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Channel: 午後のアダージォ
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吉田文さんのコンサート/ 『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか』森炎著 幻冬舎刊

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〈来栖の独白〉
 本日、芸術劇場へ行き、吉田文さんのパイプオルガン演奏を聴いた。その後、いつものように家人(近くにオフィスあり)と食事。更にその後、三省堂で本を物色。
 東大法学部卒、東京地裁、大阪地裁などの裁判官を経て、現在弁護士・・・といった著者の経歴から、ま、いいか(悪い本でもなかろう)、と『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか』を買った。
 が、やはり、この買い物は失敗。過去から現在に至る死刑事件を、年代順に駆け足で書き出している。裁判官だったというが、清孝の事件も、昔のメディア報道をなぞって、走り書き。「被害者は22人に上るとも言われている」とのお気楽さ。薄い新書版であるので、致し方ないのだろうが、これなら何も、本にするまでもない。Twitterでも事足りる。元裁判官であるなら、資料に当たり、読み込んで戴きたいものだ。すべての事件を概観し、そのなかから、なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか、を論じるなど、新書でやれることではない。
.........
 吉田文さんのコンサートは、満足できるものだった。芸文センターの「彼女」(パイプオルガン)の音色は、力強く華やかだ。日本最大級の大きさだという。
 今年に入って、私はバッハに回帰!した。精神的に疲労感が強いこともあって、こんなときはバッハに依り頼む。本日の吉田さんの演奏曲目にも、バッハが2曲あった。そのなか、「G線上のアリア」をリクエスト(事前に葉書で)なさっていた方が「涙がでました」と書かれていたが、ほんとうに、そうだ。美しい曲。こんな美しい音楽を生み出す人類が、一方では原発をやり、無辜の動物たちを死に追いやる。そのあわいで、私は心萎えないわけにいかぬ。音楽が美しければ美しい故に、私は深く落ち込む。


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