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衆議員選挙から1か月 小沢一郎代議士について考える

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〈来栖の独白2013/01/14Mon.〉
 新年が新政権で迎えられたことは、まず喜ばしい。もう2度とノダ、マエハラ、アズミ、カン、センゴクといった面々の画像にお目にかかりたくない。民主党「ガキっこ」による政治ごっこには食傷である。とりわけ外交能力は極めて低く、中国という覇権国家、ならず者国家に対応できる政権ではなかった。
 2009年の小沢一郎氏秘書逮捕以降、私は氏のカテゴリーを設けて弊ブログで考えてきた。検察は氏を2度起訴できず、検察審査会に強制起訴を委ねた格好になったが、控訴審「無罪」確定で幕を閉じた。小沢裁判は元々無理筋のでっち上げであったから当然の帰結だった。そこに蠢いたのは、検察・メディア・政治家・・・あらゆる既得権益集団の「我欲」の姿だった。必ずしも小沢氏を有罪に定めるのではなく、容疑をかけ、刑事被告人に縛るだけで事足りた。「小沢一郎の政治生命を絶つ」という目的は達せられるのだった(そして、そのようになった。2012年12月16日の衆議院選挙で、小沢一郎氏は惨敗した)。
 小沢氏は周囲に「近いうちに選挙はある」と言い、公約の1つとして「脱原発」を掲げ、ドイツへ視察にも赴いた。自らの地元岩手県を始めとして、要所要所に民主党候補者に対する「刺客」擁立も進めた。岩手ではそれまでともにやってきた階猛(しな たけし)氏、黄川田徹氏に刺客を立て、野田前総理の千葉でも刺客を立てた。
 千葉で野田前総理の刺客として立候補した三宅雪子氏は「党が違えば、ましてや政策が違えば、各党が候補者を出すのは当然の話。民主党も離党者のところに出しているし我が党が突出しているわけではありません」と言われるが、岩手の階氏も黄川田氏も小沢氏に付いて離党すらしなかったものの、政策は小沢氏と同一で消費税増税に反対票を投じている。小沢氏が選挙で掲げた公約の筆頭は旧党名(『国民の生活が第一』)も示すように、反消費税増税であったはずで、ならば、いかほどの政策の違いというのであろうか。衆院選挙惨敗後の「生活の党」森裕子代表の民主党すり寄りなどを見せられれば、刺客擁立も[日本未来の党]分裂も、その論拠を喪うのである。
 やや情緒的に偏するかもしれないが、ドイツへ視察に赴く小沢氏の姿を見れば、選挙を「脱原発」で戦う『国民の生活が第一』からの立候補者、例えば青森の立候補者の苦衷を私は思わずにはいられなかった。また、私の郷里は岡山だが、岡山から鞍替えして千葉で衆院選に立候補が決まった姫井由美子さんの苦難をも思わずにはいられなかった。彼女は参議院議員だったから、今年夏までの議員としての寿命を縮めて、何の縁もないところで立ったのである。なんという過酷であることだろう。
 「生活の党」森裕子代表は13日のNHKの番組で「私たちは小沢氏の『自立と共生』の理念の下に集まっている」と発言したという。俄かに『自立と共生』という極めて観念的、抽象的な言葉を繰り出している。これでは「生活の党」と名乗ってはいても、政策が掴みにくい。どの党でも、標榜可能だ。意味はどのようにも取れる。「脱原発」「卒原発」は、どうなったか。
 いま一つ、重要な問題がある。小沢氏は昨年、安倍氏や石原慎太郎氏の言動を「まるで大政翼賛会」と評したが、小沢氏の国家観については疑義を禁じ得ない。2009年、民主党幹事長のとき、氏は団を組んで訪中した。中国の現在の覇権主義は、近年に始まったものではない。用意周到に遅くとも1970年代から練られたものだ。氏は日米の関わりについて、必ずといって「同盟国とは“対等な”国同士のことを言う。日米は対等ではない」と言われる。確かに日米は対等ではない。が、日中について、日米以上に「対等」な関係が結べるだろうか。
 アメリカは少なくとも民主主義国家である。が、中国はそうではない。すべての国が民主主義国家になるわけではない。中国は戦略を練りに練って尖閣に揺さぶりをかけ、挑発を繰り返して国連憲章の敵国条項を該当させ日米を分断、日本征服を企んでいる。
 2009年からすべての既得権益はマスコミを走狗としてイメージ作戦(政治とカネ)で小沢潰しに走ったが、いま小沢氏が「イメージ」で生き残ろうとしているかに見える。「まるで大政翼賛会」と揶揄する手法だ。
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三宅雪子 @miyake_yukiko35
@hana10to5 全く違いますね。党が違えば、ましてや政策が違えば、各党が候補者を出すのは当然の話。民主党も離党者のところに出しているし我が党が突出しているわけではありません。
12年12月29日 午前3:11
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「小沢代表」就任に期待 生活・森裕子氏
zakzak 2013.01.13
 「生活の党」の森裕子代表は13日のNHK番組で、現在無役となっている小沢一郎衆院議員の代表就任に期待感を示した。「私たちは小沢氏の『自立と共生』の理念の下に集まっている。力を合わせて頑張っていきたい」と述べた。
 生活の党は新執行部を発足させる党大会を25日に開く予定、党内では夏の参院選に向け、小沢氏の代表就任を求める声が強まっている。
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民主、小沢氏とは距離=生活の「擦り寄り」黙殺
時事通信2013/01/13-15:37
 小沢一郎氏率いる「生活の党」が、参院選での野党協力に向け、民主党に秋波を送っている。しかし、同党内には党分裂を引き起こした小沢氏への拒否感や、連携に伴う弊害を懸念する声が強い。小沢氏と近いとされる海江田万里代表ら民主党執行部も、生活側の働き掛けを当面黙殺せざるを得ないのが現状だ。
 「この間の経緯はあるが、お互い胸襟を開き、国民の生活が第一という原点に立ち返れば、協力することは可能だ」。生活の森裕子代表は11日の記者会見で、民主党との関係修復に強い期待を寄せた。
 小沢氏は今夏の参院選について「ばらばらにやって勝てるわけがないことは、小学生でも分かる」と周辺に語っており、反自民・公明勢力の結集を模索する。昨年12月の参院本会議での首相指名選挙では、生活の議員8人全員が決選投票で海江田氏に投票し、民主党への露骨な「擦り寄り」を示した。
 これに対し、民主党内には「引っかき回されるデメリットの方が大きい」(中堅)と、生活との連携に否定的な声が多い。民主党は日本維新の会やみんなの党との連携や選挙協力を目指しているが、生活との連携は小沢氏に反発する議員が多いことから、困難との見方が大勢。生活との連携に動けば、民主党が再び分裂するとの指摘もある。
 かつて民主党代表選で小沢氏に担がれた海江田氏だが、「私が『小沢さんと提携する』と言ったことは一度もない」と強調。生活とは距離を置く姿勢を示している。
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「100人当選」と小沢氏 嘉田氏、結党経緯語る
産経新聞2013.1.14 12:27
 滋賀県の嘉田由紀子知事は13日に大津市であった後援会の新年会で、日本未来の党の結党について、小沢一郎衆院議員から「あなたが出てくれたら(衆院選で候補者が)100人通る」と説得されて決断したと明らかにした。
 嘉田知事は「後から思えば信じるべきではなかった」と後悔をにじませ、謝罪したという。多くの候補者が民主党候補と競合したため「小選挙区で通るはずがなかった」と敗因を語った。
 昨年11月末に結党を表明した記者会見で嘉田知事は「『この指とまれ』で、今後、候補者を募っていく」と説明していた。
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 行き着く先は「カネ」 日本未来の党、“野合”1カ月で幕
 産経新聞2012.12.28 00:51
 「選挙互助会」と揶揄(やゆ)された日本未来の党が行き着いた先は政党交付金の“争奪戦”だった。勝ち取ったのは小沢一郎氏側。交付金の額は1月1日時点の所属国会議員数などに応じて決まるため、年内に政党の体裁を整えなければ、交付はお預けとなる。小沢氏側が主導権を握る形で“衣替え”を急いだのはこのためだ。結党から1カ月。「カネ目当て」の分裂劇への批判は免れない。(松本学)
 27日に国会内で行われた日本未来の両院議員総会は約20分間で終了した。
 「本物の『脱原発』に向けての第一歩を目指していきたい」
 代表の嘉田由紀子滋賀県知事に近い飯田哲也代表代行は会合後、記者団にこう語り、小沢氏側との対立の根深さをうかがわせた。
 所属国会議員は27日に離党届を提出した亀井静香氏を除くと16人。小沢氏と小沢氏系議員計15人は名称を変えて存続する「生活の党」に残り、嘉田氏と社民党出身の阿部知子衆院議員が党を追われる形だ。
 政党交付金を受け取るには、1月1日時点で(1)所属国会議員が5人以上(2)所属国会議員が1人以上で、国政選挙での得票率が2%以上−のいずれかの条件を満たさなければならない。
 存続する「生活の党」は、日本未来が受け取るはずだった平成25年分の政党交付金約8億6千万円(産経新聞試算)の大半を受け取ることができる。嘉田、阿部両氏らが新たな政治団体を結成しても交付金は受け取ることはできない。
 気になるのは今後の小沢氏側の動向だ。
 日本未来の国会内の控室に27日、就任挨拶のため訪れた民主党の海江田万里代表に、「生活の党」代表に就任する森裕子参院議員は満面の笑みを浮かべて“接近”を図った。
 「海江田万里8票プラスさせていただきました!」
 日本未来は26日に参院で行われた首相指名選挙の決選投票で、8人全員が海江田氏に票を投じている。森氏のパフォーマンスは、小沢氏側と民主党が手を握る新たな“野合”を想像させるものだった。
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◆  「小沢王国」に挑む 反旗翻した飼い犬たち=階猛/黄川田徹のもとに届いた小沢氏の妻和子夫人からの手紙 2012-08-21 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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「国民の生活が第一」脱原発で厳しい立場=横山北斗・中野渡詔子・平山幸司議員/国民の多数意見 第一 2012-07-12 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
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小沢一郎氏は「このままだと大政翼賛会」と言うが/ ただ単に戦争回避ではなく、「平和」の質が問われている 2012-12-11 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア 
 小沢一郎氏「このままだと大政翼賛会に」 初の首都演説
 スポニチアネックス2012年12月11日 06:00
 日本未来の党の小沢一郎前衆院議員が10日、4日の公示後初めて東京都内で街頭演説を行った。
 公示日は愛媛県内の山間で遊説をスタートさせ、序盤に郡部を回り都市部へと支持の波を広げる得意の「川上戦術」を今回も展開。この日は中野駅前を皮切りに、墨田区の東京スカイツリー前など6カ所で演説を行い、「聞き慣れない政党名だと思うが、ずっと言い続けてきた“国民の生活が第一”の政治信念はまったく同じだ」と訴えた。
 報道各社の情勢調査などで同党は劣勢で、「報道では自民党が勝利すると言われ、日本維新の会も民主党幹部も選挙後は自民党と連携すると言っている。こんな筋道の通らない話はない。このままだと戦前の大政翼賛会になってしまう」と批判。また、自民党の安倍晋三総裁について「首相の時には(ブレーンらが)核武装論議をすると言っていた」とした上で、自民党時代から“犬猿の仲”の日本維新の会の石原慎太郎代表についても「石原なにがしも核武装の話をしている。危なっかしい多数派が形成されてしまう」とけん制した。
............
〈来栖の独白2012/12/11 Tue. 〉
>大政翼賛会
>「石原なにがしも核武装の話をしている。危なっかしい多数派が形成されてしまう」(スポニチアネックス)
 朝日新聞12月10日の記事によれば、「核武装とか、『この国はけしからんからやっつけろ』とか。そんなことで国民の命と暮らしを守れるのか」」「自立することと軍備を拡大し、核武装までする、そして、他の国々と対決するということは、全然別の話だ。ただ単に、口先だけ勇ましいことを言って、本当に国民の命を守れるのか、国土を守れるか」と、ある。
 来たる衆院選挙の主な争点は、[日本未来の党]の主張によれば、消費税増税・卒原発・反TPPの3点で、これに脱官僚政治などが続くようだ。「憲法」については触れていない。これは、如何なものか。
 尖閣諸島周辺には中国の船が出没し、公然と「核心的利益」を表明している。中国の覇権主義の触手は、日本にだけではない。チベットやウイグルは既に中国の圧政下にある。周辺諸国との摩擦が絶えない。北朝鮮はミサイルの打ち上げを表明した。
 小沢氏の「ただ単に、口先だけ勇ましいことを言って、本当に国民の命を守れるのか、国土を守れるか」との言葉を、そのまま氏に問い返したい。
 このまま中国の言いなりになっていれば「戦争」だけは回避できるだろう。しかし、それは、この国がチベットのように、ウイグルのように、中国の属国になるということだ。憲法9条は戦争回避・軍事放棄を掲げてきた。占領国アメリカが押しつけ、望んだ「従順な被占領国ニッポン」であり続ける道筋を謳っている。そのように日本は戦後半世紀以上を生きてきた。米国は憲法改正させぬように、と改正には議会の3分の2以上の賛成を必要とするとした。
 が、そのアメリカが、近年、日本の憲法9条、非武装に頭を悩ませている。アメリカでは、改憲を望む声が日増しに高くなっている。アメリカの国力の衰弱に反比例するように、中国の軍拡が目覚ましいからだ。加えて、中東など世界的規模で反米の波が高まっている。
 このような国際社会のなかで、「平和」の質が問われている。ただ単に戦争が無ければよい、というものではないだろう。国家・国民の主権が尊重され、他国からの支配を受けないことが、真っ当な国としての要件だ。
  「戦争放棄」を謳う憲法によって集団的自衛権を行使しない日本を、世界は決して尊敬していない。ハード・パワーを出さず、ソフト・パワーで体よく利ザヤを稼ぐ日本を、世界は卑怯だとみなしている。これが国際社会の現実である。護憲を声高に主張する人々には、国際社会の動向に疎く、独り善がりが多い。例えば北朝鮮についても、彼の国が世にも貧しい暮らしをしながら技術立国であることを、どの程度認識しているだろうか。
 小沢氏は2009年に団を組織して訪中した。習近平氏を天皇さんに会わせたのも、小沢氏である。民主主義を断固認めず、核心的利益・覇権国家を標榜してやまない彼の国を鳩山内閣(実質・小沢政権)は「正三角形」と称して「日米中が対等に付き合う」と言った。国際社会とは、そのようなものではない。常に、力と力を見せ合い、戦っている。外交のひと言先には戦争がある。戦争を回避したいなら、属国・被支配を国民(未来=子孫)に強いる覚悟が要る。核武装は戦争のためではない。戦争抑止としての核の存在理由がある(核に転用できるという意味での原発の存在理由がある)。
 国とは、国土・領海・主権、固有の文化が守られる「国家」でなければならず、国民は何人からも支配されず、尊厳が守られねばならない。
 附けたりを一つ。
 第2バチカン公会議は現代世界憲章78のなかで次のように言う。《平和とは、単なる戦争の不在でもなければ、敵対する力の均衡の保持でもありません》。
 聖書に示される「平和」(シャローム)の本来の意味は「傷付いた部分のない状態」のことである。戦争がなく一見「平穏」に見える戦後日本は、聖書のメッセージから見れば、必ずしも平和とは言えず、国民は平和ボケ(仮想平和)に陥っていただけなのかもしれない。自分の周りのあちこちに、差別され軽んじられ痛む人がいるとしたら、それは「平和」ではない。国と国との関係においても、戦争はなくとも支配する国と支配される国とに分かれるならば、それは「平和」ではない。平和とは、「小さくされた人」を守るために戦うことだ。支配されたり、見下されたりしてはならない。旧約聖書(エレミア6・13-14)は次のようにいう。
 《身分の低いものから高いものに至るまで、
 皆、利をむさぼり、預言者から祭司に至るまで、皆、あざむく。
 彼らはわが民の破滅を手軽に治療して、
 平和がないのに「平和だ、平和だ」と言う。》
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『憲法が日本を亡ぼす』古森義久著 海竜社 2012年11月15日 第1刷発行
 はじめに 国家が国民を守れない半国家
p1〜
○世界でも異端な日本憲法
 「日本は国際社会のモンスターというわけですか。危険なイヌはいつまでも鎖につないでおけ、というのに等しいですね」
 アメリカ人の中堅学者ベン・セルフ氏のこんな発言に、思わず、うなずかされた。日本は世界でも他に例のない現憲法を保持しつづけねばならないという主張に対して、セルフ氏が反論したのだった。
p2〜
 だがその改憲、護憲いずれの立場にも共通していたのは、日本の憲法が自国の防衛や安全保障をがんじがらめに縛りつけている点で、世界でも異端だという認識だった。
p3〜
 事実、日本国憲法は「国権の発動としての戦争」はもちろんのこと、「戦力」も「交戦権」も、「集団的自衛権」もみずからに禁じている。憲法第9条を文字どおりに読めば、自国の防衛も、自国民の生命や財産の防衛も、同盟国アメリカとの共同の防衛も、国連平和維持のための防衛活動も、軍事力を使うことはなにもかもできないという解釈になる。日本には自衛のためでも、世界平和のためでも、「軍」はあってはならないのだ。
○日本は「危険な」イヌなのか?
 現実には日本はその普通の解釈の網目をぬう形で自衛隊の存在を「純粋な自衛なら可能」という概念をどうにか認めているだけである。だが、イラクに駐留した自衛隊がいかなる戦闘も許されず、バングラデシュの軍隊に守ってもらわねばならなかったという異様な状況こそが、日本国憲法の本来の姿なのだ。
 自縄自縛とはこのことだろう。いまの世界ではどの主権国家にとっても自国の領土や自国民の生命を守るために防衛行動、軍事行動を取るという権利は自明とされる。いや、自国や自国民を守る意思や能力や権利があってこそ、国家が国家たりうる要件だろう。国民にとっての国家の責務でもある。
 だが日本にはその権利がない。その点では日本は半国家である。ハンディキャップ国家とも評される。国際的にみて明らかに異常なこんな状態がなぜ日本だけで続くのか。
 「いまの日本は古代ギリシャの猛将ユリシーズが柱に縛られた状態ともいえるでしょう」
p4〜
 「アメリカも日本が憲法を改正して集団的自衛権を行使できるようにすることを求めると、やがて後悔するかもしれません。悪魔がいったんビンから出ると、もう元には戻らないというたとえがあります」
 日本を悪魔にまでたとえる、こうした趣旨の発言が続いたところで、冒頭に紹介したセルフ氏の言葉が出たのだった。
 彼は次のようにも述べていた。
 「全世界の主権国家がみな保有している権利を日本だけに許してはならないというのは、日本国民を先天的に危険な民族と暗に断じて信頼しないという偏見であり、差別ですね」
p5〜
○アメリカによる押しつけ憲法
 本書で詳述するように、日本国憲法は完全なアメリカ製である。しかも日本がアメリカの占領下にある時期にアメリカ側によって書かれ、押しつけられた。米側としては憲法での最大の目的は日本を二度と軍事強国にしないことだった。そのためには主権国家としての最低要件となる自衛の権利までをも奪おうとしていた。
p6〜
 あの激しい日米間の戦争を考えれば、まったく理不尽な目的だったともいえないだろう。
 しかし、日本側でも憲法は長年、国民多数派の支持を得てきた。とくに日本を世界の異端児とする憲法9条への支持が強かった。(略)
 アメリカの政策や日米同盟に反対し、ソ連や共産主義に傾く左翼勢力がとくに現憲法の堅持を強く叫んだ。日本国憲法を「平和憲法」と呼び、それに反対したり、留保をつける側はあたかも平和を嫌う勢力であるかのように描いて見せるレトリック戦術も、左翼が真っ先に推し進めた。
 アメリカがつくった憲法を反米勢力が最も強く守ろうとしたことは皮肉だった。だがこの憲法の半国家性をみれば、現体制下での国家の力を弱めておくことが反体制派の政治目的に会うことは明白だった。
p70〜
第3章 外敵には服従の「8月の平和論」
1 日本の「平和主義」と世界の現実
○内向きで自虐の「8月の平和論」
 日本とアメリカはいうまでもなく同盟国同士である。だが、そもそも同盟国とはなんなのか。
 同名パートナーとは、まず第1に安全保障面でおたがいに助け合う共同防衛の誓約を交し合った相手である。なにか危険が起きれば、いっしょに守りましょう、という約束が土台となる。
p72〜
 日本では毎年、8月になると、「平和」が熱っぽく語られる。その平和論は「戦争の絶対否定」という前提と一体になっている。
 8月の広島と長崎への原爆投下の犠牲者の追悼の日、さらには終戦記念日へと続く期間、平和の絶対視、そして戦争の絶対否定が強調されるわけだ。(略)
 日本の「8月の平和」は、いつも内向きの悔悟にまず彩られる。戦争の惨状への自責や自戒が主体となる。とにかく悪かったのは、わが日本だというのである。「日本人が間違いや罪を犯したからこそ、戦争という災禍をもたらした」という自責が顕著である。
 その自責は、ときには自虐にまで走っていく。(略)そして、いかなる武力の行使をも否定する。
p73〜
 8月の平和の祈念は、戦争犠牲者の霊への祈りとも一体となっているのだ。戦争の悲惨と平和の恩恵をとにかく理屈抜きに訴えることは、それなりに意義はあるといえよう。
○「奴隷の平和」でもよいのか
 だが、この内省に徹する平和の考え方を日本の安全保障の観点からみると、重大な欠落が浮かび上がる。国際的にみても異端である。
 日本の「8月の平和論」は平和の内容を論じず、単に平和を戦争や軍事衝突のない状態としかみていないのだ。その点が重大な欠落であり、国際的にも、アメリカとくらべても、異端なのである。
 日本での大多数の平和への希求は、戦争のない状態を保つことへの絶対性を叫ぶだけに終わっている。守るべき平和の内容がまったく語られない点が特徴である。
 「平和というのは単に軍事衝突がないという状態ではありません。あらゆる個人の固有の権利と尊厳に基づく平和こそ正しい平和なのです」
 この言葉はアメリカのオバマ大統領の言明である。2009年12月10日、ノーベル平和賞の受賞の際の演説だった。
p74〜
 平和が単に戦争のない状態を指すならば、「奴隷の平和」もある。国民が外国の支配者の隷属の下にある、あるいは自国でも絶対専制の独裁者の弾圧の下にある。でも、平和ではある。
 あるいは「自由なき平和」もあり得る。戦争はないが、国民は自由を与えられていない。国家としての自由もない。「腐敗の平和」ならば、統治の側が徹底して腐敗しているが、平和は保たれている。
 さらに「不平等の平和」「貧困の平和」といえば、一般国民が経済的にひどく搾取されて、貧しさをきわめるが、戦争だけはない、ということだろう。
 日本の「8月の平和論」では、こうした平和の質は一切問われない。とにかく戦争さえなければよい、という大前提なのだ。
 その背後には軍事力さえなくせば、戦争はなく、平和が守られるというような情緒的な志向がちらつく。
 2010年の8月6日の広島での原爆被災の式典で、秋葉忠利市長(当時)が日本の安全保障の枢要な柱の「核のカサ」、つまり核抑止を一方的に放棄することを求めたのも、その範疇だといえる。
 自分たちが軍備を放棄すれば他の諸国も同様に応じ、戦争や侵略は起きない、という非武装の発想の発露だろう。
p75〜
○オバマ大統領の求める「平和」との違い
 平和を守るための、絶対に確実な方法というのが1つある。それは、いかなる相手の武力の威嚇や行使にも一切、抵抗せず、相手の命令や要求に従うことである。
 そもそも戦争や軍事力の行使は、それ自体が目的ではない。あくまでも手段である。国家は戦争以外の何らかの目的があってこそ、戦争という手段に走るのだ。
 戦争によって自国の領土を守る。あるいは自国領を拡大する。経済利益を増す。政治的な要求を貫く。
 こうした多様な目標の達成のために、国家は多様な手段を試みる。そして平和的な方法ではどうにも不可能と判断されたときに、最後の手段として戦争、つまり軍事力の行使にいたるのである。それが戦争の構造だといえる。
 だから攻撃を受ける側が相手の要求にすべて素直に応じれば、戦争は絶対に起きない。要求を受け入れる側の国家や国民にとっては服従や被支配となるが、戦争だけは起きない、という意味での「平和」は守られる。
 日本の「8月の平和論」はこの範疇の非武装、無抵抗、服従の平和とみなさざるを得ない。なぜなら、オバマ大統領のように、あるいは他の諸国のように、平和に一定の条件をつけ、その条件が守られないときは、一時、平和を犠牲にして戦うこともある、という姿勢はまったくないからだ。
 オバマ大統領は前記のノーベル賞受賞演説で、戦争についても語った。「正義の戦争」という概念だった。
 「正義の戦争というのは存在します。国家間の紛争があらゆる手段での解決が試みられて成功しない場合、武力で解決するというケースは歴史的にも受け入れられてきました。武力の行使が単に必要というだけでなく、道義的にも正当化されるという実例は多々あります。第2次世界大戦でアメリカをはじめとする連合国側がナチスの第3帝国を(戦争で)打ち破ったのは、その(戦争の)正当性を立証する最も顕著な例でしょう」
 オバマ大統領はこうした趣旨を述べて、アメリカが続けるアフガニスタンでの戦争も、アメリカに対する9・11同時テロの実行犯グループへの対処として、必要な戦争なのだと強調するのだった。
 これが国際的な現実なのである。決してアメリカだけではない。どの国家も自国を守るため、あるいは自国の致命的な利益を守るためには、最悪の場合、武力という手段にも頼る、という基本姿勢を揺るがせにしていない。それが国家の国民に対する責務とさえみなされているのだ。
p77〜
 だから「8月の平和論」も、この世界の現実を考えるべきだろう。その現実から頭をもたげてくる疑問の1つは、「では、もし日本が侵略を受けそうな場合、どうするのか」である。
 日本の領土の一部を求めて、特定の外国が武力の威嚇をかけてきた場合、「8月の平和論」に従えば、一切の武力での対応も、その意図の表明もしてはならないことになる。
 だが、現実には威嚇を実際の侵略へとつなげないためには、断固たる抑止が有効である。相手がもし反撃してくれば、こちらも反撃をして、手痛い損害を与える。その構えが相手に侵略を思い留まらせる。戦争を防ぐ。それが抑止の論理であり、現実なのである。
 この理論にも、現実にも、一切背を向けているのが、日本の「8月の平和論」のようにみえるのだ。そしてそのことがアメリカとの同盟関係の運営でも、折に触れて障害となるのである。
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『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』日高義樹著《ハドソン研究所首席研究員》 2012年07月25日1刷発行 PHP研究所
p1〜
  まえがき
 日本の人々が、半世紀以上にわたって広島と長崎で毎年、「二度と原爆の過ちは犯しません」と、祈りを捧げている間に世界では、核兵器を持つ国が増えつづけている。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国に加えて、イスラエル、パキスタン、インドの3ヵ国がすでに核兵器を持ち、北朝鮮とイランが核兵器保有国家の仲間入りをしようとしている。
 日本周辺の国々では核兵器だけでなく、原子力発電所も大幅に増設されようとしている。中国は原子力発電所を100近く建設する計画をすでに作り上げた。韓国、台湾、ベトナムも原子力発電所を増設しようとしているが、「核兵器をつくることも考えている」とアメリカの専門家は見ている。
 このように核をめぐる世界情勢が大きく変わっているなかで日本だけは、平和憲法を維持し核兵器を持たないと決め、民主党政権は原子力発電もやめようとしている。
 核兵器を含めて武力を持たず平和主義を標榜する日本の姿勢は、第2次大戦後、アメリカの強大な力のもとでアジアが安定していた時代には、世界の国々から認められてきた。だがアメリカがこれまでの絶対的な力を失い、中国をはじめ各国が核兵器を保有し、独自の軍事力をもちはじめるや、日本だけが大きな流れのなかに取り残された孤島になっている。
 ハドソン研究所で日本の平和憲法9条が話題になったときに、ワシントン代表だったトーマス・デュースターバーグ博士が「日本の平和憲法はどういう規定になっているか」と私に尋ねた。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
 私がこう憲法9条を読み上げると、全員が顔を見合わせて黙ってしまった。一息おいてデュースターバーグ博士が、こういった。
「おやおや、それでは日本は国家ではないということだ」
 これは非公式な場の会話だが、客観的に見ればこれこそ日本が、戦後の半世紀以上にわたって自らとってきた立場なのである。
 このところ日本に帰ると、若い人々が口々に「理由のはっきりしない閉塞感に苛立っている」と私に言う。私には彼らの苛立ちが、日本が他の国々とあまりに違っているので、日本が果たして国家なのか確信が持てないことから来ているように思われる。世界的な経済学者が集まる会議でも、日本が取り上げられることはめったにない。日本は世界の国々から無視されることが多くなっている。
 日本はなぜこのような国になってしまったのか。なぜ世界から孤立しているのか。このような状況から抜け出すためには、どうするべきか。 *強調(太字・着色)は来栖
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相次ぐチベット族男性の焼身自殺 中国政府に抗議/石原慎太郎氏「日本を第2のチベットにしたくない」 2012-10-28 | 国際/中国/アジア
南シナ海では圧倒的海軍力で恫喝 軍艦と札束外交で東南アジア呑み込みを狙う中国/尖閣でも起こり得る 2012-10-19 | 国際/中国/アジア
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中国の奥の手は「敵国条項」中西輝政 月刊WiLL:2013年2月号 2012年12月20日発売 

       

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小沢一郎民主党幹事長 胡錦濤国家主席と会談「野戦軍の総司令官として解放戦が終わるまで徹したい」 2009-12-10 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア

    

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『世界の変化を知らない日本人』日高義樹著 2011年5月31日第1刷 徳間書店 

       

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小沢一郎「天皇観」の異様 小沢が突き進む「民主集中制」への道  中西 輝政京都大学教授

     

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『日本の悲劇 怨念の政治家小沢一郎論』中西輝政著 PHP研究所 2010年04月15日発行

    

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『アメリカに潰された政治家たち』孫崎亨著(小学館刊)2012年9月29日初版第1刷発行

     

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