BRICSの協力の限界に要注意 開発銀行は本当にできるのか?
JBpress 2013.03.29(金)(2013年3月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
別荘を建てるために集まったが、いくらお金をかけるか、どこに建てるか、その代金を誰が支払うかで合意できない5人の友人グループを想像してみてほしい。
大雑把に言ってそれが、BRICSの年次サミット(首脳会議)を終えたブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の指導者の立場だ。
■サミットで謳われた開発銀行創設計画
彼らは全員、「BRICS開発銀行」が名案だと思っている。いまだに先進国が優位を占める国際通貨基金(IMF)や世界銀行から独立して発展途上国が管理する、発展途上国のための基金活用経路だ。
彼らは27日、ダーバンサミットの閉幕にあたっての声明で、この考えを「実現可能かつ実行可能」と呼び、「インフラへの資金供給で効果を上げるだけの多額かつ十分な」資本を持った銀行を設立することで合意したと述べた。
これによって、BRICS開発銀行が最初に提案された昨年のニューデリーでの会議から少しだけ状況は前進したが、大きな前進とは言えない。ロシアのアントン・シルアノフ財務相は正式な首脳会議に先立つ財務相会合の後、「前向きな動きはあるが、銀行の創設に関する決定はない」と述べている。
5カ国の政府高官は、銀行に500億ドルの資本を拠出することについて議論した。だが、各国が公平に資金を負担するのか、あるいは拠出金は各国の国内総生産(GDP)の大きな違いを反映すべきなのかに関する合意はなかった。中国の経済規模は、ロシアやインドの4倍、南アフリカの約20倍に上る。
問題は、どの国が資金を負担できる、できないということだけではない。どの国が銀行に職員を派遣するのか、どこに資金を貸し出すのか、どの国の企業が銀行の気前良さから恩恵を受けるのかという問題でもある。
■本部はどこに置くのか?
同じくらい議論を引き起こすのは、本部をどこに置くかという問題だろう。この点については他の多国間組織が証言してくれるはずだ。実際、英国が決して最大の拠出国でないにもかかわらず、欧州復興開発銀行(EBRD)がロンドンに本部を置くまでは、多くの駆け引きを要した。
中国は、BRICSの中で圧倒的な力を持つ国として、間違いなく北京に銀行を置きたいと思っている。
南アフリカは、開発銀行は――開発基金を最も必要とする大陸として――アフリカに焦点を合わせるべきだと主張している。これはヨハネスブルクが好ましいという思いを暗示しているのかもしれない。
一部のBRICS観測筋は、ロンドンがまずまずの妥協点になるかもしれないと述べている。ロンドンは、どの国の縄張りでもなく、時差や交通の便という点でまずまず良い位置にある都市だ。
だが、ロンドンにBRICS開発銀行を置くことになれば、「旧世界」に対する新興国の対抗勢力としてBRICSを推進するという目的が損なわれる可能性がある。
■BRICSが直面する3つの問題
BRICSの指導者たちがこのような単なる事務処理作業でもっと良い結果を出せないとすれば、彼らが対処したいと思っている大きな問題、特にIMFをはじめとする既存の多国間組織で新興国が代表権を欠く問題について協力することなど期待できるだろうか?
BRICSは、3つの基本的な困難に直面している。
まず、首脳会議の写真撮影のために各国指導者がどのような順番で並ぶにせよ、彼らは、中国が他国よりはるかに大きく、世界的にその経済力を誇示することにはるかに成功しているという現実を避けることはできない。
中国政府としては、国営の中国開発銀行や国の支配下にある他の大手銀行でできなかったどんなことをBRICS開発銀行を通じて達成できるのか思案することになるだろう。
次に、BRICSはグローバルな経済統治について共同戦線を張りたいと思っているが、実際にそれができることを示さなければならない。フランスのクリスティーヌ・ラドルガ氏が専務理事に任命された2011年のIMFの指導者選出で、BRICSが単一候補を支持できなかったことは有名だ。
最後に、BRICS内の相違点は類似点と同じくらい大きい。ブラジル、ロシア、南アフリカは資源輸出大国だ。これに対して中国とインドは輸入国だ。
中国とインドの間には国境を巡る緊張があり、中国とロシアの間には中央アジアでの影響力を巡る競争がある。中国は共産主義国で、ロシアは旧共産主義の独裁主義国、それ以外は民主主義国だ。
■現実的な姿勢が肝心
ダーバンサミットは失敗ではなかった。通貨危機と戦うために合意された1000億ドルの基金は、その実際的なメリットは限られているかもしれないが、政治的なコミットメントを示す有益な声明だ(新設される基金にできて、各国中央銀行による急場の協調行動にできないこととは、一体どんなことか?)。
だが、BRICSの指導者は、自分たちが協力できる範囲について現実的な姿勢を保つよう気を付けなければならない。彼らがBRICS開発銀行を創設できるのなら、それは結構なことだ。できないのなら、その計画が政治的な恥になる前に撤回する必要がある。
By Stefan Wagstyl in London
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◆ 国家主席就任直後の習近平がロシアの次にアフリカ諸国の歴訪を選んだわけ 2013-03-26 | 国際/中国/アジア
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◆ 【風を読む】「アフリカは中国との愛から目を覚まさなければならない」 2013-03-26 | 国際/中国/アジア
【風を読む】「アフリカは中国との愛から目を覚まさなければならない」 論説副委員長・西田令一
zakzak2013.03.26
習近平中国国家主席の初外遊の出ばなをくじくように、歴訪先のアフリカから中国に対し異議申し立ての狼煙(のろし)が上がった。
3月12日付英紙フィナンシャル・タイムズ(アジア版)に載った、ナイジェリアのラミド・サヌシ中央銀行総裁の寄稿は容赦ない。
「(原油の対中輸出により)莫大な資源を費やして国内製造すべき消費財を中国から輸入する」自国の現状を嘆きつつ、中国のアフリカ進出のやり方を糾弾している。
アフリカ広域でインフラを建設して「自国から持ち込んだ機材と労働力を使い技術を現地に移転しない」と指摘し、その手法を「新型帝国主義」「アフリカの非工業化と低開発の元凶」と断罪している。
興味深いのは歴史がのぞくくだりである。寄稿者は、父親が1970年代の駐中国大使当時に毛沢東を崇拝し、後に外務次官となり中国の影響を受けて政策を立案したとし、アフリカでは「愛中の姿勢は極めて一般的だ」と述懐している。
だから、見出しもずばり、「アフリカは中国との愛から目を覚まさなければならない」である。
同紙はさらに、この寄稿を「(中国に対する)見解を変えるアフリカ高官が増えていることの反映」と位置付けて、1面トップ記事で紹介する異例の紙面作りをした。
親中派の中国専門家デービッド・シャンボー米ジョージ・ワシントン大教授も、3月18日付米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、中国に関する否定的な見方が世界各地で広がっているとし、「関係が概して肯定的であり続けたアフリカでも過去3年で中国のイメージは悪化している」と論じているほどだ。
そういえば、中国が世界中に人を送り込み資源漁(あさ)りしている実態を、アフリカを手始めに現地から伝えた「巨竜むさぼる」を産経新聞が通年で連載して、3年になる。
「愛中」幻想から覚めつつある目にようやく、「巨竜」という正体が見えだしたということか。
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◆ 軋む世界/巨額の財政赤字、国防費削減を迫られる米国/経済力をバックに軍備拡張を進める中国 2011-07-31 | 国際/中国/アジア
軋む世界 米中 新たな火種 【?】南スーダン/資源・安保で覇権争い
中日新聞2011/07/26Tue.
「中国の方々から毎日、油田開発のオファーがありますよ」。今月9日、アフリカ54番目の国として誕生した南スーダン。建国の興奮冷めやらぬ中、南部政府の高官は、本紙の取材に、既に中国側の熱烈な営業攻勢を受けていると明かした。
北部スーダンの3倍に上る油田を抱え独立した南部。道路や水道、電気などインフラ整備への支援の申し出が、中国側から続々と届く。「全てわれわれから石油開発(参入)への協力を取り付けるためだ」と、意図を高官は見透かす。
舗装道路の総延長がわずか60キロ、電気や水道も未発達という国で、中国の存在感は際立つ。地元の記者によると、首都ジュバは中国系ホテルが10軒余に急増。「政府役人の大半の家は、中国企業が特別価格で建設したという話だ」と記者は声を潜めた。
中東の衛星放送アルジャジーラなどによると、分離前のスーダンは、1983年から20年余に及ぶ南北内戦が続き、米石油大手シェブロンが撤退。国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者(今年5月に米国が殺害)が91年からスーダンを拠点にしたのを受け、米国は93年、スーダンをテロ支援国家に指定し、経済制裁を科す。欧米勢と入れ替わるように進出したのが中国国営石油会社だった。
「走出去(ソーチューチー・海外に出よう」。中国政府は今世紀に入って、自国企業に海外進出を一段と促す。国策と一体の企業はリスクや政治問題を度外視し、実利優先んで事業を拡大するのが強み。日量約50万バレルとされる南北スーダンの石油生産の3分の2が、中国向けとされた。
2005年、南北和平合意が実現し、黒人キリスト教徒の多い南部でアラブ系イスラム教徒中心の北部からの独立の機運が高まると、中国は北部ばかりか南部の有力者へも接近を開始する。
南スーダンの当局者によると、09年、南部の幹部候補らが多数、北京へ招かれ、研修を受けた。「その大半は、今や新政府の指導的立場。中国は親中派を育てようとしたのだろう」
この資源豊かな新国家で、覇権争いに名乗りを上げたもう一つの大国が、米国だ。
南北和平合意の後、スーダンにインフラ整備や食糧支援など60億?(約4千8百億円)もの資金を投入。「アメとムチ」と言われる見返りと圧力の両面で、北部バシル政権を揺さぶり、南部分離を認めさせた。
南スーダンは、アフリカ北部イスラム圏と中部キリスト教圏との境にあり、地政学的に重要な位置を占める。中東・アフリカのイスラム圏を中心に「対テロ戦争」にあえぐ米国にとって、この地域で親米国家を獲得する意味は、安全保障上も大きい。
9日の独立式典に駆けつけた米国のライス国連大使は「独立は、与えられたのではない。あなた方が勝ち取ったのだ」と持ち上げてみせた。だが、米外交の勝利ともいえる。
長い内戦を経て、悲願の新国家樹立に沸き返る南スーダン。グローバル経済と対テロ戦争での勝利をもくろむ大国の思惑が、激しくぶつかる最前線となりつつある。(カイロ・今村実)
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23日の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)でも、焦点の南シナ海領有問題をめぐり米中両国は歩み寄りの姿勢を示さなかった。激しさを増す資源争奪や情報戦など、世界各地での2大国の新たな火種を探った。
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◆ 「BRICS」を政治利用する中国 2011-04-23 | 国際
米国への挑戦状:世界の盟主になりたい中国 BRICS首脳会議を主催して〜中国株式会社の研究(107)
JB PRESS〔中国〕2011.04.22(Fri)宮家 邦彦
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