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「たかじんのそこまで言って委員会」安倍晋三総理&飯島勲参与が出演 2013/1/13 読売テレビ 

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「たかじんのそこまで言って委員会」安倍総理&飯島勲参与が出演 民主左翼政権に目茶苦茶にされた官邸建て直し
2013/1/13 読売テレビ
 安倍晋三さんの出演は8回目。総理大臣としては初。現職の総理がバラエティ番組に出演すること自体、極めて異例。
 この日の出演者は、金美齢、津川雅彦、桂ざこば、加藤清隆、勝谷誠彦、宮崎哲弥、竹田恒泰、山口もえ、辛坊治郎(敬称略)
---------------
辛坊治郎 「第96代内閣総理大臣、安倍晋三さん!(会場拍手)
安倍首相 「どうも。こんにちは…(入場し、出演者と観客に挨拶)
辛坊 「改めて総理大臣に就任、おめでとうございます」
安倍 「どうも、ありがとうございます」
辛坊 「皆さん、そっくりさんじゃありませんよ(一同笑)、本人、ですね(安倍同意)。素朴な疑問で何ですが、どうしてわざわざ大阪まで、この番組にお出でいただくために、来ていただいたって噂もありますが」
安倍 「ええ、それはやっぱり、主な理由のひとつですけどもね(笑)(一同笑)」
金美齢 「橋下さんとの会談はついでですか?(一同笑)
安倍 「それも非常に重要な…(笑)(一同笑)」
辛坊 「本当にありがとうございます」
安倍 「いいえ、とんでもありません」
辛坊 「それはやっぱり、約束を果たすという思いなんでしょうか」
安倍 「ええ、まあ、何回も出していただいて、私に発言の機会も与えていただきましたから。その時にね、確か辛坊さんが、総理大臣になっても出ていただけるんですかと」
辛坊 「ええ、お願いを申し上げました」
安倍 「で、あの時まだそういう状況ではなかったんですが、ま、なかったから気軽に、出ますよと、こう…(笑)(一同笑)。で、選挙の時にですね、私たちは、できないことは言わないと(一同笑)言っていましたから。ま、それで実現をさせていただきました」
辛坊 「いや、本当にありがとうございます。ま、せっかくの機会ですからね、皆さん、もう存分に聞きたいことを聞いていただきたいと思います。さ、安倍晋三内閣総理大臣に聞きたいことは何ですか?一斉にドン!」
辛坊 「それでは、勝谷さんから」
勝谷誠彦 「今回、エネルギー政策をやっぱり日本再興のですね、大きな柱にされるということで、三宅先生もずっと一押しして下さっていた、オーランチオキトリウムっていう油を作る藻ですね。で、いま予算で先端技術にかなり投資をして下さるということで、特に大学と産業界がうまく行くように投資をして下さるということで。で、筑波大学でですね、渡邉教授がこれをずっとやって下さっています。是非ここは国策としてですね、日本が産油国としてですね、日本が産油国、輸出国になるかもしれないってことですから、是非ともやっていただきたいと思います」
安倍 「新しい富を創出していくと、いうのが、安倍政権のですね、主要な政策の一つであって、しかも資源は大切ですよね、エネルギーは。ま、なかなか名前覚えにくいっていう…」
勝谷 「オーランチキチキでいいです(一同笑)。三宅先生がそう言ってましたから(笑)」
安倍 「あ、そうですか(笑)。ま、様々なですね、可能性に挑戦していきたいと思いますので、ま、民主党政権はそういうものはどんどん切っていったんですが、我が党はですね、逆に思い切って予算を付けていって、いこうという方針ですから」
勝谷 「三宅さん、ついに総理大臣に直訴できましたから!(一同笑)」
辛坊 「答えとして、やっぱ完璧ですね。オーランチオキトリウムをやるとは言わないんですから(一同笑)」
勝谷 「いや、そりゃそうですよ。けど、ちょっとね、やっぱり頭に覚えていただくことだけでずいぶん違うから…」
安倍 「それはもう、可能性は、求めていきたいと思います」
辛坊 「確かにね、エネルギー大切。どなたも聞いてらっしゃいませんが、原発に関しての、再稼働ってのはどうなりそうな感じですかね?」
安倍 「ま、この再稼働はですね、原子力規制委員会がいまルールを作ってまして、これ世界でも最も厳しいルールを作っていくんですが、3月ぐらいまでにそのルールができあがってですね、それから、一般の皆さんのパブリックコメントを受けていく、それが7月ぐらいまでにはなっていくんだろうと思いますね。で、それ以降にこの規制委員会のほうで、厳しい基準に則ってですね、いろんな意見を出していただくと」
辛坊 「最後は政府で決めると」
安倍 「もちろん、責任を持って判断するのは政府で、判断をします」
辛坊 「最後の判断は安倍総理自身が判断されるということになりますね(安倍同意)。その意味で、先ほど(安倍登場前のスタジオトーク)からですね、ちょっと名前が挙がってたのは、この非常にキーマンであるところの環境・原子力防災担当に石原さんを据えたのは、石原潰しではないかという意見もあったんですが(一同笑)」
安倍 「私はそんなに性格悪くないですから(笑)(一同笑)」
辛坊 「いや、きっと麻生さんが仕掛けたんじゃないかという(笑)(一同笑)」
安倍 「石原さんはですね、有能な政治家ですし、総裁選挙を争ったわけですけども、是非その石原さんにはですね、ま、重要な決断を必要とする役割を担ってもらいたいなということで、お願いをしました」
辛坊 「分かりました。さ、ざこばさん」
桂ざこば 「補正予算とかいろいろ、アレしはったんですけど、(橋下さんとの会談では)どういうような内容のお話をしてきはったんでしょうね(笑)(一同笑)」
安倍 「ま、全部についてお話はできませんが(笑)(一同笑)、やっぱり大阪はですね、東京とともに日本の成長のエンジンを担ってもらわなければいけないと。その中において、大阪の現状、大阪府・市の要望をお伺いをして、やはり国と地方自治体が協力していくことは大切ですから、ま、どういう考え方で、この大阪の地域を発展させていくかと、また大阪、いろんな素晴らしい産業ありますからね、それに何が必要かということを、ま、お話を伺ってきました」
辛坊 「さっきですね、津川さんがですね、憲法改正のためには、公明党と一刻も早く別れて維新と組んだほうがいいんじゃないかって(一同笑)」
安倍 「これはっきり言っておかないといけないんですが、自民党と公明党、これ、連立の柱なんですね。これは先の選挙の前もそう申し上げてきたし、参議院選挙を戦う上においてもそうですし、参議院選挙後もそうなんですが、その上においてですね、憲法改正っていうのは、ま、96条を、改正条項を改正するためにも、衆議院と参議院両方で3分の2が必要ですからね。ですから、それを見据えて我々も考えていかなければいけないなと」
山口もえ 「では、参院選までは、安全運転ですか?(一同笑)」
安倍 「ま、よく安全運転と言う人いるんですが、私は暴走運転は基本的にしないんです(笑)(一同笑)。ま、安全運転ではありますけども、目標はちゃんと決めてですね、そっちの方向に向かって進んでいくと」
宮崎哲弥 「ま、安全運転、安全運転と言われるけど、私は特に金融政策を中心にして極めて大胆な切り込みをされていると思うので、安全運転という評価というのは、不当だと私は思ってます」
辛坊 「あ、その宮崎さん、『次期日銀総裁はどのような方が望ましい?』」
宮崎 「これも聞きたいんですけど、その前にね、去る11日に日本経済新聞に、これ一面になっていましたが、この日銀の金融政策の、目標というか理念として、雇用の最大化ということを入れるべきだと。金融経済だけでなくて実体経済に対しても、十分に働きをするような日銀であることを、望まれるというインタビュー記事が出ていましたが、いま日本の失業率っていうのはだいたい4.数%です。低いように思われるかもしれませんが、実は日本には雇用調整助成金というものがあって、これがね、隠れ失業者を作り出している。で、実際の失業率は8%台に高止まりしているのではないかというような、観測もある、非常にまだ高い水準なんですね。それをやっぱり適切な水準、たとえば日本はずっと2%台から3%程度だったんですから、それを目標値とするような、そういう金融政策の目標を立てるということは、私はずっと望ましいと思っていたんですが、安倍さんはいかがですか?」
安倍 「日本銀行にもですね、今までは物価の安定だけだったんですが、今後はまず物価の安定目標、数値として2%、ということをきっちりと、目途ではなくて目標としてちゃんと責任を持ってコミットメントしてもらいたい。そしてそれがうまくいかない場合はちゃんと説明責任ありますよということなんですね。で、もう一点は、今おっしゃったように、実体経済についてちゃんと責任を持ってもらう、ということで、ま、日本銀行法には書いていないんですが、事実上ですね、雇用を最大化をしていく、ということについても、ちゃんと責任を持ってもらいたいと思います。そのために、ま、日銀法を改正してそれを書き込むかどうか。ま、自民党ではすでに改正案がありまして、その中には書き込んでいこうということになっているんですが、まだこれを、日銀法を改正するかどうかについては、ま、視野には入れてますが、その中においてですね、日本銀行にしっかりと、ま、金融政策の決定会合がありますから、そこでまず彼らが何をするかということを示してもらいたいと思ってます」
宮崎 「そうなるとね、4月に新しい、次期日銀総裁、あるいは副総裁ということも視野に入れなければいけないわけですよね。そうした場合に、どのような方が望ましいかということは、お話しできますか?」
安倍 「やっぱり10年以上ですね、ずーっとデフレがあったんですね。10年以上デフレですからもうみんな、ま、先もデフレだなと思っている、ま、デフレ期待が定着しちゃったんですよ。このこびりついたデフレ期待からですね、インフレ期待に変えるってことはそう簡単なことではないし、今までできなかったんですから、今までやっていたことではダメですよと(宮崎同意)。ま、だから大胆な金融緩和、とこう言ってるんですがね。次元の違う政策をやると。で、もうそれは乱暴だってずいぶん批判されました。日銀の独立性を侵してるんではないかという批判もされましたが、だからこそですね、そういう思い切ったことができる人を、日銀の総裁にしなければいけないと、思ってます」
辛坊 「具体的に頭の中に、固有名詞というのは存在するもんですか?」
安倍 「今の段階ではまだないですね。15日に金融の専門家の学者さんたちにもお話を伺いながら、イメージを作っていきたいと思ってます」
辛坊 「経済諮問会議と、日本産業再生の会議がいくつかありますが、たとえば竹中平蔵さんが入ってたり、ある意味、いろんな意味でのオールスターキャストだったりするわけですが、あのへんの人選は総理自らされたんですか?
安倍 「そうです。基本的には私がいたしました。ま、いろんな方に相談をしながらね。辛坊さんにも入っていただきたかったんですけどね(笑)」
辛坊 「とんでもないです、私ごときが…(笑)」
安倍 「ま、忙しそうですけどね(笑)(一同笑)」
辛坊 「さ、もえちゃん」
山口もえ 「何か総理になられて、ますます後光が輝いてますよ(一同笑)。私は、何かこう、いいことがあると、そのあとに何か悪いことがあるんじゃないかって、すごい心配性なんですよ。総理は、こう今すごくみんないいじゃないですか。総理総理ってなってるけども、何かそのプレッシャーに、押し潰されて眠れない夜なんかあるのかなと思って」
安倍 「ま、それは総理大臣になりますとですね、当然そういう夜はありますね。ですから、ま、そういう夜にいかに、眠るか。安らかに眠るか。これもですね、総理としての資質なんですよ。私が前回総理になった時ですね、中曽根元総理のところに相談にまいりました。そしたら中曽根元総理もですね、自分も何日もあったと、眠れない日があったんだっていう話を…」
辛坊 「1億数千万人の命運を握ってるわけですからね、担ってるわけですから、その責任重いですもんね。何か気分転換あるんですか?」
安倍 「気分転換はですね、ま、家でビデオですね、ま、ドラマのビデオを見たり」
辛坊 「お好みは?そうですか、『家政婦のミタ』ですか(一同笑)」
安倍 「ま、アメリカのテレビシリーズとかね。当然、日本のものも見ようと思ってますね。『家政婦のミタ』は読売テレビ?」
辛坊 「日本テレビですね。これはなかなか面白いですけど。確か総理の執務室って、ただっ広い所に総理の机が1個だけ置いてあって、ものすごく孤独な部屋じゃないですか(安倍同意)。あのとこで、こう座ってですね、何かこう振り回したりとか、そういうのはないんですか(笑)(一同笑)」
安倍 「振り回すことはないですね(笑)。ただ、まあ、あの部屋の設計自体がちょっと孤独を感じるような設計になってる…(笑)(一同笑)どういう考えだったのかなって気はしますけどね(笑)(一同笑)。あと、たまにこう身体を動かしたほうがいいということなので、ゴルフもしましたね」
桂ざこば 「僕の落語のCD送りまひょか。よう寝れまっせ(笑)(一同笑)」
勝谷誠彦 「こないだ僕が尖閣諸島に突撃したDVDを…(一同笑)」
辛坊 「さ、皆さんの質問伺ってまいりましょう。竹田さん。『皇室を守って下さい』」
竹田恒泰 「はい。大多数の皇室を愛する国民を代表してですね、是非安倍さんには皇室を守っていただきたいと。で、安倍さんがしっかり守っていただかないと、もう(皇室の)将来はないんじゃないかと僕は真剣に思っております。で、是非僕、もう一度お聞きしたいことあるんですけど、前回総理退任された後にですね、国会で首班指名を受けて、それから皇居に向かわれる。その時の心情の変化はどんなもんですかというふうにお聞きして、僕すごく感動したことがあったんですね。今回2回目、総理に就任されてですね、改めて宮殿に、総理の任命式で陛下の前に進まれる時に、何か心情の変化、もしくはお感じになったことあったら、是非教えていただきたいなと思います」
安倍 「ま、その時に、竹田さんにお話をしたんですが、国会で首班に指名されます。これはまさに民主的な手続きで日本の総理大臣にと、いう指名を受けるんですね。で、そのあと、ま、日本の場合は、宮中で天皇陛下から親任を受けます。親任式というのがあるんですね。で、ま、気持ちとしては、まさに国会で民主的手続きにおいて、国民の代表になったという責任感を持つんですね。そして宮殿に行って、陛下の前で親任されることによってですね、これもう、日本の長い長い伝統と歴史と文化の中で、国民のために尽くせという、新たな使命を賜ったという気持ちになる。これがやはり、私は日本なんだろうと思っています」
辛坊 「いま2回目っていう話がありましたが、やっぱり2回目だからこそ、思うことっちゅうのは沢山おありだと思いますけども
安倍 「私の祖父の岸信介もですね、もう一回やったらもっとうまくやるのにな、とよく言ってたんですよ。ですから、やっぱり1回目、1年という短い期間だった。そして突然辞めるという結果になった。ですからもう反省点はたくさんあるんですね。そういう反省点というのを私もこの5年間、いろいろこう書いてきたんですが、こういう反省点を活かせるっていうのはですね、2回目の大きな利点なんだろうなと思いますね」
辛坊 「そういう意味では、次やったらこうできるのになと思う人は世の中たくさんいますが、本当にその立場になれる人ってのは極めて限られてる…」
安倍 「そういう意味では大変私は幸運だったんだろうと思いますが、ま、だからこそですね、今回はもちろん失敗は許されませんし、大きな成果を挙げていきたいしですね、そのためにこそ、私に課せられた使命はあるんだろうと、思ってます」
辛坊 「さ、津川さん。『多忙に見えますが体調は?』ということですが」
津川雅彦 「あちこち本当にもうめまぐるしく動き回っていらっしゃる、それはもう大変嬉しいことなんですけども、好事魔多しと言いましてですね、潰瘍性大腸炎、これがまた再発するんじゃないかと、いうことが、もうこれ神のみぞ知る、なんですが、ご自分の体調の管理ということを、ま、万全にお願いしたいなということも含めてですね、今の調子はいかがですか?」
安倍 「体調的には絶好調でありましてね。潰瘍性大腸炎っていうのは難病指定になっていまして、これ完治はしないと言われてるんですね。ですから、ま、医学的には完治ではないんですが、2年前に画期的に良く効く薬が、日本でも認可されましてね。ただ、10年間認可遅れたんですよ。認可が遅れるっていうところに日本の医療の行政の問題点がありますから、これを変えて行きたいと思うんですがね。ま、病院の先生にもですね、絶対大丈夫と折り紙をつけていただいてるんで。そうでなければ、総裁選に手を挙げるというつもりはなかったんですがね。この前も、津川さんにうなぎをご馳走になってですね(一同ざわ)。さらにパワーをつけてですね。前はお酒もその病気の関係で1滴も飲めなかったんですが、今は適度に飲めるという状況になりましたね。今度はだから、勝谷さんに日本酒でもご馳走になろうかなと思ってますんで(一同笑)」
辛坊 「あとお二方、『内閣にどうして民間人を入れなかったの?』
金美齢 「第一次安倍内閣の時に、マスコミのバッシングっていうのが非常に酷かったと思うんですね。で、お友達内閣を今回は極力避けたのでしょうか。ひょっとしたら、あたしに電話がかかってくるかな?(笑)(一同笑)……全然かかってこないわけ。電話一本。ね。ああやっぱりお友達内閣はダメなんだなというふうに、ま、いろいろ思ったんですけれどもね。でもマスコミのバッシングっていうのはいろんなことを、たとえばTBSなぞは、まず何て言ったかっていうとね、安全運転っていう言葉があるじゃないですか、安全運転っていう言葉を使ってるけどね、何と政治部長が『猫をかぶってる』って言ったんです。もうあたし怒り狂ってね、娘に八つ当たりしましたよ(一同笑)」
辛坊 「ちなみにお嬢さんTBSにお勤め…」
金 「そうなんですよ。全然関係ないんですよ。それなのに八つ当たりしたんですけれども。今回のね、安倍さんの最大の良さっていうのは、やっぱりスピード感ですよね(一同同意)。大変にスピード感があって、ある意味ではとってもいいことなんですけれども、飛ばしすぎかなっていう懸念も実はあるんですね。だからそこらへんのバランスをね、是非是非、長期政権になるためには、メリハリっていうものをやっぱりしっかりと…」
辛坊 「飛ばしすぎというよりもですね、ま、ある意味、期待先行というような言い方もあるかもしれませんが、(総理に)なって、まだ別に日銀の総裁が代わったわけでもない、金融政策変わったわけでもない、ただ、だけどこういう方針だよということで、バーッと円が安くなって、株がウォーッと上がってる。ある意味ちょっと怖さも感じたりすることありません?」
安倍 「ですからですね、結果を出していかないとですね、期待が先行してますから、その期待どおりに手を打っていかないといけないなと。そういう思いが強いですからね。特に東北の復興についてはですね、目に見える形にしていくことが大切なんで、そうしないとだんだんこれ、絶望に変わっていってしまいますからね」
辛坊 「円安に関して言うと、安倍さんが(首相に)なられたことが最大の今、きっかけだったことは間違いありませんが、ただ長期のトレンドで言うと今の円高局面は、まさしく安倍さんがお辞めになる2007年の7月から、今の円高局面が始まって、ちょうど5年で、為替のトレンドで言うと5年以上同じトレンドが続いたことは1回もないんで、もしかすると何かきっかけさえあったら反転するタイミングであったという見方もありますわね、これ」
安倍 「基本的にはですね、財務省がいわば介入をして、日銀と一緒に介入をしていますが、これは、ま、うまくいかないんですよ。一国が介入してもですね。やはり介入してうまくいかなければこれは、むしろ損失被るんですからね。損失被ってるんですよ、何兆円かのね。ですからこれはやっぱり、中央銀行が本格的に金融政策を変えた、ということをみんなが認識をしない限りですね、いろんな、世界の投資家もポジションを変えませんから。ポジションをですね、変えさせるっていうことが、やっぱりこういうことでは重要…」
宮崎哲弥 「本当は日銀総裁が出なきゃいけないの。日銀総裁が政策を変えるとか、ここを目標にするっていうことを言って、でも日本は日銀総裁にあまりこう信任がないから、政治家の方がおっしゃると、これはみんなそういう風に動いていく。私は、プラザ合意以来、政治が経済を動かした風景を見ました」
加藤清隆 「いや、今の総裁ひどすぎるんだって」
津川雅彦 「白川さん?」
宮崎哲弥 「歴代総裁だって私は悪いと…(笑)」
加藤 「あんな無能な者をですね、いつまでもやらせていては…」
宮崎 「それ民主党のせいですよ」
加藤 「いや、切るだけでもっと円安になりますよ」
辛坊 「さ、大ネタです。加藤清隆さん、『対露政策』」
加藤 「対露というか、本当に書きたかったのは対中牽制策っていう意味なんですね。最大の外交課題はやっぱり対中、日中関係だと思うんですね。その最大のキーポイントはやはりロシアだと思うんですね。特に今プーチン大統領がいるロシアなんです。そうすると遠交近攻理論からも言っても、プーチン大統領と早く首脳会談をやって、できることなら北方領土にもうケリをつける。三島なら三島で構わないと私は思うんですよ。早く日露平和条約を結んで、対中国の牽制策をですね、日露で合意することは可能だと思うんですね。私はそこまで踏み込まなければいけない。それが最大の対中牽制策になるっていう意味で(宮崎同意)、対露政策と書かせていただいたんですけれども」
安倍 「日本のですね、今世紀の最大の外交安全保障上の課題はですね、中国とどう対応していくか、どう付き合っていくかということなんですね。そういうことを考える時に、日中間だけを見ていく、かつての外交はそうなんですが、これは間違ってるんですね。周囲全体を見てですね、俯瞰をしながら、戦略を考えていくべきだろうと思います。その中で、まず日米同盟を強化していく。当然なんですね。と同時にやはり、アジアの国々、インドやオーストラリアまでも入れた、アジアの国々とのですね、関係を強化していく。これ外交の中において、だけではなくて、安全保障やですね、エネルギー政策についてもですね、関係を強化していく。その中で、日露関係というのは平和条約がないですから、経済関係においても、人の交流においても低調なんですね。かつてよりは増えてますよ。とは言っても、ポテンシャルは最も、可能性は最も、私は、高い二国間関係なんだろうと思います。ですから、その意味においてですね、安倍政権において、日露関係を改善していきたいと。これ、本当に目に見える形で改善をしていきたいと思ってます」
辛坊 「それで言うと、あれですね、安倍さんは町村派という名前のところで、もともと森喜朗さんの森派です、森喜朗さんがですね、さっそくロシアのほうに行って北方領土の交渉をするんではないのかと、いう話がありますが」
安倍 「森元総理が交渉そのものをされるということはありませんけども、私の特使としてですね、ロシアを訪問してもらいたいと思っています。その中で、いわば私の考え、ロシアに対する気持ち、思いをですね、伝えていただいて、プーチン大統領がですね、どう考えているかということをですね、もし森さんが伺うことができれば」
辛坊 「これもう、政権担当してらっしゃる時に北方領土返還ということになれば本当に大きな成果だと思いますが、可能性は全くないとは思えないんですが、どうですか」
安倍 「プーチン大統領は相当強く、権力を掌握をしていますから、そういう人物でないとですね、こういう(北方領土返還という)思い切ったことはできないんだろうなと思いますね」
辛坊 「逆に言うと、向こうも日本の国内政治見てますから、ここの政権だったら長いこと付き合えるという、安定政権でないとなかなかそういう話はまとまらないですね」
安倍 「それはもちろんあります。ですからこちらが、しっかりと政権基盤を作っていくということも必要でしょうし、で、ロシアの今、世界の中に置かれている位置、地位もあるんですね。その中で彼は判断をしていくんだろうと思いますね」
加藤 「外交でもう一つだけ聞かせてもらってもよろしいでしょうか。安倍総理は拉致被害者のご家族の皆さんにお会いになった時に、自分の内閣で、自分の政権で決着するんだって趣旨のことをおっしゃいましたけど、私はいずれかの時点で、安倍総理自らがやはり北朝鮮に行かれる、それで決着をつけるっていうことでなければ、私は拉致被害者を取り戻すことは不可能じゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか?」
安倍 「安倍内閣が誕生してすぐに、被害者のご家族の皆さんとお目にかかりました。6年前に、安倍政権で何とかしたいってことを申し上げたんですが、残念ながらできなかった。そしてあれからもう6年経ってるのに、未だに被害者の皆さん帰ってくることができない。私も本当に責任を痛感をしています。で、現在ですね、現在、北朝鮮はミサイルを発射をして、より孤立をしているんですね。あるいはまた、政権が金正日委員長から、今度は金正恩氏に代わりましたね。そういう時は、ある種のチャンスもあるかもしれない。しかし決して、我々が焦っていると思われたら、もう(北朝鮮の)思うツボなんですね。北朝鮮との外交についてはもう十数年やってきましたから、これはやはり経験がないとですね、みんな騙されるんですよ。みんなずっと、米国もそうなんですが騙されてきた。でも私は騙されません。しかしその中において、何とか結果を出していきたいと思います」
辛坊 「今日はまあ、間違いなく、皆さん安倍さんのファンばかり、ただ、安倍さん一つアドバンテージがあるかなと思うのは、保守派と見なされてます。だから保守派の支持者の皆さんは、これがもし保守派でない総理大臣が出たら、弱腰だって声をすぐ挙げるような局面でも、まあ安倍さんだから見とこうかっていうところがあると思います。具体的に言うと、自民党が政権取る時の公約であった、竹島の日を政府主催の式典にするとか、尖閣に人を配置する、靖国に参拝する等々の、ま、いくつか公約に近い話がありました。で、まあみんな基本的には保守派の皆さんは、仲間だと思ってるから、それに関してはもう安倍さんがやりたいようにやれるタイミングまで待とうと、いうのが、だと思う、気持ちとしては。だけど、どこまで待てるか。逆に言うと、安倍さんがこのあたりの、いわゆる公約みたいな話を、これからどうされるおつもりなのか、っていうところ、どうですか?」
安倍 「前政権の時の反省点としてはですね、いきなり100点を出そうと思っても、出せないんですね。かえって、重心が高くなって転んでしまうんです。ですから、そうしたいわば戦後体制から脱却をしていくというのが私の、これはもう生涯のテーマなんですね」
辛坊 「『戦後レジーム』からの脱却というのは一番最初のスローガンで…」
安倍 「ええ。これは変わってはいません。しかしそのためにもですね、腰をじっくり据えて、結果を出しながら、成果を出しながら国民の皆さんの信頼を勝ち得ていく上においてですね、やるべきことをやっていきたいと思ってます。また外交においてもそうなんですね。先ほど申しましたが何と言っても(会場ざわつく。飯島勲氏がスタジオ入りしたため)、えー、中国とどう対応していくというのが最大のテーマですから、その中で、様々な戦略を進めていきたいと思ってます」
辛坊 「今、あの、ぬーっと入って来た(会場爆笑と拍手)。私はテロではないかと思ったんですが(笑)。どうして参与なんですか?」
安倍 「それはもう、存在感ですね、この(会場爆笑)。ま、何となくこう、飯島さんが官邸にいるだけでですね、皆さんいろいろ想像するでしょ?」
辛坊 「ああー、そのあたりですね、このあとじっくりと、今日は飯島さんにお付き合いいただいて、お話をいただきます。大変残念ではございますが、安倍さん、ちょうどぎりぎり一杯の時間になってしまいました。今日は本当にありがとうございました」
安倍 「どうも…(辛坊と握手。会場拍手)。すみません、じゃあ…」
辛坊 「安倍晋三さんでした。ありがとうございました!(会場拍手)」
安倍 (出演者、観客にお辞儀しつつ退場 ものすごい数のSPがあとに続く。スタジオ驚愕)

 安倍さんの退場後、飯島勲内閣官房参与が出演。民主党政権の残した負の遺産は本当に大きい、それがよく分かる話。
飯島勲 「官邸に入って驚いたんですが、目茶苦茶。村役場以下ですよ、官邸の中が。新聞いただきたいと言ったら、6大全国紙から1紙選んで回し読みして下さいと」
  (一同口々に「民主党の時に岡田克也さんがやった」)
飯島 「基本的に飲み物は自己負担。名刺配ったら30分ぐらいでなくなったので、500枚ほしいと言ったら100枚以上は自己負担でお願いしますと。言えばキリがないぐらい。広報室の外プレ担当の真面目な女性副報道官が交通費出ない。雑誌は全部取ってない。これじゃ官邸は機能しない。一番酷かったのは、すぐに没収させたが、官邸スタッフのカード(通行許可証)が、官邸だけで500枚以上、私が調べたら、出入りできるスタッフが全部で1300枚以上。うち80人ぐらいがちょっと左翼的なメンバーが入ってる。ひどいのになると前科一犯のヤツが入ってたし。私の調査ですよ、個人的な。内調や警察庁は何やってたかってこと。もし外交、安全保障、あるいは為替の問題が、外に漏れたら安倍内閣が沈没ですよ」
辛坊 「小泉さんのころ官邸にいらっしゃったが」
飯島 「いや、もう全然違います。民主党政権になって全部です」
加藤 「社会党の事務局にいた連中が全部入り込んじゃった」)
飯島 「一番びっくりしたのが政策問題。官房長官の仕事っていうのはボトムアップ。全省庁からとか海外。この秘書官が、6名ぐらいにしたんですが、車乗っちゃいけないって言うんですよ。まず電車、地下鉄で通いなさいと。それでもし電車に乗ってる時に、ミサイル発射とか何かあったらどうします?いま電車だから後で、って言ったらもうアウトですよ。すぐ官房長官は車つけました。「こういう態勢を今月いっぱい、できたら総理の海外出張の前までには、全部変えさせていただく」
勝谷 「なぜ民主党がダメだったのかについて、党内ガバナンスとかいろいろ政治記者は書くが、今の話が一番腑に落ちた。要するにお子ちゃまの、物事の優先順位が分からないド素人が官邸に居座ってたということ」
飯島 「これで3年3カ月よく続いたと思いますね」。
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【土・日曜日に書く】「保守派」は学んだか:政治部編集委員・阿比留瑠比 
産経新聞2013.1.20 03:13
■首相は変節したか?
 関東などでは放映されていないが、安倍晋三首相が出演した13日放映の読売テレビ番組が興味深かった。司会者は、自民党が衆院選で主張してきた「竹島の日」を祝う式典の開催や靖国神社参拝など、まだ実現していない課題を挙げて首相に問いかけた。
 「基本的には保守派は、安倍さんがやりたいようにやれるタイミングまで待とうという気持ちだと思う。だけど、どこまで待てるか。これからどうするつもりか」
 保守派が不満を募らせたらどうするのかとの疑問に対し、首相の答えはこうだった。
 「前回の安倍政権の時の反省点として、いきなり百点を出そうと思っても出せない。かえって重心が高くなって転んでしまう。戦後体制からの脱却が私の生涯のテーマで、これは変わってはいない。腰をじっくり据え、結果を出しながら国民の信頼を勝ち得て、やるべきことをやっていきたい」
 実際、首相は現在、保守色の濃い「安倍カラー」を一部封印しているようにも見える。歴史認識をめぐる「安倍談話」発出も、集団的自衛権の政府解釈変更による行使容認も、「有識者会議」というクッションを置いて慎重に軟着陸を図っている。
 こうしたことから、保守派の一部からは早くも「首相は変節した」と失望の声も漏れる。また、「就任前には領土問題などで激しいことを言っていた安倍氏も、就任後は慎重な姿勢に徹している。結構なことだ」(菅直人元首相)と妙な方面から安堵(あんど)されもした。
 だが、これはともに的外れな見方ではないか。首相はただ物事に優先順位をつけ、一歩一歩着実に進もうとしているだけだろう。
■6年前との相違とは
 首相は同じ番組で、自身の再登板についてこうも語っていた。
 「祖父の岸信介(元首相)も、『もう1回やったらもっとうまくやるのにな』とよく言っていた」
 「(前回の)反省点はたくさんある。反省点を生かせるのは、2回目の大きな利点だろう」
 また、今年が巳年ということから、最近は「以前首相を務めていたときから6年たち、私自身脱皮した」などと「脱皮」を強調する場面も多い。
 有権者の幅広い支持を得るためには、わずか1年間で退陣する事態に陥った前回とは違う、よりしたたかになったと成長ぶりを強調する必要もあるのだろう。
 確かに首相は今回、揚げ足を取られやすい朝夕の記者ぶらさがり取材をやめ、インターネット交流サイト「フェイスブック」で自ら直接情報発信するなど、以前と手法が変わった点はある。
 とはいえ首相の本質も、憲法改正など本当にやりたいことも、たかが6年で変わるはずがない。
 「(せっかちに成果を求める保守派の批判は)それは仕方がない。今は着々と力をつけ、じわじわと切り崩していくしかない」
 これは、実は平成18年10月、第1次安倍内閣が発足したばかりのころの首相の言葉だ。当時、首相は最初の外国訪問先に中国を選んだことや、河野談話や村山談話をただちに否定しなかったことで保守派の批判を浴びていた。
 本来は味方、同志であるはずの保守派によって、後ろから盛んに矢を射かけられていたのだ。
■時間をかけて勝負を
 ただ、首相自身の立ち位置は変わらずとも、首相を取り巻く情勢や環境はだいぶ変化したようだ。
 この間、インターネットはますます普及し、影響力を増し、さまざまな情報の発信と共有が進んだ。そこで飛び交う言説をみても、番組司会者が指摘したように保守派はある程度「待つ」ことを学んだように見える。
 「軍事政権ではないのだから、すぐに何でもできはしない」
 首相は最近、周囲にこう語った。首相になったらすべて自由になるわけではないという当たり前の話だが、これさえ6年前の一部の保守派には「言い訳」と受け取られかねない雰囲気があった。
 当時、首相に対する保守派の高すぎる期待は、あまりに早く簡単に失望へと変わった。勝手に裏切られたと怒りを募らせ、首相への攻撃に走る者も少なくなかった。
 それが今回は、性急に結果を求める声は意外と少ない。3年余にわたる民主党政権の失政の数々を体験したためか、政治も政権運営も微妙なバランスの上に成り立つ不安定なものであることを、多くの人が実感したのではないか。
 「耐え難きを耐えて(反対派の)外堀をうずめて、内堀を埋めて、ようやくここまで来た」
 小泉純一郎元首相は郵政解散の際にこう述べたが、この時点で就任から4年4カ月たっていた。大事をなすには時間がかかる。安倍首相の再チャレンジはまだ始まったばかりだ。(あびる るい)

安倍晋三首相が提唱した「セキュリティー・ダイヤモンド」安全保障 「インド◇日本◇ハワイ◇豪州」連携 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 

      

 「安保ダイヤモンド」形成着々 中国包囲網へ豪重視鮮明
産経新聞 1月14日(月)7時55分配信
 岸田文雄外相がオーストラリアのカー外相との会談で、米国を含めた安全保障分野の協力を加速させる方針で合意したのは、海洋進出を進める中国を牽制(けんせい)する狙いがある。民主党政権下では豪州側の“片思い”が続いていたが、政権交代を機に「戦略的パートナー」として豪州重視を打ち出した形だ。
 安倍晋三首相は就任直後に発表した論文で、豪州、米ハワイ、インド、日本を結ぶ「安全保障のダイヤモンド」を形成する戦略構想を明かしている。
 この中で中国については、海上交通路(シーレーン)が通る南シナ海を「北京の湖」として影響力を増していると警戒を示し、インド洋と西太平洋の海洋安全保障を目的とした日米豪印の協力強化を訴えた。
 首相は第1次政権時代もアジア地域などで自由や民主主義、法の支配の定着を目指す「自由と繁栄の弧」構想を掲げた。
 日豪両国は平成19年の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」を受け、物品役務相互提供協定(ACSA)や安全保障に関する情報保護協定に署名するなど着実に安保協力を進展させてきた。
 しかし、首脳・閣僚間の交流では豪州の一方的な熱意が目立っている。民主党政権時代の3年余りの間、豪州の首相や閣僚が来日したのは延べ22回だったのに対し、日本側はわずか7回。外務省幹部は「日本がどれだけ豪州のラブコールに応えられているのかという反省はある」と語る。
 豪州は昨年4月に米軍のローテーション展開を受け入れており、中国を念頭に置いた米国との関係強化に乗り出している。日本に対しても協力拡大を要請している。日豪当局者間の協議では、豪州側が日本に集団的自衛権の行使容認をたびたび求めているという。
 安倍政権は「豪印両国との関係をより高い段階にしたい」(外務省幹部)として、会談を機に安保協力をさらに拡大させる方針だ。政府内には「公海上で日豪いずれかの船舶が攻撃を受けた際に、双方が守る“疑似同盟”を将来的には考えるべきだ」(政府関係者)との声も出ている。(杉本康士)
最終更新:1月14日(月)8時55分
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「ダイヤ形」安保 輝くか インド◇日本◇ハワイ◇豪州 連携
中日〈東京〉新聞 2013/01/17Thu. 特報
海洋進出「封じ込め」狙い
 ダイヤモンド安保構想−。耳慣れない言葉だが、安倍晋三首相が昨年末、提唱した外交安保のアイデア。日本、インド、豪州、米ハワイ州の連携を強め、ダイヤモンドの形の枠組みをつくる。狙いは海洋進出に野心的な中国に対するけん制であり、「封じ込め」戦術。ダイヤモンド安保の可能性と問題を考えた。(上田千秋・林啓太)
 ■中国けん制へ首相提唱
 「インド洋から西太平洋にかけて共有する海を守るため豪州、インド、日本、ハワイ州が『ダイヤモンド』を形成する」。「ダイヤモンド安全保障構想」は安倍首相が十二月二十七日、国際NPO「プロジェクト・シンジケート」に寄稿した論文で提唱した。
 ダイヤモンドは、日本など四カ国・州を線で結ぶと浮かび上がるひし形を指す。四角い海域での「航海の自由」を、日米印豪の四カ国が連携して守る戦略という。
 「プロジェクト・シンジケート」のウェブサイトには「安倍晋三首相」の名前が入っているが、実際には首相就任前に書いたものとみられ、そのためか、やや踏み込んだ表現が目立つ。
 論文にはこの海域に軍事面で進出を図る中国に対する首相の強い警戒感が込められている。中国は南シナ海の南沙諸島の領有権をめぐりフィリピンやベトナムなどと対立を深めているが、安倍首相は南シナ海が「『北京の湖』になるようにみえる」とかなり刺激的な表現を使っている。加えて首相は「日本が東シナ海で中国に屈してはならない」と強調。日中の尖閣諸島の領有権問題で日本の立場の正当性を訴えている。
 ■価値観外交
 安倍首相は以前から「自由、民主主義、基本的人権といった価値観を共有する国との関係を深める」と、「価値観外交」を主張している。今回のダイヤモンド安保構想も、こうした価値観外交に基づくもので、立命館大学の宮家邦彦客員教授(外交・安全保障)は「日本は米国、インド、豪州と民主主義の価値観を共有している。中国に尻込みしない民主主義国家をつなぎ、太平洋での自己主張が強まった中国に対し、現状の海洋秩序を守らせようとしている」と指摘。中国への牽制が最大の狙いだろうと解説する。
 東京財団の渡部恒雄上席研究員は「民主主義の価値観を共有しない、と言われることは中国からすればいやなこと」と指摘。その上で「首相は、ダイヤモンド構想の方針を示して中国に圧力を加え、自由主義国が海洋秩序を維持する枠組みに加わらざるを得なくさせる作戦だろう。そうすると、中国は尖閣諸島をめぐる行動も制限されるようになる」
 前の安倍政権ではこれと同じように「自由と繁栄の弧」があったが、ダイヤモンド安保構想はこれとはどう異なるのか。宮家氏は「戦略の切り口が海か、陸かの違いだ」と説明する。「自由と繁栄の弧が唱えられた当時は、日本がテロ対策をめぐり、イラクやアフガニスタンを支援し、ユーラシア大陸の東西を結ぶ価値観外交に重点が置かれていた。今は中国の海洋進出が大きな問題で、海を意識した構想を立てなければならなくなった」
 双日総合研究所(東京)の吉崎達彦副所長は「海洋国家である日本の価値感に裏打ちされたものの見方。セキュリティー・ダイヤモンドという言葉も斬新だし、コンセプトで闘うとの発想は今までの日本にはなかった。首相の発言としてはやや軽い印象があるが、政治家・安倍晋三個人の発言なら非常に面白い」と構想を評価した。
 佐藤優・元外務省主任分析官は「ロシアは静観するだろう。しかし、(中国を牽制する意味で)腹の底では歓迎するはずだ」との見通しを示した。
高まる緊張 逆効果?
 安倍政権はこの構想に沿って動き出している印象がある。ダイヤモンドの枠に入る東南アジアを重視する姿勢を鮮明にしている。
 今月に入って麻生太郎財務相がミャンマーを訪問。岸田文雄外相はフィリピン、シンガポール、ブルネイ、豪州を歴訪。安倍首相も十六〜十九日、ベトナム、タイ、インドネシアの三カ国を回る。
 「日本も世論戦でカウンターパンチを出せるんだと、中国に意識させることができる」(吉崎氏)との好意的な見方もある一方、実際にダイヤモンドを形成するには、問題が山積しているのも事実だ。
 ■豪印に温度差
 岸田外相と会談した豪州のカー外相は十三日、「日豪関係は中国を封じ込めるものではない。日本との関係緊密化は豪中、日中の関係強化と共存できる」と述べて日本の出方をけん制。「日豪はともに米国と同盟国。戦略認識を共有し、協力関係をいっそう推進していきたい」と語った岸田外相とは微妙な温度差を感じさせた。
 ダイヤモンドを結ぶ、もう一つの国、インドが同調するかどうかも疑わしい。外交評論家の孫崎亨氏は「インドの中国との貿易量は日本の何倍にも当たり、国の重要度は中国の方がはるかに上。現実的に考えれば、できるとは思えない」とみる。
 岐阜女子大南アジア研究センターの福永正明センター長補佐も「『日印の関係が、日米関係を超えるわけがない』というのがインドの一般的な考え方。インドからすれば、日米を基軸としたものよりも東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係や自由を中心とした別の枠組みを考えていくだろう」との見方を示す。さらに「日米同盟の強化や対中政策のためにインドを犠牲にしようとしているのでは、と考えている識者もいる」と指摘する。
 ■口実与える?
 ダイヤモンド構想が中国を強く刺激し、尖閣問題などをめぐる緊張を高める危険があるとの見方もある。
 慶応大学の渡辺靖教授(文化外交)は構想自体は「悪くないアイデア」という一方、「日中関係は今、非常に危険な領域に入っている。構想は、『中国にとって脅威になる。拡張路線を進めなければならない』との口実を与えかねず、逆効果になる可能性がある」と指摘する。
 渡辺氏はこうした構想と並行して、中国政府の中枢にパイプをつくるなど地道な努力の積み重ねによって、関係改善を図るべきだとの考えだ。「いざという時に落としどころを見つけるのは政治家同士のコミュニケーションなのに、それができていない」と説く。
 孫崎氏も、ダイヤモンド構想の裏には米国の戦略がちらつくと否定的な考えを強調。「日米は価値が共通だとか、中国と連携できるわけがないと主張するが、それは米国の軍産複合体が使うロジック。米国は自国のカネを使わずに、日本などに負担させたいだけのことだ」と述べた。 *リンクは来栖
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Asia’s Democratic Security Diamond by Shinzo Abe- Project Syndicate http://po.st/e9XtMg

中国の奥の手は「敵国条項」中西輝政 月刊WiLL:2013年2月号 2012年12月20日発売
    


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