小沢一郎と秘書 2つの裁判が見せたまったく違う様相
小沢秘書裁判 東京高裁が「新証拠」を無視
dot. (更新 2012/11/20 07:00)
東京高裁は12日、陸山会事件で強制起訴された「国民の生活が第一」の小沢一郎代表(70)に対し、“2度目”の無罪を言い渡した。小川正持裁判長は、問題となった政治資金収支報告書の虚偽記載について、一審と同様、小沢氏の共謀と故意を認めなかっただけではなく、“実行犯”とされた元秘書の石川知裕衆院議員(39)らについても、「虚偽記載の故意があったとは認められない」とした。
ところが、その2日後に開かれた石川氏ら元秘書3人(一審で有罪)の控訴審では、同じ事件がまったく違う様相を見せた。
同じく102号法廷で開かれた初公判で、飯田喜信裁判長は、無罪を訴える弁護側が取り調べるよう求めた“新証拠”の大部分を「やむをえない事由も必要性もない」などとして却下したのだ。
石川氏らの虚偽記載を認定した一審判決では、その動機について、胆沢ダム工事発注の見返りに受けた裏ガネの発覚を恐れたため――とした。今回、石川氏らの弁護団は、この核心部分を覆す可能性のある新証拠を提出していた。石川氏と、同じく罪に問われている大久保隆規元秘書の「手帳」である。
一審が認めたストーリーでは、中堅ゼネコン水谷建設から「裏ガネ」を受け取った当日、本来は大久保氏が行く予定だったが、都合がつかなくなったため、石川氏が代理として向かったことになっている。しかし、両人の「手帳」には、その日の午後7時まで一切の予定が書かれていなかった。
石川氏の主任弁護人である安田好弘氏が言う。
「石川氏が裏ガネを受け取った事実はありません。手帳を見ればわかるが、当日、大久保氏には石川氏に代理を頼まなければならないような仕事は入っていなかったし、石川氏も頼まれていなかった」
さらに、石川氏に裏ガネを渡したとする水谷建設元社長の証言に疑問符がつく証拠も見つかったが、これも採用されなかった。
一連の裁判を傍聴してきたジャーナリストの江川紹子氏は、こう指摘する。
「この証拠の採否を見る限り、『有罪』という結論は一審と変わらないでしょう。高裁は概して事実調べに消極的ですが、土地の本登記の時期をずらす案を石川氏ではなく仲介業者側が提案したとする業者の小沢公判での証人尋問調書など、事件に直結する証拠すら調べないのであれば、いったい何のために控訴審があるのでしょうか」
※週刊朝日 2012年11月30日号
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元小沢秘書の石川知裕議員「1審判決を覆す自信ある」
日刊ゲンダイ2012年11月14日 掲載
14日「陸山会事件」控訴番
「国民の生活が第一」の小沢一郎代表に対する無罪判決は、予想通りの結果でした。冷静に受け止めましたね。
それよりも、気になったのは判決の「中身」です。小沢氏の裁判は、私の裁判と基本的な「証拠」は同じ。それなのに、裁判所の判断はまったく違う。控訴審では、「故意ではない」と、事件性そのものが否定されました。
高裁は、収支報告書の“記載ミス”は、私が違法性を認識せずに行き当たりばったりで行ったと判断した。確かにその通りです。おっちょこちょいと言われればそれまでで、そこは反省していますが、「表に出すとマズイ金を隠そう」という意図は、まったくありませんでした。高裁でも指摘された通り、隠すつもりなら、他にもっとうまいやり方がいくらでもあった。
私の1審判決が「推認」だらけの不条理なものになったのは、「水谷建設からの裏ガネを隠すため」という動機から事件を組み立てたからでしょう。でも、そもそも裏ガネなんて受け取っていないのだから、スタート地点が間違っている。論理的に無理が生じるのは当たり前なのです。
14日から始まる控訴審では、裏ガネはなかったという客観的な証拠を示したいと思っています。裏ガネがなければ、虚偽記載の動機は消える。犯罪は成り立ちません。もちろん、水谷建設の水谷元会長や川村元社長の証人申請もします。どこから裏ガネなんて話が出てきたのか。誰がこんな冤罪をデッチ上げたのか。私も真相を知りたいのです。
私の2審判決が出るのは来年3月ごろでしょうか。その間には、確実に総選挙もある。裁判を抱えながらの選挙はキツイですが、両方とも負けるわけにはいきません。私が負ければ、主権者たる国民が、司法権力の暴走に屈することになってしまう。この国の民主主義のためにも、必ず逆転無罪を勝ち取ってみせます。
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小沢代表無罪判決:「冷静に受け止めている」…石川議員
毎日新聞 2012年11月12日 13時12分(最終更新 11月12日 13時25分)
小沢一郎代表の2審無罪判決を受け、元秘書で衆院議員の石川知裕被告(39)は「判決は冷静に受け止めているが、同じ証拠でもこれだけ評価が違うのかという思いだ。判決は我々元秘書の虚偽記載(の故意)も認めなかったので、控訴審で無罪を勝ち取れるように頑張りたい」と話した。石川議員は14日に自身の控訴審第1回公判を控えている。【鈴木一生】
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◆ 東京高裁が握り潰した水谷裏ガネ証言崩す新証拠/小沢氏も、弁護人が安田さんだったら負けていた 2012-11-15 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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小沢一郎と秘書 2つの裁判が見せたまったく違う様相 『週刊朝日 2012年11月30日号』
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