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【新帝国時代】第2部 インテリジェンスなき国(2)李春光書記官 諜報疑惑「捜査は見送ったんだ」

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【新帝国時代】第2部 インテリジェンスなき国(2) 李春光・中国元書記官スパイ疑惑「捜査は見送ったんだ」
産経新聞2013.2.4 07:04
 日本警察から中国に「追放」された中国人元外交官は落ち込んでいた、という。「日本との交流の仕事をずっとやってきた。私にはこれしかできない。すぐには難しいかもしれないが、いつかまた日本に行って中日交流に関する仕事をしたい…」。スパイ疑惑が浮上し、警視庁公安部の出頭要請から逃れるように昨年5月に帰国した李春光・元在日中国大使館1等書記官。中国政府最大のシンクタンク、中国社会科学院に戻った今、周囲にそう漏らしているという。
 ■投資話で金稼ぎ
 物腰柔らかい話しぶりや振る舞い、私生活もホームページでさらけ出し、とてもスパイに見えない。平成11年に特別塾生として半年間過ごした松下政経塾では日本の市民オンブズマン制度を熱心に研究する一方、同塾が自衛隊将官らを招いた安全保障分野の講座は一切、興味を示さなかった。
 その代わりに見せた別の関心事。それはもうけ話だった。「中国でポリ袋を生産し、日本のシェアを取る」「再生資源が多い日本のゴミを中国に輸出すればカネになる」。怪しい話を携えた人物が出入りした。
 警視庁の捜査でも、李元書記官は中国への投資話で日本企業から多額の金を集めたことが判明。「スパイというより、不良外交官の金もうけ」。事件はこんな印象で終わった感がある。しかし、民主党が政権を退いて日がたつにつれ、捜査側から「本音」がぽつりぽつりと漏れてきている。
 ■政権直撃の恐れ
 「政権を直撃する事件になる可能性があったので、農林水産省ルートの捜査は事実上見送ったんだ」
 警察関係者はこう打ち明ける。中国人民解放軍総参謀部の諜報機関「第2部」に所属していたとされる李元書記官は、松下政経塾時代に後の民主党国会議員らと知り合うなど政界人脈を開拓。1等書記官として19年夏に着任すると、水面下で政界工作を展開していた。
 「第2部」は、中国の情報機関の中でも予算が豊富な最強の組織。「中国軍の頭脳」といわれるほか、暗殺や誘拐などの特権もあるとされる。
 警視庁公安部は、李元書記官の着任直後から動向監視を続けており、政界工作を把握。そんな中、農水省の政務三役に食い込んだ李元書記官が、農水省の「機密」文書を入手していた疑いが浮上したのだ。
 事実、農水省の最高機密に当たる「機密性3」指定の文書4件が、李元書記官と関係の深い一般社団法人「農林水産物等中国輸出促進協議会」に渡っていた。
 しかし、機密を漏らしたのが政務三役だった場合、国会議員は特別職の国家公務員であるため、国家公務員法(守秘義務)違反は適用されない上、「国務大臣、副大臣及(およ)び大臣政務官規範」(大臣規範)違反にはなるが、罰則がない。
 「(警察庁の所管大臣である)国家公安委員長に、とんでもない人物を送り込んだり、警察に無理解な民主党とあえてケンカするのは得策じゃない。自主規制したんですよ」
 警察関係者は捜査の裏側を、こう振り返る。
 ■お寒い防諜手段
 「スパイ天国」とも揶揄(やゆ)される状況は、スパイ防止法がないことに起因することはよく知られる。警察幹部は「この法律がないのは、政府が戦後長い間、中国などとの軋轢(あつれき)を避け、優柔不断な弱腰外交を続けてきたからだ」と指摘する。
 そもそもウィーン条約によって「不逮捕特権」が認められている外交官のスパイ活動は、日本の裁判にかけられない。
 このため李元書記官が立件されたのは、外交官の身分を隠して外国人登録証を不正に更新した外国人登録法違反という「別件」。国内の防諜(カウンターインテリジェンス)を担う外事警察は「別件」という「お寒い手段」しか持っていない。今回の事件は、こうした日本の実態を浮き彫りにした。
                   ◇
 ■「反TPP」利用日米分断
 「外交政策に影響を与えたかといえば、0・1%も与えていない。単純に金もうけだけでしょ。スパイというほどじゃない。下っ端の下っ端」。玄葉光一郎前外相は自らの民主党政権下、農水省を舞台に起きた李春光・元在日中国大使館1等書記官の事件をこう評した。元書記官の存在すら知らなかったという。
 正反対にこの事件に強い危機感を抱いていたのが、元外務省主任分析官、佐藤優氏である。
 「ラストボロフ事件、レフチェンコ事件に匹敵する重大なスパイ事件だ」
 引き合いに出した2つは旧ソ連の工作員が日本で繰り広げた広範な工作活動を自ら暴露した戦後最大級の事件。今回の事件はそれに肩を並べるとまで言う。
 佐藤氏が李元書記官の存在を知ったのは平成22年秋。菅直人首相(当時)が同年10月「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を検討したい」と所信表明演説で唐突に表明、TPP参加をめぐる論議がわき始めたころだった。
 TPP反対の急先鋒(せんぽう)だった農水省の高官や農水族の与野党の国会議員に次々と接触。中国人民解放軍にパイプがあると自らの存在感を誇示しながら、日本のTPP不参加の交換条件として、「レアアースを安定供給する」「中国の富裕層向けにコメ100万トンを輸入するシステムを作る」と持ちかけていたというのだ。
 「1等書記官にしては威勢がよい」。佐藤氏は工作機関との関わりを疑った。
 ■コメ輸出材料に
 日本語が達者な李元書記官は以前、東大や松下政経塾で研究員も務め、中国・洛陽市職員の肩書で、友好都市の福島県須賀川市に日中友好協会の国際交流員として来日。農水関係者を中心に人脈構築工作(ヒューミント)を展開していた。
 安全保障や外交分野に比べれば農業分野は一見、格落ちに見える。しかし、佐藤氏は関係者の脇が甘い分野を突く巧妙さに感心するだけでなく、この分野だからこその深い理由が隠されているとみる。
 「TPPは単なる経済協定ではない。アメリカの環太平洋の安全保障システムと裏表にある。コメをまき餌に日本を中国陣営に引き込み、日米同盟を弱体化させる意図が透けてみえる」。アメリカ主導のTPPから日本を引きはがし、中国主導の日中韓自由貿易協定(FTA)に引き込もうとしたというわけだ。
 しかも、コメ農業は日本の政治の急所。李元書記官は農水関係者に「中国は必ず食糧不足になる。日本のコメがどうしても必要だ」とも働きかけていた。
 中国がだぶつき気味の日本のコメを買ってくれるなら、中国主導のFTAに乗ろうという機運も生まれてくる。
 日本の弱みを材料に、日米を分断させる巧妙な対日情報工作−。そんな側面が浮かび上がる。
 ■政策・世論ねじ曲げ
 確かに工作は実を結びつつあった。
 筒井信隆元農水副大臣が主導していた中国への農産物輸出事業に李元書記官が深く関与。その結果、23年12月に訪中した野田佳彦前首相の日程に、日本産の農産物を北京で展示する「日本産農水産物展示館」の視察がねじ込まれた。筒井氏は3日までの産経新聞の取材に応じていない。
 そうこうするうち、TPP参加交渉は遅れる一方、日中韓サミットは24年5月に北京で開催され、同年11月には日中韓FTA交渉が開始された。
 TPP交渉に前向きだった野田政権を牽制し、中国に有利な方向に誘導する工作が行われていたことは想像に難くない。
 中国のインテリジェンスは、ロシアや欧米のように金銭や脅しで情報収集するのではなく、目的を悟らせずに緊密な人間関係を構築、知らず知らずに、日本の政策や世論を中国の国益に沿うようねじ曲げ、中国の政策の浸透を図るのが特徴とされる。
 佐藤氏は「第2、第3の李春光はいる。中国の諜報活動への警戒が必要だ」と指摘している。
                   ◇
【用語解説】李春光事件
 在日中国大使館の李春光・元1等書記官側に農林水産省の機密文書4点が漏洩(ろうえい)したとされるスパイ疑惑。警視庁は昨年5月、外国人登録証を不正に更新したとする容疑で李元書記官を書類送検したが、直前に帰国しており、起訴猶予処分となった。
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玄葉前外相の元秘書、スパイ疑惑の中国元書記官と接触
産経新聞2013.1.15 21:32
 玄葉光一郎前外相の元秘書が、外国人登録法違反容疑で書類送検された在日中国大使館の元1等書記官と昨年9月に北京で接触したことが15日、分かった。玄葉氏の事務所は産経新聞の取材に、元秘書が接触の事実を認めたことを明らかにした上で、「(当時の)外相としても、事務所としても訪中に関与していない」と説明した。岸田文雄外相も同日の記者会見で、外務省として同様の回答を得たことを明らかにした。
 元秘書は平成14年4月から約1年間、玄葉氏の私設秘書を務めた。
 警視庁は昨年5月、スパイ活動疑惑で元1等書記官を書類送検。中国側が出頭要請を拒否したため同月帰国し、東京地検は10月に起訴猶予処分とした。
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◆ 『最終目標は天皇の処刑』 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌 ペマ・ギャルポ著 飛鳥新社 2012年1月27日 初版第1刷発行
p4〜
はじめに
 「日本が危ない。既に中国の半植民地に成り下がっている」「中国が日本の財界とマスコミ界を牛耳っている。独立国家であるはずの日本で中国を批判する言論はマスコミによってふるいにかけられ、中国に対しての批判的な記事は掲載しないだけでなく批判的な出版物に対しては書評の対象にすらならない」「日中友好の名の下、当たり前のように日本の言論の自由、思想の自由を間接的にコントロールしている」
 こう書くと、大半の日本人は「何を大袈裟な!」と一笑に付すでしょう。しかし、中国に侵略されたチベットに生まれた私にとっては、事態が、そのように進行しているとしか思えないのです。というのも、1972年に発掘された『中国共産党・日本解放第2期工作要綱』という文書に添う形で、日本社会が変容しているからです。この文書については後段で詳述しますが、チベットが中国に本格的に侵略される以前と同様の現象が、この日本でも起きているのです。
p5〜
 また、中国が、日本国内の土地や資源を買い漁っていることは「資本主義社会における自然な商業行為」との意見もありますが、日本人が中国の土地を自由に購入できない以上(中国の土地はすべて国有で70年以下の賃借)、外交における相互主義からは疑問が残ります。しかも、それが自衛隊基地周辺の土地に集中しているのは決して穏やかな話ではありません。
 更に、2011年3月の東日本大震災で政府が混迷し、政治が空白を生んでいる時期を狙って、中国は火事場泥棒のように日本固有の領土内に入り挑発的な行為を続けているだけでなく、今や南シナ海の諸島に対して領有権を主張し武力的な実力を発揮して、周辺諸国と摩擦を起こしています。(略)
 最近南沙諸島の領有権問題で中国と対立を深めているフィリピンのアキノ大統領は、中国との領土問題を国連機構、即ちハーグの国際司法裁判所で決着することを希望しましたが、中国側は拒否。現実に目覚めたフィリピンはアメリカに再び助けを求め、2011年6月下旬から7月にかけ、米海軍と同国沿岸で11日間の合同軍事演習を敢行しました。
p6〜
 また、米国議会では民主党のジム・ウェッブ上院議員ら与野党4名の議員の共同提案で中国の南シナ海における挑発的行為を批判する決議案が採択されました。(略)
 現実問題としての中国の脅威に対処するため、大西洋から太平洋に米国の安全保障の重点が軌道修正されている事実を、日本人もきちんと認識すべきでしょう。
 侵略は決して武力、暴力という目に見えるものばかりではありません。例えば中国の温家宝首相は財界や観光業界などを使って積極的に日本政府に圧力をかけ、中国の観光客が(p7〜)沖縄に出入りするための3年友好の数次ビザ(期間中何度でも出入国できるビザ)の特権を獲得、1回の滞在期間も15日から90日に延長することに成功しました。名目上の理由は“震災からの復興のための観光収入増収”ということらしいのですが、それならばなぜ、他の途上国の観光ビザを数次ビザ同様のものに変更しないのでしょう? なぜ中国だけなのか? また何故中国がこんなに熱心なのか?
 政府は「沖縄の観光振興」と説明していますが、中国人が一旦沖縄に上陸して一泊すれば、他の日本各地に移動することは自由となっています。つまり、90日に1度出国すれば、3年間の長期滞在が可能になるということです。収入の要件も、年収25万元(日本円で300万円強)以上の富裕層となっていたものを、民主党政権は、2010年、10万元以上の中流階層にまで緩和しました。
 これらの階層が、はたして日本の物価でどれだけの購買力、消費能力を持っているというのでしょうか?
 しかも、これらの緩和が、決まって、中国共産党の創立記念日の7月1日に合わせて施行されたのは、何故なのでしょう? 私には、民主党政権が、自ら、日本国内に「トロイの木馬」を招じ入れようとしており、そのことは安全保障の観点から、きわめて危険であり、(p8〜)前述した中国政府の『日本解放第2期工作要綱』を更に深化させる愚行に思えてならないのです。これは、私自身の体験からそう言いきれるのです。中国の正体を一番知っているのは、中国と最も苦い体験を持つチベットのような国、既に植民地化され中国的植民地主義の餌食にされた周辺の国々でしょう。だから私は絶対日本にはチベットと同じ過ちを犯し、植民地化されて欲しくないのです。
p113〜
「日本解放第2期工作要綱」
  「日本解放第2期工作要綱」は、冒頭に「日本が現在保有している国力のすべてを、我が党(=中国共産党)の支配下に置き、我が党の世界解放戦に奉仕せしめることにある」という基本戦略が掲げられています。中国は第2次世界大戦のどさくさに紛れて、火事場泥棒のごとくチベットを武力併合しましたが、さすがにこの時代になると国際社会の目もありますから、そう乱暴なこともできません。そのため「基本戦略」は、まずは中国の意のままに動く傀儡国家を作るということが目標になっているのでしょう。ただし、チベットの例を見てもわかるように、その過程で日本固有の文化や価値観は徹底的に破壊されます。武力侵攻のように目には見えませんが、気がついたら行動を支配されているという文化的、精神的な侵略のほうが恐ろしいのです。
 工作員の具体的な任務は、第1期目標が日中の国交を正常化させること、第2期目標が日本に民主連合政府を成立させること、第3期目標が天皇制の廃止(天皇は戦犯として処刑)と日本人民民主共和国の樹立となっています。
 こうした「任務達成の手段」として、工作員は直接手を下すのではなく、日本人が自発的に行動するように仕向けることを強調していますが、この手法はチベットにおいて、僧侶たちに「キリスト教国主導の国連に入るのは反対」と言わせたのとまったく同じです。
 また、「統轄事項」として派遣する工作員を2000人とし、国交回復時にまず800人から1000人を送り込み、その後徐々に増やしていくとしています。
p114〜
 そして工作員は「大使館員」「新華社社員」「各紙特派員」「各種国営企業代表又は派遣員」「教員」の公的身分で入国します。ただし、その身分はまったくの表向きだけのものです。どんな肩書で来ようと、工作組織責任者だけの命令に従って、工作に専従すると書かれています。また、工作員は全員「第48党校日本部」の出身者から選抜するとしています。“党校”とは、一般に中国共産党直属の党員養成機関ですが、なぜ第48党校なのかは、その後の組織改編等もあり、現在ではわかりません。
p115〜
 第2期工作要綱が発掘された1972年は、日本にとって重要な意味をもつ年だったと思います。「日中国交回復」「沖縄返還」さらには「あさま山荘事件」と、数多くの歴史的な出来事が起きています。(略)
 前年の1971年を振り返れば、中国が突然、尖閣諸島の領有を主張し始めています。それと合わせるかのように、朝日新聞の本田勝一(かついち)記者によって、“南京大虐殺”など旧日本軍の罪を捏造した『中国の旅』の連載が始まり、日本人に中国への“贖罪意識”を植え付ける工作が始まっています。不思議な話ですが、それ以前は中国国内で南京大虐殺に関する研究発表など、ほとんどありませんでした。ところがこれ以降、中国が南京大虐殺を喧伝するようになるのです。もちろん、本田勝一氏が中国の工作員であったと断定するつもりはありません。が、ここに書かれているように普通の日本人であっても正体を隠した工作員と接触する中で、本人が知らないうちに中国政府の走狗と化してしまう、という可能性も否定できないのです。
p124〜
日中記者交換協定
 1972年時点において、工作要綱に第2期と名付けられていることからもわかるように、すでに日本国内に相当の工作機関員が潜伏していました。特にマスコミ工作に関しては、かなりの環境作りがなされていたようです。そうした環境作りの一環といえるのが1964年に結ばれた日中記者交換協定でしょう。この日中記者交換協定によって朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞、西日本新聞、共同通信、NHK、TBSの9社の報道機関が、国交がない段階で北京に常駐できることになります。ところが、68年の改定で中国側から「政治3原則」が押しつけられ、各社は否応もなくそれを飲まされることになりました。
1、中国を敵視してはならない。
2、「2つの中国」を作る陰謀に加担しない。
3、中日両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げない。
p125〜
 これ以降、中国はジワジワと日本のマスコミに圧力をかけていくのです。例えば当時、日本のマスコミでは台湾の国民党政府(中華民国)と区別するために、北京政府を中共と呼んでいました。(略)そのため国交が樹立して真っ先に要求してきたのが、“中共”という呼称を中国に変えさせることでした。本当の中国は自分たちであり、台湾ではないということを認めさせたのです。この協定が結ばれて以降、中国に不利益となる報道はできなくなります。
 例えば、林彪がモンゴルで墜落死した事件が大手新聞社で報道されたのは、事件後半年も経ってからでした。おそらく、政権内部で権力闘争が続いていることが公になって、中国が推進する日中国交樹立に支障を来すことを危惧した新聞社が自主規制したのです。
 その後も朝日新聞などを中心として、“中国ブーム”のようなものを起す動きが顕著になっていきます。国交回復を機に贈られたパンダブームもそうですが、中国は巨大市場であり、中国は膨大なエネルギー資源があり、日本は近しくならなければ損であるといった具合に、マスコミによって親中国の世論醸成がなされていったように私は感じます。当時、朝日新聞に中国には大油田があり、関係がよくなれば石油は心配いらなくなるという記事が書かれていたのをはっきり覚えています。
p126〜
 そして1972年の日中国交回復から、1978年の福田赳夫内閣による日中平和友好条約締結を経て、翌年からは大平正芳内閣によって莫大なODA供与が開始されることになるのです。
 この記者協定を楯にした、報道規制は現在でも明らかに残っています。2011年、北アフリカでわき起こった「ジャスミン革命」の余波が、中国にも波及しました。中国各地で民主化を求める集会が開かれましたが、その際、中国政府は集会をインターネットで呼びかける市民を逮捕するなどの弾圧を加えました。そして、こうした動きを取材しようとする日本や欧米のメディアに対しては、強制国外退去をちらつかせて圧力をかけるなど、いまだに自由がない国であるということを世界中に知らしめました。ところが、そのような事実があったことを、いつもなら「報道の自由」を口にする日本のメディアが積極的に報道したとは言えません。そうしたことも日本の大手マスコミが記者協定に縛られている結果だと思われます。また、先に述べたように、東日本大震災において台湾から過去最多の義援金が送られたにもかかわらず、中国ばかりが目立つような報道がなされたのも、記者協定という見えない圧力があったとみて間違いありません。
p127〜
 日本で報道されていることが逐一、情報部員によって詳細に分析され本国に報告されているのはもちろんですが、一時期は中国大使館から各メディアに対して、今日の報道よかったとか悪かったとか、いちいち電話をしていたこともあるといいます。今はそこまで露骨ではありませんが、それでも厳然たる圧力が存在します。
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『最終目標は天皇の処刑 中国「日本解放工作」の恐るべき全貌』 ペマ・ギャルポ著 飛鳥新社 2012-04-28 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉
 Professor PEMA News and Views ペマ・ギャルポ この国、日本に生き、一握の土となることを願う者のひとりとして
 2012年4月26日 (木) 中国の下心は「天皇の処刑」
 尖閣、沖縄に食指をのばした中国は、在日華僑に日本国籍取得を勧めはじめた。細胞増殖に着手した中国の「日本乗っ取り計画」の青写真とは──。
 中国の覇権主義はいまや世界の脅威となっています。最近は、海洋における覇権を確立しょうと、南シナ海の南沙諸島や西沙諸島の領有を主張して、 関係各国と緊張が高まっています。
 日本も尖閣をはじめとする島嶼、そして沖縄までこうした中国の軍事的脅威にさらされています。今でこそ中国は海洋国家に脱皮すべく海軍力を増強していますが、本来中国は大陸国家であり中央アジアにその矛先を向けていました。私の祖国・チベットを狙ったのは、地政学的に中国が南アジアや南西アジアに進出するために重要な拠点だったことと、 豊富な地下資源と水資源を獲得するためでした。地政学上の重要さや、海底資源・地下資源の豊富さで日本はチベットと酷似しています。
 「始めは処女の如く、後には脱兎の如し」という兵法がありますが、中国のチベット侵攻はまさにそれでした。
 一九五一年、 チベット代表団に偽造した国璽を捺印させて締結した「一七カ条協定」で〈(チベット人の)宗教信仰自由の政策を実行して〈チベットに進駐する人民解放軍は、人民の針一本、糸一本といえども取らない〉と謳いました。しかし中国によって僧侶は虐殺され、僧院は破壊され、人民裁判が行われ、七九年までにチベット人百二十万人が犠牲になりました。
 ひるがえって日本外交は「自分が約束を守れば、相手も守るはずだ」という能天気ぶりです。これも国際法の盲点を突く研究に余念のない中国には、世迷言でしかないでしょう。
 そして今、沖縄です。
 中国のデモでは「琉球を返せ」というスローガンが叫ばれ、「中国は琉球に対する権利がある」という論文も出てきています。学者の論文も中国当局の管理下にあります。ちなみに中国は琉球と呼び、沖縄とは言いません。 たしかに琉球処分で日本になるまで、琉球王国は明・清に朝貢する冊封関係にありました。一部の沖縄県民は、仲井員弘多知事もそうですが、中国大陸にルーツを持つことを誇りとし、中国に親近感を感じているようです。
 中国がこれを見逃すはずはありません。沖縄の県民感情に働きかけて、揺さぶりをかけています。
 沖縄ではすでに中国の総領事館を作って二百万人の観光客を中国から呼び込もうとすることが既定路線になっています。すでに中国は、観光客が沖縄と往来できる三年有効の数次ピザの特権も獲得しています。私が沖縄で会った多くの地方議員や商工会議所など政財界は、これが地元の経済振興になると前向きでした。
 でも、それは甘い。
 わが半生を振り返れば、チベットに生まれ、六歳でインドに亡命、十二歳で来日した後は、師に恵まれ多くの日本人に支えられてきました。そして二〇〇五年、私は日本国籍を取得しました。
 最新刊の『最終目標は天皇の処刑』(飛鳥新社)は、中国によって祖国を奪われた者として、また日本をこよなく愛する者としての視座から著したものです。
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【新帝国時代第2部 インテリジェンスなき国】(1)検証アルジェリア人質事件 飛び交う数字「すべて推測」 2013-02-05 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 
  アルジェリア人質事件は日本の情報収集・分析に大きな課題を残した。日本が「対テロ戦」に立ち向かえるための態勢づくりは急務だ . . . 本文を読む 
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