東京高裁が握り潰した水谷裏ガネ証言崩す新証拠
日刊ゲンダイ2012年11月15日 掲載
小沢元秘書控訴番
14日、「国民の生活が第一」・小沢一郎代表の元秘書3人の控訴審第1回公判が開かれた。弁護側は、1審の“推認判決”が事実認定した「水谷建設からの裏金授受」を打ち消す新たな証拠を突きつけたが、東京高裁の飯田喜信裁判長は証拠請求を退けた。事件の「真相」を握りつぶされてしまうのか。
「裁判長は『真実は何か』について、目を開けていただきたい」
そう公判で熱っぽく訴えたのは、控訴審から元秘書・石川知裕衆院議員(39)の主任弁護士となった安田好弘氏だ。
「石川議員は昨年9月の1審判決で、水谷からの計1億円の裏金のうち、1回目の5000万円を受け取ったと認定されました。客観的な証拠はゼロ。それでも、裏金授受の発覚を恐れて収支報告書を虚偽記入したと断罪されたのです」(司法ジャーナリスト)
安田氏が発見した新証拠は、1審判決の根幹を崩す衝撃的な内容だ。
裏金は04年10月15日の午後2時か3時ごろ、東京・赤坂の旧全日空ホテルのロビーで、水谷の川村尚社長(当時)が現金を紙袋に入れて石川に手渡したとされる。安田氏は、当日のスケジュールを記した3つの手帳を提出。石川と大久保隆規・元秘書、さらに大手ゼネコン「鹿島」の東北支店長(当時)のものだ。
この日、大久保は「都合がつかなくなった」として、代理に石川を裏金授受の現場に行かせたはずだが、大久保の手帳は当日の午後7時まで真っ白。
代理を命じられた石川の手帳にも“大事な仕事”を示すような記載はない。
東北支店長の手帳には、午前中に水谷功会長(当時)に会ったと記されていた。川村社長は1審公判で「15日午前に1人で鹿島の東北支店におじゃまし、その後、新幹線で東京に戻り、水谷の東京支店で裏金を準備してホテルへ向かった」と証言したが、単独行動はウソ。当日は水谷会長に随行していたのだ。
さらに安田氏は水谷会長と川村社長の陳述書を提出。水谷会長は「支店に向かう前日、川村から『すでに裏金を渡した』と聞かされた」と述べ、川村社長も当日は会長と行動を共にしたことを認め、「今も現金を渡した相手の顔を思い出せない」「検事に『(裏金の授受は)15日じゃなきゃ、ダメだ』と念を押された」と述べたという。
いずれも1審で出なかった「新事実」で、裏金の授受を打ち消す内容ばかり。控訴審では当然、これらの新証拠を採用して審理を尽くすべきだが、飯田裁判長は真相究明から逃げた。
「新事実と向き合う気もなければ、最初から審理するつもりもない。右から左に1審のデタラメ判決を維持するだけ。これでは控訴審は無意味です。職場を放棄する、とんでもない裁判長です」(元検事で関西大特任教授の郷原信郎弁護士)
元秘書の裁判で裏金疑惑が晴れなければ、小沢の汚名は完全には消えない。今回の暴挙には、司法判断を超えた圧力を感じるのだ。
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〈来栖の独白2012/11/15 Thu.〉
難しいことだ。小沢氏の場合、無罪が勝ち取れたのは、弁護人が定評ある弘中氏だったのも大きい。「安田さんだったら負けていた」と、夏の面会の折、K君(名古屋アベック殺人事件の受刑者)と話したことだ。
事実に依らず、証拠にも依らず、イメージで決める。これが司法の実態だ。裁判所というところは、世間の動向を殊の外、気にする。小沢さんも、安田さんに弁護を頼んでいたら、負けていた。裁判官の出世も懸っている(=官僚司法)。こんなところにメディアが群がり、現民主党政権のごとき政治家が、甘い蜜を吸う。こんな所が、裁きの庭だ。「証拠隠しがあった。想定と違う取り調べ内容は証拠化せず」と前田恒彦元検事も言っていた。
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◆ 小沢氏強制起訴 水谷元会長告白「1億円裏ガネ=ワケ分かりません。石川、大久保なんて会ったこともない」2011-02-02| 政治/検察/メディア/小沢一郎
小沢強制起訴 「裏ガネ授受」疑惑のキーマン水谷建設元会長 激白
日刊ゲンダイ2011/2/2
小沢疑惑のカギを握る「キーマン」が本紙に“衝撃”告白だ。その人物とは、7日に初公判が開かれる「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、衆議院議員石川知裕被告や大久保隆規被告らに「裏ガネ1億円を渡したと証言した」と報じられた水谷功氏(65)である。
「水谷建設側が04年10月と05年春の2回にわたって、小沢秘書に5000万円ずつ、計1億円を渡した。岩手の胆沢ダム関連工事を受注した謝礼だった」
09年11月から、大新聞テレビで一斉報道が始まった「水谷建設裏ガネ疑惑」。大マスコミは「検リーク」に乗っかり、以来、このカネが「陸山会が購入した世田谷の土地資金の原資になった」と決め付け、「小沢悪者キャンペーン」を展開してきた。
「脱税で三重刑務所に服役していた水谷元会長に、東京地検特捜部の検事が会いに行ったのは、09年夏ごろ。当時、西松建設をめぐるダミー団体献金事件で、小沢氏の第1秘書の大久保被告を逮捕・起訴したが、検察側のシナリオ通りに裁判が進まず、困り果て、すがったのが水谷元会長だったといわれています」(司法ジャーナリスト)
「水谷証言」が本当なら、小沢氏は即、逮捕・起訴されていただろう。ところが、検察は1年以上、捜査したが何の証拠も見つけられず、結局は不起訴。
現在、刑を終えて出所した水谷元会長を直撃した。
(1億円裏ガネ証言は)ワケ分かりません
記者「裏ガネ疑惑、証言内容は本当だったのか」
水谷氏「分かんないよ。知らないよ」
石川(議員)の『イ』の字も知りません 大久保(秘書)なんて会ったこともない
記者「04年と05年の2回、石川、大久保両被告に水谷建設がカネを渡したと報じられています」
水谷氏「石川、大久保なんて会ったこともない。石川被告の顔は報道でクローズアップされて知っているが、それまで石川のイの字も知らなかった」
記者「大新聞テレビでは、これまで、水谷氏が検事に『カネを渡したことを証言』などと報じられてきた。これは誤報ということですか」
水谷氏「何がどうなのか、ワケが分かんないよ」
記者「新聞テレビの記者は、証言の裏付け取材に来なかったのですか」
水谷氏「何人かは来たけど・・・。『こんな話、聞いたことがありますか』って言うから、『聞いたことぐらいはあるな』とは答えたたが・・・」
記者「“証言”の否定会見はしないのですか」
水谷氏「どうでもエエ。私には分からん。あんた方は私のことを勝手に書いて・・・」
いやはや、仰天発言ではないか。検察が書いたシナリオに水谷氏はうなづいただけなのか。
検察はなぜか水谷氏を証人申請していない。「裏ガネ疑惑」をどう立証するつもりなのか。もういい加減にした方がいい。
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◆ 陸山会事件公判 水谷建設の元運転手証言「川村尚元社長を裏金5千万円受渡し現場へ送った記憶、ない」2011-05-24 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
◆ ロッキード事件に酷似 陸山会事件公判 (川村尚)証人が具体的に述べれば述べるほど低下するリアリティ 2011-04-28 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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◆ 小沢一郎氏裁判/司法官僚によって行使される人事権は全国の裁判官たちに絶大な影響力をもつ 2012-01-19 | 政治/検察/メディア/小沢一郎
新藤宗幸著『司法官僚』〔裁判所の権力者たち〕(岩波新書)
“司法官僚は全国の判決や訴訟指揮の情報を集める。それをもとに行使される人事権は全国3500名の裁判官たちに絶大な影響力をもつ。10年ごとの再任の有無、昇級、転勤を司法官僚が決める。事務総局が召集する「合同」と呼ばれる研究会も下級審の裁判内容を遠隔操作する結果を生む。
裁判とは社会で周縁においやられた人々の、尊厳回復の最後の機会である。必死の訴えをする人々に遭遇したとき、裁判官は全人格的判断をもって救済に当たるべきだ。しかし、人々の目にふれぬところで、裁判官の内面までゆがめ、その存在理由をあやうくしているシステムがあるのだとすれば大問題である。
政権交代とは闇を打破る時代のことであろう。本書の提言にかかる裁判所情報公開法などによって司法の実態にも光が当てられ、真の改革が着手されるべきだ。 ”
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◆「死刑弁護人」安田好弘弁護士の人間像に迫る/東海テレビ 2011/10/10/ 00:45〜 2011-10-08 | 死刑/重刑/生命犯 問題
東海テレビ「死刑弁護人」安田好弘弁護士 人間像に迫る
山口県光市母子殺害事件の差し戻し控訴審で主任弁護人を務めた安田好弘弁護士の人間増に迫るドキュメンタリー「死刑弁護人」を東海テレビが制作した。10日午前零時45分から東海エリアで放送する。引き受け手の少ない死刑求刑事件の被告の弁護を数多く担当する姿を通じ、裁判員制度導入後の司法の在り方を問う。(服部聡子)
*職責全う 格闘描く
コンビで秀作ドキュメンタリーを生んできた阿武野勝彦プロデューサーと斉藤潤一ディレクターが放つ司法シリーズの8作目。2008年に放送した3作目の「光と影〜光市母子殺害事件 弁護団の300日」の取材を通じ、安田好弘弁護士と出会ったのが制作のきっかけだ。
「弁護士の職責を全うしようとする生き方をきっちり描きたいと思った」と斉藤ディレクター。マスコミ嫌いの安田弁護士を説得し、昨年8月から9か月間、カメラを回した。
*「死刑は解決にならぬ」
安田弁護士は63歳。従来の供述を覆して殺意を否定する主張を展開し「鬼畜」とバッシングを受けた光市の事件以外にも、和歌山毒カレー事件の林真須美死刑囚やオウム真理教事件の麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚らの重大な死刑求刑事件を数多く担当してきた。
番組では「死刑は何の解決にもならない。事実を出すことで本当の反省と贖罪が生まれる」と、現場を徹底的に歩き、資料の山と格闘する多忙な日常や、死刑廃止運動の取り組みを追う。その一方で、生死に直結する死刑事件を背負う重みや、被告が生きた社会的背景も浮き彫りにする。
無期懲役の判決を受けながら服役中に自らの命を絶った新宿西口バス放火事件(1980年)の丸山博文受刑囚に対し「ちゃんと弁護してなかった」と悔やむ表情が印象的だ。「死刑の絡む事件の弁護は、最後まで背負うこと」との言葉が重い。
過去の事件の関連映像を盛り込み、放送時間は1時間45分とシリーズ最長。ナレーターは、反原発活動で注目を集める俳優の山本太郎が担当した。斉藤ディレクターは「少数派の意見をしっかり伝えることが裁判をいろんな見方で考えることにつながる」と語る。
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放送は当初、9月上旬の予定だったが、東海テレビの「ぴーかんテレビ」の不適切なテロップ表示問題を受けて延期に。さらに同コンビが手掛けた番組「記録人 澤井余志郎〜四日市公害の半世紀〜」は日本民間放送連盟賞最優秀賞辞退に追い込まれた。阿武野プロデューサーは複雑な心中を明かしながら「信頼を回復していくのは大変だが、番組以外にお返しできるものはない。礎となるような番組をこつこつ作っていくしかない」と語った。
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◆安田好弘著『死刑弁護人 生きるという権利 』 ・ 『光市事件 裁判を考える』2008-05-13 | 読書
安田好弘著『死刑弁護人 生きるという権利』講談社α文庫
p3〜
まえがき
いろいろな事件の裁判にかかわって、はっきりと感じることがある。
なんらかの形で犯罪に遭遇してしまい、結果として事件の加害者や被害者になるのは、たいていが「弱い人」たちなのである。
他方「強い人」たちは、その可能性が圧倒的に低くなる。
私のいう「強い人」とは、能力が高く、信頼できる友人がおり、相談相手がいて、決定的な局面に至る前に問題を解決していくことができる人たちである。
そして「弱い人」とは、その反対の人、である。
私は、これまでの弁護士経験の中でそうした「弱い人」たちをたくさんみてきたし、そうした人たちの弁護を請けてきた。
それは、私が無条件に「弱い人」たちに共感を覚えるからだ。「同情」ではなく「思い入れ」と表現するほうがより正確かもしれない。要するに、肩入れせずにはいられないのだ。
どうしてそうなのか。自分でも正確なところはわからない。
大きな事件の容疑者として、連行されていく人の姿をみるたび、
「ああ、この人はもう一生娑婆にはでてこられないだろうな・・・」
と慨嘆する。その瞬間に、私の中で連行されていく人に対する強い共感が発生するのである。オウム真理教の、麻原彰晃さんのときもそうだった。
それまで私にとって麻原さんは、風貌にせよ、行動にせよ、すべてが嫌悪の対象でしかなかった。宗教家としての言動も怪しげにみえた。胡散臭いし、なにより不遜きわまりない。私自身とは、正反対の世界に住んでいる人だ、と感じていた。
それが、逮捕・連行の瞬間から変わった。その後、麻原さんの主任弁護人となり、彼と対話を繰り返すうち、麻原さんに対する認識はどんどん変わっていった。その内容は本書をお読みいただきたいし、私が今、あえて「麻原さん」と敬称をつける理由もそこにある。
麻原さんもやはり「弱い人」の一人であって、好むと好まざるとにかかわらず、犯罪の渦の中に巻き込まれていった。今の麻原さんは「意思」を失った状態だが(これも詳しくは本書をお読みいただきたい)、私には、それが残念でならない。麻原さんをそこまで追い込んでしまった責任の一端が私にある。
事件は貧困と裕福、安定と不安定、山の手と下町といった、環境の境目で起きることが多い。「強い人」はそうした境目に立ち入らなくてもじゅうぶん生活していくことができるし、そこからしっかり距離をとって生きていくことができるが、「弱い人」は事情がまったく異なる。個人的な不幸だけでなく、さまざまな社会的不幸が重なり合って、犯罪を起こし、あるいは、犯罪に巻き込まれていく。
ひとりの「極悪人」を指定してその人にすべての罪を着せてしまうだけでは、同じような犯罪が繰り返されるばかりだと思う。犯罪は、それを生み出す社会的・個人的背景に目を凝らさなければ、本当のところはみえてこない。その意味で、一個人を罰する刑罰、とりわけ死刑は、事件を抑止するより、むしろ拡大させていくと思う。
私はそうした理由などから、死刑という刑罰に反対し、死刑を求刑された被告人の弁護を手がけてきた。死刑事件の弁護人になりたがる弁護士など、そう多くはない。だからこそ、私がという思いもある。
麻原さんの弁護を経験してから、私自身が謂われなき罪に問われ、逮捕・起訴された。そういう意味では私自身が「弱い」側の人間である。しかし幸い多数の方々の協力もあり、1審では無罪を勝ち取ることができた。裁判所は検察の作り上げた「作文」を採用するのでなく、事実をきちんと読み込み、丁寧な判決文を書いてくれた。
多くの人が冤罪で苦しんでいる。その意味で、私は僥倖であった。
この国の司法がどこへ向かっているのか、私は今後も、それを監視しつづけていきたいと思っている。「弱い人」たちに、肩入れしつづけていきたいと思っている。(〜p5)
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