マーライオンの目 2つの“事件”
産経新聞2013.2.13 03:13 [外信コラム]
シンガポールでは最近、日本の尖閣諸島と慰安婦問題にまつわる2つの“事件”が話題となり、シンガポール政府がどのような対応を取るか注目された。
ひとつは、尖閣諸島の中国名である「釣魚島」の看板を掲げるレストランの出現だ。経営するのは華僑とみられる夫婦。「別に政治的な意図はないよ」と話すものの、店内には写真や地図が掲げられ“中国の領有”がアピールされている。
この店は広告基準庁と警察ににらまれた。広告活動条例には「広告は紛争を利用、あおるものであってはならない」という規定があるのだ。どこかの市民も「問題あり」と思ったのだろう。警察に通報した。その看板もある日、赤い幕に覆われ、「釣魚島」の文字が見えなくなった。
もうひとつは、韓国のとある団体が、慰安婦像をシンガポールに建てる動きを見せたことだ。これにシンガポール政府は「像を設置することはなく、この件についていかなる協議もしていない」と、否定する声明をわざわざ発表した。
政府は日本の肩をもち良識的な対応をした、と評価したいところだが、そうではなさそうだ。よそのけんかを、自分の庭に持ち込まれるのは迷惑千万−というのが本当のところのようで、波風を嫌うシンガポールらしい。(青木伸行)
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マーライオンの目 尖閣諸島と慰安婦問題にまつわる2つの“事件”
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