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【どうなる日米関係】気になる第2期オバマ政権 恐ろしくリベラルでリアリストな集団(1)

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【どうなる日米関係】気になる第2期オバマ政権 恐ろしくリベラルでリアリストな集団★(1)
zakzak2013.01.22
 オバマ米政権の第2幕がスタートした。米国の大統領には3選はないと憲法で定められている。従って、オバマ大統領はやり残した課題を、2期目でやり遂げようとするだろう。
 アイゼンハワー大統領は朝鮮戦争を終結させて冷戦体制を構築し、レーガン大統領は冷戦終結の道筋をつけてソ連と中距離核戦力(INF)廃棄調印をした。クリントン大統領は米国経済を復興させて冷戦後の米国の第2次覇権を達成した。
 いずれの大統領も、その賛否は問われようが偉業を達成している。オバマ大統領は2期目で何を成し遂げるつもりなのか−。
 まず、オバマ大統領は「合衆国再生」を優先課題とするだろう。4年前に黒人初の米大統領になってからの悲願であり、その名もズバリ、「合衆国再生」(邦題)という著書もある。
 そのためには巨額の財政赤字を解消せねばならない。聖域とされていた軍事費削減を行い、日本や韓国、豪州などの同盟国に穴埋めをさせる。アフガニスタンからの米駐留軍の撤退も、巨額の駐留費用の削減となる。
 次に、イランと北朝鮮の核不拡散である。オバマ大統領は2009年、プラハ演説で「核のない世界」を宣言して、同年のノーベル平和賞を獲得した。その意味で、イランや北朝鮮の核不拡散が大きな焦点となる。
 以上の政策を達成するために、オバマ大統領の2期目の外交・安保チームは選ばれたといえる。
 国務長官にジョン・ケリー氏、国防長官にチャック・ヘーゲル氏といった老練な大物政治家を起用した。この2人にオバマ大統領、バイデン副大統領を加えた「四人組」で、外交・安全保障政策を決定する。
 この「四人組」は、かつて米上院外交委員会の旧友であり、共和党のブッシュ政権(ネオコン)と闘った戦友である。ケリー氏もヘーゲル氏も軍備費削減を唱え、核不拡散の推進論者であり、北朝鮮やイランとも対話促進を論じている。
 そこで、気になるのが第2期オバマ政権の対中政策である。オバマ大統領にとって米国経済の活性化が最大の課題であり、当面は発足間もない中国の習近平体制に対しては、宥和外交を取ると考えられる。
 しかし、中国を除外する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や、貿易不均衡、為替レート、中国の対米投資活動、中国の米国債保有、著作権などの問題も抱える。
 一方、台頭する中国の軍事力にはリバランス(対中巻き返し)を、同盟諸国を引き入れながら行う。つまり、「外交四人組」は恐ろしくリベラル(革新)で、リアリスト(現実主義者)な集団なのである。
 安倍晋三政権はそこを見誤るとハシゴを外されかねない。
 ■川上高司(かわかみ・たかし) 1955年、熊本県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。著書に、「米軍の前方展開と日米同盟」(同文舘出版)、「アメリカ世界を読む−歴史を作ったオバマ」(創成社)など。


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