虚偽記載の故意どう判断 13日に3秘書控訴審判決 最大の焦点「ゼネコン癒着」有無が左右か
産経新聞2013.3.9 21:54
「生活の党」の小沢一郎代表(70)の資金管理団体「陸山会」による土地購入をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)罪に問われ、1審でいずれも有罪とされた衆院議員、石川知裕被告(39)ら元秘書3人の控訴審判決公判が13日、東京高裁(飯田喜信裁判長)で開かれる。控訴審では弁護側の事実取り調べ請求の大半が却下され、審理は1審とほぼ同様の証拠を基に行われた。小沢氏本人は無罪が確定しており、高裁が元秘書らの虚偽記載の故意を1審に続き認めるか、注目される。
平成23年9月の1審東京地裁判決は、16年の土地購入に絡み小沢氏が陸山会に提供した4億円を政治資金収支報告書に記載せず、土地取得支出の公表を先送りしたなどと認定。石川被告に禁錮2年、執行猶予3年▽元公設第1秘書、大久保隆規被告(51)に禁錮3年、執行猶予5年▽元私設秘書、池田光智被告(35)に禁錮1年、執行猶予3年−を言い渡した。
1審は東京地検特捜部の取り調べに「威迫や利益誘導があった」として、3被告の捜査段階の供述調書の一部を証拠採用しなかった。その上で、判決では不自然な資金移動について法廷で合理的に説明されなかった点などに言及。実務を担当した石川、池田両被告の虚偽記載の故意や、会計責任者の大久保被告の共謀を認め、有罪と判断した。
さらに、虚偽記載の動機として同時期にゼネコンから裏献金計1億円を受け取っていたと認定。裏金授受などが明るみに出ることを恐れ、4億円借り入れの隠蔽(いんぺい)を図った、と指摘した。
一方、控訴審で弁護側は裏献金の受領はなかったとして、当時の石川被告らの手帳の取り調べなどを求めたが、高裁は大半を却下。1審後の事情に限定し、一部の証拠や被告人質問を採用するのにとどめた。
小沢氏も検察審査会の審査を経て同法違反罪で強制起訴されたが、1、2審ともに3被告との共謀を認めず無罪を言い渡し、検察官役の指定弁護士は上告を断念。強制起訴事件で初めて判決が確定している。
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政治資金収支報告書の虚偽記載は「形式上のミス」か、それとも「故意」か。小沢一郎代表の公判とは異なり、元秘書3人の公判では虚偽記載の背景事情として、小沢事務所に対するゼネコンの裏献金の有無も争われている。裏金の授受は有罪認定を左右する「故意の有無」に強く結びつくだけに、1審に続き認められるかが最大の焦点となる。
検察側は公判を通じ、小沢事務所が土地購入の前後に中堅ゼネコン「水谷建設」から計1億円の裏献金を受けていたと主張。当時、小沢事務所と建設業界の癒着疑惑が報じられていたことから、元秘書らは小沢氏が提供した購入費用4億円を公表すれば原資を追及されると予測、隠蔽工作を図ったとの構図を描いた。1審判決も同様に認定し、虚偽記載の故意があったと結論付けた。
一方、小沢氏の公判では、検察官役の指定弁護士が小沢氏と元秘書らとの共謀に重点を置き具体的な動機の立証には踏み込まなかったため、裏献金に関する判断は示されなかった。
大久保隆規被告は、準大手ゼネコン「西松建設」から企業献金を受けながら、ダミーの政治団体から受領したと偽ったとされる違法献金事件についても併せて審理されている。
1審は公共工事の談合にあたり、大久保被告が業者選定の「天の声」の発出役を務めていたと認定。献金主体が西松建設だった点を「理解していなかったとは到底考えられない」と指摘し、大久保被告を有罪とした。
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【陸山会事件】小沢氏と現在も変わらぬ師弟関係 石川氏、衆院法務委所属「今後も戦う」
産経新聞2013.3.9 21:56
「私はケリがついたが、石川も、大久保、池田も裁判が続いている。無罪を勝ち取らなければならない」。生活の党の小沢一郎代表は7日夜、支援者が開いた集会に出席。控訴審判決を控えた元秘書3人への支援を求め深々と頭を下げると、大きな拍手と歓声が沸き起こった。
集会に同席した石川知裕被告が、先に退席する際、小沢氏の肩に手をかけ言葉を交わす場面も。所属党が別れた現在も、変わらぬ師弟の絆をうかがわせた。
石川被告は昨年12月の衆院選で比例復活当選を果たし、現在も議員バッジをつける。有罪が確定すれば原則として失職するため、今年1月の被告人質問では虚偽記載について「政治家の仕事ができなくなるほどのミスなのか判断してほしい」と訴えた。
7日の集会では小沢氏に先立つあいさつで、衆院の法務委員会に所属していることに言及。「大事なのは国策捜査を二度と行わせないこと。今後も戦ってまいりたい」と検察改革にも意欲をにじませた。
一方、池田光智被告は政治活動から退き、税理士試験合格を目指しつつ税理士事務所で勤務する毎日を送る。2月の被告人質問では、資格取得に必要な5つの試験科目のうち、すでに4科目に合格していることを明らかにした。
かつて市議を務めた地元・岩手県釜石市に戻った大久保隆規被告も、目立った政治活動などは行っていない。
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◆ 小沢氏元秘書 控訴審判決期日 2013年3月13日 / 安田好弘弁護人では戦えない 2013-03-06 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
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〈来栖の独白 2013/3/6 Wed. 〉
PC遠隔操作事件は、佐藤博史弁護士と木谷明弁護士がいち早く付いたため、片山祐輔さんは「冤罪」の深みに嵌らないで救われそうだ。佐藤博史弁護士も木谷明弁護士も冤罪事件では評価が高い。裁判所というところは、世論を強く気にする。
小沢氏元秘書裁判でも、裁判所のこの気質を踏まえて弁護人を選定、依頼すべきだった。安田弁護士は有能な弁護士であることは疑いがないが、多くは有実の被告人の弁護を依頼され、請けている。麻原彰晃死刑囚、光市事件死刑囚、和歌山毒カレー事件死刑囚・・・、いずれも裁判所が有罪判決を下して楽勝である。どこからも文句が飛んでこない。メディアと世論が有罪判決へ押し上げた。安田さんが付けば、それは有実の案件と解釈されやすい。
小沢氏事件では、小沢氏に無罪を下したことで、裁判所のバツイチとなった。名誉挽回のためには秘書を有罪とするしかない。また、そうすることで、世論も納得するだろう。
安田さんでは戦えない、と私は思う。今からでは遅いが・・・。
残念だが、裁判とは必ずしも正義や正論、真実、情状が勝つのではないし、法と証拠のみで裁かれるのでもない。黒い法服を纏っているからといって、裁判官(「良心」)が、組織から独立しているとは楽観できまい。判決には裁判官の「人生」も掛かっているようだ。数多ある冤罪事件や再審の扉の固さが、それを語っている。
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◆ 小沢裁判「国民騙したメディアは猛省すべき」と鳥越俊太郎氏 2012-05-09 | 政治/検察/裁判/小沢一郎/メディア
小沢裁判「国民騙したメディアは猛省すべき」と鳥越俊太郎氏
NEWS ポストセブン2012.05.09 16:00
それは、小沢一郎氏の“陸山会裁判”でも繰り返された。なぜ、新聞・テレビは捜査や裁判の冤罪構造に斬り込もうとしないのか。
ジャーナリスト・鳥越俊太郎氏は、「それは陸山会事件そのものがメディアによってつくりあげられた事件だったからだ」と指摘する。
すべてのスタートは政権交代前の2009年の「西松建設事件」だった。
「検察は建設業者がダム建設の受注を有利にしようと小沢氏の事務所にお金を持っていったという古典的な贈収賄シナリオを描き、新聞にバンバンとリークしたことが発端だった。新聞はそれを検証せずに垂れ流すように書いていった。
新聞が建設会社から小沢氏にカネが渡ったのが事実のような書き方をして、それを追いかけるように特捜部の捜査が進んでいく。情報の出元は同じだから各紙横並びの記事になり、国民には、『どの新聞も書いているから小沢氏は何か悪いことをしている』という印象が植え付けられる。その繰り返しを何年も続けたので、“小沢一郎は巨悪”というイメージがつくられてしまった」(鳥越氏)
判決後にもテレビは街頭インタビューで、「無罪? おかしいんじゃないか」と答える国民の声を放映した。メディアが国民に「小沢は巨悪」のイメージを植え付け、無罪判決が出ると今度は国民に「おかしい」といわせていかにも国民が判決に納得していないように報じる。これこそ戦前のメディアが得意としていた危険な世論操作である。こんなかつて取った杵柄はしまっておくほうがよい。
鳥越氏が続ける。
「総選挙前の西松事件は政権交代を阻止する、政権交代後の陸山会事件は小沢氏を政治の中枢からできるだけ遠ざけるという特捜部の考える“正義”のための捜査だった。それにメディアが完全に乗って世論はつくられた。国民はメディアに騙されてきたのであり、メディアは猛省しなければならない」
毎日新聞記者から『サンデー毎日』編集長、テレビ朝日『スーパーモーニング』のコメンテーターを歴任し、新聞・テレビの報道第一線に立ってきた鳥越氏の発言だけに迫真性と説得力がある。
※週刊ポスト2012年5月18日号
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【陸山会事件】小沢一郎氏3秘書 13日に控訴審判決/「僕は旧体制の人たちにとって完全な標的ですよ」
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