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オウム全裁判が年内に終結/震災・原発・沖縄・死刑、いずれも軽重区別をつけてはならない命の問題

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オウム遠藤被告、9月に弁論=死刑上告で最後−最高裁
 地下鉄、松本両サリン事件など4事件で殺人罪などに問われ、一、二審で死刑とされたオウム真理教元幹部遠藤誠一被告(51)について、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は16日までに、弁論期日を9月29日に指定した。
 教団をめぐる一連の事件で死刑が言い渡されたのは13人。このうち11人が確定し、上告中の中川智正被告(48)も9月16日の弁論が決まっている。(時事通信2011/06/16-17:54)
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〈来栖の独白2011/06/18Sat.〉
 全裁判が終結、確定すれば、オウムの場合、次に来るものはかなり早期と予想される。国にとって最も効果的な時期、状況を選んで行われるだろう。
 昨年7月28日、千葉法相(当時)は東京拘置所在監の2名に対して死刑を執行した。私はこれを法務官僚に半ば屈した末の命令と受け止めたが、某テレビ番組で千葉氏と側近が語っていたところによれば、千葉氏は法相就任の極めて早い時期に執行命令の決断はしていたという。さまざまなことがあって命令の時期が遅れただけ、ということだった。命令書に判を押さないで済ませる気はなかった、と。
 死刑廃止思想の持ち主でいらしたから、執行について煩悶があったことは疑う余地はないだろう。が、氏は法相として死刑執行の決断はしていた、ということだ。なぜ、執行するか。彼女の云うことによれば、「死刑についての議論を国民の間で起してほしいから」ということであった。
 死刑囚2人に命を差し出させることで願った、死刑制度に関する国民的議論。その結果はどうだったか。一時的に騒いだだけではなかったろうか。
 3・11以降は東日本大震災以外のことを話題にすれば、顰蹙を買いかねない風潮である。ましや、「死刑」の議論など、ごくわずかの変人のすること、不謹慎の極みであろう。
 K君(名古屋アベック殺人事件、無期懲役者)は書信の中で次のように言う。
“衣食住の全てを税金でお世話になっている私たち受刑者は、東日本大震災や原発事故の関係で当然のことながら、節水や節電に取り組むことになります。昨年に続いて今年もまたとても厳しい夏になりそうですが、微力ながら私も「今の自分にできること」をしっかりと考えて実行してゆきたいと思います。”
 3・11以降、揺るがせにできない問題は数々起きた。中国は新規原発を稼働させたし、北方領土の問題、また沖縄については、それこそ国民が一緒になって考えねばならない問題をアメリカは提起してきている。それらすべて命の問題である。
 いかなる状況にあっても、不断にしっかりと考え、取り組んで「ここに問題があります」と言ってゆかねばならない。東日本大震災の問題も原発の問題も、そして沖縄、防衛・安全保障のことも死刑も、いずれも軽重区別をつけてはならない問題である。
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8月中に東京拘置所の刑場を報道陣に公開 平和(シャローム)とは「傷付いた部分のない状態」をいう2010-07-30 | 死刑/重刑/生命犯 問題
 〈来栖の独白 2010-07-30Fri.〉
 報道によれば、千葉法相は、8月中に東京拘置所の刑場を報道陣に公開するそうだ。これまで密殺・密行であった処刑。それが刑場だけでも、公開されることになる。
 故勝田清孝死刑囚は上告趣意書のなかで「犯罪の抑止に少しでも貢献できるのであれば大衆の面前での処刑をも辞さぬと純粋に考えたりする私です。」と述べ、東京拘置所在監の死刑囚坂口弘氏も“叶ふなら絞首は否む広場での銃殺刑をむしろ願はむ” と詠んでいる。
 また、私も弊ホームページのなかで、「死刑とは何か〜刑場の周縁から」と題して加賀乙彦氏や大塚公子氏の作品から、刑場と刑執行の有り様について考えてみた。
 裁判員制度が施行されて1年以上が経過した。本年は死刑という量刑も考えねばならない事案も出てくる、とも報じられている。国民は、死刑について知らねばならない。そのための水先案内人となって28日処刑に立会い、そしてまた本日「8月中に東京拘置所の刑場を報道陣に公開」と発表した千葉法相の英断を賛美したい。
 冗談(英断を賛美)は、ここまで。
 千葉法相は、「国民的な議論の契機にしたい」として28日の死刑執行を命令したと言う。如何にも乱暴、強引な理由付けではないだろうか。命を奪わず(執行せず)とも議論はできるのではないか。法相という重く高い立場のもたらす苦悩が私のような民間人には理解不能なのだろうが、私はどう考えても二人の命の喪失の上に何かが結実するとは思えないのである。千葉法相は、死刑廃止の理念を持っておられた。死刑廃止は「平和」と同じく、人類の叡智を傾けて成される高邁な理想である。手前味噌(私はカトリックの信徒である)を言わせて戴くなら、聖書によれば、「平和(シャローム)」とは「傷付いた部分のない状態」をいう。「国民的な議論の契機」が死刑執行であった、命を奪うこと(身体全損)であったなら、私は立ち上がれないような思いに閉ざされる。こんな契機で死刑廃止も平和も訪れるとは思えない。全存在を否定された二人の絶望を見過しにできない。
 また千葉氏は、死刑執行を法務官僚側から説得されたとの一部報道に対しては「まったく当たっていない」と答えているが、それも俄かに信じがたい。そもそも従来、法相に死刑執行を説得しない法務官僚など、あり得ない。「死刑執行命令書に判を押すこと」と「刑場の公開」は、双方がギリギリで見せたカードだったろう。1年近くも判を押さずに踏ん張った千葉氏が易々と判を押したとも思えず、永年開かずの扉を守ってきた法務省が易々と刑場を公開するはずもない。
 夢想しないではいられない。本日は叶わずとも、明日にでも死刑制度が廃止されるなら、刑場の公開も不要となる。「刑場の公開」ということは、この国が死刑を存置している、この先当分は存置する、ということだ。
 「死刑制度の存廃を含めたあり方を研究する勉強会も同月中に発足させる方針」とも言う。まだまだこの先当分、死刑は続きそうだ。「研究」や「勉強会」の類いが、早急に対応したためしはない。
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 中日春秋
 2011年6月17日
 太平洋戦争末期、東海地方で大地震が続き、甚大な被害が出たことを当時、大半の国民は知らなかった。軍部の報道統制で、新聞はわずかな事実しか伝えられなかったからだ▼昭和十九年十二月七日の東南海地震で、三重や愛知県などで約千二百人が犠牲になった。翌八日は太平洋戦争の開戦から三年。各紙の一面トップは昭和天皇の写真付きの記事だった▼中部日本新聞(中日新聞)でも、三面に二段の小さな記事だけだ。レイテ沖海戦にも敗れた厳しい戦況の下、国民の士気への影響を軍部は恐れたのだろう(保阪正康責任編集『昭和史講座』)▼一カ月後、愛知県三河地方を襲った直下型地震では、二千人を超える死者が出ている。中部日本新聞は「再度の震災も何ぞ 試煉(しれん)に固む特攻魂」の見出しを掲げ、被害状況にはほとんど触れなかった▼軍の情報統制は今はない。被災地や原発事故のニュースは厚みがある。それでも自問を重ねる。伝えるべきことを伝えられているか、震災報道の陰で埋もれている重要なニュースはないか▼北沢防衛相は、米普天間飛行場の代替え施設の滑走路をV字形にすることや、過去に多くの墜落事故を起こした垂直離着陸機オスプレイの普天間飛行場への配備を容認すると仲井真知事に通告した。<愛の反対は憎しみではなく無関心です>。マザー・テレサの言葉をかみしめている。
◆「千葉景子法相による死刑執行に抗議する」弁護士・ 安田好弘『年報 死刑廃止2010』 / 耕論 死刑 悩み深き森「執行の署名は私なりの小石」 元法務大臣 千葉景子さん


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