国際激流と日本 悩ましい中国との関係構築、日本がまず行うべきは日米同盟の強化
JBpress2013.01.09(水) 古森 義久
新しい年の2013年、日本にとって対外関係で最も気がかりなのは米国、中国との関係だろう。
米国は日本の防衛にも責任を持つ同盟国だから、対米関係を堅固に保持することの重要性は言うまでもない。重要ではあるが、その具体的な対応については、日本側での迷いはあまりないだろう。いま存在する確実な同盟関係をそのままに保つ、あるいは強めていく、ということである。
ところが日本にとっての中国との関係はもっとずっと難しくなる。日中関係には険悪な対立要因が多々あり、どうなるか分からない部分が多いからである。
特に中国自体が日本に対してどんな政策を打ち出してくるかがなかなか予測できない。不確実性というのが日本にとっての対中関係の特徴なのである。
*「可燃性が高い」日中関係
ではそんな不安定な日中関係を米国はどう見ているのか。
その点の分析をまとめた報告が、米国の国防大学「国際戦略研究所(INSS)」から発表された。その核心は以下のようなものだった。
「日中関係には構造的に阻害要因が存在し、基本的な改善は当面抑えられたままとなる。だから悪化は避けられない」
かなり悲観的な見通しである。
しかし同報告は、日中関係の悪化への最有効な対策として「日米同盟の強化と日本の防衛の強化」を挙げていた。
誰でも指摘できるような平凡な対策のようにも響くが、米側の専門家集団としても、やはり日米同盟の強化こそが最善の対中政策だというのである。
この報告は「日中関係2005年から2010年」と題されていた。国際戦略研究所のジェームズ・プリシュタップ上級研究員が中心となって作成した。プリシュタップ氏は米国歴代政権の国務、国防両省や議会で過去30年以上、日本や東アジアを対象に政策の研究や形成を続けてきたベテラン専門家である。
さて、日中関係の現状や展望を分析したこの報告は、いまから2年前の2010年までを総括しているが、その時期の状況は現在に酷似している。しかも2年前の予測が現状をぴたりと当てている点が面白いと言える。
同報告は2010年までの5年間の日中関係では経済が両国の絆を深める一方、一連の「可燃性の高い政治的な課題」が存在してきた、と指摘する。その政治的な課題とは尖閣諸島の主権をめぐる領有権紛争、中国の軍拡に起因する両国間の安全保障の懸念、歴史問題、政治的価値観の差などだという。
こうした課題は「可燃性が高い」、つまりぼっと火がついて、炎が燃え上がる危険性が高いというのである。米国側は日中関係には炎が燃え上がる危険がある、と見ているわけだ。
*中国の反日潮流がもたらす日中関係の激動
しかし米国がなぜ日中関係の展望をこれほど気にかけるのか。
その答えは多々あろうが、まず最大のカギは日米同盟にあると言えるだろう。
米国は日本にとっての同盟国である。安全保障条約を結び、万が一、日本が軍事攻撃を受ければ、米国はその日本を守る責務を有する。だからいまの尖閣諸島を巡る日本と中国との対立でも、日中間に軍事衝突が起きれば、米国はほぼ自動的にその戦いに巻き込まれるのである。より正確には日本の味方となって、中国と戦うという羽目になるのだ。
その一方、米国にとって中国は数々の対立要因を抱えながらも、なお安定した関係を保ちたい大国である。その中国が日本と激突する事態はなんとか避けたいということになる。だから米国にとって日中関係の動向は重大な関心事となるわけだ。
同報告は「可燃性の高い政治課題」の扱いについて政策提言を記している。
「これらの政治課題は、日中関係に固有の爆発性を加味することになり、安定した関係の保持には日ごろからのこれらの課題の注意深い管理が欠かせなくなる」
報告はそうした課題の重要な一端として、中国側の反日潮流についても述べる。
「中国のナショナリズムの反日部分は、中国指導部には諸刃の剣ともなる。反日はまず、日本に対しての中国の道義的な優越性や、中国共産党の統治の正当性を誇示するために利用される。他方、その広まりは日中の経済関係を傷つけ、共産党の統治自体への非難ともなりかねない」
日中関係が激しく揺れ動く原因を考えると、中国側のこの反日潮流の役割が大きい。中国の国民一般の間には日ごろから日本を嫌い、憎む傾向がかなり強く存在する。中国共産党による長年の反日の教育や宣伝の効果が大きい。小学校や中学校の教科書でも日本については戦後の平和主義や軍事忌避、ソフト外交などについてはなにも教えず、戦争中の日本軍の残虐行為ばかりを拡大して教えるのである。だから普通の現代中国人は日本に対してはネガティブな思考や感情しか抱けなくなるのである。
そうした反日の背景があるため、共産党当局が日ごろのデモや集会の規制をちょっと弱めれば、日本への抗議を始めてもよいという信号が送られることになる。水道の蛇口をひねるように、「反日」の水を流せば、もともと水量は巨大だからいくらでも噴出することになる。あとは適当なところでその流れを止めることが肝要となる。あまりに長く放置すれば、反日の行動が広がり、反共産党にもなりかねないからだ。
*日本の防衛や安保の強化は中国との関係を深化させる
さてそんな背景にも光をあてながら、同報告は日中関係の将来を予測した。
「尖閣諸島などの領有権紛争は解決が難しく、日中関係全体を停止させるほどの潜在的な爆発性を有している。経済関係がいくら良くても、政治や安全保障の要因は日中2国間関係の全体を非常に険しくさせうる」
やはり日中両国の関係は「非常に険しく」なる展望が打ち出されるのである。
ではどうすればよいのか。
米国や日本が取るべき対策について、同報告は次のように述べるのだった。
「北京と東京の関係を安定させるための出発点は日米同盟の強化である。日米同盟こそが過去50年もアジア・太平洋だけでなくグローバルな安定を保つ支柱となってきたのだ」
「自国の防衛を強化して安全保障を高めた日本は、自信を強め、中国からの日米両国へのより多くの関与をも、自信をもって効果的に引き出すことができる」
日本の防衛や安保の強化は、まさに安倍新政権の政策目標である。その政策に「右傾化」というレッテルを張って反対することは、結局は、日米両国が中国への関わりを深化させることにも反対するという結果につながってしまう。
それでもよいということなのだろうか。
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◆「無法」中国との戦い方 古森義久著 小学館101新書 2012年12月8日初版第一刷発行
p3〜
はじめに 中国の「日本叩き」政策は「大成功」を収めつつある
中国での反日デモは「水道の蛇口」と同じ
2012年秋、中国の多数の都市で反日デモが荒れ狂った。日本が尖閣諸島を国有化したことへの中国の国民一般の怒りなのだという。
しかし、共産党の一党独裁で結社の自由や集会の自由が厳しく抑圧される中国では、国民一般からの自由な自然発生のデモというのはありえない。政府当局が黙認、あるいは煽動しない限り、多数の人間が集まること自体が許されないからである。
だから、中国での集会とかデモというのは、当局にとって水道の蛇口の操作に似ている。抗議の動きをどこまで許すかは、水道の蛇口から出す水の量を調節するのと同じなのだ。栓を開ければ開けるほど、水は勢いよく噴出してくる。もうこれで十分となれば、蛇口を閉めればよいのである。
p4〜
共産党支配が続く限り、反日暴動は繰り返される
私自身が目撃した実例は1999年5月の北京での反米デモだ。このデモは米軍機を主力とする北大西洋条約機構(NATO)軍機が当時のユーゴスラビアの首都ベオグラードの中国大使館を爆撃し、内部にいた中国人3人が死亡、20人ほどが重軽傷を負った事件への中国側の抗議だった。米国側は当初から一貫して誤爆だと弁解していた。
事件から数日もすると、北京の米国大使館前には連日、抗議のデモ隊が押しかけるようになった。当時、産経新聞中国総局長として現地に駐在していた私も連日、米国大使館前に出かけ、現状を眺めた。
このデモは完全に当局に管理されていた。デモ行進をして、米国大使館構内に石まで投げ込む当事者たちはみな北京内外の大学の学生たちだったが、全員がバスで動員されていた。大学ごとに現場近くにバスで運ばれてきた男女学生たちは、バスを降りて、隊列を組み、大使館前へと行進していく。その間、道路から石を拾って、大使館にぶつけるのだが、大使館の前には中国人警官が並んで立っていて、普通サイズの石を投げることは黙認するが、そのサイズが一定以上に大きくなると、すぐ停止させるという手の込んだ「管理デモ」だった。なにからなにまで中国当局がシナリオを描いた抗議デモだったのだ。
p5〜
今回の反日デモも、当局のそうした管理があることは明白である。ただし中国の国民一般の間では日本や日本人がそもそも大嫌いという向きが多いから、当局にとって「反日」の動きは放置するだけでも、盛り上がる。当局の管理はむしろ、どこで止めるか、である。反日が暴走して、「反中国共産党」「反中国政府」になってはならないのだ。
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◆ 「右傾化」批判の誤り/安全保障への無関心や不関与という極左から、真ん中へ向かおうとしているだけです 2012-12-19 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
【あめりかノート】「右傾化」批判の誤り ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
産経新聞2012.12.18 03:08 ワシントン駐在編集特別委員・古森義久
「安倍政権誕生となると、北京の論客たちはあらゆる機会をとらえて『日本はいまや右傾化する危険な国家だ』と非難し続けるでしょう。しかし『右傾化』というのが防衛費を増し、米国とのより有効な防衛協力の障害となる集団的自衛権禁止のような旧態の規制を排することを意味するのなら、私たちは大賛成です」
ブッシュ前政権の国家安全保障会議でアジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏が淡々と語った。日本の衆院選の5日ほど前、ワシントンの大手研究機関、ヘリテージ財団が開いた日韓両国の選挙を評価する討論会だった。日本については自民党の勝利が確実ということで安倍政権の再登場が前提となっていた。
CIAでの長年の朝鮮半島アナリストを経て、現在は同財団の北東アジア専門の上級研究員であるブルース・クリングナー氏も、「右傾」の虚構を指摘するのだった。
「日本が右に動くとすれば、長年の徹底した消極平和主義、安全保障への無関心や不関与という極端な左の立場を離れ、真ん中へ向かおうとしているだけです。中国の攻撃的な行動への日本の毅然(きぜん)とした対応は米側としてなんの心配もありません」
確かに「右傾」というのはいかがわしい用語である。正確な定義は不明なまま、軍国主義や民族主義、独裁志向をにじませる情緒的なレッテル言葉だともいえよう。そもそも右とか左とは政治イデオロギーでの右翼や左翼を指し、共産主義や社会主義が左の、反共や保守独裁が右の極とされてきた。
日本や米国の一部、そして中国からいま自民党の安倍晋三総裁にぶつけられる「右傾」という言葉は、まず国の防衛の強化や軍事力の効用の認知に対してだといえよう。だがちょっと待て、である。現在の世界で軍事力増強に持てる資源の最大限を注ぐ国は中国、そして北朝鮮だからだ。この両国とも共産主義を掲げる最左翼の独裁国家である。だから軍事増強は実は「左傾化」だろう。
まして日本がいかに防衛努力を強めても核兵器や長距離ミサイルを多数、配備する中国とは次元が異なる。この点、グリーン氏はフィリピン外相が最近、中国の軍拡への抑止として日本が消極平和主義憲法を捨てて、「再軍備」を進めてほしいと言明したことを指摘して語った。
「日本がアジア全体への軍事的脅威になるという中国の主張は他のアジア諸国では誰も信じないでしょう。東南アジア諸国はむしろ日本の軍事力増強を望んでいます」
同氏は米国側にも言葉を向ける。
「私はオバマ政権2期目の対日政策担当者が新しくなり、韓国の一部の声などに影響され、安倍政権に対し『右傾』への警告などを送ることを恐れています。それは大きなミスとなります。まず日本の対米信頼を崩します」
グリーン氏は前の安倍政権時代の米側の動きをも論評した。
「米側ではいわゆる慰安婦問題を機に左派のエリートやニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズが安倍氏を『危険な右翼』としてたたきました。安倍氏の政府間レベルでの戦略的な貢献を認識せずに、でした。その『安倍たたき』は日本側で同氏をとにかく憎む朝日新聞の手法を一部、輸入した形でした。今後はその繰り返しは避けたいです」
不当なレッテルに惑わされず、安倍政権の真価を日米同盟強化に資するべきだという主張だろう。(ワシントン駐在編集特別委員)
◆ 小沢一郎氏は「このままだと大政翼賛会」と言うが/ ただ単に戦争回避ではなく、「平和」の質が問われている 2012-12-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢一郎氏「このままだと大政翼賛会に」 初の首都演説
スポニチアネックス2012年12月11日 06:00
日本未来の党の小沢一郎前衆院議員が10日、4日の公示後初めて東京都内で街頭演説を行った。
公示日は愛媛県内の山間で遊説をスタートさせ、序盤に郡部を回り都市部へと支持の波を広げる得意の「川上戦術」を今回も展開。この日は中野駅前を皮切りに、墨田区の東京スカイツリー前など6カ所で演説を行い、「聞き慣れない政党名だと思うが、ずっと言い続けてきた“国民の生活が第一”の政治信念はまったく同じだ」と訴えた。
報道各社の情勢調査などで同党は劣勢で、「報道では自民党が勝利すると言われ、日本維新の会も民主党幹部も選挙後は自民党と連携すると言っている。こんな筋道の通らない話はない。このままだと戦前の大政翼賛会になってしまう」と批判。また、自民党の安倍晋三総裁について「首相の時には(ブレーンらが)核武装論議をすると言っていた」とした上で、自民党時代から“犬猿の仲”の日本維新の会の石原慎太郎代表についても「石原なにがしも核武装の話をしている。危なっかしい多数派が形成されてしまう」とけん制した。
・・・・・・・・・
〈来栖の独白2012/12/11 Tue. 〉
>戦前の大政翼賛会
>「石原なにがしも核武装の話をしている。危なっかしい多数派が形成されてしまう」(スポニチアネックス)
朝日新聞12月10日の記事によれば、「核武装とか、『この国はけしからんからやっつけろ』とか。そんなことで国民の命と暮らしを守れるのか」」「自立することと軍備を拡大し、核武装までする、そして、他の国々と対決するということは、全然別の話だ。ただ単に、口先だけ勇ましいことを言って、本当に国民の命を守れるのか、国土を守れるか」と、ある。
来たる衆院選挙の主な争点は、[日本未来の党]の主張によれば、消費税増税・卒原発・反TPPの3点で、これに脱官僚政治などが続くようだ。「憲法」については触れていない。これは、如何なものか。
尖閣諸島周辺には中国の船が出没し、公然と「核心的利益」を表明している。中国の覇権主義の触手は、日本にだけではない。チベットやウイグルは既に中国の圧政下にある。周辺諸国との摩擦が絶えない。北朝鮮はミサイルの打ち上げを表明した。
小沢氏の「ただ単に、口先だけ勇ましいことを言って、本当に国民の命を守れるのか、国土を守れるか」との言葉を、そのまま氏に問い返したい。
このまま中国の言いなりになっていれば「戦争」だけは回避できるだろう。しかし、それは、この国がチベットのように、ウイグルのように、中国の属国になるということだ。チベットでは、国固有の文化も失われている。憲法9条は戦争回避・軍事放棄を掲げてきた。占領国アメリカが押しつけ、望んだ「従順な被占領国ニッポン」であり続ける道筋を謳っている。そのように日本は戦後半世紀以上を生きてきた。米国は憲法改正させぬように、と改正には議会の3分の2以上の賛成を必要とするとした。
が、そのアメリカが、近年、日本の憲法9条、非武装に頭を悩ませている。アメリカでは、改憲を望む声が日増しに高くなっている。アメリカの国力の衰弱に反比例するように、中国の軍拡が目覚ましいからだ。加えて、中東など世界的規模で反米の波が高まっている。
このような国際社会のなかで、「平和」の質が問われている。ただ単に戦争が無ければよい、というものではないだろう。国家・国民の主権が尊重され、他国からの支配を受けないことが、真っ当な国としての要件だ。
「戦争放棄」を謳う憲法によって集団的自衛権を行使しない日本を、世界は決して尊敬していない。ハード・パワーを出さず、ソフト・パワーで体よく利ザヤを稼ぐ日本を、世界は卑怯だとみなしている。これが国際社会の現実である。護憲を声高に主張する人々には、国際社会の動向に疎く、独り善がりが多い。例えば北朝鮮についても、彼の国が世にも貧しい暮らしをしながら技術立国であることを、どの程度認識しているだろうか。
小沢氏は2009年に団を組織して訪中した。習近平氏を天皇さんに会わせたのも、小沢氏である。民主主義を断固認めず、核心的利益・覇権国家を標榜してやまない彼の国を鳩山内閣(実質・小沢政権)は「正三角形」と称して「日米中が対等に付き合う」と言った。国際社会とは、そのようなものではない。常に、力と力を見せ合い、戦っている。外交のひと言先には戦争がある。戦争を回避したいなら、属国・被支配を国民(未来=子孫)に強いる覚悟が要る。核武装は戦争のためではない。戦争抑止としての核の存在理由がある(核に転用できるという意味での原発の存在理由がある)。
国とは、国土・領海・主権、固有の文化が守られる「国家」でなければならず、国民は何人からも支配されず、尊厳が守られねばならない。
附けたりを一つ。
第2バチカン公会議は現代世界憲章78のなかで次のように言う。《平和とは、単なる戦争の不在でもなければ、敵対する力の均衡の保持でもありません》。
聖書に示される「平和」(シャローム)の本来の意味は《傷付いた部分のない状態》のことである。戦争がなく一見「平穏」に見える戦後日本は、聖書のメッセージから見れば、必ずしも平和とは言えず、国民は平和ボケ(仮想平和)に陥っていただけなのかもしれない。自分の周りのあちこちに、差別され軽んじられ痛む人がいるとしたら、それは「平和」ではない。国と国との関係においても、戦争はなくとも支配する国と支配される国とに分かれるならば、それは「平和」ではない。平和とは、「小さくされた人」を守るために戦うことだ。支配されたり、見下されたりしてはならない。旧約聖書(エレミア6・13-14)は次のようにいう。
《身分の低いものから高いものに至るまで、
皆、利をむさぼり、預言者から祭司に至るまで、皆、あざむく。
彼らはわが民の破滅を手軽に治療して、
平和がないのに「平和だ、平和だ」と言う。》
◆ なぜ「国防軍」が必要? 自衛官に正当な位置づけ、平和と主権・領土守る 2012-12-09 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
なぜ「国防軍」が必要? 自衛官に正当な位置づけ、平和と主権・領土守る
産経新聞2012.12.8 23:58
衆院選では自民党が政権公約に盛り込んだ「国防軍」をめぐる議論が改憲論とも絡んで浮上している。「国防軍」の必要性とは。自衛隊とは何が違うのか。あらためて考察した。
Q なぜ国防軍にする必要性があると主張されるのか
A 日本を取り巻く東アジア地域の情勢が不穏さを増しているのに、国家として真っ当な対応ができていないことへの危機感が背景にある。
中国は軍拡で覇権国家への道を邁(まい)進(しん)している。北朝鮮はミサイル発射を強行しようとし、尖閣、竹島、北方領土とわが国の主権や領土が脅かされる状況が次々と起こっているのに、有効な手が打てずにいる。
失態続きの民主党政権も見逃せないが、それ以前から、周辺国の公正と信義に信頼して日本の安全を守る、そのために軍隊を放棄していると定めた現行憲法に端を発していることが根本にある。
日本の平和を守るためにしかるべき備えは絶対必要で、国際基準に合致した「軍隊」を平和と主権・領土をしっかりと守るために有する、それが国防軍の考え方だ。
Q 自衛隊ではダメなのか
A 今の憲法では自衛隊は存在にまで疑義をもたれがちだ。自衛隊員はこれまで不当な処遇を受け続けてきたが本来、国防とは国家が国家である限り、なくてはならない大切な営み。自衛隊を国防軍にするのは、自衛官に正当な位置づけを与え、処遇するという意味でも不可欠だ。
自衛隊の前身は昭和25年に設けられた警察予備隊で、自衛隊は警察の延長線の組織。軍隊でも「戦力」でもなく、政府見解は「自衛のための必要最小限度の実力である自衛力」というものだ。
例えば尖閣諸島に漁民を装った武装民兵が上陸し自衛隊が出動しても、ただちに相手を撃つことは許されない。まず逮捕すべく努力する必要がある。警察の原則が適用されてしまうからだ。
国防軍としてきちんと位置づければ、そういうことはないが、自衛隊は法律で手足をしばられ、十分に対処できない。これが現実だ。
Q 野田佳彦首相は「中身が変わるのか」「ICBM(大陸間弾道弾)でも撃つ組織にするつもりか」などと批判し、改憲にも冷ややかだ
A 自民党が自衛隊を国防軍にする憲法改正草案を発表したのは今年4月で、この時は全く問題にならなかった。
野田首相の言動は多分に自民党が「危険な動き」を強めていると有権者に印象づける選挙戦術として持ち出された側面が強い。
だが、これまでにさまざまな改憲案が公党やシンクタンクなどから提案されており、その多くの案が「軍」「軍隊」「自衛軍」などと言葉の違いはあっても自衛隊を軍隊として位置づけている。
野田首相本人も著書『民主の敵』で「私は新憲法制定論者です。20世紀末頃には憲法論議がいろいろなところで出てきていたと思いますし、そういう機運は高まっていました。ようやく国民投票法まではいきました。戦前の大日本帝国憲法に対して、戦後の日本国憲法のことを、よく『新憲法』といいます。しかし、世界の憲法の中で、すでに15番目くらいに古い憲法になっているそうです。とても新憲法といえる代物ではありません。9条はもちろんですが…修正することをタブー視してはいけない」などと述べている。
自衛隊も「実行部隊としての自衛隊をきっちりと憲法の中で位置づけなければいけません」「自衛隊などといっているのは国内だけで、外国から見たら、日本軍です」とも記している。
国防軍を保有することは国際的にも“普通の国”の常識で、私たちの平和な暮らしを維持するうえでも不可欠なことだ。
Q 外国から見て「自衛隊は日本軍」というのはどういうことか
A 政府は、自衛隊は戦時国際法として捕虜の待遇改善などを定めたジュネーブ条約でいう「軍隊」にあたるという立場だ。ところがこれも国内的には憲法上の制約から軍隊ではないとしてきた。これは野田政権も同じ立場だ。
そうしなければ、戦争が起きた場合の殺傷行為は殺人として処罰される、といった支障が出るからだが、こういう“二枚舌”を、私たちは正面から正さず放置してきた。本来おかしいのは現行憲法の無理な拡大解釈を続けていることだ。
Q 一部の政党、メディアは改憲の動きを「平和憲法を葬る危険な動き」「平和憲法を守るべきだ」などと批判し、「右傾化」などという指摘すらしている
A そういう紋切り型の主張が戦後を支配してきたため、まともな議論にならないことが多い。「平和、平和」と念じているだけで平和な暮らしは得られない。
知日家である米ヴァンダービルト大のジェームス・アワー教授は「右傾化」との指摘を批判して、「日本は(国際基準では)センター(真ん中)にようやく来たということだ。危険視するのはおかしな議論だ」と述べている。
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〈来栖の独白 2012/12/9 Sun.〉
>「日本は(国際基準では)センター(真ん中)にようやく来たということだ。危険視するのはおかしな議論だ」
やっと真っ当な言説に出合えた。
◆ 「九条守れば攻撃されず。攻撃すれば世界中から非難される」〜世界の動向に疎い福島瑞穂氏の錯誤と無責任 2012-09-13 | 政治〈領土/防衛/安全保障〉
【金曜討論】「憲法9条」
産経ニュース2012.8.31 07:40
≪福島瑞穂氏≫
■尖閣で自衛権行使は疑問
−−9条の意義とは
「9条がなければ戦争ができる国になっていた。韓国の若者がベトナムに従軍したように日本も戦地に若者を送ったはずだ。韓国軍はベトナムで憎まれている。戦後の日本が戦争で人を殺さなかったことは誇ってよい。日本が今後、米国の利害に引っ張られて戦争への加担を強いられたときに、『NO』と断れるのが9条の効用だ」
●9条守れば攻撃されず
−−他国からの攻撃にはどう対応するか
「9条で『世界を侵略しない』と表明している国を攻撃する国があるとは思えない。攻撃する国があれば世界中から非難される」
−−中国政府に尖閣諸島を侵略される可能性はないか
「尖閣は民間人の所有だ。侵略は所有権侵害にあたり、領土侵犯に当たる。今(7月27日現在)のように経済的に両国の関係が密接ななか、中国政府は戦争という手段が取れるだろうか」
−−尖閣に自衛隊を常駐させる案が浮上している
「問題をこれ以上緊迫させるべきではない。尖閣は日本の領土であることは間違いない。日本には海上保安庁もある。自衛隊を置く必要はない」
●海外派遣は違憲状態
−−尖閣が攻められたとき、自衛隊を派遣することは自衛権の行使に当たるか
「刑法で正当防衛を認めているように日本にも個別的自衛権はある。四国や九州が攻撃されれば反撃は許される。しかし尖閣は人が住んでいない。個別的自衛権や9条の問題というより領土をめぐる問題として冷静に対処すべきだ」
−−具体的には
「国際的な交渉の舞台で解決を図るべきだ。侵略を未然に防ぐ外交努力も必要だ」
−−閣僚時代に自衛隊の憲法上の位置付けについて「合憲」との認識を国会答弁で示した
「社民党は自衛隊の存在について合憲か違憲か答えていない。外国にまで派遣できる状況は『違憲状態』と考えている。組織改編や規模の見直しは必要だ。ソ連崩壊後の北海道に今ほどの数の戦車を置く必要はあるのか。任務も災害救助などに比重を移すべきだ」
−−村山富市政権時に党は「合憲」と打ち出していた
「自衛隊、安全保障に関する党の見解は平成18年にまとめた社会民主党宣言で整理した。今もその見解が維持されている」
−−平和への思いを
「父は特攻隊の生き残りだった。子供の頃、終戦記念日に涙する父の姿を見た。戦争で傷つくのは父のような庶民だ。戦争に負けて手にした平和憲法や、戦争はしないという誓いは大切にしなければならない」
............
〈来栖の独白2012/9/13 Thu.〉
>「9条で『世界を侵略しない』と表明している国を攻撃する国があるとは思えない。攻撃する国があれば世界中から非難される」
なんという手前勝手な思い込み、無責任であることだろう。正気とは思えない。こんな人に政治は預けられない。石原慎太郎氏は次のように言う。
“尖閣諸島への中国の侵犯に見られる露骨な覇権主義が、チベットやモンゴルと同様、まぎれもなく、この国に及ぼうとしているのに最低限必要な措置としての自衛隊の現地駐留も行わずに”
同様に藤原正彦氏は言う。
“「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」と美しく飾ってみても、残念なことに「国益のみを愛する諸国民の権謀術数と卑劣に警戒して」が、現実なのです。”
憲法前文・9条が日本を守ってくれるなどと根拠のない楽観を決め込みたい人びとは、中国によるチベット侵略を思うとよい。チベットが果たして好戦的な国であったか。武器を蓄え、先制に出る国であったか。
日高義樹氏はその著『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』のなかで、日本人特有の主観・思い込みについて、次のように言っている。
“ 日本が現在に至るも世界の動向には疎く、日本の外で起きていることに注意しないまま、自分勝手な行動を取ることが多いが、こうした国民性は第2次大戦以前から変わっていない。
日米安保条約のもとで、アメリカがどう考えているかということに関わりなく、アジアの人々は、日本がアメリカの一部であり、日本の国土や船舶を攻撃することは、アメリカを攻撃することだと考えてきたのである。
日本では国際主義がもてはやされ、国際社会では民主的で人道的な関わり合いが大切で、そうした関係が基本的に優先されると思ってきた。だがこうした考え方が通ってきたのは、アメリカの核兵器による抑止力が国際社会に存在していたからである。そのなかでは日本はアメリカの優等生として受け入れられてきた。
日本は、国際社会における国家の関係は好き嫌いではなく、損か得かが基本になっていることを理解しなければならない。国際社会における国家は、国家における個人ではない。国際社会というのは、それぞれの国家が利益を守り、あるいは利益を求めて常に混乱しているのである。国家は、世界という利益競合体のなかにおける存在単位なのである。当然のことながら、好き嫌いといった感情が入る余地はない。 ”
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