【国民栄誉賞】なぜこの時期に? 参院選で1議席でも…垣間見える「安倍の野望」
産経新聞2013.4.1 21:55
国民栄誉賞の贈呈をめぐっては「政権浮揚のため政治利用だ」と、たびたび批判を浴びた。政治評論家の浅川博忠氏(70)は「7月の参院選を前にさらに支持率をあげて、1議席でも多く取りたいという安倍晋三首相の野望が透けて見える」と分析する。
浅川氏は「60〜70代は長嶋さんと歩んだ世代。国民栄誉賞はその層へのアピールにつながる。安倍内閣は70%という高支持率だが、さらなる足場固めとなるだろう」と話す。
ただ、野田佳彦前首相は昨年11月にレスリングの吉田沙保里選手に贈呈したが、翌12月の衆院選で大敗。必ずしも支持率アップに寄与しない場合もある。「国民に白々しく映ることもあるが、今の安倍首相は上昇気流。プラスにしか作用しないだろう」。
一方で「最近の内閣は国民栄誉賞乱発の傾向がある」と懸念。「賞本来の意味が薄れる懸念もある。今後、選挙の半年前は授与できないなどのルール組み作りが必要かもしれない」としている。
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◆ 国民栄誉賞=スピンコントロール(政府が、その政権運営、権力維持、情報管理のために行うメディア戦略) 2011-08-04 | メディア/ジャーナリズム
国民栄誉賞と10シーベルト――あまりに幼稚な日本政府のスピンコントロール
Diamond online『週刊上杉隆』2011年8月4日 上杉 隆
結局、なでしこジャパンへの国民栄誉賞の授与が決まった。先週のコラムでの提言は徒労に終わった。政府の厚顔無恥、協会の権威主義には改めてあきれてしまう。
繰り返しになるが、今回の受賞は、団体としては初、これまでは長期にわたる実績を認められた個人にのみ贈られたき同賞が、一度の世界一で、まだ発展途上の選手たちに授与されたという異例のことになる。
3・11震災後の日本に勇気を与えたというのが主な受賞理由だそうだが、職業柄、素直に喜べない。私はひねくれているのだろうか。
これも繰り返しになるが、なにしろ、チーム団体での世界一ならば過去にも多くの例があるはずだ。近年でもWBCでの世界一、女子ソフトボールでの世界一、枚挙にいとまがないではないか。
他とのバランスで考えれば、内閣総理大臣顕彰などが妥当ではなかったか。その考えはいまなお変わらず、政府が国民栄誉賞を持ち出してきた背景を考えると、暗澹たる気持ちになる。これはのちに説明しよう。
*日本のメディアだけが扱わない言葉「スピンコントロール」
それにしても、案の定だが、大手メディアは今回の受賞を手放しで褒め称え、報じ続けている。そう、それが実は政府のスピンコントロールである可能性が高いにもかかわらず、一切そうした点への検証はない。相変わらず、おめでたい人たちである。
政府が、その政権運営、権力維持、情報管理のために行うメディア戦略をスピンコントロールという。情報統制の基本中の基本で、もはや世界中の国では常識となってさえいるこの言葉を、日本のメディアだけが扱わない。
米国ではベトナム戦争の70年代、そして冷戦末期の80年に、メディア統制のために盛んに語られた政治用語のひとつでもある。実際、ホワイトハウスの記者会見場は“スピンルーム”とも呼ばれ、日常的に、記者たちが政府のスピンを警戒する空気ができている。
政治権力とメディアの緊張関係の有無を確認する際、スピンという言葉が多用されだしたら、政府の不健全な目論見が存在するというシグナルにもなっている。つまり、それほど米国の政界やメディア界においては、一般化されている用語なのだ。
英国でも同じような状況だ。いや90年代以降は、英国こそスピンコントロール大国となり、政府とメディアの数々の戦いが見られた。スピンドクターのアラステア・キャンベル首相補佐官へのニュースの扱いだけをみても、スピンに対するメディア側の警戒ぶりがわかるというものである。なにしろ、彼は、英国では、スピンによってイラク戦争を開戦させた男として認識されているほどだ。
いずれにしろ、そうしたスピンは世界中の政府内で実行され、また世界中のメディアやジャーナリストたちが、その目論見と戦っているというのが現状なのである。そう、世界で唯一、記者クラブのある日本を除いては――。
断言しよう。なでしこジャパンへの国民栄誉賞は、日本政府のスピンである。しかも、世界のレベルからみたら、あまりに単純で幼稚なスピンコントロールである。
だが、日本のメディアはその程度のスピンすら見抜けない。きっと、よほど愚鈍の集まりなのだろう。なぜならば、仮にスピンだと知っていて報じていないのならば、相当悪質な集団ということになる。それは次のニュースで明らかだ。
*国民栄誉賞のリークと同時に何が起きていたか
政府が、なでしこジャパンへの国民栄誉賞検討のリークをはじめた8月1日、何が起きたか考えてほしい。それは、世界中の科学者たちを震え上がらせる、とんでもないニュースとして、日本でも報じられている。
〈東京電力は1日、福島第1原発1、2号機の原子炉建屋の西側にある排気塔下部の配管の表面付近で、計測器の測定限界に相当する事故後最高値の毎時10シーベルト(1万ミリシーベルト)以上もの高い放射線量を計測したと発表した――(以下略)〉(毎日新聞)。
新聞・テレビはこの恐ろしいニュースをこの日以降、十分に報じたとはいえない。10シーベルトという致死量を軽く上回る放射線検出の大ニュースは、国民栄誉賞という人体に何の影響もないどうでもいいニュースに取ってかわってしまった。
とくに民放テレビは、このニュースを朝から晩まで流しつづけ、政府のスピンに自ら協力しているかのようである。
3月、筆者は、測定器の不備による作業員への被曝の可能性を危惧して、その安全管理と健康調査の是非を公開するよう、東京電力の記者会見で繰り返し質問した。
当時、東京電力は1シーベルト以上の放射線を測る機器はないと断言し、2号炉外のピット周辺で計測した作業員の健康調査の結果すら発表しようとしなかった。
ところが、ふたを開けてみれば、10シーベルトである。しかも、きちんと測れる機器があるではないか。東京電力はまたしても記者会見でうそをついていたのである。
3月以降、作業に携わった作業員はのべ何万人にも上る。その作業員の被曝の可能性は否定できない。早急な検査が求められる。
なにしろ10シーベルトを超える放射線が検出された場所の近くで、鉛などの防護服や遮蔽壁などを使わず、彼らは普通に作業してきたのだ。
しかも、3桁の作業員の行方がわからないという。いったい政府はその責任をどう取るつもりなのか。また、メディアはなぜ、この人類史上、類を見ない大ニュースを大きく扱わないのか。
なでしこも世界一ならば、10シーベルト超の検出も世界一である。せめて同程度に報じて、国民に知らせるべきではないか。政府のスピンに甘んじて乗って、自らの仕事をサボっている場合じゃないのである。
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◆ マインドコントロールを最も使うのは誰か、解けていないのは誰か/スピンコントロール(メディア戦略) 2013-04-02 | 社会
窪田順生の時事日想:マインドコントロールを最もつかうのは誰か、そして解けていないのは誰か
[Business Media 誠]2013年04月02日 08時01分 UPDATE
活動休止中のお笑いコンビ「オセロ」の中島知子さんが、久しぶりに情報番組に出演した。芸能マスコミは「まだマインドコントロールが解けていない」などと報じているが、心配なのは彼女だけではない。元首相も……。
活動休止中のお笑いコンビ「オセロ」の中島知子さんが久方ぶりに情報番組に出演して話題になっている。
ご存じの人も多いだろうが、中島さんは芸能マスコミから、同居していた女性占い師の「お告げ」によってさまざまな奇行に走っており、家族が奪還したことでようやくその占い師の支配下から逃れた、と報じられていた。それをご本人が「悪いのは私」としてマインドコントロール疑惑を全否定したのだ。
芸能マスコミというのは政治マスコミと同じく、報じる側も「プレーヤー」として利害が複雑に入り組むため、かなりバイアスがかかる。ぶっちゃけ声の大きいほうが「勝ち」みたいなところもあるので、わりとよくガセネタも流れる。中島さんが正しい可能性も否めない。
ただ、彼女と占い師の関係を見る限り、確かにマインドコントロールがあってもおかしくないとは感じる。そもそも「占い」は相談者がよせる全幅の信頼なくしては成立しない。マインドコントロールありきのビジネスだからだ。
なんてことを言うと、占いを批判しているように聞こえるかもしれないがそうではない。この心理テクニックを用いた商売など山ほどある。占いに限った話ではなく、マインドコントロールというのは私たちの身の回りのいたるところに存在しているのだ。
例えば「自己啓発セミナー」なんてのは分かりやすいが、「ダイエット」や「健康・美容」にまつわるビジネスもそうだ。「お金がない」とか「太っている」というコンプレックスを刺激し、問題を解決するためにはこの商品を買うべきだ、と巧みに誘導する。これがけしからんというのなら、営業マンの大半は仕事がなくなってしまうだろう。
■マスコミの思惑
そんなわりとありふれたものであるにもかかわらず、日本でマインドコントロールというと、すぐにカルト宗教や占い師とセットにされて「悪」とされる。確かに、統一協会やオウム真理教のイメージが強いということもあるが、そこにはマスコミの思惑があるのでは、と訝(いぶか)しんでしまう。
なぜかというと、実はこのマインドコントロールというテクニックを最もよくつかっているのが、ほかでもないマスコミだからだ。
暴力や恐怖などをつかって強制するわけではなく、心理学を応用して人の心を誘導する。実はそういうテクニックを民間活用したのが、広告やテレビだったりする。
この時事日想でも何度かふれたメディアの「スピンコントロール」(情報操作)を今から80年ほど前にはじめて確立したのは「広告の父」と呼ばれるエドワード・バーネイズという人物だ。
彼は医者に「ベーコンは健康にいい」「タバコにはダイエット効果がある」なんて言わせて、ベーコンやタバコを宣伝したり、奥さんの親戚筋である「ニューヨーク・タイムズ」に共産主義の悪口を書かせて、政府の反共キャンペーンを手伝ったりした。こういう商売をなぜ思いついたのかというと、叔父の影響がある。
ご存じの人も多いと思うが、その叔父の名はジークムント・フロイト。彼はかなりの変わり者で、人間には「無意識」というものがあって、それを読み取れば「精神分析」なんてのができると言い出した。
そんな叔父さんの本の英訳をしてやっていたバーネイズは、この理論をマスコミに応用したら、大衆を意のままに操れるのでないかと考える。そこで叩かれるのも織り込み済みで、「プロパガンダ」(世論操作)なんて挑発的な本を世に出してその名を轟かせた。それが「プロパガンダ」である。
こういうルーツからも分かるように、スピンコントロールとは「メディアを介したマインドコントロール」というわけだ。
事実、マインドコントロールとの共通点も多い。例えば、中島さんのように純粋な人ほどハマってしまうとか。有名人でいえば、鳩山由紀夫元首相なんかはその典型だろう。
鳩山さんはご存じのように筋金入りのお坊ちゃんだ。人を疑うことを知らないピュアなハートをもつので、小学校の教科書や「朝日新聞」で、軍国主義の日本は米国から原爆を落とされたおかげでようやく戦争をやめることができ、マッカーサーによって平和と民主主義がもたらされました、というプロパガンダをなんの抵抗もなく受け入れた。
さらに、これからは理系だということで、歴史はほとんど勉強しなかった。だから、朝鮮戦争が「休戦中」で、韓国と北朝鮮が今も戦争状態にあるなんて知らない。国連軍の後方部隊がいる嘉手納基地を「最低でも県外」と言い出して、世界中をビックリさせたのはこれが理由だ。
真っ白であればあるほど染まりやすい。誰のマインドコントロールか知らないが、中島さんが「悪いのは私」と言い出したように、鳩山さんは「悪いのは日本人」と言い出した。
中島さんと違うのは「財力」があることだ。日本では誰にも相手にされないもんだから、「女性占い師」に負けないほどスピリチュアルな妻とともに中国へわたり、「元総理」として南京大虐殺記念館などで謝罪行脚をはじめた。
中島さんも心配かもしれないが、まずはこっちのマインドコントロールを解いたほうがよくないか。
<筆者プロフィール> 窪田順生
1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。 *強調(太字・着色)は来栖
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