林真須美死刑囚の再審請求、ヒ素の再鑑定を要求
2013年3月9日(土)19時36分配信 読売新聞
住民4人が死亡した和歌山市の毒物カレー事件で、2009年5月に最高裁で死刑判決が確定し、再審請求中の林真須美死刑囚(51)の弁護団は9日、再審請求補充書などを先月末に和歌山地裁に提出したことを明らかにした。
大阪市内で記者会見した弁護団の安田好弘弁護士によると、補充書では「裁判で証拠とされた鑑定のデータを専門家が分析した結果、(林死刑囚宅の)台所から見つかったとされる容器内のヒ素と、カレーに混入する際に使ったとされる紙コップ内のヒ素は別物とわかった」などと主張、再鑑定を求めている。
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「現場のヒ素は別物」 和歌山毒物カレー事件、弁護団が分析結果
産経新聞2013.3.9 21:17 [westナビ]
平成10年に4人が死亡した和歌山の毒物カレー事件で、殺人罪などで死刑が確定し再審請求をしている林真須美死刑囚(51)の弁護団は9日、大阪市内で記者会見し、現場の紙コップに付着したヒ素と林死刑囚の自宅から押収されたヒ素は特徴が異なり、同一ではないとの分析結果が得られた、と明らかにした。
弁護団によると、1審和歌山地裁で採用された鑑定では、2つのヒ素に特徴が共通する部分があり、同一製品とされた。確定判決は鑑定結果などに基づき林死刑囚が紙コップを使って、自宅にあったヒ素をカレー鍋に混入したと認定した。
しかし、京都大大学院の河合潤教授(分析化学)が鑑定結果を分析したところ、ヒ素の特徴が異なる部分が見つかったとし、ヒ素は同一でないとの結果が出たという。
これを受け、弁護団は先月28日、再鑑定を求める新たな再審請求補充書などを同地裁に提出。「確定審の鑑定ではヒ素の生産地が同一と立証されたに過ぎず、林死刑囚は犯人とはいえない」と主張している。
確定判決によると、林死刑囚は10年7月25日、夏祭りのカレー鍋にヒ素を混入させて4人を殺害し、63人を急性ヒ素中毒にさせた。
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記者は見た、カレー事件の『スプリング8』…?魔法の光?から生まれるシャンプー、ガム、クスリ
産経新聞2013.3.9 18:00 (1/4ページ)[west経済]
*ドーナツ形のスプリング8内部。奥へ行くほど右へカーブしている=兵庫県佐用町
兵庫県佐用町に世界最先端の科学分析装置が2つもある。理化学研究所が所有する大型放射光施設「SPring−8(スプリング8)」とエックス線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」。内部に“潜入”すると、人類にとって未知の世界をのぞかせてくれる「夢のマシン」だった。
■カレー事件で全国区
平成9(1997)年に稼働したスプリング8は直径500メートル、1周約1・4キロの巨大なドーナツ形で、樹木の茂った小山の周囲を「シャンプーハット」のように取り囲んでいる。内部に入ると、「果てしなくカーブしたトンネル」という印象で、最先端の機械が整然と並ぶ。
建設費は約1100億円で、「放射光」と呼ぶ強力な光を生み出す。
光の速さぐらいに加速させた電子の進行方向を磁石で曲げると、レントゲン撮影の100億倍の明るさの「放射光」が出てくる。この放射光を当てると、従来は分析できなかった物質の細かい動きが観察できる仕組み。いわば、超高性能の「顕微鏡」だ。
放射光の取り出し口「ビームライン」は62カ所設置でき、現在は55カ所が使われている。研究成果を公表すれば利用料は無料だが、一定の利用料(8時間当たり31万2千〜48万円)を支払えば、成果を非公開にできる。
スプリング8の名を一躍高めたのが、67人がヒ素中毒となり、うち4人が死亡した「和歌山毒物カレー事件」(平成10年)の科学鑑定だった。
事件現場のカレー鍋に残っていたヒ素はきわめて微量だったため、従来の分析手法では、被告宅から押収されたヒ素と比較できなかった。だが、高精度のスプリング8による分析の結果、カレー鍋のヒ素と被告宅のヒ素は「同一」とみなされた。
■化学変化もくっきり
そのスプリング8の10億倍もの「魔法の光」をつくるのが、隣接するエックス線自由電子レーザー施設「SACLA(さくら)」だ。全長700メートルの細長い建物で、航空写真では、スプリング8と合わせてアルファベットの「P」のように見える。建設費は約390億円で昨年3月に稼働した。
原子は、1兆分の1秒というわずかな時間で別の原子とくっついたり離れたりするが、スプリング8では一瞬の動きは、ぼんやりとしか見えなかった。
これに対し、さくらは10兆分の1秒間隔で撮影できるため、理研播磨研究所の生越満・研究推進部企画課長は「原子レベルの化学変化の様子がくっきりと観察できる」と胸を張る。
さくらの建設には、住友重機械工業や三菱重工業、東芝など国内企業約500社が結集し、オールジャパン態勢で臨んだ。このため、欧米の施設より小型で省エネ性にも優れている。
また、大型放射光施設とエックス線レーザー施設の“共存”は世界唯一で、両施設の光を同時に使える実験室も整備した。さくらで得られた大量の実験データを、同じ兵庫県内にある世界最高水準のスーパーコンピューター「京(けい)」(神戸市)に送って詳しく解析する試みも始まる。軌道に乗れば、関西から世界初の発見・発明が相次ぐかもしれない。
■「期待大」の製薬企業
スプリング8の研究成果からは、ガムやシャンプー、充電池など多くの日用品も生まれた。たとえば、花王は、毛髪の内部構造やくせ毛の様子を分子レベルで解明し、シャンプーなどのヘアケア「セグレタ」シリーズの開発に結びつけた。
また、江崎グリコの特定保健用食品(トクホ)のガム「POs−Ca(ポスカ)」は、初期の虫歯になりかけの歯を健康な状態にする機能をスプリング8で確認した。
中でも製薬業界の両施設に寄せる期待は大きい。医薬品の開発では、体の細胞内で情報をやり取りする「膜タンパク質」に化学物質(新薬候補)がどう作用するかを解き明かすのが最善だが、これまで膜タンパク質の構造解析は不可能とされてきた。
しかし、スプリング8やさくらの光をあてると、膜タンパク質の瞬時の変化を捉えられるかもしれない。実際、製薬業界は平成23年度までの10年間、スプリング8に専用ビームラインを作って各社に時間貸しし、順番待ちができるほど盛況だった。
理研は「スプリング8の利用料収入の6割は製薬会社だった」と打ち明ける。
さくらは当面、成果を公表する代わりに無償で使えるが、1つの新薬開発に数百億円もの巨費が掛かる中、「製薬会社はライバル企業に手の内を明かしたくない」(関係者)のが実態。今後は、スプリング8のように、成果を非公開にする代わりに一定の利用料を支払う仕組みが求められそうだ。(藤原章裕)
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◆ 和歌山県警科捜研 主任研究員による鑑定結果捏造 【毒カレー事件】再審請求の行方はどうなる 2012-08-20 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆ 和歌山毒物カレー事件 弁護団が再審請求審で「鑑定の紙コップは別物」 2011-07-26 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆ 「和歌山毒カレー事件」無辜の不処罰 2010-07-20 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆ 林真須美被告の死刑確定へ 和歌山毒物カレー事件 2009-04-21 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆和歌山毒カレー事件
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◆ 「死刑弁護人」安田好弘弁護士の人間像に迫る/東海テレビ 2011/10/10/ 00:45〜 2011-10-08 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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◆ 『死刑弁護人』安田好弘弁護士と勝間和代が死刑制度を語る(司会;森達也) 2012-07-10 | 死刑/重刑/生命犯 問題
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