、ユダヤ人の店で買い物をするな!」というスローガンを思い出した。ヒトラーが政権を取った1933年のことだ。
なお、今回の暴動は多くの中国人の雇用を奪い、輸出を滞らせることになる。その責任は、中国外務省の報道官の談話によれば、「日本側が負うべき」なのだそうだ。尖閣国営化の落とし前? でも、パナソニックなどの工場をつぶして生産できなくしたのは日本人ではないし、破壊活動を半ば黙認したのは中国当局だった。理屈が合わない。
ところで、この屁理屈を聞いて思い出したのも、やはりドイツの話だ。1938年11月、「水晶の夜」事件でドイツ全土のユダヤ人が襲撃され、死者はもちろん、計り知れない物的被害が出たあと、ユダヤ人は保険を請求しようとした。その時のゲーリング(後の国家元帥)のセリフ。
「ユダヤ人は被害を申請すればよい。その保険金額は支払い時に没収しよう」
こうして、ユダヤ人に支払われた保険金は、そっくり罰金という名目で取り上げられ、国庫に収まった。襲われ、壊され、盗まれ、さらに何だかわからない罰金を科せられたユダヤ人。彼らが支払った罰金の総額は、10億ライヒスマルクに上った。
■中国に負けず、世界中に情報発信を
さて、アラブの話に戻る。反米暴動が飛び火して、スーダンのドイツ大使館が炎上して以来、ドイツ国民の間に、政府の毅然とした態度を求める意見が強まっている。前述のサラフィストは、7世紀のイスラム秩序を理想としている超過激グループで、現在ドイツ国内で、信教や集会の自由を盾に、白昼堂々と、反民主主義、反キリスト教、反ヨーロッパの思想を広めている。
ドイツの憲法擁護庁の言によると、「サラフィストの全員がテロリストではないが、テロリストの全員がサラフィストであることは確か」というから、かなり危険な人たちだ。彼らが第一党になったなら、泥棒は手を切断、浮気をした女性は死罪、それも石打の刑に処されることになる。
アラブでのサラフィストの台頭は目を見張るものがあり、カダフィやムバラクやベンアリといった独裁者が失脚した国々で、現在、着々と実効支配を手にしつつある。特にリビアはサラフィストにほぼ制圧されたといわれ、彼らはシリアの仲間に武器を送って、政府転覆の支援までしているらしい。
つまり、シリアのアサド大統領の敵は、西側で報道されているような民主勢力ではなく、サラフィストなのだ。それまでの独裁政権に抑圧されていたサラフィストは、皮肉なことに、アラブの春のおかげで市民権を得た。そして、アラブは刻々とアフガニスタン化への道を歩んでいる。
"そんな危険な宗教団体は禁止すべきだ! 相手の人権ばかり重視して、なぜここまで遠慮しなければいけないのか"というのが、昨今の一般のドイツ人の考えだ。彼らは政府の不甲斐なさを責めるが、それは日本も同じ。それどころか、日本はもっと情けない。
ちなみに中国は現在、「尖閣は中国固有の領土だ」、「歴史的な証拠もある」と、あらゆる手段を使って外に向けて発信している。それがたとえ事実でないとしても、大声で100回か、1000回言えば、事実になる。しかも、外国の新聞は、極東の領土問題の歴史的証拠など、自分たちで検証したりはしない。耳に響いてくることを書くだけだ。
すでにドイツには、「この領土紛争は、中国の反日感情が噴出したものだ。日本がかつて中国を侵略し、残虐行為を働いたにもかかわらず、まだその罪を認めていないからだ」と書いた新聞もある。いずれにしても、事態を決定するのは世界の意見だ。日本人がいくら国内で気勢を上げていても、意味がない。このままでいけば、まもなく中国は世界の国々の同意と共感を得て、尖閣は中国領土となるだろう。
いけない! すぐに興奮する凶暴な同胞より、歯がゆい同胞のほうがずっとましなどと言っている場合ではなかった。
皆さん、暴動の国の人々を見習って、大声で怒鳴りましょう。日本政府も日本の見解を、しっかり世界に向けて発信してください!!!
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◆ 【尖閣】 習近平氏、米に「主権問題に介入しないよう」要求 / 中国の謀略戦(法律、世論、心理の三戦) 2012-09-21 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
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「小日本を殺し尽くせ」〜ドイツでは中国に同情的な新聞報道も/世界への情報発信で遅れをとる日本政府
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