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「小沢一郎氏記者会見」2011年3月3日自由報道協会主催

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【小沢氏会見】
2011.3.3 23:20産経ニュース 
 民主党の小沢一郎元代表は3日、東京都内で「自由報道協会」が主催する記者会見に出席した。会見での主なやりとりは以下の通り。
 【16人の会派離脱問題】
 −−会派離脱を表明した民主党国会議員が、予算案の衆院本会議での採決を欠席した。どう受け止めるか
 「16人のみなさんは、それぞれ国会議員として自分自身で判断して決断し、自分の責任で行動したことですから、それは他の者がとやかく言う筋合いではないだろうと思います。特に、やはり、2009年のマニフェストの原点に戻って、それを基準にして、予算であれなんであれ、すべての自分たちの行動を律していきたい、そういうことでありますので、それはそれでひとつの考え方であろうと思います。私は私の立場で現時点では予算に賛成の票を投じております」
 【都知事選関連】 
 −−東京都知事選に神奈川県の松沢成文知事が出馬するが、政策の柱として首都圏メガロポリス構想を打ち出している
 「僕は詳しくは知らないが、自治体というのはどういう性格を持った、どういう中身のものかというのがはっきりしませんので、なんとも論評のしようがありません。それから道州制というのもよく言われますけども、道州制というのも自治体だとするならば、その性格、中身はどういうものか、まったく議論されずに言葉だけでいわれている。私としてはもっと自治体というものの性格、中身、そして国と自治体とのあるべき姿、そういうものをトータルで議論しないと、ひとつひとつ、言葉だけでの議論はあまり意味がないと思います」
 【金融政策】
 −−日本の金融政策について
 「日本の場合は、ゼロ金利を長年やっている。通貨の供給についても、可能な限りのことをやっていると思います。したがって、これ以上金融政策面で、どれだけの選択の幅があるかというと、それは割合少なくなっているのではないかと。通貨供給量をうんと増やしてゼロ金利、続けても現実に必要なところになかなか資金が流れない。特に、中小零細企業の資金繰りは非常に厳しい。競争力のある大手企業は自己資金が潤沢ですが、小さい、苦しいところにはお金が流れない。総量のうえではそういうことがなされて金利も低く、量も多くということをなされても、実態のほとんど日本経済を占める中小零細企業には、必要なところにはなかなか資金に流れないという実態面と、金融政策がとる幅が狭まってきているということで、それがまったくないとは言ってない。財政出動だけが必要とも申し上げたつもりはない。必要なことはやるべし」
 「それから、いわゆる所得再配分をもっと一般の勤労者のみなさんに手厚くするべきじゃないかと。また日本的雇用システムが小泉内閣のときに破壊されたので、この雇用の仕組み、あり方、将来に向けて日本社会の中で、安定して働いていける、見通しの持てるような雇用のシステムを再構築する必要があるのではないかと。やはり、景気には個人消費が一番に役割。日本で6割、アメリカで7割のGDPを占めている。この個人消費が伸びないと、本当の景気回復はできてこない。その意味で、所得の再配分をきちんとすべきだ。年金や医療、こういったセーフティーネットがきちんとしませんと、一生懸命働いて積み立てても、年金をもらえるかどうかわからないという状況では、これまた消費の拡大につながらないし、先行き不安でますます縮小してしまう。金融政策一本やりではなくて、そういった雇用や年金や医療の問題、所得再配分の問題、必要なインフラには公共投資もやるというトータルの経済対策が必要だと思う」
 【菅政権】 
  −−小沢氏は菅内閣を支持するのか、反対するか、やめてもらいたいのか
 「あっははは。政局論は、この会見では僕は申し上げないことにしていますが、基本的なことでいえば、私は菅さんよりも、誰よりも彼よりも民主党の政権を成功させたいと願っておるところでございます。なんとかして、民主党政権でうまく政策を実行し、国民の期待に応える、というのが私の描いておったベストな形でございます。ただ、私が申し上げているのは、菅さんうんぬんということではなくて、やはり2009年に国民に訴えたその原点、基本的な政治のあり方を忘れてはいけないと。これを忘れたんではそれはもはや政権交代の意味がない。最近、なんだ、自民党と同じじゃないかとか、自民党よりもかえってよくないんじゃないか、というような批判をする人が多くなっていると聞いているが、そういうふうな感じを国民に与えるとすれば、それは民主党の政権としては非常によろしくないと思っております。ですから、国民の今日の、内閣、党に対する支持率が著しく下がっているのも、やはりその点にあるのではないだろうかと。私どもはもう一度原点に返り、初心をもう一度自分の胸に問い直して、そして国民みなさんの期待に応えるようにしなければならないというが、私の偽らざる気持ちです」
 【TPP】
  −−菅政権のTPP推進の暴走についてどう考えているか
 「まず私は、基本的に自由貿易論者なので、なぜならば、自由貿易で一番利益を享受できるのは、日本であるということなので、自由貿易は可能な限り推し進めるべきだと思っております。ただ、その自由貿易を、自由競争をどんどん拡大していくためには、やはり、その準備、対応策をきちんと日本で国内でもっていないといけない。無制限な自由貿易は結局、弱肉強食の世界になってしまうので、それはどこの国でも同じことだ」
 「その雇用とか、年金とか、あるいは農林水産部門でのセーフティーネット、そういうものをきちんと構築したうえで、TPP、自由競争というものを可能な限り広げていることが筋論だと思う。今回のTPPっていうのは、内容もよく知らないが、菅さんが突然とみえる形で打ち出してきたわけでありますが、それについては多くの、たぶん中身を知れば知るほど多くの人が時期尚早、ないしは反対という結論になってしまうんじゃないだろうかと思う。農林水産業、特に、農業分野にだけのように多くの人、考えておりますが、おっしゃるとおり、あらゆる分野に渡る。そう簡単に『はいはい』というわけにはいかないだろうと思います」
 「もちろん、アメリカとの自由貿易協定もやるべきだと最初から議論してきたし、中身をきちんと知ったうえで国内的対応策もきちんとやって、そのうえでの自由競争は大いに結構なことだが、アメリカの議論も往々にして手前勝手なところもあるもんですから、そこはピシっと言うべきところは言いながら、時間かけて議論していくべきだと思う。拙速をすると、菅さんうんぬんじゃなくて、どの内閣、政府もたぶん命取りになるんじゃないかと。というのは、国民が知れば知るほど、現時点では、対応策のないままの現時点では、反対になるという可能性が強いと思ってます」
 【外交姿勢】
  −−日本の領土が危険にさらされている。ロシア、中国の両国に対し日本はどう臨むべきか
 「政府、政治の役割は、国土と国民を守るということが最大の任務であります。そういう意味において、最近、指摘のような、隣国の動きがあるわけだが、さっきのTPPの話も、その他のことも共通した問題点をはらんでいるが、日本政府がきちんとした、自らの主張をしないところに、事なかれ主義の、まさに官僚主導のあれに乗っかって、明確な自己主張、日本国政府としての主張がないところに、余計、必要以上に侮られる結果になるのではないかと思っております」
 「領土問題というのは、日米間で、沖縄返還、小笠原諸島の返還、平和裏に返還されたが、歴史上、戦争以外に領土がかえってきたという例はありません。大変領土問題は難しいが、今日、グローバルな民主化を目指すわれわれと人類の使命からすれば、きちんとお互いに話し合って、自分たちの主張をぶつけあいながらその結論を見いだしていくことが大事で、それがたとえロシア、中国、ことによってはアメリカという大国であっても、自己の主張はきちんとしっていくべきだろう」
 【武器輸出三原則】
  −−民主党の一部で緩和の動きがあるが見解を。小沢氏はかつて金丸信・自民党元副総裁がつくった「日本戦略研究センター」の会長を務め、緩和に賛成していたはずだが
 「形のうえでは会長をしていましたから、多くの、戦略研究所を構成する意見がそうであったということはそのとおりだと思う。会長であった以上、自分の責任の範囲であることは否定しないが、武器輸出というのは、ひとつは経済的な問題がひとつ。もうひとつは、大量生産しないとものすごくコストが高くなる面もある。ちっとずつ、ちっとずつ、作っていくと、飛行機だろうが船だろうがべらぼうな金額になる。両面があると思います」
 「ですから、そういう面で、特に、経済界や防衛関連のみなさんの中で強くなるということは知っておりますが、私はそのために武器輸出を広範に自由に認めていくべきだとは、ちょっと考えておりません。多少コストかかっても、ある程度は仕方がない。もうひとつはアメリカという、最も軍事産業の発達した同盟国がありますから、必要なものは買うことができるし、技術開発というのは常にやっていけることで、研究はできる。今、だんだん盛んになっている、経済界での議論には、私は全面的にくみすることができません」
 【元秘書の公判】
  −−陸山会事件の裁判を傍聴した。被告人質問では、石川知裕衆院議員の場合、思いつきで行動されていたり、引き継ぎをちゃんとやっていないなどの話がある。もうちょっと(事務処理を)ちゃんとやってくれていたら、と思ったりするのか
 「会計報告の面だけじゃなくして、何の問題でもお互いにやればよかったなとか、そういう面はたくさんあるが、一方で政治家にすべてのことについて、完璧なことを望まれるんであれば、もっともっとスタッフを何十人も国民が認めてくれるとか、そういうことでないと。スタッフはダメよ、政治資金はダメよ、なんでもしっかり全部やれよ、という話は事実上、難しいので私としては、彼らなりに、いわゆる単純ミステイクはいっぱいあったと思いますが、精いっぱいやっていてくれていたんじゃないかと思っています」
 【続日本改造計画】
  −−「続日本改造計画」が完成するとのことだが、今この時期に書かれた理由、動機、改造するうえで感じていることは何か
 「改造計画の続編といいますか、もう少し具体論に及んだものを国民みなさんに問いたいと思っていたのは、最近のことではありません。ずっと前から書いておりまして、5、6回推(すい)敲(こう)を重ねているので事実上、できているが、今日的な、いろいろな状況の変化、環境変化のこともありますので、実際に世に問うときには、またもう何回か手入れしなくてはいけないだろうと思っています。今すぐという予定はありません。何をしなくちゃならないのか、どうあるべきかというのは、もう出尽くしているんじゃないですかね。何しないといけないとか、みんなわかっている。あとは、やるかどうかが問題。したがって、私として、民主党政権がやるかどうか、やるんだという結論に行きたかったと思ってますし、今もそう思っていますけれども、大変、国民みなさんの見る目が厳しいのが現状ですので、なんとかしなくちゃいけないなあと思っております」
 【議会制民主主義】
 −−憲法で認めている三権分立は現在の日本ではきちんと機能しているのか
 「三権分立というよりも、日本では日本国憲法の理想とする、民主主義、議会制民主主義、その理解がまだ十分に浸透していないと思っているし、実態の議会政治の流れでも、それがきちんと確立していない、というのが私の思いだ。この半世紀ぶりの政権交代も、それをきっかけとして議会制民主主義を日本に定着させたいというのが私の大きな大きな願いのひとつ。したがってなお、道遠しでありますけども、民主主義の定着のために最大の努力をしてまいりたい」
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