【自民党政権 期待と不安】安倍政権、韓国とは原則を曲げない勇気と誠意が必要★(5)
zakzak2012.12.24
韓国の大統領選挙で、与党の朴槿恵氏が当選した。日本にとっては好ましい結果だが、反日の立場から攻撃されやすい父親を持つからこそ、新大統領の立場を悪くするようなことをしないよう、安倍晋三政権の慎重さが求められる。
慎重であるということでは、欧米世論に対しても同様だ。安倍氏には、前回の首相在任時に対米関係が良かったという自負があるだろうが、その時は共和党政権だった。
日本と太平洋戦争で戦ったり占領行政を行ったのは民主党だし、岸信介元首相と日米安保改定をしたのは共和党だ。民主党は女性の権利や人権の擁護、戦争や植民地支配に伴う人道に反する行為への追究といったことに非常に敏感だし、社会主義国には融和的だ。
明治維新以来、アメリカは辛亥革命までは日本寄りで、だからこそ日露戦争にも勝てた。だが、のちに中国寄りになり、太平洋戦争の開戦と敗戦につながった。日本がアジア外交を有利に展開するには、アメリカ政府や世論を味方に付けることが絶対条件だが、民主党政権下ではハードルが高い。
慰安婦、南京事件などについても、間違いを正すのはいいが、何も問題はなかったといわんばかりの言動をしたり、開き直るような態度をとったり、そう誤解されたりしないように細心の注意が必要だ。
憲法改正や東京裁判批判がいけないはずないが、アメリカの占領行政一般に否定的という印象を与えることは、イラク占領批判などにくみするもので、国益を危機にひんせしめるだろう。
韓国との関係では、慎重であるばかりでなく、天皇陛下のご訪韓を模索してはどうか。陛下の先祖に百済王室を持たれるという「ゆかり発言」は韓国人に大歓迎された。沖縄でのさまざまなご発言も、好意的に地元で受け入れられている。
今週、フランスのオランド大統領がアルジェリアを訪問した。謝罪はしない原則は断固守りつつ、「132年間、不公正、粗暴な行為である植民地支配に服従させられてきた苦しみや暴力、虐殺などについて事実を認める」とし、フランス人でアルジェリア側に立って戦った人物の慰霊碑を訪れた。非常に好意的に受け止められているが、参考になるだろう。
この種の問題では、原則を曲げない勇気と可能な限りの誠意を見せる大胆さと両方が必要だ。皇室であればこそ、細々とした争点に踏み込まずに両国民のわだかまりを緩和できるのではないか。 =おわり
■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「本当はスゴい国? ダメな国? 日本の通信簿」(ソフトバンク新書)など。
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