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過激派に染まる「アラブの春」 内戦兵器使い武装強化 民主化でイスラム台頭

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単独制圧に日米英は不信感 米部隊派遣は拒否 アルジェリア邦人拘束
zakzak 2013.01.19
 イスラム過激派武装勢力による外国人拘束事件で、アルジェリア軍は事件発生翌日の17日に制圧作戦に踏み切り、多数の犠牲者が出たと報じられている。アルジェリアが単独で敢行した作戦は、適切な準備とタイミングの下で実施されたのか。日米英など人質の出身国からは不信感や疑問の声が相次いだ。
 「彼ら(イスラム過激派武装勢力)は5台の小型四輪駆動車に人質を乗せて移動していた。そのとき、アルジェリア軍に行方を遮られた。軍は5台のうち4台を爆撃し、破壊した」
 残る1台に乗っていて辛くも窮地を逃れたというアイルランド人の男性が、故郷の家族を通じてロイター通信に証言した。
 上空からのヘリコプターによる爆撃に続いて、地上部隊が強行突入し戦闘は瞬く間に拡大。逃げ惑う人質で現場の天然ガス関連施設は極度の混乱に陥った。人質が過酷な状況に置かれた点からも、作戦は「救出」より「制圧」に重点を置いていたことがうかがえる。
 アルジェリアは長期に及ぶイスラム過激派武装勢力との戦いを通じ、「テロリストとは交渉しない」との姿勢を取ってきた。しかし、AP通信によると、同国は米軍が申し出た救出チームの派遣を断った上、4時間以内に展開可能な態勢を取った米海兵隊などの力も借りず、独自の作戦行動に固執した。
 多数の外国人を巻き込む深刻な事態にもかかわらず、なぜアルジェリアが単独で早期制圧に踏み切ったかの合理的な説明はない。拙速ともいえる作戦の開始については、対テロ戦で協調関係にある米英などにも告げられず、英国からは「事前に知らせてもらう方が望ましかった」(キャメロン首相の報道官)といった厳しい反応が出た。
 日本も18日、米英仏などと共同でアルジェリア政府に対し、現地情報の速やかな提供や人質の早急な安否確認を求めた。
 事件の舞台となった天然ガス施設は、首都アルジェから1千キロ以上離れたリビア国境近くで、軍が警備に当たる重要拠点だった。
 制圧作戦の開始から24時間以上が過ぎた日本時間18日深夜、国営アルジェリア通信は外国人の人質132人の半数以上が解放されたと報じた。とはいえ、予断を許さない事態が続いていることに変わりはない。
 ただ、アルジェリアのサイード通信相はこれに先立ち、「武装勢力が人質と周辺国に去ると主張したとき、襲撃命令が特殊部隊に下された」と述べ、作戦の正当性を強調していた。
 軍が施設を包囲するなど支配的に戦闘を進めていた段階で、人質が乗った車列を無差別に爆撃する必然性があったのだろうか。謎はなお残る。(佐藤貴生)
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過激派に染まる「アラブの春」 内戦兵器使い武装強化 民主化でイスラム台頭
産経新聞 1月18日(金)7時55分配信
 ■2年で激変
 【カイロ=大内清】北アフリカのアルジェリアで起きたイスラム過激派武装勢力による外国人拘束事件は、この地域の情勢が混迷の度を深めている実態を浮き彫りにした。独裁的な長期政権が相次いで倒れた「アラブの春」の発生からほぼ2年。域内各地の過激派はリビア内戦などで大量に出回った兵器で武装を強化している。また、「民主化」の結果、各地にイスラム勢力が主導する政権が誕生したことも、過激派が活発に活動しやすい下地になっている。
 中東域内でのイスラム過激派の活動は、1980〜90年代にいったんピークを迎えた。しかし、ムバラク政権下のエジプトなど多くの国で厳しい摘発が行われ、基盤は縮小した。2001年の米中枢同時テロを起こした国際テロ組織アルカーイダはなお健在とはいえ、2000年代以降、研究者の間では「過激派は全体的には退潮傾向にある」とみられてきた。
 しかし、こうした状況は11年1月のチュニジア・ベンアリ政権崩壊に端を発する各地の政変で一変した。
 内戦の末にカダフィ独裁政権が崩壊したリビアでは、活動を活発化させたアルカーイダ系組織が昨年9月、米領事館を襲撃するなどテロ事件が頻発。リビアでは内戦中、フランスなどが反カダフィ派への武器供与に踏み切ったこともあり、大量に出回った武器は回収が進まぬばかりかアルジェリアやマリ、エジプトなど周辺国の過激派組織への武器供給源と化した。
 内戦が泥沼化するシリアでは、アルカーイダとの関係が取り沙汰される武装勢力が反体制派の一翼を担っている。アサド政権が倒れた場合、新政府内でこうした勢力をどう位置づけるべきか、深刻な矛盾に直面するのは間違いない。
 「アラブの春」が起きて以来、各地で抑圧されていたイスラム勢力は選挙で躍進を果たした。エジプトやチュニジアでは、“穏健派”とされるイスラム原理主義組織、ムスリム同胞団系の政権の誕生に結びついた。
 これらの政権は表向き、過激なイスラム勢力とは一線を画す姿勢を示している。しかし、シャリーア(イスラム法)による統治というイデオロギーは共有しており、政権の支持基盤を維持する上でも、強硬な態度に出にくいのが実情だ。治安機関の取り締まりや国境の管理が緩み、国をまたいで過激派の連携が広がっているとも指摘される。
 一方、エジプトでは最近、アルカーイダの指導者アイマン・ザワヒリ容疑者の実弟が頻繁にメディアに登場し、アルカーイダ思想の支持を表明するなど、過激派に対して寛容ともいえる風潮も生まれている。
 アラブの春は当初、この地域に平和的な民主化をもたらすと期待され、多くの国では実際に「自由」な空気が生まれた。結果的にはそれが過激派が力を盛り返す温床となった側面もあり、今後も不安定な状態が続くことは間違いない。
 最終更新:1月18日(金)8時32分
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中日春秋
中日新聞2013年1月19日
 「フランスは地獄の門を開いた」。西アフリカのマリでイスラム武装勢力を率いる「赤鬚(ひげ)」の異名を持つ男が、こう語ったという▼まさに、地獄を見る思いだ。マリの北隣アルジェリアで起きた人質事件は、鎮圧作戦実施が伝えられたが、人質の多くの安否は分からない。無事の知らせを待つご家族にとり残酷なほど重い時間が流れる▼「地獄の門を開いた」とされるのは、フランスによるマリのイスラム武装勢力への空爆だ。マリで急激に台頭した勢力を叩(たた)きつぶそうという軍事作戦だが、この手の作戦がもくろみ通り進んだ例(ためし)は、ほとんどない▼なぜか。軍事作戦を進める側が、武装勢力の実像をつかめていないからだ。情報はここでも錯綜(さくそう)する。現地からの報道も「麻薬密輸や誘拐の身代金稼ぎの無法者」との情報もあれば、「権力が腐敗した地に秩序をもたらし、貧困層対策で支持を得ている」との指摘もある▼恐らく、どちらも彼らの「顔」なのだろう。広大なあの地で反政府活動をする様々な人々を「テロリスト」と一緒くたに呼び、ただ軍事攻撃の的とする限り、彼らの実像は見えてこないはずだ▼ドビルパン元仏首相が「この戦争はフランスの戦争ではない」「戦争という袋小路から抜け出す新たなモデルをみつけるのが、わが国の義務だ」と言っている。悲劇を繰り返さぬための、各国共通の義務だろう。
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【アルジェリアの邦人拘束】日揮の5人か 石油関連施設でイスラム過激派勢力 2013-01-16 | 国際 
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『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』日高義樹著《ハドソン研究所首席研究員》2012年07月25日1刷発行 PHP研究所
p1〜
  まえがき
 日本の人々が、半世紀以上にわたって広島と長崎で毎年、「二度と原爆の過ちは犯しません」と、祈りを捧げている間に世界では、核兵器を持つ国が増えつづけている。アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国に加えて、イスラエル、パキスタン、インドの3ヵ国がすでに核兵器を持ち、北朝鮮とイランが核兵器保有国家の仲間入りをしようとしている。
 日本周辺の国々では核兵器だけでなく、原子力発電所も大幅に増設されようとしている。中国は原子力発電所を100近く建設する計画をすでに作り上げた。韓国、台湾、ベトナムも原子力発電所を増設しようとしているが、「核兵器をつくることも考えている」とアメリカの専門家は見ている。
 このように核をめぐる世界情勢が大きく変わっているなかで日本だけは、平和憲法を維持し核兵器を持たないと決め、民主党政権は原子力発電もやめようとしている。
 核兵器を含めて武力を持たず平和主義を標榜する日本の姿勢は、第2次大戦後、アメリカの強大な力のもとでアジアが安定していた時代には、世界の国々から認められてきた。だがアメリカがこれまでの絶対的な力を失い、中国をはじめ各国が核兵器を保有し、独自の軍事力をもちはじめるや、日本だけが大きな流れのなかに取り残された孤島になっている。
 ハドソン研究所で日本の平和憲法9条が話題になったときに、ワシントン代表だったトーマス・デュースターバーグ博士が「日本の平和憲法はどういう規定になっているか」と私に尋ねた。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
 私がこう憲法9条を読み上げると、全員が顔を見合わせて黙ってしまった。一息おいてデュースターバーグ博士が、こういった。
「おやおや、それでは日本は国家ではないということだ」
p228〜
 キッシンジャー博士ですら、アメリカのやり方で幸福になりたくはないと考えている人が世界に大勢いることに気がついていない。 (略)
 北朝鮮は世にも貧しい暮らしをしながら、核兵器を持ち、強力な軍事力を維持している。これは「アメリカの世界」に対する挑戦にほかならない。アメリカの核の抑止力による世界体制がほころびはじめたのである。
p240〜
 北朝鮮のクルージングミサイルは、沖縄や横須賀の基地だけでなく、アメリカの軍艦を攻撃する能力を十分に持っている。海兵隊を乗せて乗せて上陸作戦を行おうとするアメリカ第7艦隊の輸送部隊が沈められてしまうことになる。
 中国と北朝鮮がミサイル戦力を強化したことによって、朝鮮半島と台湾をめぐるアメリカの戦略は大きく変わらざるを得なくなっている。アジア太平洋の他の地域についても同様である。中国が尖閣諸島を占領した場合、あるいは攻撃してきた場合、日本はアメリカ軍が応援してくれると期待している。日米安保条約がある以上、アメリカが日本を助けるのは当たり前だとほとんどの日本人が考えている。 (p241〜)しかもアメリカは、決定的な抑止力である核兵器を持っている。限定された戦いにアメリカが介入すれば、勝つのは当たり前だと日本人は考えてきた。だが日本人は、この考え方が通用しなくなっていることを理解しなければならない。
p243〜
 日米安保条約のもとで、アメリカがどう考えているかということに関わりなく、アジアの人々は、日本がアメリカの一部であり、日本の国土や船舶を攻撃することは、アメリカを攻撃することだと考えてきたのである。
 日本では国際主義がもてはやされ、国際社会では民主的で人道的な関わり合いが大切で、そうした関係が基本的に優先されると思ってきた。だがこうした考え方が通ってきたのは、アメリカの核兵器による抑止力が国際社会に存在していたからである。そのなかでは日本はアメリカの優等生として受け入れられてきた。
 日本は、国際社会における国家の関係は好き嫌いではなく、損か得かが基本になっていることを理解しなければならない。国際社会における国家は、国家における個人ではない。国際社会というのは、それぞれの国家が利益を守り、あるいは利益を求めて常に混乱しているのである。国家は、世界という利益競合体のなかにおける存在単位なのである。当然のことながら、好き嫌いといった感情が入る余地はない。
 日本人は感情的であるとよく言われるが、世界を感情的に捉えて、国家を理解しようとするのは間違っている。日本人が世界で最も好かれているという思い込みは、世界という実質的な利害共同体のなかで、日本がアメリカのもとで特別な存在だったからに過ぎないことを忘れているからだと私は思う。
p244〜
 いずれにしてもアメリカの力が大きく後退し、アメリカの抑止力がなくなれば、日本は世界の国々と対等な立場で向き合わなければならなくなる。対立し、殴り合ってでも、自らの利益を守らなくてはならなくなる。そうしたときに、好きか嫌いかという感情論は入る余地がないはずだ。(略)
 アメリカの核兵器に打ちのめされ、そのあとアメリカの力に頼り、国の安全のすべてを任せてきた日本人は、これから国際社会における地位を、自らの力で守ることを真剣に考えなければならない。
p260〜
 中東の国々は、19世紀の初め、民族国家への歩みを始めるとともに、経済的な発展の道をたどろうとした。それを遮ったのが、ヨーロッパ諸国である。植民地主義によって中東の国々を収奪し、近代化を大きく阻害してしまった。
 中東諸国は、ヨーロッパに対する報復としてエジプトのナセル中佐など若い軍人を中心にソビエトに頼ったが、結局はアメリカの力に押しつぶされてしまった。
 2011年から「アラブの春」と呼ばれる民主主義運動が中東や北アフリカ諸国に広がっているが、その根元にあるのは反米主義である。近代化を西欧諸国の植民地主義に妨害された国々が報復を始めたのである。そのために核兵器を持って、アメリカに対抗しようとしている。
 アジア極東で、核兵器とミサイルを開発してアメリカを追い出そうとしている中国、北朝鮮と歩調を合わせ、中東やアフリカでも旧植民地勢力に対する反発としての新しい動きが始まっているのである。
 中東やアジアに広がっている反米主義の動きについて、アメリカの指導者たちは楽観的な見方をしているが、アメリカの看板である核に対抗する力をアラブの人々が持ち始めれば、アメリカは軍事力とともに、国際的な政治力の基本になってきた、石油を支配する力も失うことになる。アメリカの核の抑止力がなくなることは、歴史的な大転換が始まることを意味する。新しい世界が始まろうとしているのである。
P261〜
 私がこの本で提示しようとしたのは、核爆弾という兵器を日本に落としたアメリカの指導者が、日本を滅ぼし、日本に勝つという明確な意図を持って行動したことである。無慈悲で冷酷な行動であったが、日米の戦争がなければ起きないことであった。
 原爆を投下された日本は、そうした現実をすべて置き去りにして、惨劇を忘れるために現実離れした「二度と原爆の過ちは犯しません」という祈りに集中するすることによって、生きつづけようとした。国民が一つになって祈ることによって、歴史に前例のない悲惨な状態から立ち上がったのは、日本民族の英知であった。
 だがいまわれわれにとって必要なのは、原爆投下という行為を祈りによってやめさせることはできない、という国際社会の現実を見つめることである。すでに見てきたように、世界では同じことが繰り返されようとしている。
 我々に必要なのは、祈りではない。知恵を出し合って、日本と日本民族を守るために何をしなければならないかを考えることである。それにはまず、現実と向かい合う必要がある。「原爆を日本に投下する」という過ちを、二度と繰り返させないために、日本の人々は知恵を出し合う時に来ている。
p263〜
あとがきに代えて--日本は何をすべきか
 アメリカは核兵器で日本帝国を滅ぼし、そのあと日本を助けたが、いまやアメリカ帝国自身が衰退しつつある。歴史と世界は常に変わる。日本では、昨日の敵は今日の友と言うが、その逆もありうる。いま日本の人々が行うべきは、国を自分の力で守るという、当たり前のことである。そのためには、まず日本周辺の中国や北朝鮮をはじめとする非人道的な国家や、日本に恨みを持つ韓国などを含めて、常に日本という国家が狙われていることを自覚し、日本を守る力を持たなければならない。(略)
p264〜
 軍事同盟というのは、対等な力を持った国同士が協力して脅威に当たらねばならない。これまでの日米関係を見ると、アメリカは原爆で日本を破壊したあと、善意の協力者、悪く言えば善意の支配者として存在してきた。具体的に言えば、日本の円高や外交政策は紛れもなくアメリカの力によって動かされている。日本の政治力のなさが、円高という危機を日本にもたらしている。その背後にあるのは、同盟国とは言いながら、アメリカが軍事的に日本を支配しているという事実である。
 いまこの本のまとめとして私が言いたいのは、日本は敵性国家だけでなく、同盟国に対しても同じような兵器体系を持たねばならないということである。アメリカの衛星システムやミサイル体制を攻撃できる能力を持って、初めてアメリカと対等な軍事同盟を結ぶことができる。もっとも、これには複雑な問題が絡み合ってくるが、くにをまもるということは、同盟国に保護されることではない。自らの力と努力で身を守ることなのである。そのために、日本が被った原爆という歴史上類のない惨事について、あらためて考えてみる必要がある。 *強調(太字・着色)は来栖
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『帝国の終焉』(「スーパーパワー」でなくなった同盟国・アメリカ)日高義樹著 2012年2月13日第1版第1刷発行 PHP研究所


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