和歌山カレー事件に新展開? 鑑定担当者「証拠捏造」で退職
dot.(更新 2012/12/26 07:00)
もはや多少の警察不祥事では驚かないが、これにはあきれ果てた。和歌山県警は12月17日、科学捜査研究所の主任の男性研究員(50)を、証拠品の鑑定結果を捏造した証拠隠滅、有印公文書偽造・同行使の疑いで書類送検し、停職3カ月の懲戒処分とした。
県警によると、研究員は2010年5月から12年6月まで、変死事件など7件の鑑定で、過去の事件のデータを流用したり、所長の公印を無断で押したりしていたという。
しかし、それだけではない。実はこの研究員、1998年7月に起きた「和歌山カレー事件」 で、殺人に使用されたヒ素の鑑定にかかわっていたのだ。
この事件で殺人罪などに問われ、判決が確定した林真須美死刑囚(51)は逮捕時から無罪を主張し、現在、再審請求中だ。
研究員は、県警監察課の取り調べに対し、カレー事件での捏造は否定しているというが、ほかの事件でのヒ素鑑定について、「写真のピントがあっておらず、チャートの波形が悪いと見栄えが悪いので、過去のものを流用した」「上司と折り合いが悪く、見栄えが悪いと叱られると思った」などと答えたという。
一連の捜査では、98年から03年にかけての19事件でも捏造があったことが発覚した。カレー事件は、まさにこの期間にあてはまる。
疑惑が明らかになった今年8月、県警はメディアに対し、「(研究員は)カレー事件にかかわったが、捏造はしていない」と言い切ったが、林死刑囚の夫・健治氏はこう憤る。「一方で提造していて、こちらは大丈夫という。こんなおかしい話はない」。
林死刑囚の弁護団も、「鑑定において研究員の果たした役割は重要だ。カレー事件の判決は、ヒ素の鑑定がきわめて大きな要因だった。県警にきちんと情報開示を求め、徹底的に追及したい」。
研究員は依願退職したというが、それで収まる問題ではない。
※週刊朝日 2013年1月4・11日号
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◆ 和歌山県警科捜研 主任研究員による鑑定結果捏造 【毒カレー事件】再審請求の行方はどうなる 2012-08-20 | 死刑/重刑/生命犯 問題
科捜研 鑑定デッチ上げで再注目される毒カレー事件
2012年8月20日(月)10時0分配信 日刊ゲンダイ
<再審請求の行方はどうなる>
和歌山県警に激震が走っている。捜査で押収した証拠品を分析する県警科学捜査研究所(科捜研)で、男性主任研究員(49)による鑑定結果の捏造(ねつぞう)が発覚したからだ。主任研究員は、別の事件の鑑定データを流用したり、鑑定書に所長の公印を勝手に押したりする手口で鑑定結果をデッチ上げた。県警の捜査で、10年5月〜12年6月の間に少なくとも計8回の捏造が確認されたという。
捏造鑑定書が作られていたのは、交通事故や無理心中、変死などの事件。虚偽公文書作成・同行使容疑で捜査している県警は、これらの鑑定書について「内部の説明資料」「鑑定自体には問題なし」と平静を装っているが、とんでもない話である。
「科捜研の鑑定結果は、裁判で有罪、無罪を判断するキメ手となる“超一級の証拠”です。その証拠を捏造なんて前代未聞。郵便不正事件や小沢事件で発覚した検察の捏造調書と同じか、それ以上にタチが悪い。主任研究員は『見栄えのよい資料を作りたかった』と出来心を強調しているが、証拠品に対する意識が低過ぎる。主任がこんな認識では、組織全体で捏造が常態化していたとみられても仕方ありませんよ」(元検事の弁護士)
問題なのは、この捏造発覚が過去の重大事件にも影響を及ぼしかねないことだ。和歌山といえば、思い出すのは、98年7月の「和歌山毒カレー事件」だ。この事件では和歌山県警科捜研が当初、原因毒物を「青酸化合物」と誤鑑定する“大失態”を起こしていた。
「『ヒ素』と特定したのは、警察庁科学警察研究所(科警研)で、事件発生から9日後でした。この初動捜査の遅れが事件解明を困難にさせ、捜査の迷走を招いたのは間違いないでしょう。そのうえ、公判では、弁護人が『鑑定資料の収集、保管の過程がズサンで不透明』『保管や受け渡しの際の状況が、写真などの客観的証拠で保全されていない』と科捜研の不手際を批判しました。結局、事件は09年5月に最高裁で林真須美の死刑が確定=再審請求中=しましたが、状況証拠だけで死刑判決となった異例の事件だけに、今回の科捜研の捏造事件はカレー事件にも波紋が広がるかもしれません」(司法ジャーナリスト)
問題の主任研究員は、85年に技術職員として採用されたというから、カレー事件当時も在籍していたことになる。
今回の捏造発覚で、林真須美の弁護団は再審請求の攻勢を増すだろう。今ごろ、和歌山県警は頭を抱えているんじゃないか。
(日刊ゲンダイ2012年8月17日掲載)
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◆和歌山毒カレー事件
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「和歌山カレー事件」で、殺人に使用されたヒ素の鑑定担当者 「証拠捏造」で退職 和歌山県警科捜研
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