週刊朝日:橋下市長記事の連載中止
毎日新聞 2012年10月19日 20時49分
「週刊朝日」が日本維新の会代表の橋下徹大阪市長の出自を題材にした連載記事を掲載し、橋下氏が朝日新聞の取材を拒否している問題で、出版元の朝日新聞出版は19日、連載を中止すると発表した。
週刊朝日の河畠大四編集長は「同和地区などに関する不適切な記述が複数あり、このまま連載の継続はできないとの最終判断に至った」との談話を発表した。
週刊朝日では、10月26日号からノンフィクション作家の佐野眞一氏と取材班による緊急連載として「ハシシタ 奴の本性」がスタート。橋下氏の抗議を受け、18日に「不適切な記述が複数あった」とする河畠編集長の謝罪コメントを出していた。(共同)
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朝日新聞も謝罪「深刻に受け止めている」
産経ニュース2012.10.19 20:57
日本維新の会代表の橋下徹大阪市長の出自に関する「週刊朝日」の連載記事打ち切りについて、朝日新聞は19日、謝罪コメントを発表した。
朝日新聞社広報部は「当社から平成20年に分社化した朝日新聞出版が編集・発行する『週刊朝日』が今回、連載記事の同和地区などに関する不適切な記述で橋下市長をはじめ、多くの方々にご迷惑をおかけしたことは誠に残念で、深刻に受け止めている」としている。
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橋下氏VS朝日 佐野眞一氏「『週刊朝日』に取材には応じないよういわれている」
zakzak 2012.10.19
新党「日本維新の会(維新)」代表である大阪市の橋下徹市長の出自を題材にした連載記事を、朝日新聞社系「週刊朝日」が掲載し、橋下氏が朝日新聞の取材を拒否している問題で、出版元の朝日新聞出版は18日夜、謝罪コメントを発表した。ただ、橋下氏は公開論争を求めており、バトルはまだ続くもよう。連載が打ち切りとなるか否かが注目されそうだ。
「同和地区を特定するような表現など、不適切な記述が複数ありました。橋下市長をはじめ、多くのみなさまにご不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを深くおわびします」
週刊朝日の河畠大四編集長のコメントにはこう書かれていた。「私どもは差別を是認したり、助長したりする意図は毛頭ありません」ともあったが、連載継続について朝日新聞出版は「コメントできない」としている。
これを受け、橋下氏はツイッターで「週刊朝日の編集長から直接会って説明をしたいと申し入れがあった」と明かし、「これはオープンの場でやらなければならない」との考えを示した。
さらに、問題の連載「ハシシタ 奴の本性」を執筆したノンフィクション作家、佐野眞一氏について、橋下氏は「(佐野氏は)そもそもが僕は『敵対する相手を絶対に許さない人格』だと断定し、僕が政治家であることが危険だという考えで連載開始。その人格を暴くために、僕のDNAを暴くと。政治的に決戦を挑んできた相手、侮辱してきた相手には負けるわけにはいかない」ともツイートしている。
今回の論戦は、あくまで連載内容に関するものだが、在阪ジャーナリストは「橋下氏が朝日新聞を攻撃することで、結果的に、竹島発言などで離れた保守層の支持を取り戻すことになるのではないか」と分析する。
維新の支持率低下は、合流する国会議員を選別する公開討論会がお粗末すぎたことが原因といわれている。さらに、日本固有の領土である竹島について、橋下氏が「韓国と共同管理すべき」と語ったため、保守層の空気が変わったとされる。
こうしたなか、リベラル色が強い朝日新聞とのバトルは、橋下氏や維新が保守層に再評価されるという指摘だ。
今後の注目は、橋下氏と朝日による公開論戦と、問題の連載が継続されるかどうか。騒動の効果もあり、週刊朝日10月26日号は、関西をはじめ各地の書店で次々と売り切れになっているが、関係者の間では「タイトルを『はしもと』ではなく『ハシシタ』としている時点で(連載継続は)厳しい」との声もある。
夕刊フジでは、佐野氏に直接取材を申し込んだが、佐野氏は「週刊朝日に『取材には応じないように』といわれている」と返答した。
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石原知事、出自の記事「卑劣」と批判
産経ニュース2012.10.19 18:27
東京都の石原慎太郎知事は19日の定例会見で、橋下徹・大阪市長の出自をめぐる週刊朝日の連載記事について、「出自や親族の職業をあげつらい、それがDNAとして受け継がれて危険だというのは、中傷誹謗(ひぼう)の域を出ない卑劣な作業だ」と厳しく批判した。
石原知事は会見冒頭、「友人だから腹に据えかねて申し上げる」と前置きして批判を展開。「橋下さんにも子供がおり、その子供にまで影響する。文筆を借りて、他人の家族までおとしめるという物書きは許せない」と語った。
記事を執筆したノンフィクション作家の佐野眞一氏については「同和や被差別部落の問題について強い偏見を持っている」と指摘。「私も被害者の一人。父親の本籍地に出かけ、石原一族は同和、部落ではないか、と誘導尋問をしていたと報告があり、あきれた」と語った。
また、佐野氏の作品には作家の深田祐介氏や山根一眞氏らの作品からの盗用があるとして事例を列挙。「卑しい。卑劣だ」と述べた。
朝日側が朝日新聞と週刊朝日は別会社で編集権も別、と説明している点については、「ただのエクスキューズ(言い訳)だ」と述べた。
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〈来栖の独白2012/01/19Fri.〉
佐野眞一氏については、『東電OL殺人事件』という著作があるという程度しか私は知識を持ち合わせていない。
橋下徹大阪市長にまつわる今回の事件は、赦し難い。一方的、全面的に、佐野眞一氏と週刊朝日側が悪い。
週刊朝日が異例の早期対応をしたのには、本件がゴシップやスキャンダルの範疇ではなく、「同和」「部落」といった、我々日本人に極めて重いテーマ、差別という、人権の最も深いところに抵触しているからだ。
私はカトリックの部落問題委員会に属して、ご自身が部落の出身であるシスターから部落差別について多く教わった(彼女は勝田死刑囚と私を支えてもくださった)。
差別は「部落」だけではなく、人間の深いところ、様々なところを住処としている。
いかに文化が発達したかに見えても、人間の卑しい意識は文化によっては超克できないのではないか。とりわけ「出自」に関する差別は、執拗だ。100年経っても200年経っても、消えないのではないか。今回の佐野眞一氏の記事は、そんな私の「差別はなくならないのでは・・・」という暗い予感を確信、増幅させた。
「ハシシタ 奴の本性」は、酷い。心無い記事であるが、これはひとり佐野眞一氏だけの問題ではない。私たち一人ひとり裡に巣食っている問題である。人間は、卑しい興味の方へではなく、やはり「尊厳」の方へ向けて1ミリでも歩んでいきたい。
ところで、ちょっと他の独白になるが、日高義樹著『帝国の終焉』によれば、オバマ大統領はハワイアンヒッピーの母親をもち、父親はケニア人のイスラム教徒で、オバマ大統領がまだ幼いころに彼とその母親を捨てた。やがて母親はインドネシアのイスラム教徒の男性と再婚するが、再び捨てられたそうである。オバマ大統領の、貧しい人々を背景にアメリカの社会体制を変えようとする社会主義的な政治は、そういった氏の出自、養育環境も遠因しているとか。
私たちは生きていくうえで、偏見でなく、人を真っ直ぐに見たい。できるならば、温かい優しい目で見たい。どんな人にも「こころ」があり、冒してはならない「尊厳」がある。
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