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【どうなる日米関係】オバマ2期目は波乱の幕開け 世界はテロのドミノ倒しに揺れる(2)

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【どうなる日米関係】オバマ2期目は波乱の幕開け 世界はテロのドミノ倒しに揺れる★(2)
zakzak2013.01.23
 オバマ米大統領2期目の政権は、最初からアルジェリア人質事件で波乱の幕開けとなった。事件はアルジェリア軍が突入して米国人や日本人を含む多くの外国人人質が犠牲となった。
 襲撃したテログループは、アルジェリアの南に位置するマリの過激派組織の1つで、国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ組織(AQMI)」のベルモフタール元司令官率いる「覆面旅団」であり、要求は「フランス軍のマリへの介入停止」であった。
 アフリカでの人質事件は今後とも継続することが予想され、現地に展開する日本企業や邦人へは政府による緊急の対策が必要とされる。
 オバマ政権は事件発生後直ちに、ドイツのアフリカ司令部(AFRICOM)を拠点に、無人偵察機を飛ばして情報収集を行った。パネッタ国防長官も「必要な手段は何でも取る」と述べ、空軍のC130医療輸送機をアルジェリアに待機させ、即応体制をとった。
 オバマ政権にとっての差し迫った脅威は北アフリカが新たなアルカーイダの「天国」となることだ。アルカーイダは元来サウジアラビアで生まれたイスラムスンニ派の過激派組織で、2003年、米国がイラクへ侵攻時にイラクへ流入した。イラク情勢が不利になるとアフガニスタンに移り、パキスタン・タリバンとのつながりを強めて勢力を伸ばした。
 しかし、米国の無人爆撃機による熾烈な空爆で存在が危うくなりイエメンに拠点を移動。イエメンでも空爆が激しくなり、次なる拠点を北アフリカへ求めている。
 それだけに、2期目の就任式直前に起こった今回の事件は重大である。オバマ大統領は「今回のテロ行為を最大限の言葉で非難する」とし、クリントン国務長官は「アフリカ北西部に拠点を置くアルカーイダ系テロ組織を殲滅する」と決意表明した。ここでテロ組織の拡散を押さえねば、世界はテロのドミノ倒しに揺れるであろう。
 ここに日米両国の大きな認識の差が浮き彫りとなった。米国は当初から「対テロ作戦の一環」としてパネッタ国防長官が陣頭指揮をとったが、日本側は当初から人命救助を第1とする危機管理問題として対処した。
 2月開催予定の日米首脳会談で、オバマ大統領は安倍晋三首相に今後のアフリカでのテロ作戦への協力を期待しているに違いない。安倍政権の最大の課題がここにある。
 グローバル(国際的)な貢献なくしては、尖閣問題というリージョナル(地域的)な支援を米国から期待することはできない。安倍政権の試練の時であるが、逆に、この試練は日米同盟強化の最大のチャンスともなる。
 ■川上高司(かわかみ・たかし) 1955年、熊本県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授などを経て現職。著書に、「米軍の前方展開と日米同盟」(同文舘出版)、「アメリカ世界を読む−歴史を作ったオバマ」(創成社)など。
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◆ 【どうなる日米関係】気になる第2期オバマ政権 恐ろしくリベラルでリアリストな集団(1) 2013-01-22 | 国際
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