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安倍政権を陰で支える「裏方」の正体 / 「安倍外交」支える異色の内閣審議官がしたこと

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安倍政権を陰で支える「裏方」の正体
現代ビジネス2013年03月10日(日)ドクターZは知っている
 ロケットスタートに成功した安倍政権が、その後も順調に政権運営を続けている。ここのところの政権は通常国会が始まると閣僚の失言などで立ち往生し、国民の支持を失うことが多かったが、安倍政権はいまのところその気配すらない。政権支持率は昨年より順調に上がり続けて、各調査ともに70%程度。これ以上の高水準は望めないというレベルにまで膨れ上がっている。
 もちろん民主党政権があまりにデタラメだったということの?裏返し効果?があるだろう。アベノミクスが奏功し、円安・株高で財界が歓迎ムードになっていることも高支持率の背景といえる。ただ、安倍政権が安定飛行できているのには、ほかにもワケがある。官房長官・菅義偉の存在である。
 同氏は安倍晋三首相の盟友で、派閥は違えど7年前の第一次安倍政権の誕生に奔走して政権の立て役者となった人物。第一次安倍政権時に総務相として安倍政権を全面的にバックアップしたうえ、第一次安倍政権が終わった後も安倍氏を支え続けた。
 安倍氏は前回の「首相就任時」と「首相退陣後」で天国と地獄を見たはずだ。ある経済人が言っていたが、財界のトップクラスにいたときに自社の不祥事・業績不振があり、失意のうちにその座を去らざるを得なくなった。その人はそれまでの交友関係を清算せざるを得なくなり、持っていた住所録をすべて破棄した。それからどん底の時に助けてくれる人とだけつきあうようになったという。
 安倍氏も同じような境遇であっただろう。そして地獄を見たときに、支えてくれた人が本当に信頼できる人だと思ったはずだ。そもそも官邸人事の要は官房長官であり、このような信頼できる人物をこの要職に就けたことが奏功している。
 たとえば、今回の「日銀人事」。直前までまったく情報が漏れずに、安倍首相訪米から帰国直後に一斉にマスコミに流している。情報管理が完璧であった。
 その前までマスコミはまったく当事者に取材できず、憶測記事か役所サイドの意向に沿ったリーク記事を掲載していた。そうした局面でも、役所からのリークで市場が好感しないものをあえて官房長官は黙認して、本命の落としどころ人事でミニサプライズを演出していた節もある。最終的に、下馬評の高かった武藤敏郎・大和総研理事長や岩田一政・日本経済研究センター理事長ではなく、黒田東彦・アジア開銀総裁を日銀総裁の政府案として出したことが、市場の高評価を得たという事実が如実に物語る。
 官房長官は毎日記者会見があり、スポットを浴びるポストだ。官房長官が首相より前に立って目立ってはいけない。その点、秋田から集団就職で上京し、働きながら大学を卒業後、国会議員秘書、市議、国会議員と昇ってきた経歴もあって、安倍首相の「裏方部隊」として手腕を発揮している。
 官房長官は、各省の情報が集まるポストだ。そのため、他の大臣と比べてはるかに多くの秘書官スタッフを抱えている。彼らは各省のエリート・キャリア官僚である。その点でも、菅氏は硬軟織り交ぜて対応することで有名だ。
 総務相のときには大臣の指示に従わない課長を更迭したこともある。大臣として当然の人事であるが、実際に行うとなると勇気のいる仕事だ。この凄みも霞が関では有名なので各省官僚は従っている。菅氏という「裏方」の動向に注目してみると、安倍政権をより深く分析できるだろう。
『週刊現代」2013年3月16日号より
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「安倍外交」支える異色の内閣審議官がしたこと
NEWS FILE
PRESIDENT 2013年3月18日号
安倍内閣の支持率が62%と鰻上りだ。アベノミクスなどの政策が国民から高く評価された結果だ。米国との関係改善や、好戦的な中国を牽制する外交政策もおおむね国民から支持されている。
その安倍外交を支えているのが谷口智彦内閣官房内閣審議官(内閣広報室)だ。谷口氏は東大法学部卒。「現代コリア研究所」や日経BP主任編集委員を経て米ブルッキングズ研究所研究員に就任。その後外務省外務副報道官、同参与、双日総合研究所上席研究員などを歴任した変わり種。今年2月、安倍氏の推しで内閣審議官に就いた。
谷口氏は外交・安全保障に詳しく、安倍内閣の内閣官房参与になった谷内正太郎元外務事務次官とも懇意。谷内氏らとの対談を収録した『同盟が消える日−米国発衝撃報告』ほか多数の著書がある。
「安倍氏は首相就任直後の昨年12月、プラハに本拠を置く国際NPO団体『プロジェクトシンジケート』に『アジアの民主主義、セキュリティー・ダイヤモンド』という英語の論文を寄稿しました。この中で安倍氏は、中国が東シナ海の領有権を既成事実化しようとし、南シナ海についても“北京の湖”にしようと企てていると指摘。中国の海洋覇権を防ぐために日本、米国ハワイ、豪州、インドが連携し海洋権益保護のためのダイヤモンドを形成すべきだ、と主張しています。この論文は谷口氏が書き、首相がゴーサインを出したものだといわれています」(外務省関係者)
首相は今年1月、東南アジアを歴訪し、インドネシアで「日本外交の新たな五原則」という外交政策を発表。海の安全と日米同盟を守ることが日本の国益だとし、インドネシアなど東南アジア諸国との連帯の重要性を強調、中国の海洋進出に脅威を抱く東南アジア諸国と連携して“ダイヤモンド”を強化しようという内容だ。
「この五原則を書いたのも実は谷口氏だといわれています。また1月28日の安倍首相の国会所信表明演説にも谷口氏が絡んだとされます。外務省では“谷口氏はどういう権限で外交政策に関わっているのか”と不安視しています」(同前)
安倍氏は谷口氏に加え、谷内参与、さらに外務省の反対を押し切って首相が一本釣りした兼原信克内閣官房副長官補(前外務省国際法局長)らを活用して官邸主導の外交を推進する構え。今後、外務省との軋轢が生じる可能性もある。
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安倍晋三首相が提唱した「セキュリティー・ダイヤモンド」安全保障 「インド◇日本◇ハワイ◇豪州」連携 2013-01-17 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法〉 

    

「安保ダイヤモンド」形成着々 中国包囲網へ豪重視鮮明
産経新聞 1月14日(月)7時55分配信
 岸田文雄外相がオーストラリアのカー外相との会談で、米国を含めた安全保障分野の協力を加速させる方針で合意したのは、海洋進出を進める中国を牽制(けんせい)する狙いがある。民主党政権下では豪州側の“片思い”が続いていたが、政権交代を機に「戦略的パートナー」として豪州重視を打ち出した形だ。
 安倍晋三首相は就任直後に発表した論文で、豪州、米ハワイ、インド、日本を結ぶ「安全保障のダイヤモンド」を形成する戦略構想を明かしている。
 この中で中国については、海上交通路(シーレーン)が通る南シナ海を「北京の湖」として影響力を増していると警戒を示し、インド洋と西太平洋の海洋安全保障を目的とした日米豪印の協力強化を訴えた。
 首相は第1次政権時代もアジア地域などで自由や民主主義、法の支配の定着を目指す「自由と繁栄の弧」構想を掲げた。
 日豪両国は平成19年の「安全保障協力に関する日豪共同宣言」を受け、物品役務相互提供協定(ACSA)や安全保障に関する情報保護協定に署名するなど着実に安保協力を進展させてきた。
 しかし、首脳・閣僚間の交流では豪州の一方的な熱意が目立っている。民主党政権時代の3年余りの間、豪州の首相や閣僚が来日したのは延べ22回だったのに対し、日本側はわずか7回。外務省幹部は「日本がどれだけ豪州のラブコールに応えられているのかという反省はある」と語る。
 豪州は昨年4月に米軍のローテーション展開を受け入れており、中国を念頭に置いた米国との関係強化に乗り出している。日本に対しても協力拡大を要請している。日豪当局者間の協議では、豪州側が日本に集団的自衛権の行使容認をたびたび求めているという。
 安倍政権は「豪印両国との関係をより高い段階にしたい」(外務省幹部)として、会談を機に安保協力をさらに拡大させる方針だ。政府内には「公海上で日豪いずれかの船舶が攻撃を受けた際に、双方が守る“疑似同盟”を将来的には考えるべきだ」(政府関係者)との声も出ている。(杉本康士)
最終更新:1月14日(月)8時55分
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「ダイヤ形」安保 輝くか インド◇日本◇ハワイ◇豪州 連携
中日〈東京〉新聞 2013/01/17Thu. 特報
海洋進出「封じ込め」狙い
 ダイヤモンド安保構想−。耳慣れない言葉だが、安倍晋三首相が昨年末、提唱した外交安保のアイデア。日本、インド、豪州、米ハワイ州の連携を強め、ダイヤモンドの形の枠組みをつくる。狙いは海洋進出に野心的な中国に対するけん制であり、「封じ込め」戦術。ダイヤモンド安保の可能性と問題を考えた。(上田千秋・林啓太)
 ■中国けん制へ首相提唱
 「インド洋から西太平洋にかけて共有する海を守るため豪州、インド、日本、ハワイ州が『ダイヤモンド』を形成する」。「ダイヤモンド安全保障構想」は安倍首相が十二月二十七日、国際NPO「プロジェクト・シンジケート」に寄稿した論文で提唱した。
 ダイヤモンドは、日本など四カ国・州を線で結ぶと浮かび上がるひし形を指す。四角い海域での「航海の自由」を、日米印豪の四カ国が連携して守る戦略という。
 「プロジェクト・シンジケート」のウェブサイトには「安倍晋三首相」の名前が入っているが、実際には首相就任前に書いたものとみられ、そのためか、やや踏み込んだ表現が目立つ。
 論文にはこの海域に軍事面で進出を図る中国に対する首相の強い警戒感が込められている。中国は南シナ海の南沙諸島の領有権をめぐりフィリピンやベトナムなどと対立を深めているが、安倍首相は南シナ海が「『北京の湖』になるようにみえる」とかなり刺激的な表現を使っている。加えて首相は「日本が東シナ海で中国に屈してはならない」と強調。日中の尖閣諸島の領有権問題で日本の立場の正当性を訴えている。
 ■価値観外交
 安倍首相は以前から「自由、民主主義、基本的人権といった価値観を共有する国との関係を深める」と、「価値観外交」を主張している。今回のダイヤモンド安保構想も、こうした価値観外交に基づくもので、立命館大学の宮家邦彦客員教授(外交・安全保障)は「日本は米国、インド、豪州と民主主義の価値観を共有している。中国に尻込みしない民主主義国家をつなぎ、太平洋での自己主張が強まった中国に対し、現状の海洋秩序を守らせようとしている」と指摘。中国への牽制が最大の狙いだろうと解説する。
 東京財団の渡部恒雄上席研究員は「民主主義の価値観を共有しない、と言われることは中国からすればいやなこと」と指摘。その上で「首相は、ダイヤモンド構想の方針を示して中国に圧力を加え、自由主義国が海洋秩序を維持する枠組みに加わらざるを得なくさせる作戦だろう。そうすると、中国は尖閣諸島をめぐる行動も制限されるようになる」
 前の安倍政権ではこれと同じように「自由と繁栄の弧」があったが、ダイヤモンド安保構想はこれとはどう異なるのか。宮家氏は「戦略の切り口が海か、陸かの違いだ」と説明する。「自由と繁栄の弧が唱えられた当時は、日本がテロ対策をめぐり、イラクやアフガニスタンを支援し、ユーラシア大陸の東西を結ぶ価値観外交に重点が置かれていた。今は中国の海洋進出が大きな問題で、海を意識した構想を立てなければならなくなった」
 双日総合研究所(東京)の吉崎達彦副所長は「海洋国家である日本の価値感に裏打ちされたものの見方。セキュリティー・ダイヤモンドという言葉も斬新だし、コンセプトで闘うとの発想は今までの日本にはなかった。首相の発言としてはやや軽い印象があるが、政治家・安倍晋三個人の発言なら非常に面白い」と構想を評価した。
 佐藤優・元外務省主任分析官は「ロシアは静観するだろう。しかし、(中国を牽制する意味で)腹の底では歓迎するはずだ」との見通しを示した。
高まる緊張 逆効果?
 安倍政権はこの構想に沿って動き出している印象がある。ダイヤモンドの枠に入る東南アジアを重視する姿勢を鮮明にしている。
 今月に入って麻生太郎財務相がミャンマーを訪問。岸田文雄外相はフィリピン、シンガポール、ブルネイ、豪州を歴訪。安倍首相も十六〜十九日、ベトナム、タイ、インドネシアの三カ国を回る。
 「日本も世論戦でカウンターパンチを出せるんだと、中国に意識させることができる」(吉崎氏)との好意的な見方もある一方、実際にダイヤモンドを形成するには、問題が山積しているのも事実だ。
 ■豪印に温度差
 岸田外相と会談した豪州のカー外相は十三日、「日豪関係は中国を封じ込めるものではない。日本との関係緊密化は豪中、日中の関係強化と共存できる」と述べて日本の出方をけん制。「日豪はともに米国と同盟国。戦略認識を共有し、協力関係をいっそう推進していきたい」と語った岸田外相とは微妙な温度差を感じさせた。
 ダイヤモンドを結ぶ、もう一つの国、インドが同調するかどうかも疑わしい。外交評論家の孫崎亨氏は「インドの中国との貿易量は日本の何倍にも当たり、国の重要度は中国の方がはるかに上。現実的に考えれば、できるとは思えない」とみる。
 岐阜女子大南アジア研究センターの福永正明センター長補佐も「『日印の関係が、日米関係を超えるわけがない』というのがインドの一般的な考え方。インドからすれば、日米を基軸としたものよりも東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係や自由を中心とした別の枠組みを考えていくだろう」との見方を示す。さらに「日米同盟の強化や対中政策のためにインドを犠牲にしようとしているのでは、と考えている識者もいる」と指摘する。
 ■口実与える?
 ダイヤモンド構想が中国を強く刺激し、尖閣問題などをめぐる緊張を高める危険があるとの見方もある。
 慶応大学の渡辺靖教授(文化外交)は構想自体は「悪くないアイデア」という一方、「日中関係は今、非常に危険な領域に入っている。構想は、『中国にとって脅威になる。拡張路線を進めなければならない』との口実を与えかねず、逆効果になる可能性がある」と指摘する。
 渡辺氏はこうした構想と並行して、中国政府の中枢にパイプをつくるなど地道な努力の積み重ねによって、関係改善を図るべきだとの考えだ。「いざという時に落としどころを見つけるのは政治家同士のコミュニケーションなのに、それができていない」と説く。
 孫崎氏も、ダイヤモンド構想の裏には米国の戦略がちらつくと否定的な考えを強調。「日米は価値が共通だとか、中国と連携できるわけがないと主張するが、それは米国の軍産複合体が使うロジック。米国は自国のカネを使わずに、日本などに負担させたいだけのことだ」と述べた。 *リンクは来栖
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