【中国の本性】中国が「無法」主張で尖閣狙う真の目的とは★(1)
zakzak 2012.10.23
日本では常識として知られるが、中国と中華民国(台湾)が尖閣領有を主張し始めたのは、国連機構アジア極東経済委員会の調査で、近海海底に豊かな石油や天然ガスが埋蔵されていることが明らかになった1970年代に入ってからである。
日本が尖閣諸島を領土に編入した1895年、国際法の「先占の法理」によって、1月14日に沖縄県所轄の標識を立てた。当時の清国も、後の中華民国も、その後の人民共和国政権も、中国で三度国家が交代してもずっと認知していた。
その前に小笠原群島の編入があり、その後に日清戦争の結果、同年4月17日の「下関(馬関)条約」により台湾の領土編入があった。
もちろん日本の「常識」は、中国や台湾では「常識」ではなく、「古より中国の絶対不可分の固有の領土」「未回収の固有の領土」だと主張して譲らない。
中国が「固有の領土」と主張する論拠は航海案内書「順風相送」(1403年)をはじめ小説、文献、紀行、詩詞、神話、地方誌など数十に上るが、ただ「海上の標識」とか「船が近海を通った」といった記述にすぎず、信憑性が不十分で「固有の領土」を論証することができなかった。一言で言えば、2つの中国の主張は「捏造」と「無法」に尽きる。
アメリカが沖縄施政権を日本に返還する際、アイゼンハワー、ケネディ両大統領をはじめ、キッシンジャー国務長官も尖閣は沖縄に帰属すると認めており、日本に返還すべきとの見解を示す文書が残っている。
固有の領土の歴史的論拠も、国際法的論拠も、実効支配の現実によって成り立たない以上、中国に残された最後の手は、陸の「反日デモ」と、海の「領海侵犯」という嫌がらせのみである。
中国が、陸からも海からも日本に対して、ゆすりたかりを行う真の目的とは何か。主に以下のいくつかが挙げられる。
(1)「尖閣は台湾のもの、台湾は中国のもの。だから尖閣も中国のもの」という3段論法。「台湾統一」を正当化するためのプロパガンダである。「解放沖縄」「収回琉球」のスローガンが叫ばれたように、次の目標は沖縄の領有である。
(2)中印、中ソ、中越戦争終結後、戦略的国境線の防衛として海洋進出を目指している。「海に出なければ21世紀の中国はない」と極論。南シナ海、東シナ海で、周辺諸国と島嶼(とうしょ)争奪をしながら制海権を支配する。
(3)反日デモでは「日本人狩り」「企業襲撃」「商品略奪」といった無法行為が横行した。「反日無罪」どころか、反日なら、憲法や国際法も超越し、すべての「無法」が認められている。「反日」が国是国策として、すべてに優先することを内外に明示する。
黄文雄(こう・ぶんゆう)
文明史家、評論家。1938年、台湾生まれ。64年、留学のため来日し、早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院西洋経済史学修士。現在、拓殖大学日本文化研究所客員教授。1994年、巫永福文明評論賞。著書に「日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか」(徳間書店)、「中国人が死んでも認めない捏造だらけの中国史」(産経新聞出版)など。
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【中国の本性】習近平氏が反日デモを指揮? 尖閣巡り「習VS胡」激化 ★(2)
zakzak2012.10.24
香港の活動家が8月に尖閣諸島に上陸してからの日中対立について、日本の一部世論にまで「日本政府の国有化が原因だ」とする意見がある。見当外れも甚だしい。国有化しなくても、2年前には、中国側の挑発行為である漁船衝突事件が発生している。
国民党との「国共内戦」に勝ち抜いて中華人民共和国を樹立した共産党は、朝鮮戦争後も、インドやソ連、ベトナムと限定戦争を続けてきた。戦争で国を建てた革命政権は、米帝、ソ連社会主義帝国など仮想敵国がなければ存立できない。
特に、民主化を求めるデモ隊と軍が衝突した1989年の天安門事件後、江沢民政権は「民族主義、愛国主義、中華振興」を国是に掲げ、日本を仮想敵国として、生き残りを図ってきた。
中国は70年代以降、「尖閣領有」を反日のお題目にしてきたが、背景に、共産党内部の権力闘争があることはよく知られている。もちろん、今回も例外ではない。
来月8日から、第18回中国共産党大会が開催される。現在、江沢民元国家主席をボスとする「上海閥」と、次期党書記が予定されている習近平国家副主席の「太子党」、胡錦濤国家主席率いる「団派(共産主義青年団)」の勢力争いが、激化している。
日本の世論には「政権末期にメンツを潰された胡錦濤氏が反日デモを仕掛けた」という説があるが正確ではない。確かに、温家宝首相は「半歩も譲らない」と強硬発言をしたが、実は、胡・温体制は、国有化を黙認しようとしていた。
8月末に実務官僚を通じて、「上陸しない」「構造物をつくらない」「資源調査・環境調査をしない」という「3ない原則」を守るなら、そのまま黙認すると、日本側と裏交渉の段階に入っていたのだ。
歴史的にも、国際法的にも「尖閣領有」の論拠が崩れている。しかも、香港の活動家が尖閣上陸後、待機していた沖縄県警に逮捕・強制送還された映像は、日本の実効支配を国際的に宣伝するものだった。
胡・温体制としては、尖閣諸島が、中国で「軍国主義のボス」と見なされる東京都の石原慎太郎知事の手に渡るより、「日本政府の手に入った方がマシだ」という二者択一の選択を行わざるを得なかったのだ。
一方、団派の攻勢で劣勢に追い詰められていた習近平氏は、一気に逆襲に出た。2週間にわたって動静不明となり、「病気」「暗殺未遂」「軟禁」などさまざまな噂が流れたが、私が得た情報は違う。
習近平氏は「胡・温体制はこの10年、一体何をやったのか」「彼らは無能だ」と吹聴し、古巣の浙江省に籠もり、反日デモと尖閣強奪作戦を指揮していたようなのだ。
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◆ 習近平氏が2週間ぶり姿 新華社報道、写真も配信 2012-09-15 | 国際/中国/アジア
習近平氏が2週間ぶり姿 新華社報道、写真も配信
日本経済新聞2012/9/15 13:41
【北京=大越匡洋】中国の次期国家主席に内定している習近平国家副主席が15日午前、北京市内の中国農業大学で開かれた行事に出席し、約2週間ぶりに公の場に姿を見せた。中国国営の新華社が伝えた。習氏は9月1日に自らが校長を務める共産党中央党校の行事に出席したが、その後、消息が途絶え、健康不安説が取り沙汰されていた。
*北京の中国農業大学で行われた行事に出席した習近平国家副主席(手前右、15日)=共同
習氏の動静を巡っては、今月5日にクリントン米国務長官ら海外要人との会談をキャンセルしたことで異変が発覚。胡錦濤氏に代わって党トップの総書記に就く今秋の共産党大会を控え、国内外で負傷説や病気説など様々な臆測が広がった。
新華社は15日、大学構内を歩く習氏の写真も配信。写真からは特段変わった様子はうかがえず、今回、習氏の動向を伝えることで、次期トップの健康不安説を打ち消す狙いがあるとみられる。ただ、長期にわたって姿を見せなかった理由など詳細は報じていない。
最高指導部である政治局常務委員を刷新する党大会を前に、共産党では人事を巡る権力闘争が熱を帯びている。
15日は日本政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化したことで中国各地で大規模なデモが起きているが、胡氏は次期指導部への影響力を残すためにも、対日政策で「弱腰」は見せられない。当局がデモを容認するかどうかも、権力闘争の駆け引きの道具として使われている側面がある。
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◆ 習近平氏「日本による尖閣諸島国有化は茶番」/「愛国無罪」の裏側で・・・・ 2012-09-20 | 国際/中国/アジア
習近平氏、日本による尖閣諸島国有化は「茶番」=新華社
2012年 09月19日19:13 JST[北京 19日 ロイター]
新華社によると、中国の習近平・国家副主席は、日本による尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化は「茶番」だと批判した。
習近平・国家副主席は、訪中しているパネッタ米国防長官との会談で「日本は行動を抑制し、中国の主権や領土保全を損なうような言動を止めるべき」と語った。
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尖閣問題は平和的解決を―米国防長官が中国国家副主席に要請
2012年9月20日9:30 WSJ Japan Real Time
【北京】 17日から訪中しているパネッタ米国防長官は19日、習近平国家副主席(中央軍事委員会副主席)と会談し、日中が対立する尖閣諸島問題について平和的な解決を訴えた。
次期最高指導者に内定している習氏は、9月1日に公式の席に姿を見せて以降、ヒラリー米国務長官をはじめ各国要人との会談をキャンセルしていた。病気説も流れていたが、久しぶりに元気な姿を見せ会談をこなした。パネッタ長官は、習氏は「すこぶる健康で精力的だった」と述べた。
元香港行政長官で中国の国政助言機関である人民政治協商会議副主席を務める董建華氏は19日、米CNNテレビとのインタビューで、習氏はスポーツをしていた時、おそらく水泳中に背中を痛めたと明らかにした。現在は回復し、職務に復帰しているという。
国営新華社通信によれば、習副主席はパネッタ長官に対し、日本政府の尖閣国有化を「茶番」と評し、「日本は行動を抑制すべきだ」と非難した。米国防総省当局者は、会談により中国が尖閣諸島問題に「強い思い入れを持っている」ことが明らかになったと述べた。
中国商務省スポークスマンは、尖閣問題は日中の経済・貿易問題、とりわけ日中韓の自由貿易協定(FTA)に影響を与えるだろうとの見方を示し、「我々はそれを望んでいないが、すべての責任を負うのは日本だ」と警告した。
一方、安住淳財務相は、中国国内の反日デモで日系企業に大きな被害が出たことについて、遺憾の意を表明し、「長い目で見て日本企業にとっても中国での販売、生産が安心してかつ安定的にできるような路線を維持すべきだ」と、中国側に冷静な対応を呼び掛けた。
パネッタ長官の3日間にわたる訪中は、両国の軍事関係の改善や、アジアの安全保障に対する米国の関与拡大への中国の懸念払しょく、さらには中国と東アジア諸国との領土紛争の沈静化が狙いだった。反日デモは、中国公安当局が警備を強化したため19日には収束に向かった。
パネッタ氏は記者団に対し、尖閣問題について双方が感情的になっていると指摘、「日中は米国との関係がいかに重要かを理解しており、双方に対し紛争が制御不能にならないように対応すべきだと働き掛けることで、我々は前向きな役割を担える」と述べた。同氏は習氏については「率直かつ正直で、歯に衣着せずに本音を話す」と高く評価した。
米国はこのところアジア太平洋地域でミサイル防衛策の強化など軍事力増強を進めている。パネッタ長官は19日、北京の装甲兵工程学院で講演し、米国は、同国経済、外交、安全保障面の重要性に基づいて対アジア戦略を強化していると述べ、中国政府を脅威と感じているからではないと強調した。
記者: Julian E. Barnes
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反日デモはプチ紅衛兵か、義和団か 大衆の不満に火を付けた中国指導部の対日強硬姿勢
日経ビジネス(中国新聞趣聞〜チャイナ・ゴシップス)2012年9月19日(水) 福島 香織
まるで紅衛兵だ、と思わずつぶやいた。そうすると、いやいや義和団<編集部注>でしょう、という答えが帰ってきた。ツイッターという、極めて速報性の強いインターネットツールによって、9月15〜16日に全国50〜100都市以上で同時に発生した反日デモの群衆のものすごい蛮行を目の当たりにして、中国で何が起きているのか、と肝胆を寒からしめた人も多いのではないか。
■愛車の日本車を叩き壊して愛国をアピール
風光明美な美しい地方都市・青島ではミツミ電機など日系企業に次々に火がかけられ黒煙をあげて炎上していた。市民から愛されていたはずの黄島区のジャスコは破壊と略奪の限りが尽くされ、被害総額は2億元を下らないという。西安では日本人が泊まっているホテルに、日本人を出せと要求するデモ隊が突入、ロビーで機動隊と衝突した。
同じく西安で中国人学生がデモ隊に踏みつけられて死亡したとか、日本車のカローラに乗っていた中国人男性がデモ隊に引きずり出されて頭を殴られ意識不明の重体になったとか、中国人の被害について微博(中国のマイクロブログ)に流れていた。
湖南省・長沙では日系スーパー平和堂3店舗が打ち壊し略奪にあった。そのほか各地で、日本車ディーラーが焼き討ちにあい全焼した。コンビニも百貨店の高級ブランド店も略奪にあった。デモ隊の中には「毛沢東」の肖像画を掲げるものもあった。8月19日のデモのように「蒼井そらは世界のもの」といったユーモアのあるスローガンは今回はほとんどなく、「日本人男を殺しつくせ、日本人女を犯しつくせ」といった物騒な言葉が飛び交った。香港企業のワトソンなど日本商品を置いている店舗も襲撃のターゲットになった。
日本製品を持っている者は、ロゴを五星紅旗で覆い隠した。自ら愛車の日本車であることを告白して叩き壊し、愛国をアピールする者もいた。中国人の中産階級が愛用する日本衣料品ブランド・ユニクロは「釣魚島が中国の領土であることを支持する」という張り紙を張って、略奪を逃れた。日本人は中国人や韓国人のふりをして身の安全を図った。
それはまるで文革時に紅衛兵の吊るし上げを逃れるために、泣く泣く自らの手で舶来品を叩き壊したりチャイナドレスを切り裂いてみせたり、毛沢東の写真を掲げるのと同じ方法の自衛策である。自分の安全のために家族や友人を密告する悲劇がまだ起きていないが、この方向がエスカレートすれば、日本人と結婚している中国人はけしからん、叩き出せといった人身攻撃に発展するのではと、不安になってしまう。
この事態は「プチ文革」と呼んでもいいくらいだ。2005年にも2010年にも反日デモは起きた。最近では8月19日にも全国20カ所以上で反日デモは起きた。しかし、今回の反日デモは規模も被害も予想を超えた。いったい、なぜこんな酷い反日デモが起きたのか。
<編集部注>清朝末期に排外運動を行った結社
■「動員」された反日デモ
この反日デモのきっかけは、尖閣諸島の国有化に対し、胡錦濤、温家宝、呉邦国、李克強ら、中国指導部(党中央政治局常務委)が相次いで日本に対する強硬姿勢を示したことだ。温家宝は「寸土も譲らず」と言い放った。これを指導部の反日デモ容認、日貨排斥容認の意をうけて各地方でデモが動員された。
「動員」された、と言っていいだろう。長沙の平和堂を襲ったデモ隊は地元紙・株州日報の動員によるものだったという参加者の証言がある。西安のデモ隊のリーダーが地元派出所所長だったというのは制服姿の顔写真付きで、ツイッターで流れていた(後に人民ネットなどで事実でないとされている)。「動員」のレベルがどのあたりの「官」によるかは別として、中央指導部がちょっと、強硬姿勢を見せれば、その意を受けて、地方レベルであらゆる動員が起きる。そういう意味では官製デモであった。しかし完全なコントロールがとれるほどの官製デモではない。
マッチで火を付けたのが「官」であっても、そこに燃料がなければ燃え広がらない。焼き討ち略奪の発生など「中央政府も制御不能」とされるほどデモが広がったのにはそこに燃料があって、それに燃え移ったからだ。それは簡単に言えば「社会不満」である。
私はこういった「暴力的な反日デモ」が本当に訴えたいことが「反日」や「日本の尖閣(釣魚島)国有化」であるとは考えていない。それは「石炭」の上におかれた「麦藁」程度のもので、「麦藁」は火を付ければぱっと燃え上がるがすぐ消える。従来の反日デモはちょっと麦藁に火をつけても、すぐ火を消し止められるところを中国政府は見せてきた。しかし今回15〜16日のデモ炎上はすぐに消し止めなかった。それどころか息を吹きかけて火を煽ったように見える。16日の深圳デモになって、放水と催涙弾でようやくデモ隊を鎮圧した。
略奪や火付けなどの破壊行為について「中央政府がデモ隊へのコントロールを失った」と分析したメディアもあったが、本当にコントロールを失ったのか。私から見れば、未必の故意、といって言いくらいだ。こういう言い方をすると手あかがついた分析と言われるのだが、やはり第18回党大会直前という政権委譲の大政治イベントを前にした権力闘争の文脈で考えるのが普通だと思う。
■大衆運動を利用した権力奪還闘争
プチ文革と思わず言ったが、文化大革命というのを一言で説明すれば、大衆運動を利用した権力奪還闘争である。政治・経済の失策を続けた毛沢東が、?小平とともに市場経済を取り入れ庶民の疲弊の回復に努めた劉少奇を失脚させ、権力を奪還するために、庶民の格差不満という燃料に火を付けた。無知な少年少女たちが一番簡単に煽られて、紅衛兵となった。工場労働者が工場長を吊るしあげ、従業員が部長に自己批判を迫った。彼らのやったことの本質は、ちょっと自分たちより金持ちで文化的に上な人たちを引きずり降ろしたい、それだけだ。
元重慶市党委書記の薄煕来が同じ文革式の大衆動員運動で、権力争奪をたくらんだ、と言われている。「打黒(マフィア撲滅)」という運動は汚職官僚一掃といえば聞こえはいいが、ようするに自分たちよりまんまとうまいことしてちょっと金持ちになった奴らを引きずり下ろす運動だ。直轄都市で最も貧しい重慶市の庶民に、お前らを搾取しているのはこいつらだといい、司法を無視した粛清のナタを振るった。「唱紅」(革命歌を歌う)キャンペーンで農民や低層労働者を動員し、自分の人気ぶりを可視化して中央に乗り込み、いつか軍と結託して習近平を国家主席の座から引きずり降ろそうという計画があったとか、なかったとか。薄煕来はすでに失脚し、その陰謀説は確かめるすべがない。
中国の大衆は政治の雰囲気をよみながら口パクでスローガンを唱える程度にしか、政治というものを信頼してこなかった人たちが多い一方、ある一定のゾーンに達すると自分でモノを考えることを放棄して、大きな流れに身を任せる特質がある。一種の集団ヒステリーともパニックともいえる。そして、そういった大衆運動が起きる背景には、必ず貧富の格差、隣の金持ちを憎む心と権力闘争がセットになっている。
今回の反日デモに「プチ文革」ともいえる匂いがするのは、経済の失速が明らかになり、高級官僚が大金を持って高跳びする現象が増え、今貧しい人がいつか豊かになるという希望を持てない状況でぶすぶすくすぶっている「不満」と、日本大使公用車が公道で襲撃され、9月あたまから2週間も習近平氏が姿を消しているなど不正常な事態に複雑な権力暗闘の存在を感じるからだ。
では今回の大衆の反日暴動デモを利用したのは誰なのか。黒幕は存在するのか。それは誰がこの一連の反日デモで得をするのか、ということになる。
たとえば次期国家主席の座が約束されている習近平か?米国の華字ネットニュース博訊によれば、習近平が尖閣対応を含めて対日強硬策について決定権があると報じており、最近の一連に対日強硬姿勢や尖閣近海への中国公船の出動も習近平の指示だという。だが、政権を委譲される側にとっては、得どころか日中関係悪化も国内不安定化はデメリットばかりだ。ちなみに、習近平は対日強硬姿勢を公の席では打ちだしていない。何しろ14日まで習近平は消息不明で、尖閣国有化閣議決定が発表された10日には、軍の301病院に入院中と噂されていた。その理由は暗殺未遂説から軟禁説、水泳で背中を痛めた、肝臓がん、腸腫瘍、心臓発作という病気説までいろいろ言われたが、いまだにわからない。
私がとある中国筋から耳打ちされたのは、胡錦濤黒幕説である。胡錦濤は党中央軍事委主席に留任しない、つまり習近平に政権を完全委譲することになる、というのが目下の観測であるが、そうなると胡錦濤の政治的影響力は激減する。江沢民は胡錦濤に政権を委譲したあと2年、中央軍事委主席に留任し、その間、なかなか激しい権力闘争を見せた。そこで胡錦濤は、尖閣国有化に対する強硬姿勢をみせ軍の支持を取り込み、自分の留任はなくとも、腹心を軍事委副主席の地位にねじ込みたいなどの狙いがあるのではないか。日中関係や国際社会での立場が悪くなり、社会不満に火が付きかけの危ない状況であっても、自分自身は完全引退の身なので、直接の責任は引き受けなくていい。もっとも、こういうことをささやく人は明らかな上海閥なので、鵜呑みにするわけにはいかない。
もう1つ説があるのは、これも華字ネットニュース・アポロニュースネットで流れた話。公安・司法トップの中国共産党中央政法委員会が配下の公安組織にデモを指示し、現政権・次期政権への圧力をかけている、という。確かに、一部のデモ隊で警察関係者がリーダーシップをとっている姿は目撃情報がある。それはデモをコントロールするための策かという見方もあるし、デモの許可自体は公安マターなので、そういう話があっても不思議ではない。政法委書記の周永康は薄煕来と利権関係があり、2014年にまでにクーデターを企て習近平を追い落とすという陰謀を画策していたという噂まで出た人物。薄失脚に連坐するかどうかという瀬戸際を踏みとどまったと言われている。次期政権では中央政法委主席の職は政治局常務委員に入らない。
もちろん、これらいずれも噂話の域を出ない。こんな様々な噂が、ネットメディア上の流布すること自体、中国の内政の混乱ぶりを示している。
■今の状況を歓迎しているのは軍部
はっきりと言えるのは、軍部は今の状況を歓迎しているだろう。台湾が馬英九政権となって中台関係が良好になって以降、解放軍の対台湾作戦は現実味を失った。解放軍の存在価値を今高めてくれるのは、対尖閣(釣魚島)作戦である。今すぐは無理だとしても、いずれ尖閣を奪う、というのは解放軍内では常識となっており、それを後押しする国民レベルの大衆運動が起きれば、軍としても求心力を取り戻し、国家予算を増やす口実にもなる。放っておくと戦争になる、という言葉は軽々しく言いたくないが、これから日中間で尖閣をめぐって不測の偶発的な事件が起き得るという覚悟は必要だろう。
もっとも私は、紛争リスクよりも、「反日の麦藁の炎」から「中国の社会不満の石炭」に火が移り燃え広がるリスクの方がありそうな気がする。
いずれにしても、一番貧乏くじを引くのは利用される庶民である。文革にしても、反日デモにしても。
著者プロフィール
福島 香織(ふくしま・かおり)ジャーナリスト
大阪大学文学部卒業後産経新聞に入社。上海・復旦大学で語学留学を経て2001年に香港、2002〜08年に北京で産経新聞特派員として取材活動に従事。2009年に産経新聞を退社後フリーに。おもに中国の政治経済社会をテーマに取材。著書に『潜入ルポ 中国の女―エイズ売春婦から大富豪まで』(文藝春秋)、『中国のマスゴミ―ジャーナリズムの挫折と目覚め』(扶桑社新書)、『危ない中国 点撃!』(産経新聞出版刊)、『中国のマスゴミ』(扶桑社新書)など。。
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◆ 【習近平のチャイナ】(5)硬直した反日路線 撤退か継続か 日本企業は熟慮のとき 2012-10-09 | 国際/中国/アジア
◆ 【習近平のチャイナ】(4)習ドクトリンは対日強硬策 民衆の暴動どう封じるか 2012-10-09 | 国際/中国/アジア
◆ 【習近平のチャイナ】(3) 習近平、最大ブレーンは母!富豪の姉弟も 2012-10-04 | 国際/中国/アジア
◆ 【習近平のチャイナ】(2) 度胸満点、習近平“夫人”はアゲマンの国民的歌手! 2012-10-03 | 国際/中国/アジア
◆ 【習近平のチャイナ】(1)「次期皇帝」の人物像 胡氏ら「団派」 太子党同志の嫉妬で先行きは波瀾万丈 2012-10-02 | 国際/中国/アジア
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◆ [石平のChina Watch] 習近平氏の罠に要注意/中国の沖縄工作の狙い〜日本属国化 2012-09-27 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
習近平氏の「罠」に要注意
産経ニュース2012.9.27 11:03[石平のChina Watch]
今月中旬に始まった史上最大規模の反日デモが沈静化した今、中国政府の今後の動向が注目されている。北京は一体、今度の「尖閣紛争」にどう決着をつけるつもりなのか。
それを見るのには、中国漁船団の動きが一つの鍵である。
16日あたりから、日本への「対抗措置」として中国政府は尖閣海域へ向かう漁船団の出航を認めた。一時は「千隻の中国漁船が尖閣にやってくる」との情報が流れ、一触即発の緊迫状況となった。
だがこの原稿を書いている25日午前現在、台湾の漁船の領海侵犯はあっても、「中国漁船」は一隻たりとも日本の領海に入ってこなかった。それは中国政府当局が徹底した管理を行った結果であろう。
もし中国の漁船が実際に日本の領海に侵入してきた場合、日本の海上保安庁は当然それを取り締まらなければならないが、その中でけが人が出たり逮捕者が出たりするような事態が起こる可能性は十分ある。そうすると、日中間の全面対決は必至の趨勢(すうせい)となろう。
おそらく中国政府もそうなった場合の問題の深刻さをよく分かっているから、中国漁船の日本領海侵入を許さなかったのであろう。逆に言えば、今の中国指導部は結局、「尖閣問題」での日本との全面対決を避けたいのである。
このような思いを強く持っているのは習近平国家副主席その人であろう。今年秋に開催される予定の党大会で彼は次期最高指導者に選出されるはずである。だが、もし今の時点で日本との「尖閣紛争」が全面対決の局面となって党大会の開催が延期されたりすれば、政治的不利をこうむるのは当然習氏である。場合によっては、今の最高指導者である胡錦濤国家主席が「国家の非常事態」を理由に習氏への権力移譲を拒むことさえあり得る。
そうなるようなことを危惧して、一時の「行方不明」から復帰した直後の21日、習氏は中国の指導者として初めて「領土問題は平和的に解決」と訴えた。この発言の背後にあるのは当然、今回の事態をそれ以上に拡大させたくない習氏の思惑であろう。
それと同時に、この突如の「平和的解決」発言には、もう一つの対日外交上の戦術的意図も隠されているのではないか。
つまり習氏ら中国指導者は今、「平和的対話によって問題を解決しよう」との姿勢を示すことによって、日本政府を「尖閣問題」に関する交渉のテーブルに引き寄せようとしている、ということである。実際、中国外務省の洪磊副報道局長は24日の定例記者会見で、「日本側は交渉によって争議を解決する軌道に戻るべきだ」と言い、日本政府に「交渉」に応じてくるよう明確に求めてきている。
これは、習氏が仕掛けた「罠(わな)」なのだ。もし日本政府が中国側の求めに応じて「領土問題」を協議するためのテーブルにつくようなこととなれば、日本側が「領土問題」の存在を認めてしまうこととなり、それだけでも、中国にとっての大成功と日本にとっての大失敗となるからである。
おそらく中国政府は今後、政治・経済・軍事のあらゆる面で圧力をかけながら、日本政府に「交渉に応じろ」と迫ってくるのであろう。日本に対する揺さぶりはさらにエスカレートする可能性さえある。
それに対して日本は「領土問題は存在しない、だから交渉に応じることはない」との立場を毅然(きぜん)として貫いていくべきだ。「罠」にはまってはいけないのである。
◇
【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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中国の「沖縄工作」の狙い
産経ニュース2012.9.13 11:09[石平のChina Watch]
「尖閣問題」で日中関係がぎくしゃくしている中、中国の一部の軍人や学者が突如、「沖縄は実は中国領だ」という奇妙なことを言い出した。
たとえば解放軍の現役少将で国防大学戦略研究所の金一南所長は7月13日、中国広播網という官製メディアの取材記事において、歴史の経緯や戦略的重要性などの角度から「琉球の所属問題」について延々と論じた。その中で彼は、「琉球はもともと中国の属地。それが日本によって強奪された」と論じた上で、「われわれは今後(対日交渉において)、尖閣の領有権問題にとどまらず、琉球群島全体の帰属問題を持ち出すべきだ」と語った。
金少将はさらに、「(中国の)学界や研究機関は今後、琉球の帰属問題について大いに議論すべきだ」とも提言した。
この提言に応じたかのように、今度は『社会観察』という政論誌の8月号が、復旦大学日本研究センター副主任の胡令遠教授と中国対外経済貿易大学国際関係学院の王海浜副教授連名の「琉球問題論文」を掲載した。論文は直ちに人民日報系の環球時報が運営する「環球網」に転載され国内で大きな反響を呼んだ。
論文はまず、前述の金少将と歩調を合わせて、いわば「歴史の経緯」から「琉球が中国領、日本がそれを不法占領」との珍説を展開した上で、「政府・学界・メディアは緊密に連携し、琉球群島の主権帰属問題に関する研究と宣伝を展開していくべきだ」と提言した。その「宣伝工作」の一環として、「国際社会に中国の主張を伝えること」の重要性を論じた。
そして最後に論文は締めくくりの部分で「琉球人民の本土意識や帰属感を深く研究し、琉球人民に十分な民族自決権を行使させるべきだ」とも語った。
以上は、最近になって中国国内で飛び出した「琉球帰属論」の2つの事例だが、日中国交回復以来40年間、中国国内から「琉球が中国領だ」というデタラメな暴論が展開されたのは初めてのことである。
しかも、本来なら関係性の薄い解放軍の現役軍人と大学の教授がほぼ同じ時期に同じ主張を展開し始めたことの背後には、中国共産党政権の影が感じられる。解放軍将校と大学の教授の両方に影響力を行使し彼らに同じことを言わせることができるのは、当の共産党政権以外にはないはずだ。
そして政権の意向を受けた彼らは、「琉球が中国領」という論を単なる論として唱えるのではなく、「政府・学界・メディア」の「連携」による「沖縄工作」の展開を具体的に提案した。
その中で、「琉球人民に十分な民族自決権を行使させよう」という、赤裸々な「沖縄県民離反工作」までが公然と語られているのである。
つまり中国が欲しがっているのは、決して尖閣諸島だけではないことは明々白々だ。彼らはすでに、日本の沖縄に対する野望をむき出しにしている。おそらく中国からすれば、沖縄を名実ともに「中国の属地」にしてしまえば、中国の海洋制覇戦略の最大の妨げとなっている米軍基地をかの地から追い出すこともできるし、日本本土を完全に中国の軍事力の脅威下に置くこともできよう。
そうすると、「琉球の中国属地化」の次にやってくるのは、すなわち「日本の中国属国化」なのである。
われわれはまさにこのような意味合いにおいて中国の考える「沖縄工作」の真意と狙いを理解しておかなければならない。このような国家存亡の危機にどう対処するのかが、まさにわれわれにとっての重要課題となるのである。
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◆『最終目標は天皇の処刑 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌』 ペマ・ギャルポ著 飛鳥新社 2012-04-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
Professor PEMA News and Views ペマ・ギャルポ この国、日本に生き、一握の土となることを願う者のひとりとして
2012年4月26日 (木)
中国の下心は「天皇の処刑」
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