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「中国の『激変の日』に備えよ」 中国の異質性 『尖閣戦争 米中はさみ撃ちにあった日本』

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「中国の『激変の日』に備えよ」 中東政変で米国に警戒感
JB PRESS 2011.03.03(Thu)古森 義久
  国際激流と日本
 中東の政治の激変が米中関係に意外な影響を及ぼしている。
 中東ではチュニジア、エジプト、バーレーン、そしてリビアと、国民の広い層が現政権に反旗をひるがえした。国により程度の差はあろうが、「民主化」への動きと呼べるだろう。
 米国ではオバマ政権をはじめ、超党派で官民を挙げてその民主化運動への賛意を表明した。オバマ大統領はエジプトのムバラク政権に対して、「民主化のための即時辞任」をも訴えた。
 しかし、中国の態度は対照的だった。中国政府は中東での民主化の動きに関する国内での報道を大幅に規制した。国内で民主化運動もどきの集会や討論を開くことも改めて厳しく禁じた。さらに中国政府は、インターネット上で、中東の騒動と関連させて民主主義や自由、人権などについて議論することも厳重に抑圧するようになった。
 米国では中国のこうした民主主義抑圧の態度を見て、対中関係のあり方に再度、目覚めたような警告を発する向きが出てきたのだ。
改めて浮き彫りになった中国の異質性
 保守派のラジオ政治トークショーの論客として知られるラッシュ・リムボウ氏は、オバマ大統領のムバラク大統領への辞任要求について、再三、批判的な論評を述べてきた。ちなみにリムボウ氏がラジオで行っている政治評論は、毎週平均数千万人という全米第一の聴取者数を誇る。
 リムボウ氏は聴取者に次のように訴えかける。
 「オバマ大統領が、米国の長年の盟友で中東の安定に寄与したエジプトのムバラク大統領に、民主主義的ではないという理由で即時辞任を求めるならば、なぜ、中国の独裁政権の胡錦濤主席に辞任を求めないのか」
 中東の政変のキーワードが「民主主義」であることは間違いない。「民主主義」という規範が提起されれば、「では民主主義を抑圧する一党独裁の中国はどうなのか」という疑問が連想されるのは当然だろう、というわけだ。
 現実問題として、核兵器保有の軍事大国であり、経済、金融の最大の取引相手の経済大国である中国に向かって、米国がその国家元首に辞任を求められるはずはない。この論評には、もちろん事態を単純化した政治トークの要因も含まれてはいる。
 だが、こうした見方はリムボウ氏だけにとどまらない。米国では、中国当局の中東情勢への反応を見て、中国という国家の異質性を改めて認識し、米国の対中政策もそれに合わせて、もっと厳しく現実的に進めるべきだ、と警告する声がより広範に出てきた。
 大手研究機関のヘリテージ財団の中国専門家、ディーン・チェン氏は、次のような趣旨の見解を2月25日に発表した。
 「中東で民主化を求める各国の動きを見て、中国当局も自国をいくらかは民主的にすべきだと思うだろう、などというのは、まったく楽観的な見方にすぎない。
 現実には、中国当局は中東情勢を自国民に知らせないよう必死に情報規制を始めている。インターネットの検索サイトでは『エジプト』という言葉をも禁じてしまったほどだ。
 中国共産党指導部が中東での激変から学ぶことといえば、自らの権力を保つために国内の規制をさらに厳重にすることだろう」
 チェン氏は、中国は中東の民主化の動きを強く警戒し、反発し、自国の非民主的な体制をさらに強化するだろう、というのである。
「中国の『激変』の日に備えよ」
 中国のこうした態度は、米国の対中認識を変えることともなる。
 2月23日、その点を短刀直入に指摘した小論文が発表された。筆者は、ワシントンのもう1つの大手研究機関AEIの中国専門のダン・ブルーメンソール研究員だ。ブッシュ政権で国防総省の中国部長を務めた人物である。
 ブルーメンソール氏は小論文でこう記す。
 「中東情勢に対して中国が示した態度は、中国が国際的な指導力を持ち得ないことを証明した。
 中国当局は中東激変という大騒乱に対して、国際的なリーダーシップを発揮して現地の情勢安定などに寄与するどころか、ひたすら民主化の拡大の自国への余波を恐れて、国内での情報統制やデモ抑圧に走り、肝心の中東激変については沈黙を保ったままである。中国指導部は黙ったまま万里の長城の陰に隠れてしまったのだ。
 これで、米国と中国が世界の主要課題に共同で取り組む『G2論』などというのは、撤回されるべきものであることが立証された」
 この小論文は、「中東の異変は、中国について私たちに何を告げるか」と題されていた。中東情勢に反応する中国の様子を見て、米国の中国観を修正すべきだというのである。
 ブルーメンソール氏は結論として次の2点を挙げていた。
 「中東の激変は、中国について2つの重要な事実を私たちに教えてくれた。第1に、中国がグローバルなリーダーシップをまもなく揮(ふる)うようになるという主張は、まったくの誇張だったということである。第2に、米国は中国の激変の日にも備えておくべきだということである」
 つまりは、中国は国際的なリーダーシップなど揮えはしない。中国自体も中東諸国のような内部からの突き上げの日に直面するかもしれないから、米国はそんな事態に備える準備もしておくべきだ、というのだった。
 中国に対するこうした厳しい見方が米国に生まれてきた現実を知ることは、日本にとっても対中政策の形成その他に有益な指針となるだろう。
〈筆者プロフィール〉
古森 義久 Yoshihisa Komori
 産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員。1963年慶應義塾大学経済学部卒業後、毎日新聞入社。72年から南ベトナムのサイゴン特派員。75年サイゴン支局長。76年ワシントン特派員。81年米国カーネギー財団国際平和研究所上級研究員。83年毎日新聞東京本社政治部編集委員。87年毎日新聞を退社して産経新聞に入社。ロンドン支 局長、ワシントン支局長、中国総局長などを経て、2001年から現職。2005年より杏林大学客員教授を兼務。『外交崩壊』『北京報道七00日』『アメリカが日本を捨てるとき』など著書多数。
 国際激流と日本 日本の戦後の平和と繁栄は、日米安保体制の下で保たれてきた。しかし、民主党政権が日米同盟に背を向ける言動を見せ、また米国も水面下で日米同盟の効用に疑問を投げかけるなど、ここに来て日米同盟の根底が大きく揺らぎ始めている。日米同盟の行く末、米国の対日・対中戦略などをワシントンを基点にして読み解き、日本の取るべき針路を探る。
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〈来栖の独白〉
 常時、私は何冊かの本を掛け持ちして読む。現在読んでいるのは、『尖閣戦争 米中はさみ撃ちにあった日本』祥伝社(西尾幹二、青木直人著)、『桜田門外の変』(吉村昭著)、それと『誰が小沢一郎を殺すのか』角川書店(カレル・ヴァン・ウォルフレン著)といったところである。
 『尖閣戦争・・・』から、中国の悪口(笑)をいっている箇所を、少しだけ書き抜きしてみたい。
p29〜
 さらに付け加えておくと、中国はその長い歴史の中で、これまでタダの一度も全国的で民主的な選挙を行ったことはないのです。つまりいまの共産党政権は、暴力で国民党を打倒して政権の地位についたのであって、国民が選挙を通じて公正に選出した政権ではないのです。
 また中国には13億の人口中、内陸に1日1ドル程度で生活している貧困層が1億5000万いて、彼ら、農民の半数近くが字が読めないこと、彼らの教育、社会福祉の水準は、都市の住民と比較して王様と乞食ほどの違いがあることです。
 また中国は世界第三位の経済大国に成長したものの、富の格差を示すジニ係数は世界有数で、いかに富の分配が共産党とその周辺の集団に集中しているかがわかります。
 同時に経済的繁栄が、政治の民主化にはつながっていないことも、その特異性を示しています。その一方で軍事の拡大だけは野放図に続いています。
 非民主的体質、格差のひどさ、民主ではなく強兵へというのが繁栄中国の実態でもあるのです。
...................
書評『尖閣戦争 米中はさみ撃ちにあった日本』西尾幹二、青木直人著
産経ニュース2010.11.13 07:45
「尖閣戦争」 「必ずやってくる」中国に備え
 実を言うと、この対談は、別のテーマで取材日が9月25日と設定されていた。ところがその前日の24日に、中国漁船の船長釈放というニュースが飛び込んできたため、急遽(きゅうきょ)テーマを変更し、対談から発売まで1カ月という異例のスピード進行で出来上がったのが本書である。
 それが可能だったのは、この両者の日頃(ひごろ)の言説に触れている人にはおわかりの通り、今回の事態は想定内のことであり、これまで散々に警告を発してきたことであるからである。
 西尾氏はかねてより、米中が経済面においては事実上の同盟関係にあり、利害を一にしている以上、いざというときには日米安保は全く当てにならないこと、そして、アメリカが日米の同盟関係を強調するときは、その裏に、日本の再軍備や核武装論を抑え、米軍の駐留費を引き上げる目的が秘められていることを指摘してきた。
 青木氏は、その精細な中国分析から、中国の海外進出が、歴史的にも国内事情からも周到に準備されてきていることを述べてきた。
 そしてこの両者の一致する見解は、今回の事件が日米中三国関係の構造の変化に伴う必然であり、一過性のものではないこと、中国は次も必ずやってくるということだ。そのために日本はいま何をしておくべきなのか。それは間に合うのか。日本に切れる外交カードはないのか。議論は尽きることなく続いた。
 騒ぎがいったん収まったと言って、安心している場合ではない。ともかく、ここは日本の正念場である。(祥伝社・798円) 祥伝社新書編集部 角田勉
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中国の漁業監視船、再び尖閣へ 中国は国内法で尖閣諸島や西沙・南沙諸島を中国領土だと主張2011-01-28 
 田母神俊雄著『田母神国軍』
p29〜
▲尖閣諸島が中国に乗っ取られる 中国の謀略は始まっている
 尖閣諸島をめぐっての中国の動きは活発化しています。
 2004年3月、中国人の活動家7人が魚釣島に上陸し、沖縄県警が逮捕。
 2008年12月には中国の海洋調査船2隻が、約9時間にわたって領海侵犯。
 2010年4月、中国海軍の艦艇10隻が沖縄本島と宮古島の間の公海を南下し、中国艦の艦載ヘリが監視中の海上自衛隊の護衛艦に、2度も異常接近。
 そして2010年9月7日、尖閣諸島の久場島から北北西約12キロメートルの日本領海内で、監視中だった海上保安庁の巡視船が、違法操業をしていた中国のトロール漁船に衝突されるという事件が起きました。
p30〜
 中国は1992年にこっそりと制定した「領海法」という国内法で、尖閣諸島や西沙・南沙諸島を中国領土だと主張しており、中国国内に「尖閣諸島は中国の領土」という共通の認識をもたせることにはすでに成功したと言えます。
▲最初は中国政府の工作だとわからない
 では、日本の領土である尖閣諸島が、実際に中国に占領されてしまうきっかけにはどのようなものがあるか。「漁船」衝突事件とは、別のやり口を考えてみます。
 中国は、まずは漁船などを使って、中国人を島に上陸させることから始めると考えるのが妥当です。
 もちろんそのとき、中国政府は一応、自国民の違法行為に対して、「遺憾である」という立場を取るはずです。公式に「遺憾」とは言わないまでも、「上陸はするなと押さえていたけれど、彼らが勝手に上陸してしまった」というような言い訳をするでしょう。
 本当は中国政府が仕掛けているとしても、そんなことはおくびにも出しません。
 中国という国は、何をするにしても、最初は誰がやったかわからないような形で仕掛けてきます。(略)
 無断で日本領土である島に上陸されたのですから、日本は当然、上陸した中国人を強制的に排除しようとします。2004年のケースでも、沖縄県警が入管難民法違反の現行犯で上陸した中国人活動家7人を逮捕しています。
 ここで忘れてはならないことは、漁船で中国人が上陸するというのは、すでに大きな乗っ取り戦略の1つだということです。
 おそらく、上陸行動自体も段階的に行われるでしょう。まずは、漁船で島に近づいてきますが、海保の巡視船に注意されて、ひとまずあきらめて帰ります。
 しかし、また少し時間をあけて、様子を見ながらもう1度近づいてくる。それを3、4回繰り返して、5回目ぐらいになるといよいよ上陸してくる。
 上陸が始まってからも、中国は段階的に進めてくるでしょう。
p32〜
 日本側は最初、警察当局が入管難民法違反の容疑で上陸した中国人たちを逮捕します。あるいは、最初は中国人のほうが無条件で撤退するかもしれません。しかし、2度目の上陸では、確実に逮捕者が出ます。
 そして3度目の上陸では、より多くの中国人がやって来て、逮捕者も増えます。
 それを何度か繰り返す中で、中国は漁民の中に兵士を紛れ込ませてくると考えられます。
 すると、強制的に排除しようとする警察と、中国人たちとの間で小競り合いが起きるようになります。この小競り合いも何度か繰り返されるでしょう。
 小競り合いが3日、あるいは1週間近くも続くようになってくると、中国が国を挙げて「中国人を保護しなければいけない」と乗り出してくるはずです。
▲危機に自衛隊が出動できない
 では、このような事態に、日本政府と自衛隊に何ができるか見てみましょう。
 2010年9月に防衛省がまとめた平成22年度防衛白書の「武装工作員などへの対処の基本的な考え方」という項目の中では、武装した工作員が日本国内で不法行為に及んだときに、第一義的に対処するのは警察機関だという考え方を示しています。
 そして、警察機関が武装工作員への対応をとっているとき、自衛隊の任務は「状況の把握」であり、「自衛隊施設の警備強化」であり、「警察官の輸送」であるとしています。自衛隊員が警察を支援するわけです。
 これが、とても馬鹿げたことであるのは子供でもわかると思います。諸外国とはまったく反対の構図で、何もしないと言っているのと同じです。
 中国人が漁船で上陸してきた初期の段階なら、まだ、警察当局や海保庁で対応できるかもしれません。しかし、その人数が増え、中には兵士も混ざり、さらには最終的に「自国民を守る」という御旗の元に中国の軍艦がやってくるまでには、そう時間はかかりません。
 「日本の領土に上陸しても、とくに武力行使されるわけでもないし、悪くて警察に捕まる程度か」という認識を中国に持たせれば、彼らは軽い気持ちで軍艦を出します。
 問題は、中国人が漁船で上陸した初期の段階で、なぜ、自衛隊が出動できないのかということです。
p34〜
 この段階で、日本政府が武力攻撃事態対処法に基づいて、防衛出動ができるかといえば、おそらくできません。つまり、自衛隊は動けない。日中関係を悪くしたくないと考える人たちから、「防衛出動を発令すると、中国を刺激してよろしくない」といういつものセリフが出て、そうこうしているうちにうやむやに終わってしまうのがオチです。
 おそらく、中国の正規軍が侵攻してくるという事態にでもならない限り、日本政府は武力攻撃事態として認定しないでしょう。
 では、諸外国ではこのような事態にどう対処しているのか。
 そもそも諸外国では、まず防衛出動が発令されることはありません。防衛出動というものは、ただ軍に対して命令を与えるだけのものですが、他国ではエリアの担当司令官に、その対応が任されています。
 例えば、あるエリアが他国から攻撃を受けた場合、当然、そのエリアの防衛を担当している司令官が対応することになります。有事の際には、司令官の判断で対応するというのが、普通の国のあり方です。事は突発的に起るものですから、もたもたしていたのでは時すでに遅し、ということになります。
 日本でも国内の事件の場合は、警察の判断によって警察が対応しますが、本来、防衛に関してもそれと同じで、警察のかわりに軍が柔軟に対応するべきです。
p35〜
 防衛出動が発令されるという異常な体制をとっているのは、日本だけです。日本の場合は、これが発令されなければ、自衛隊は動けないということです。 ◆経済発展によるカネで軍拡を続ける中国 2010年度の国防予算は日本円で6兆292億円 
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